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高血圧とは、どんな病気?症状・原因・合併症・治療方法を解説

高血圧

高血圧とは、どんな病気?症状・原因・合併症・治療方法を解説

監修:医師・薬剤師監修

健康診断で「血圧が高い」と指摘されても、頭痛や息苦しさがないため、そのまま放置している人は少なくありません。

しかし、高血圧は自覚症状がほとんどないまま血管へ負担をかけ続け、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病などにつながる病気です。WHO(世界保健機関)でも、高血圧は心臓、脳、腎臓などの病気のリスクを高める重大な病気とされています。

高血圧は「血圧の数字が少し高いだけの状態」ではありません。血管や臓器が長期間にわたって傷つけられる病気です。

そもそも血圧とは?

血圧とは、心臓から送り出された血液が、血管の壁を内側から押す力のことです。

血圧を測ると、「上が145、下が92」のように2つの数字が表示されます。

  • 上の血圧:収縮期血圧
  • 下の血圧:拡張期血圧

収縮期血圧は、心臓が縮んで血液を全身へ送り出したときの圧力です。拡張期血圧は、心臓が広がり、次の血液をためているときの圧力です。

血管が硬くなったり、血液が流れにくくなったりすると、心臓はより強い力で血液を送り出す必要があるため、血圧が高くなります。

高血圧の診断基準

日本高血圧学会では、医療機関で測った診察室血圧が140/90mmHg以上の場合を、高血圧の診断基準としています。

家庭で測る血圧は、診察室より低く出る傾向があるため、一般的には135/85mmHg以上が高血圧の目安です。診察室と家庭で結果が異なる場合は、家庭血圧が診断や治療の判断に重要になります。

測定場所 高血圧の診断目安 正常血圧の目安
医療機関 140/90mmHg以上 120/80mmHg未満
家庭 135/85mmHg以上 115/75mmHg未満

なお、診断基準と治療目標は同じではありません。高血圧管理・治療ガイドライン2025では、高血圧患者の降圧目標として、原則として診察室血圧130/80mmHg未満、家庭血圧125/75mmHg未満が示されています。ただし、年齢、持病、ふらつきなどを考慮し、個別に調整します。

1回だけ血圧が高かったからといって、すぐに高血圧と決まるわけではありません。日を変えて繰り返し測り、家庭血圧も確認したうえで判断します。

高血圧には症状がある?

高血圧の大きな特徴は、血圧が高くても自覚症状がほとんどないことです。

血圧がかなり高いときには、頭痛、めまい、肩こり、動悸などを感じることがあります。ただし、これらは高血圧がなくても起こる症状であるため、症状だけで血圧の状態を判断することはできません。日本臨床内科医会や日本循環器協会でも、高血圧は通常、自覚症状が現れにくいとされています。

「頭が痛くないから血圧は大丈夫」「体調がよいから薬はいらない」という判断は危険です。

血圧が高い状態が数年から数十年続くと、症状がない間にも血管は少しずつ硬く、狭く、もろくなっていきます。

高血圧の主な原因

本態性高血圧

高血圧の多くは、原因を一つに特定できない本態性高血圧です。国立循環器病研究センターでは、高血圧の約90%が本態性高血圧に該当するとされています。

本態性高血圧は、遺伝的な体質に、塩分の取り過ぎ、肥満、飲酒、運動不足、ストレスなどが重なって起こります。

親や兄弟に高血圧の人がいる場合でも、必ず発症するわけではありません。ただし、生活習慣が乱れていると、若い年代から血圧が上がる可能性があります。

二次性高血圧

腎臓やホルモンの病気、睡眠時無呼吸症候群、薬の影響など、血圧を上げる明確な原因があるものを二次性高血圧といいます。

原因には、次のようなものがあります。

  • 腎臓病
  • 腎臓へ血液を送る血管の狭窄
  • 原発性アルドステロン症
  • 甲状腺や副腎の病気
  • 睡眠時無呼吸症候群
  • 一部の鎮痛薬、ステロイド薬、甘草を含む漢方薬

若い年代で急に血圧が高くなった場合や、複数の降圧薬を使用しても血圧が下がらない場合は、二次性高血圧が疑われます。原因となる病気を治療することで、血圧が改善することがあります。

