水虫と湿疹はどう見分ける?市販薬で悪化するケースに注意
監修:医師・薬剤師監修
足の指の間がかゆい、皮がむける、赤くなる、ジュクジュクする。このような症状があると、多くの人はまず「水虫かもしれない」と考えます。
しかし、足のかゆみや皮むけは、必ずしも水虫とは限りません。湿疹、汗疱、接触皮膚炎、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、かぶれなどでも、水虫に似た症状が出ることがあります。
問題は、水虫と湿疹では使う薬がまったく違うことです。水虫には抗真菌薬、湿疹には炎症を抑える外用薬が使われます。ところが、水虫にステロイド外用薬を塗ると白癬菌が増えやすくなり、症状が広がることがあります。反対に、湿疹に水虫薬を塗り続けても改善せず、薬剤の刺激でかぶれて悪化することがあります。
NHS(英国国民保健サービス)では、水虫は足の真菌感染症で、足を清潔で乾いた状態に保つこと、特に足指の間をよく乾かすことが大切とされています。水虫はありふれた病気ですが、自己判断で別の皮膚病と取り違えると治療が長引きます。
水虫とは?
水虫は、正式には足白癬と呼ばれます。
白癬菌というカビの一種が、足の皮膚に感染して起こる病気です。白癬菌は高温多湿の環境を好むため、靴の中、汗をかきやすい足、足指の間などで増えやすくなります。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、水虫、たむし、爪白癬の多くは白癬菌による真菌感染症であり、皮膚ではかゆみや鱗屑を伴う発疹が起こるとされています。
水虫には主に次のタイプがあります。
| タイプ | 主な症状 | 出やすい場所 |
|---|---|---|
| 趾間型 | 足指の間の皮むけ、ふやけ、ただれ、かゆみ | 第4趾と第5趾の間など |
| 小水疱型 | 小さな水ぶくれ、かゆみ、赤み | 土踏まず、足の側面 |
| 角質増殖型 | かかとのガサガサ、厚い角質、ひび割れ | 足裏全体、かかと |
水虫は「かゆい病気」と思われがちですが、かかとが厚くなるタイプではかゆみが少ないこともあります。
湿疹とは?
湿疹は、皮膚に炎症が起こっている状態を広く指す言葉です。
足にできる湿疹には、汗、乾燥、靴や靴下による刺激、洗剤、金属、薬剤、アレルギー、体質などが関係します。
足に出やすい湿疹には、次のようなものがあります。
- 汗疱
- 異汗性湿疹
- 接触皮膚炎
- アトピー性皮膚炎
- 皮脂欠乏性湿疹
- 刺激性皮膚炎
湿疹では、赤み、かゆみ、小さな水ぶくれ、皮むけ、ジュクジュク、ひび割れなどが出ることがあります。
湿疹は白癬菌が原因ではないため、水虫薬だけでは改善しないことがあります。
水虫と湿疹が似ている理由
水虫と湿疹は、見た目だけでは非常に似ています。
どちらも、かゆみ、赤み、皮むけ、水ぶくれ、ただれ、ひび割れが起こることがあります。
特に、足の裏や足の側面に小さな水ぶくれが出る小水疱型の水虫は、汗疱や異汗性湿疹とよく似ています。
皮膚科クリニックの解説でも、汗疱と小水疱型の水虫は症状が非常に似ており、専門医でも視診だけでは判断が難しく、皮膚を採取して白癬菌の有無を調べる顕微鏡検査が確実な方法とされています。
水虫か湿疹かは、見た目だけで決めないことが重要です。
水虫と湿疹の見分け方
| 確認項目 | 水虫で多い傾向 | 湿疹で多い傾向 |
|---|---|---|
| 原因 | 白癬菌の感染 | 汗、乾燥、刺激、アレルギー、体質 |
| 場所 | 足指の間、足裏、足の側面、かかと | 足裏、足の側面、甲、靴が当たる場所など |
| かゆみ | あることが多いが、ない場合もある | 強いことがある |
| 皮むけ | 白くふやける、粉をふく、角質が厚くなる | 赤みやかぶれを伴うことがある |
