低用量ピルを飲むと太るは本当?体重増加との関係を解説
監修:医師・薬剤師監修
「低用量ピルを飲み始めると太る?」
「体重が増えたのは、ピルの副作用?」
「むくみが出たら服用をやめた方がよい?」
低用量ピルは、避妊、生理痛、月経不順、過多月経、PMS(月経前症候群)などの改善を目的として使われる医薬品です。
一方、低用量ピルを飲むと太るというイメージがあり、服用を始めることに不安を感じる人も少なくありません。
結論から言うと、一般的な低用量ピルが、体脂肪を直接増やして大幅な体重増加を引き起こすという明確な根拠はありません。
ただし、服用開始後にホルモンの影響で一時的なむくみ、胸の張り、食欲の変化などが起こり、体重が増えたように感じることはあります。
また、ピルを飲み始めた時期と、加齢、運動不足、食生活、睡眠不足、ストレスなどによる体重増加が重なる場合もあります。
「体重が増えた=すべてピルのせい」と決めつけず、増えた時期、体重変化の幅、むくみ、食欲、生活習慣を確認することが重要です。
この記事では、低用量ピルと体重増加の関係、太ったように感じる理由、むくみを抑える方法、ピルの変更や相談を検討した方がよいケースについて解説します。
- 低用量ピルとは?
- 低用量ピルを飲むと本当に太る?
- ピルで太ったように感じる主な理由
- 原因1:ホルモンの影響によるむくみ
- 原因2:食欲が変化することがある
- 原因3:PMSの症状と区別しにくい
- 原因4:便秘や腹部膨満感
- 低用量ピルの種類によって太りやすさは違う?
- ピルを飲み始めて何kg増えたら注意する?
- 太ったと感じたらピルをやめてもよい?
- 服用開始後3か月は様子を見る?
- 低用量ピル使用中に太りにくくする方法
- ダイエット薬と低用量ピルは併用できる?
- 嘔吐や下痢がある場合の注意点
- ピルより体重増加に注意が必要な避妊方法もある
- 肥満の人は低用量ピルを使える?
- 血栓症を疑う症状
- 低用量ピルを個人輸入する場合の注意点
- 医療機関へ相談した方がよいケース
- 実際によく聞かれる体験談
- まとめ
低用量ピルとは?
低用量ピルは、主にエストロゲンとプロゲスチンという2種類の女性ホルモンを含む経口避妊薬です。
これらのホルモンが排卵を抑えるほか、子宮頸管粘液を変化させ、精子が子宮内へ入りにくい状態を作ります。
低用量ピルには、避妊を目的とするOCと、月経困難症や子宮内膜症などの治療に使われるLEPがあります。
| 種類 | 主な使用目的 |
|---|---|
| OC | 避妊 |
| LEP | 月経困難症、子宮内膜症などの治療 |
配合されているエストロゲン量やプロゲスチンの種類は、製品によって異なります。
同じ低用量ピルでも、むくみ、吐き気、胸の張り、気分の変化などの感じ方には個人差があります。
低用量ピルを飲むと本当に太る?