高血圧になりやすい生活習慣

塩分の取り過ぎ

日本人の高血圧の最大の原因は、食塩の取り過ぎです。厚生労働省では、肥満、飲酒、運動不足などとともに、食塩の過剰摂取が高血圧の主な原因とされています。

塩分を多く取ると、血液中の塩分濃度を薄めるため、身体が水分をため込みます。血液量が増えることで血管へかかる圧力も強くなり、血圧が上がります。

ラーメンの汁、漬物、干物、加工肉、カップ麺、総菜、外食などは、知らないうちに塩分が多くなりやすい食品です。

肥満

体重が増えると、身体の広い範囲へ血液を届ける必要があるため、心臓や血管への負担が増えます。

特に、お腹周りに内臓脂肪が多い人は、高血圧、糖尿病、脂質異常症を同時に発症しやすくなります。

過度の飲酒

飲酒直後は血管が広がり、一時的に血圧が下がることもあります。しかし、毎日のように多量の飲酒を続けると、血圧が上がりやすくなります。

お酒を飲みながら塩分の多いつまみを食べる習慣も、高血圧を悪化させる原因です。

運動不足

運動不足は体重増加や血流の悪化につながります。また、糖尿病や脂質異常症も起こりやすくなり、動脈硬化を進めます。

喫煙

たばこを吸うと、ニコチンの作用で血管が収縮し、一時的に血圧や心拍数が上がります。

喫煙を続けると血管の内側が傷つき、動脈硬化が進みます。血圧が高い人が喫煙すると、脳卒中や心筋梗塞の危険がさらに高くなります。

睡眠不足とストレス

睡眠不足や強いストレスが続くと、交感神経が優位になり、血管が縮みやすくなります。

また、大きないびきや睡眠中の呼吸停止がある人は、睡眠時無呼吸症候群によって夜間や早朝の血圧が高くなっている可能性があります。

高血圧を放置すると起こる病気

高血圧による負担は、血管が多い臓器を中心に現れます。

影響を受ける場所 起こりやすい病気 主な症状
脳梗塞、脳出血、認知症 手足のまひ、ろれつが回らない、強い頭痛
心臓 狭心症、心筋梗塞、心不全 胸の痛み、息切れ、むくみ
腎臓 慢性腎臓病、腎不全 むくみ、尿の異常、疲労感
血管 大動脈瘤、末梢動脈疾患 胸や背中の痛み、歩行時の脚の痛み
高血圧性網膜症 視力低下、目のかすみ

日本高血圧学会では、高血圧が将来の脳卒中、心臓病、腎臓病、認知症の発症リスクを高めると報告しています。

血圧を下げる目的は、数字をきれいにすることではなく、脳、心臓、腎臓、血管を守ることです。

家庭で正しく血圧を測る方法

医療機関では緊張して血圧が高くなることがあります。これを白衣高血圧といいます。

反対に、診察室では正常でも、自宅や仕事中に血圧が高くなる状態を仮面高血圧といいます。仮面高血圧は見逃されやすいため、家庭血圧の記録が重要です。

家庭では、朝と夜に次の条件で測りましょう。

朝の測定

  • 起床後1時間以内
  • 排尿後
  • 朝食や服薬の前
  • 椅子に座って1~2分安静にしてから測る

夜の測定

  • 就寝前
  • 入浴、飲酒、喫煙の直後を避ける
  • 椅子に座って落ち着いてから測る

原則として1回につき2回測り、平均値を記録します。東京都の健康情報でも、朝は起床後1時間以内、夜は就寝前に測定し、原則2回の平均を記録する方法が案内されています。

血圧計は手首式よりも、上腕へ巻くタイプが一般的です。腕帯の位置を心臓と同じ高さにし、測定中は話さないようにしてください。

高血圧の生活習慣改善

減塩する

しょうゆやソースを料理へ直接かけず、小皿に少量出して付けるようにすると、塩分を減らしやすくなります。

麺類の汁を残す、漬物や加工肉を毎日食べない、だしや香辛料、酢、レモンを活用する方法も有効です。

体重を減らす

肥満がある場合は、現体重の3~5%程度の減量でも、血圧、血糖、脂質の改善につながる可能性があります。厚生労働省でも、食事療法と運動療法によって3~5%程度の減量を達成し、維持することが重要とされています。

