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インデラル服用中に運動しても大丈夫?心拍数が上がりにくくなる理由

インデラル

インデラル服用中に運動しても大丈夫?心拍数が上がりにくくなる理由

医師・薬剤師監修

インデラル(一般名:プロプラノロール)を服用していると、「運動しているのに以前ほど心拍数が上がらない」「ランニングをしてもスマートウォッチの心拍数が低い」と感じることがあります。

結論からいうと、インデラル服用中でも、医師から運動を制限されていなければ運動できるケースは多くあります。ただし、インデラルには心拍数の上昇を抑える作用があるため、普段と同じ「目標心拍数」を基準に運動強度を決めるのは適切でない場合があります。

NHS(英国国民保健サービス)でも、プロプラノロール服用中だからという理由だけでスポーツをやめる必要はないとされています。一方、β遮断薬を服用すると運動中の心拍数が通常ほど上がらなくなることがあります。

インデラルはどんな薬?

インデラルの有効成分であるプロプラノロールは、「β遮断薬」と呼ばれる薬です。

β遮断薬は、アドレナリンやノルアドレナリンが心臓などに作用するのを抑えることで、心拍数を低下させたり、心臓が強く収縮するのを抑えたりします。

プロプラノロールは、高血圧や不整脈などの治療に使用されるほか、病状によっては片頭痛予防などにも使用されます。

インデラルを飲むと心臓がアドレナリンの刺激を受けにくくなるため、安静時だけでなく運動中の心拍数も上がりにくくなります。

運動すると心拍数が上がるのはなぜ?

通常、歩く、走る、自転車をこぐといった運動を始めると、筋肉はより多くの酸素を必要とします。

そこで身体は交感神経を活発にし、心臓を速く動かして全身へ血液を送り出します。

運動強度が高くなるほど心拍数が上昇するのは、このためです。

しかしインデラルを服用していると、心臓にあるβ受容体がブロックされるため、運動して交感神経が活発になっても心拍数の上昇が抑えられます。

「運動しているのに脈が上がらない」という変化は、インデラルの作用によって起こることがあります。

心拍数が上がらない=運動効果がない?

心拍数がいつものように上がらないからといって、運動効果がなくなるわけではありません。

Mayo Clinicでは、β遮断薬を服用すると通常の目標心拍数まで上がらないことがありますが、それでも運動が心臓にとって無意味になるわけではないとしています。

β遮断薬を飲んでいる人では、「心拍数が高いほど運動できている」と考えないことが重要です。

ウォーキングやジョギングなどによる体力向上や健康維持の効果は、心拍数だけで決まるものではありません。

いつもの目標心拍数を目指してはいけないことも

運動では、「最大心拍数の○%」などを目標にする方法があります。

しかし、インデラルなどのβ遮断薬を服用している場合、通常の計算式で求めた目標心拍数が当てはまらないことがあります。

薬によって心拍数が意図的に抑えられているためです。

例えば、以前はジョギング中に150回/分まで上がっていた人が、服用後は120回/分程度までしか上がらないこともあり得ます。

「以前と同じ心拍数まで上げなければ」と運動強度を無理に高めると、身体へ過剰な負担をかける可能性があります。

運動強度はどう判断すればいい?

インデラル服用中は、心拍数だけではなく「自覚的運動強度」を利用する方法があります。

これは、呼吸の苦しさ、身体の疲れ具合、運動をどの程度きついと感じるかなどから強度を判断する方法です。

Mayo Clinicでも、β遮断薬使用中の運動強度を判断する方法として、自覚的運動強度を利用することが紹介されています。

会話できる程度の運動から始め、息が苦しくて話せないほど追い込まないことがひとつの目安です。

「トークテスト」も簡単な目安になる

ウォーキングやジョギングをしながら、普通の文章を話せるか確認する方法があります。

ある程度息は弾むものの会話できる程度なら、中等度の運動強度の目安になります。

一方、数語しか話せないほど息が苦しい場合は、運動強度が高すぎる可能性があります。

インデラル服用中は「心拍数○○まで上げる」よりも、自分の息苦しさや疲労感を確認しながら運動するほうが安全な場合があります。

運動するといつもより疲れやすいこともある?

β遮断薬を服用すると、心拍数だけでなく心臓が送り出す血液量への反応にも影響するため、以前より運動時に疲れやすいと感じる人もいます。

NHS(英国国民保健サービス)では、β遮断薬の副作用として疲労感、めまい、ふらつきなどが挙げられています。

服用を開始した直後や用量を変更した直後は、身体が薬に慣れていないこともあります。

急に以前と同じ強度の運動をするのではなく、軽い運動から徐々に様子を見ることが大切です。

運動中のめまいやふらつきには注意

インデラルには心拍数を低下させる作用に加えて、血圧へ影響する作用もあります。

そのため、運動後に急に立ち止まったり、立ち上がったりした際に、めまいやふらつきを感じることがあります。

運動を終了するときは突然止まらず、徐々にペースを落としてクールダウンするとよいでしょう。

強いめまい、失神しそうな感覚、立っていられないほどのふらつきがある場合は、運動を中止して医療機関へ相談してください。

脈が遅すぎる場合はどうする?