| 水ぶくれ | 小水疱型で出る | 汗疱・異汗性湿疹で出る |
| 検査 | 白癬菌が確認される | 白癬菌は確認されない |
この表はあくまで目安です。
実際には、水虫と湿疹が同時に起こっていることもあります。たとえば、足指の間に水虫があり、そこに蒸れやかぶれが加わって湿疹のように赤くただれるケースです。
最終的な見分けには、皮膚科での直接鏡検が必要です。皮膚の一部を採取し、顕微鏡で白癬菌がいるかを確認します。
市販薬で悪化するケース
水虫にステロイドを塗って悪化する
湿疹だと思ってステロイド外用薬を塗ったところ、実は水虫だったというケースがあります。
ステロイドは炎症を抑える薬ですが、白癬菌そのものを殺す薬ではありません。むしろ炎症が一時的に引いて赤みやかゆみが軽くなったように見えても、菌が残り、感染が広がることがあります。
水虫にステロイドを自己判断で塗り続けると、白癬菌感染が分かりにくくなり、治療が遅れることがあります。
湿疹に水虫薬を塗ってかぶれる
反対に、湿疹なのに水虫薬を塗り続けるケースもあります。
抗真菌薬そのものや、クリーム・液体に含まれる添加物が刺激になり、かぶれや赤みが強くなることがあります。
足にかゆみ、赤み、皮むけ、びらんがあっても、同じ症状が湿疹で起こることがあり、水虫薬では良くならない場合があります。皮膚科医による診断と顕微鏡検査が重要とされています。
市販の水虫薬を1〜2週間使っても改善しない、または悪化する場合は、水虫ではない可能性を考えるべきです。
かかとのガサガサを水虫だと思い込む
かかとのガサガサは、角質増殖型の水虫で起こることがあります。
しかし、乾燥、加齢、摩擦、皮脂欠乏性湿疹、角化症でも似た状態になります。
角質増殖型の水虫ではかゆみが少ないこともあり、乾燥との見分けが難しい場合があります。
市販の保湿剤で改善する乾燥もあれば、抗真菌薬が必要な水虫もあります。
水虫薬を使う前に確認したいこと
市販の水虫薬を使う前に、次の点を確認しましょう。
- 症状が足指の間にあるか
- 白くふやけているか
- 皮むけや粉ふきがあるか
- 爪が白い、厚い、もろい状態になっていないか
- 家族に水虫の人がいるか
- 以前に水虫と診断されたことがあるか
- 靴の中が蒸れやすいか
- 市販薬でかぶれたことがないか
これらに当てはまる場合は水虫の可能性がありますが、確定はできません。
初めての症状、見た目がはっきりしない症状、強い炎症がある場合は、市販薬を試す前に皮膚科で確認した方が安全です。
皮膚科での検査は何をする?
皮膚科では、患部の皮膚や角質を少し採取し、顕微鏡で白癬菌がいるかを調べます。
これを直接鏡検と呼びます。
痛みはほとんどなく、短時間で結果が分かることが多い検査です。
水虫か湿疹かを見た目だけで判断すると間違えることがあるため、特に市販薬で改善しない場合は検査が重要です。
水虫治療で最初に大切なのは、強い薬を使うことではなく、本当に白癬菌がいるかを確認することです。
水虫だった場合の治療
足の水虫では、抗真菌薬の外用薬が治療の中心になります。
クリーム、液体、スプレーなどの剤形があります。
症状がある部分だけでなく、周囲にも広めに塗ることが大切です。症状が消えても白癬菌が残っていることがあるため、自己判断ですぐに中止しないようにします。
爪白癬を伴う場合や、角質が厚い場合、外用薬だけでは不十分なことがあります。その場合は内服抗真菌薬が検討されることがあります。
NHS(英国国民保健サービス)でも、水虫の再発を防ぐため、薬局で購入できる治療薬を使うことに加えて、足を清潔で乾いた状態に保つことが大切とされています。
湿疹だった場合の治療
湿疹の場合は、原因によって治療が変わります。
炎症が強い場合はステロイド外用薬、乾燥が強い場合は保湿剤、かぶれが原因なら原因物質を避けることが基本です。