低用量ピルを飲み始めた後に体重が増えたと感じる人はいます。
しかし、現在の一般的な低用量ピルについて、服用によって体脂肪が大きく増えるという因果関係は、はっきり確認されていません。
体重は、食事量、運動量、年齢、睡眠、ストレス、月経周期など、さまざまな要因によって変化します。
ピルを開始した時期に体重が増えても、ピルだけが原因とは限りません。
短期間で1〜2kg前後変化した場合は、脂肪ではなく体内の水分量や便通の変化が関係している可能性があります。
ピルで太ったように感じる主な理由
| 考えられる原因 | 主な特徴 |
|---|---|
| むくみ | 手足や顔が腫れぼったくなり、体重が一時的に増える |
| 胸の張り | 乳房が張り、身体が重く感じる |
| 食欲の変化 | 食事量や間食が増える場合がある |
| 便秘 | 排便回数が減り、体重や腹部の張りが増える |
| 生活習慣の変化 | 運動不足、外食、睡眠不足などが重なる |
| 月経周期による変化 | もともとのPMSによるむくみや食欲変化が影響する |
原因1:ホルモンの影響によるむくみ
エストロゲンには、体内の水分やナトリウムの保持へ影響する作用があります。
そのため、服用開始後に一時的なむくみや身体の重さを感じることがあります。
むくみがある場合は、次のような変化が見られます。
- 朝に顔が腫れぼったい
- 夕方に靴がきつくなる
- 指輪が入りにくい
- 体重が日によって大きく変動する
- 胸が張る
むくみによる体重増加は、脂肪が増えた状態とは異なります。
脂肪を1kg増やすには、ある程度の期間にわたって摂取エネルギーが消費エネルギーを上回る必要があります。
数日で体重が急に増減する場合は、脂肪よりも水分や便通の影響を考えやすいです。
原因2:食欲が変化することがある
低用量ピルを飲むと、食欲が増えたり、甘い物を食べたくなったりすると感じる人がいます。
ただし、すべての人で食欲が増えるわけではなく、ピルが直接的に食事量を増やすかどうかは明確ではありません。
服用開始後に食欲が変化したと感じる場合は、次の点を記録しましょう。
- 間食が増えていないか
- 甘い飲み物を飲む回数が増えていないか
- 夜遅くに食べていないか
- ストレスで食べる量が増えていないか
- 月経前だけ食欲が増えていないか
薬の影響だと思っていても、実際には間食や飲み物からの摂取カロリーが増えている場合があります。
原因3:PMSの症状と区別しにくい
PMSでは、月経前にむくみ、食欲増加、胸の張り、体重増加などが起こることがあります。
低用量ピルを始めた直後は、ピルによる変化と、もともとのPMSによる変化を区別しにくい場合があります。
ピルによって排卵やホルモン変動が抑えられると、PMSの症状が改善する人もいます。
一方、服用開始から数か月は身体がホルモン環境へ慣れる途中で、むくみや胸の張りが現れることがあります。
服用開始前から月経前に体重が増えていた人は、ピル開始後だけの変化なのかを確認しましょう。
原因4:便秘や腹部膨満感
ホルモンバランスの変化や生活習慣によって便秘になると、体重が増えたり、お腹が出たように見えたりすることがあります。
便秘がある場合は、次の対策を意識します。
- 水分を少しずつ取る
- 野菜、果物、豆類、海藻を食べる
- 適度に身体を動かす
- 毎朝決まった時間にトイレへ行く
- 極端な食事制限を避ける
体重だけでなく、排便回数や腹部の張りも一緒に確認することが大切です。
低用量ピルの種類によって太りやすさは違う?
低用量ピルには複数の種類があり、配合されているプロゲスチンが異なります。
| 主なプロゲスチン | 配合される製品例 | 特徴の考え方 |
|---|---|---|
| ノルエチステロン | ルナベルなど | 月経困難症などの治療に使われる |
| レボノルゲストレル | トリキュラー、アンジュなど | 避妊目的で広く使われる |
| デソゲストレル | マーベロン、ファボワールなど | 一相性の製品がある |
| ドロスピレノン | ヤーズ、ヤーズフレックスなど | 抗ミネラルコルチコイド作用を持つ |
ドロスピレノンには、ナトリウムや水分の保持を抑える方向へ働く性質があります。
そのため、むくみが気になる人に合う場合があります。
ただし、腎機能が低下している人や、カリウムを上昇させる薬を使用している人では注意が必要です。
体重が気になるという理由だけで自己判断により別のピルへ変更せず、症状や持病に合った製品を選ぶ必要があります。
ピルを飲み始めて何kg増えたら注意する?
体重は食事、水分、排便、測定時間によって変動します。
一度だけ増えた数値ではなく、同じ条件で測った変化を確認しましょう。
おすすめは、起床後にトイレを済ませ、朝食前に測る方法です。
次のような場合は、ピル以外の原因も含めて相談を検討します。
- 短期間で体重が急激に増えた
- 数か月にわたり体重増加が続いている
- 食事量が変わっていないのに増え続ける
- 顔や手足のむくみが強い
- 息切れや動悸を伴う
- 強い疲労や寒がり、便秘がある
体重増加が続く場合は、甲状腺機能低下症、腎臓病、心臓病などが隠れていないか確認することも重要です。
太ったと感じたらピルをやめてもよい?
