インデラルとコーヒーを一緒に飲むとどうなる?カフェインとの関係
監修:医師・薬剤師監修
動悸や手の震え、片頭痛、不整脈などに使われるインデラルを服用するとき、「コーヒーと一緒に飲んでもよいのか」「カフェインで薬の効果が弱くならないか」と気になる人もいるでしょう。
結論からいうと、インデラルとコーヒーの組み合わせは、一般に直ちに重大な相互作用を起こす併用禁忌とはされていません。ただし、カフェインには心拍数の増加、動悸、手の震え、不安感などを起こす作用があるため、インデラルを服用する目的によっては、薬の効果を感じにくくなる可能性があります。
特に、緊張時の動悸や手の震えを抑える目的でインデラルを使用している人が、直前に濃いコーヒーやエナジードリンクを飲むと、カフェインによる刺激症状が重なり、期待したほど症状が軽くならないことがあります。
また、インデラルでは手足の冷えが現れることがあり、NHS(英国国民保健サービス)は、カフェインが血管を収縮させて手足への血流をさらに低下させる可能性があるため、症状がある人はカフェイン飲料を避けるよう案内しています。
この記事では、インデラルとカフェインが体へ及ぼす作用、一緒に摂取したときに起こり得る症状、コーヒーを飲んでしまった場合の対応について解説します。
インデラルとはどのような薬?
インデラルは、有効成分としてプロプラノロール塩酸塩を含むβ遮断薬です。
交感神経の刺激を受け取るβ受容体を遮断し、心拍数を低下させたり、心臓の収縮力を抑えたりします。日本では、高血圧、狭心症、頻脈性不整脈、片頭痛発作の予防などに使用されます。
プロプラノロールは、緊張時に起こる動悸や手の震えなど、交感神経による身体症状を抑える目的で使われることもあります。
不安な気持ちや緊張の原因そのものを消す薬ではなく、心拍数の上昇や震えなどの身体反応を抑える薬です。
カフェインにはどのような作用がある?
カフェインは、脳内で眠気に関係するアデノシンの働きを妨げ、中枢神経を刺激します。
適量であれば眠気を減らし、集中しやすくなることがあります。一方、摂取量が多い人やカフェインに敏感な人では、次のような症状が起こります。
- 動悸や脈拍の増加
- 手の震え
- 不安感や落ち着かなさ
- 発汗
- 胃の不快感
- 頭痛
- 寝つきの悪化
カフェインはコーヒーだけでなく、紅茶、緑茶、コーラ、エナジードリンク、チョコレート、眠気防止薬などにも含まれます。
インデラルとカフェインの作用は反対?
インデラルは心拍数や交感神経による身体反応を抑える方向へ働きます。一方、カフェインは覚醒度を高め、人によっては動悸や震えを強めます。
そのため、両者を一緒に摂取すると、薬の成分が化学的に打ち消されるわけではありませんが、症状に対して反対方向の作用が現れることがあります。
例えば、人前で話す前の動悸を抑えるためにインデラルを服用しても、直前にエナジードリンクを飲めば、カフェインによる興奮や脈拍増加が加わり、十分な効果を感じられない可能性があります。
コーヒー摂取時の循環器反応を調べた研究でも、カフェインとプロプラノロールを併用した際に心拍数や血圧へ影響がみられており、両者の作用は単純に相殺されるものではありません。
一緒に飲むと薬が効かなくなる?
コーヒーを1杯飲んだからといって、インデラルが完全に効かなくなるわけではありません。
ただし、次の条件ではカフェインの影響を受けやすくなります。
- 普段ほとんどカフェインを取らない
- 濃いコーヒーを複数杯飲んだ
- エナジードリンクを飲んだ
- 空腹時にカフェインを摂取した
- もともと動悸や不安が起こりやすい
- 睡眠不足や強い緊張がある
あがり症や手の震えに対して使用している場合は、カフェインの刺激症状によって、インデラルの効果が弱く感じられることがあります。
片頭痛予防や不整脈、高血圧の治療で毎日服用している場合も、カフェインを大量に摂取すると血圧や脈拍が変化する可能性があるため、摂取量を一定に保つことが大切です。
コーヒーでインデラルを飲んでもよい?