汗疱や異汗性湿疹では、汗、ストレス、金属アレルギー、手足の蒸れなどが関係することがあります。
水虫薬を使っても改善しない場合、湿疹として治療した方が早く良くなるケースもあります。
湿疹に必要なのは抗真菌薬ではなく、炎症を抑え、刺激を避け、皮膚バリアを回復させる治療です。
自宅でできる悪化予防
足指の間をよく乾かす
水虫でも湿疹でも、蒸れは悪化要因になります。
入浴後は足指の間まで丁寧に水分をふき取りましょう。
NHS(英国国民保健サービス)でも、水虫対策として足を洗った後、特に足指の間をこすらず押さえるように乾かすことが勧められています。
靴と靴下を見直す
通気性の悪い靴を長時間履くと、足が蒸れて白癬菌や湿疹が悪化しやすくなります。
靴下は毎日替え、汗をかきやすい人は途中で履き替えるのも有効です。
同じ靴を毎日履かず、乾燥させる時間を作りましょう。
患部を強くこすらない
皮むけが気になるからといって、軽石や爪でこすると皮膚バリアが壊れ、炎症や感染が悪化することがあります。
ジュクジュクしている部分を強く洗うのも避けましょう。
家族内感染に注意する
水虫は感染することがあります。
バスマット、スリッパ、床、爪切りなどを介して家族に広がる可能性があります。
水虫が疑われる場合は、バスマットをこまめに洗い、足を清潔に保ち、爪白癬がないかも確認しましょう。
個人輸入で水虫薬を購入する場合
個人輸入代行では、テルビナフィン、クロトリマゾール、ケトコナゾール、イトラコナゾールなどの抗真菌薬や海外製ジェネリックを比較できる場合があります。
通院の時間を減らしたい人、同じ成分をコストを抑えて継続したい人、海外製品を確認したい人にとって、個人輸入代行は選択肢になります。
ただし、水虫と湿疹を見分けないまま抗真菌薬を購入するのは危険です。水虫ではない湿疹に抗真菌薬を塗り続けても改善せず、かぶれで悪化することがあります。
購入前には、次の点を確認してください。
- 有効成分
- 外用薬か内服薬か
- 水虫、爪白癬、体部白癬のどれに使う薬か
- 使用期間
- かぶれや刺激の可能性
- 肝機能への注意
- 併用薬との相互作用
- 妊娠中・授乳中の使用可否
- 製造元と使用期限
特に内服抗真菌薬は、肝機能障害や薬の飲み合わせに注意が必要です。爪白癬では長期服用が必要になることもあり、自己判断で使うのは避けた方が安全です。
足の皮むけをすべて水虫と考えて、個人輸入の抗真菌薬を自己判断で使い続けるのはおすすめできません。
受診した方がよいケース
次のような場合は、皮膚科へ相談してください。
- 市販の水虫薬を1〜2週間使っても改善しない
- 薬を塗って赤みやかゆみが悪化した
- ジュクジュクして痛い
- 足指の間がただれている
- かかとのひび割れが強い
- 爪が白い、黄色い、厚い、もろい
- 糖尿病がある
- 免疫を抑える薬を使っている
- 赤みや腫れが足全体に広がっている
- 発熱を伴う
- 水虫か湿疹か分からない
糖尿病がある人の足の傷や感染は重症化しやすいため、自己判断で市販薬を使い続けず早めに受診してください。
まとめ
水虫と湿疹は、かゆみ、赤み、皮むけ、水ぶくれ、ただれなどの症状が似ているため、見た目だけで判断するのは難しいことがあります。
水虫は白癬菌による真菌感染症で、抗真菌薬が治療の中心です。一方、湿疹は皮膚の炎症であり、原因に応じてステロイド外用薬や保湿剤、刺激を避ける対策が必要になります。
水虫にステロイドを塗ると悪化することがあり、湿疹に水虫薬を塗り続けても改善せず、かぶれて悪化することがあります。
市販薬を使っても改善しない、悪化する、ジュクジュクする、爪にも症状がある場合は、皮膚科で白癬菌の検査を受けましょう。
個人輸入代行では水虫薬や海外製ジェネリックを比較できますが、まずは水虫なのか湿疹なのかを見極めることが大切です。症状に合わない薬を続けるより、原因を確認してから適切な薬を選びましょう。