体重が増えたと感じても、自己判断で急に中止することはおすすめできません。
避妊目的で服用している場合、中止後は避妊効果を期待できなくなります。
月経困難症や子宮内膜症の治療に使用している場合は、生理痛や出血量が再び増える可能性があります。
まずは、次の点を確認しましょう。
- 服用開始から何か月たったか
- 何kg増えたか
- 体脂肪率も増えているか
- むくみや胸の張りがあるか
- 食事量や間食が増えていないか
- 運動量が減っていないか
副作用が生活へ影響する場合は、中止だけでなく、別の種類への変更や休薬期間の調整などを相談できます。
服用開始後3か月は様子を見る?
低用量ピルを始めた直後は、吐き気、頭痛、不正出血、胸の張り、むくみなどが現れる場合があります。
これらは身体がホルモン環境へ慣れるにつれて、数か月以内に軽くなることがあります。
ただし、症状が強い場合や、日常生活に支障がある場合は、3か月まで必ず我慢する必要はありません。
症状が軽くならない、悪化する、服用を続けるのがつらい場合は、早めに医師や薬剤師へ相談してください。
低用量ピル使用中に太りにくくする方法
体重を同じ条件で測る
体重は朝と夜で変化します。
毎日違う時間に測ると、水分や食事の影響をピルによる体重増加と誤解する可能性があります。
毎朝同じ条件で測り、週単位の平均を見ると変化を判断しやすくなります。
塩分を取りすぎない
塩分の多い食事は、身体に水分をため込み、むくみを悪化させることがあります。
次の食品を食べる機会が多い人は注意しましょう。
- ラーメンやうどんの汁
- 漬物
- スナック菓子
- 加工肉
- インスタント食品
- 外食の濃い味付け
水分を極端に減らさない
むくみがあるからと水分を控えすぎると、脱水や便秘につながる可能性があります。
持病による水分制限がなければ、水やお茶などを少量ずつ取ります。
たんぱく質と食物繊維を取る
肉、魚、卵、大豆製品などのたんぱく質は、筋肉量を維持するために必要です。
野菜、豆類、海藻、きのこなどの食物繊維は、便通を整え、満腹感を保つ助けになります。
軽い運動を続ける
ウォーキングや軽い筋力トレーニングを継続すると、消費エネルギーと筋肉量を維持しやすくなります。
ピルを飲み始めたから特別なダイエットが必要になるわけではなく、無理なく続けられる生活習慣が基本です。
ダイエット薬と低用量ピルは併用できる?
体重増加が気になるからと、自己判断でダイエット薬を追加するのは避けましょう。
特に、嘔吐や下痢を起こす可能性がある薬では、低用量ピルが十分に吸収されず、避妊効果へ影響する場合があります。
GLP-1関連薬の一部は胃から食べ物が排出される速度へ影響します。
使用する薬によっては、経口避妊薬の吸収や追加の避妊方法について確認が必要です。
低用量ピルとダイエット薬を併用する場合は、それぞれの薬の名前と用量を医師や薬剤師へ伝えてください。
嘔吐や下痢がある場合の注意点
低用量ピルを服用した直後に嘔吐した場合、薬が十分に吸収されていない可能性があります。
激しい下痢が続く場合も、避妊効果が低下する可能性があります。
この場合の対応は、使用している製品や、服用から嘔吐までの時間によって異なります。
添付文書を確認し、必要に応じて追加の避妊方法を使用してください。
自己判断で一度に複数錠を服用せず、製品ごとの飲み忘れ対応を確認しましょう。
ピルより体重増加に注意が必要な避妊方法もある
ホルモンを使う避妊方法には、ピル以外に注射、インプラント、パッチ、リングなどがあります。
このうち、プロゲスチン単独の避妊注射では、体重増加が報告されています。
そのため、「ホルモン避妊=すべて同じように太る」と考えるのは適切ではありません。
低用量ピルと避妊注射では、使用するホルモン、投与量、体重への影響が異なります。
肥満の人は低用量ピルを使える?