体重80kgの人であれば、まず2.4~4kg程度の減量が一つの目安です。

有酸素運動を行う

ウォーキング、自転車、水中歩行など、息が少し弾む程度の運動を続けましょう。

運動習慣がない人は、1日10分程度から始め、合計20~30分を目指します。ただし、血圧が非常に高い人や胸の痛みがある人は、運動前に医師へ相談してください。

飲酒量を減らす

毎日飲んでいる人は、飲まない日を作りましょう。飲酒量だけでなく、塩分の多いつまみを減らすことも重要です。

睡眠を整える

起床時間をそろえ、夜更かしを避けます。いびきや睡眠中の呼吸停止を指摘されている場合は、睡眠時無呼吸症候群の検査を受けましょう。

高血圧の治療薬

生活習慣を改善しても血圧が十分に下がらない場合や、血圧が高い状態、糖尿病、腎臓病、心臓病などがある場合は、降圧薬を使用します。

薬の種類 主な働き 主な注意点
カルシウム拮抗薬 血管を広げて血圧を下げる 顔のほてり、動悸、頭痛、足のむくみ
ARB 血管を収縮させるホルモンの働きを抑える 高カリウム血症、腎機能低下、妊娠中は使用できない
ACE阻害薬 血管を広げ、心臓や腎臓の負担を減らす 空せき、高カリウム血症、血管浮腫
利尿薬 余分な塩分と水分を尿として排出する 頻尿、脱水、低ナトリウム血症、尿酸値上昇
β遮断薬 心拍数や心臓の働きを抑える 徐脈、疲労感、喘息の悪化

カルシウム拮抗薬のアムロジピンや、ARBのアジルサルタンなどは、高血圧症治療薬として使用されています。

血圧が正常になっても、自己判断で薬を中止してはいけません。薬によって血圧が抑えられているだけで、中止すると再び上がる可能性があります。

めまい、ふらつき、足のむくみ、脈が遅いなどの症状がある場合は、薬の量や種類を調整できることがあるため、医師へ相談しましょう。

個人輸入で高血圧治療薬を購入する場合

個人輸入では、自宅から注文でき、国内では入手しにくいメーカーや含有量、ジェネリック医薬品を比較できる点がメリットです。

ただし、降圧薬は血圧、腎機能、心拍数、血液中のカリウム値などを確認しながら使用する薬です。血圧の数字だけを見て自己判断で選ぶと、血圧が下がり過ぎたり、腎機能や電解質へ影響したりする可能性があります。

購入前には、次の項目を必ず確認してください。

  • 有効成分
  • 1錠当たりの含有量
  • 1日の服用回数
  • 作用時間
  • 腎臓病、肝臓病、心臓病がある場合の使用可否
  • 妊娠中や妊娠の可能性がある場合の禁忌
  • 他の降圧薬、利尿薬、鎮痛薬との相互作用
  • めまい、ふらつき、むくみなどの副作用
  • 製造元と成分表示

複数の降圧薬を自己判断で重ねたり、血圧が高い日にだけ追加服用したりしないでください。

ARBやACE阻害薬、利尿薬を使用する場合は、必要に応じて血液検査を受け、腎機能やカリウム、ナトリウムなどを確認する必要があります。

血圧が非常に高い人、心臓病や腎臓病がある人、複数の薬を使用している人は、個人輸入を利用する前に医師や薬剤師へ相談しましょう。

医療機関へ相談する目安

家庭血圧が繰り返し135/85mmHg以上になる場合や、健康診断で140/90mmHg以上を指摘された場合は、内科や循環器内科へ相談してください。

次のような場合は、早めの受診が必要です。

  • 血圧が高い状態が数日以上続く
  • 糖尿病、腎臓病、心臓病がある
  • 若い年代で急に血圧が上がった
  • 複数の降圧薬を飲んでも下がらない
  • 強い頭痛、吐き気、視界の異常がある
  • 胸の痛みや強い息苦しさがある
  • 片側の手足が動かしにくい
  • ろれつが回らない

血圧が180/120mmHg前後またはそれ以上で、胸痛、呼吸困難、強い頭痛、意識の異常、まひなどを伴う場合は、救急受診が必要です。

まとめ

高血圧は、血液が血管の壁を押す力が慢性的に強くなっている病気です。

ほとんどの場合、自覚症状はありません。しかし、放置すると血管が傷つき、脳卒中、心筋梗塞、心不全、腎臓病、認知症などのリスクが高まります。

医療機関で測る血圧が140/90mmHg以上、家庭血圧が135/85mmHg以上の場合は、高血圧が疑われます。1回の数字だけではなく、朝と夜に繰り返し測定することが重要です。

高血圧治療の目的は血圧の数字を下げるだけではなく、将来の脳、心臓、腎臓を守ることです。

減塩、減量、運動、節酒、禁煙などを続け、必要な場合は降圧薬を正しく使用しましょう。症状がなくても血圧が高い状態を放置せず、早めに医療機関へ相談することが大切です。

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