インデラル服用中は安静時の心拍数も低くなることがあります。

しかし、単純に「脈が60回/分以下なら危険」と一律に判断することはできません。もともとの心拍数、運動習慣、服用量、心疾患の有無などによって適切な範囲が異なるためです。

NHS(英国国民保健サービス)でも、プロプラノロールはもともと心拍数が遅い人では使用に注意が必要とされています。

脈が遅いことに加えて、めまい、息苦しさ、強い倦怠感、失神などがある場合には医師へ相談しましょう。

筋トレをしても大丈夫?

インデラルを服用しているからといって、筋力トレーニングが一律に禁止されるわけではありません。

ただし、高重量を扱う筋トレでは、息を止めて力むことで血圧が大きく変化することがあります。

特に高血圧や心疾患の治療目的でインデラルを服用している場合、どの程度の重量まで安全かは個人差があります。

軽~中程度の負荷から始め、息を止めずに呼吸しながら行うことが基本です。

高重量トレーニングを行う人や心疾患がある人は、事前に主治医へ相談すると安心です。

ランニングや有酸素運動は?

NHS(英国国民保健サービス)では、プロプラノロール服用中だからという理由だけでスポーツをやめる必要はないとしています。

ウォーキング、軽いランニング、自転車などの有酸素運動も、医師から制限されていなければ行える場合があります。

ただし、服用前と同じペースを維持しようとすると、以前よりきつく感じることがあります。

心拍数の数字ではなく、息苦しさや疲労感を確認しながらペースを調整しましょう。

運動前だけインデラルを抜いてもいい?

「心拍数が上がらないから、運動する日は薬を飲まないほうがいい」と考える人もいるかもしれません。

しかし、自己判断で服用を中止することは避けてください。

プロプラノロールを長期間服用している人が突然中止すると、心拍数の増加や不整脈などが起こることがあります。NHS(英国国民保健サービス)でも、急な中止を避け、必要な場合は医師の指示で徐々に減量するとしています。

運動のために服用を飛ばしたり、勝手に用量を減らしたりしないことが重要です。

緊張対策で使っている場合も同じ?

プロプラノロールは、緊張時に現れる動悸や手の震えなど身体症状を抑える目的で使用されることがあります。

この場合も、服用後は運動による心拍数の上昇が抑えられる可能性があります。

例えば、服用後にジムへ行った場合、「今日は心拍数が全然上がらない」と感じることがあります。

服用目的が高血圧や不整脈でなくても、プロプラノロールのβ遮断作用そのものは同じです。

喘息がある人は特に注意

プロプラノロールは「非選択的β遮断薬」と呼ばれ、心臓だけでなく気管支にあるβ受容体にも作用します。

そのため、喘息がある人では気管支が狭くなり、呼吸が苦しくなる可能性があります。

NHS(英国国民保健サービス)でも、喘息や肺疾患がある人ではプロプラノロールを使用できない場合があるとしています。

運動中にゼーゼーする、急に息が苦しくなるといった症状がある場合は、単なる運動不足と判断せず医師へ相談してください。

糖尿病がある場合も注意が必要

運動によって血糖値が低下することがありますが、β遮断薬は低血糖時に起こる動悸などの警告症状を分かりにくくすることがあります。

NHS(英国国民保健サービス)でも、プロプラノロールと糖尿病治療薬を使用する場合、低血糖の警告サインが分かりにくくなる可能性について注意が示されています。

糖尿病治療中に運動する場合は、血糖管理について主治医の指示を確認しておきましょう。

こんな症状が出たら運動を中止する

インデラル服用中でも問題なく運動できる人は多くいますが、体調変化には注意が必要です。

胸の痛み、強い息苦しさ、失神・意識が遠のく感じ、強いめまい、異常な疲労感、不規則な動悸などが現れた場合は運動を中止してください。

特に心疾患や高血圧の治療で使用している場合は、症状によって早めの医療機関受診が必要です。

心拍数を使って本格的にトレーニングしている人は?

ランナーやサイクリストなど、心拍ゾーンを利用してトレーニングしている人では、β遮断薬によって従来の心拍ゾーンが使えなくなる場合があります。

Mayo Clinicでは、必要に応じて運動負荷試験によって適切な目標心拍数を確認できる場合があるとしています。

心拍数を細かく管理する競技・トレーニングをしている場合は、薬を服用した状態での運動強度について医師へ相談するとよいでしょう。

まとめ

インデラル(プロプラノロール)はβ遮断薬であり、アドレナリンなどが心臓へ作用するのを抑えるため、運動中でも心拍数が通常ほど上がりにくくなります。

医師から運動を制限されていなければ、インデラル服用中でもウォーキングやランニングなどの運動ができるケースは多くあります。NHS(英国国民保健サービス)でも、プロプラノロール服用中だからという理由だけでスポーツを中止する必要はないとされています。

ただし、通常の最大心拍数や目標心拍数を基準にすると、必要以上に身体を追い込んでしまう可能性があります。

心拍数だけにこだわらず、呼吸の苦しさや疲労感、会話できる程度かどうかなどを確認しながら運動することが大切です。

胸痛、強い息苦しさ、めまい、失神などがある場合は運動を中止し、自己判断でインデラルを減量・中止せず医師へ相談しましょう。

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