体重が多いことだけで、すべての人が低用量ピルを使用できないわけではありません。
ただし、肥満は血栓症のリスク要因のひとつです。
低用量ピルに含まれるエストロゲンにも、血栓症のリスクを高める作用があります。
次の条件が重なる場合は、使用できるか慎重に判断する必要があります。
- 喫煙している
- 35歳以上である
- BMIが高い
- 高血圧がある
- 糖尿病がある
- 脂質異常症がある
- 血栓症の既往や家族歴がある
- 長期間動けない状態がある
体重増加そのものよりも、血圧、喫煙、年齢、血栓症リスクを含めて安全性を確認することが重要です。
血栓症を疑う症状
低用量ピルを使用中に次の症状が現れた場合は、単なるむくみや体重増加として放置しないでください。
- 片脚だけが急に腫れる
- 片脚のふくらはぎが痛む
- 突然の息苦しさ
- 胸の痛み
- 激しい頭痛
- 突然見えにくくなる
- ろれつが回らない
- 手足のしびれや麻痺
両脚の軽いむくみと、片脚だけの急な腫れや痛みは分けて考える必要があります。
血栓症が疑われる症状がある場合は、服用を続けて様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。
低用量ピルを個人輸入する場合の注意点
海外製の低用量ピルやジェネリックは、個人輸入代行サイトで取り扱われる場合があります。
個人輸入は、自分自身で使用する医薬品を海外から取り寄せる方法です。
国内で取り扱いが少ない製品や、複数のホルモン配合を比較しやすい点を便利に感じる人もいます。
一方、個人輸入品には次の注意点があります。
- 有効成分と含有量を確認する
- 偽造品や品質不良品の可能性がある
- 国内製品と服用方法が異なる場合がある
- 血栓症リスクの診察を受けられない
- 副作用被害救済制度の対象外になる場合がある
- 飲み忘れ時の対応が製品によって異なる
個人輸入を利用する場合も、体重だけで製品を選ばず、エストロゲン量、プロゲスチンの種類、持病、喫煙歴を確認することが重要です。
ピルを始める前には、血圧を測り、血栓症の既往、片頭痛、喫煙、服用中の薬などを確認しましょう。
医療機関へ相談した方がよいケース
- 服用後から体重増加が続いている
- むくみが強く日常生活に支障がある
- 食欲が大きく変化した
- 頭痛や吐き気が強い
- 不正出血が長く続く
- 気分の落ち込みが強い
- 血圧が高くなった
- 片脚だけ腫れや痛みがある
- 胸痛や息苦しさがある
- 別のピルへ変更したい
ピルが合わないと感じても、避妊や治療効果を切らさないため、変更や中止のタイミングを相談することが大切です。
実際によく聞かれる体験談
24歳 女性
「ピルを始めて2週間ほどで体重が1kg増え、太ったと思いました。朝と夜で体重差が大きく、顔や脚のむくみもあったため、水分による変化を確認しました。」
31歳 女性
「服用後に食欲が増えた気がしていましたが、記録すると仕事中の間食が増えていました。ピルだけを原因にせず、食事と生活リズムを見直しました。」
38歳 女性
「数か月たってもむくみと胸の張りが気になったため、別の配合のピルについて相談しました。自己判断で中止せず、避妊方法を途切れさせずに変更しました。」
※上記は個人の感想であり、効果や作用開始時間には個人差があります。
まとめ
低用量ピルを飲むと太るというイメージがありますが、一般的な低用量ピルが体脂肪を直接増やし、大幅な体重増加を起こすという明確な根拠はありません。
服用開始後に体重が増えたように感じる原因としては、むくみ、胸の張り、食欲の変化、便秘、生活習慣などが考えられます。
短期間で体重が変動する場合は、脂肪ではなく体内の水分量が関係している可能性があります。
まずは毎朝同じ条件で体重を測り、食事、間食、排便、むくみなどを記録しましょう。
体重増加が数か月続く、むくみが強い、食事量が変わっていないのに増え続ける場合は、ピルの種類や他の病気について相談することが大切です。
自己判断でピルを中止すると、避妊効果がなくなったり、生理痛や過多月経が再び悪化したりする可能性があります。
また、片脚だけの急な腫れや痛み、胸痛、突然の息苦しさ、激しい頭痛などは、血栓症の可能性があります。
単なるむくみや体重増加として様子を見ず、速やかに医療機関へ相談してください。