インデラルは、基本的に水またはぬるま湯で服用してください。
コーヒーで飲んだから直ちに重大な問題が起こるとは限りませんが、カフェインの量が分かりにくく、動悸や胃の不快感などが起こる可能性があります。
薬をコーヒーで流し込むのではなく、水で服用し、コーヒーは量や飲む時間を調整する方が安全です。
手足の冷えが強くなることがある
インデラルでは、末梢の血流が低下し、手足が冷たく感じることがあります。
NHS(英国国民保健サービス)は、プロプラノロール服用中に手足の冷えがある場合、喫煙やカフェイン飲料によって血管がさらに狭くなり、血流が悪化する可能性があるため避けるよう案内しています。
次のような症状がある人は、カフェイン量を減らし、医師へ相談してください。
- 手足が非常に冷たい
- 指先が白色や紫色になる
- しびれや痛みがある
- 冷えで日常生活に支障がある
片頭痛予防で飲んでいる場合
インデラルは片頭痛発作の発症を抑える目的でも使用されます。
カフェインは少量で頭痛を軽くすることがある一方、大量摂取や摂取時間の乱れ、急な中断によって頭痛を誘発する場合があります。
毎日大量のコーヒーを飲んでいる人が、飲む日と飲まない日を繰り返すと、カフェインによる刺激や離脱性頭痛が重なり、インデラルの予防効果を評価しにくくなります。
片頭痛の治療中は、カフェインを完全に禁止するのではなく、摂取量と時間をなるべく一定にし、頭痛日記へ記録すると原因を把握しやすくなります。
あがり症や緊張対策で使用する場合
緊張する場面の前には、眠気を覚ますためにコーヒーやエナジードリンクを飲みたくなるかもしれません。
しかし、カフェインによって次の症状が起こると、インデラルを服用する目的と逆の結果になる可能性があります。
- 心臓が強く打つ感じがする
- 手が震える
- 汗が増える
- 呼吸が速くなる
- 落ち着かなくなる
発表、面接、演奏などの前にインデラルを使用する場合は、少なくとも直前の濃いコーヒーやエナジードリンクを避ける方がよいでしょう。
ただし、緊張対策としての使用方法や服用時刻は、必ず処方医の指示に従ってください。
コーヒーを飲んでしまった場合の対処法
インデラル服用前後にコーヒーを飲んでも、症状がなければ過度に心配する必要はありません。
次の点に注意して経過を見ます。
- 追加のコーヒーやエナジードリンクを控える
- インデラルを追加服用しない
- 脈拍や体調の変化を確認する
- 激しい運動を避ける
- 水分を適度に取る
カフェインの作用を打ち消そうとして、インデラルを多く飲んではいけません。徐脈や低血圧、めまい、失神などを起こす危険があります。
カフェインは何時間前から控える?
カフェインの体内での分解速度には個人差があります。
発表や面接などの場面で動悸や震えをできるだけ避けたい場合は、直前だけでなく、数時間前からコーヒーやエナジードリンクを控えるとよいでしょう。
普段から大量に摂取している人が急にゼロにすると、頭痛や眠気が起こることがあります。その場合は、数日かけて量を減らす方法もあります。
カフェインに敏感な人は、コーヒーだけでなく、緑茶、紅茶、コーラ、チョコレートなども含めて摂取量を確認してください。
インデラルを自己判断で増減しない
カフェインを飲んで動悸が出たからといって、インデラルの量を増やしてはいけません。
プロプラノロールには、徐脈、低血圧、めまい、心不全の悪化などの注意点があります。また、喘息や気管支けいれんを起こすおそれがある人には使用できません。
毎日服用している人が自己判断で急に中止すると、心拍数や血圧が上昇し、元の病気が悪化する可能性もあります。
効きにくい、脈が遅い、だるさが強いと感じる場合は、カフェイン量と服用状況を記録して処方医へ相談してください。
すぐに医療機関へ相談したい症状
インデラルとカフェインを摂取したあと、次の症状がある場合は医療機関へ相談してください。
- 強い胸痛や胸の圧迫感
- 息苦しさや喘鳴
- 意識が遠のく、失神する
- 脈が極端に遅い、または不規則
- 強いめまいで立てない
- 手足が青紫色になる
- 動悸が長時間続く
喘息のある人では、インデラルによる気管支収縮が起こる可能性があります。呼吸が苦しい場合は、カフェインのせいと決めつけず、速やかに受診してください。
よくある質問
インデラルを飲んだあとにコーヒーを1杯飲んでも大丈夫ですか?
1杯で直ちに重大な問題が起こるとは限りません。ただし、動悸、震え、手足の冷えなどが出る人は、摂取量を減らしてください。
コーヒーを飲むとインデラルの効果はなくなりますか?
薬の作用が完全になくなるわけではありません。しかし、カフェインによる動悸や震えが重なることで、効果を弱く感じる可能性があります。
エナジードリンクなら少量でも注意が必要ですか?
エナジードリンクは製品によってカフェイン量が多く、短時間に飲みやすいため注意が必要です。インデラル服用前後は避ける方が安全です。
カフェインレスコーヒーなら飲めますか?
通常のコーヒーよりカフェイン量は少ないため選択肢になります。ただし、完全にゼロではない製品もあるため、表示を確認してください。
インデラルはコーヒーで飲んでもよいですか?
薬は水またはぬるま湯で服用してください。コーヒーで服用するメリットはなく、カフェインによる症状が加わる可能性があります。
まとめ
インデラルとコーヒーは、一般に併用禁忌ではありませんが、カフェインによって動悸、手の震え、不安感などが起こり、インデラルの効果を感じにくくなる場合があります。
特に、あがり症や緊張時の動悸・震えを抑える目的で服用している人は、発表や面接の直前に濃いコーヒーやエナジードリンクを飲むのを避けた方がよいでしょう。
また、プロプラノロールでは手足の冷えが起こることがあり、カフェインの血管収縮作用によって症状が強まる可能性があります。
コーヒーを飲んでしまっても、自己判断でインデラルを追加服用してはいけません。胸痛、失神、強い息苦しさ、極端な徐脈などがある場合は、速やかに医療機関へ相談してください。
薬は水で服用し、カフェインの量と摂取時刻をなるべく一定に保つことが大切です。効き方や副作用が変わった場合は、飲んだコーヒーの量も含めて医師や薬剤師へ伝えましょう。

