生理前にニキビが増える理由とは?低用量ピルの効果も紹介
監修:医師・薬剤師監修
普段は肌の調子が安定しているのに、生理が近づくとあごや口まわりにニキビが増えることはありませんか。
「スキンケアは変えていないのに、生理前だけ赤く腫れる」「治りかけた頃に次のニキビができる」という場合は、月経周期に伴うホルモンの変化が関係している可能性があります。
生理前ニキビは、肌を洗えていないから起こるのではありません。ホルモンバランスの変化によって皮脂が増え、毛穴が詰まりやすくなることが主な原因です。
この記事では、生理前にニキビが増える仕組み、悪化させやすい生活習慣、低用量ピルで期待できる効果、一般的なニキビ治療薬との違いを分かりやすく解説します。
生理前にニキビが増えるのはなぜ?
女性の身体では、月経周期に合わせてエストロゲンとプロゲステロンという女性ホルモンの量が変化します。
排卵後から生理前にかけてはプロゲステロンの影響が強くなり、皮脂の分泌が増えやすくなります。また、相対的にアンドロゲンと呼ばれる男性ホルモンの影響を受けやすくなることも、皮脂の増加に関係します。
皮脂が増えると、古い角質と混ざって毛穴の出口を塞ぎます。最初は目立ちにくい白ニキビでも、毛穴の中で炎症が起こると、赤く腫れたニキビや膿を持ったニキビへ進むことがあります。
生理前ニキビは、生理が始まる3~10日ほど前から増え、生理開始後に少しずつ落ち着くパターンがよくみられます。
あごや口まわりにできやすい理由
生理前のニキビは、額よりもあご、フェイスライン、口の周囲、首に近い部分へできることがあります。
大人の女性にみられるニキビは、皮脂量だけでなく、ホルモン、乾燥、摩擦、ストレス、睡眠不足などが複雑に関係しています。
あご周辺は、無意識に手で触れやすい部分です。マスク、髪の毛、襟の高い服による摩擦も加わり、炎症が長引くことがあります。
さらに、ニキビを隠すためにコンシーラーやファンデーションを何度も重ねると、落とし残しや摩擦によって毛穴への負担が増える場合があります。
生理前のストレスや睡眠不足も影響する
生理前は、イライラ、不安感、眠気、身体のだるさなど、PMS(月経前症候群)の症状が出ることがあります。
ストレスが強くなると、無意識に顔を触ったり、甘い物や脂っこい物を食べる量が増えたりする場合があります。夜更かしによって睡眠時間が短くなると、肌の回復も遅れやすくなります。
食べ物だけでニキビの原因をすべて説明することはできませんが、生理前に毎回お菓子、菓子パン、揚げ物などを大量に食べる人は、食生活の変化が重なっていないか確認してみましょう。
ホルモンの変化を完全に止めることはできませんが、睡眠、食事、摩擦などの悪化要因は減らせます。
生理前ニキビを防ぐスキンケア
生理前に皮脂が増えるからといって、洗浄力の強い洗顔料で何度も洗うのは逆効果になることがあります。
皮脂を落としすぎると肌が乾燥し、赤みやヒリつきが強くなる可能性があります。洗顔は朝と夜を基本とし、よく泡立てた洗顔料でやさしく洗いましょう。
スクラブ入り洗顔料や硬いブラシでニキビをこすると、炎症が悪化することがあります。洗顔後はタオルを押し当てるように水分を取り、低刺激の保湿剤を使用してください。
化粧品を選ぶときは、「ノンコメドジェニックテスト済み」と表示された製品が選択肢になります。ただし、すべての人にニキビができないことを保証する表示ではありません。
低用量ピルでニキビは改善する?
低用量ピルのうち、エストロゲンとプロゲスチンを組み合わせた配合剤では、ニキビが改善する場合があります。
配合型の低用量ピルは、卵巣から分泌されるアンドロゲンの影響を弱め、皮脂の分泌を抑える方向へ働きます。その結果、毛穴が詰まりにくくなり、生理前に繰り返すニキビの減少が期待できます。
特に、生理前に悪化する、月経不順やPMSもある、あごやフェイスラインへ繰り返しできるといった女性では、ホルモン治療が選択肢になることがあります。
ただし、低用量ピルを飲めば数日でニキビが消えるわけではありません。皮脂や毛穴の状態が変化するまで時間がかかるため、効果の判断には数か月程度必要になることがあります。
すべての低用量ピルが同じではない
低用量ピルは、含まれているプロゲスチンの種類によって特徴が異なります。
一部の配合ピルはアンドロゲンの影響を抑える作用を持つため、皮脂が多い女性やホルモン性ニキビに選ばれることがあります。
一方で、黄体ホルモンのみを含む薬では、体質によってニキビが悪化することがあります。避妊薬であれば、どの種類でもニキビに同じ効果があるというわけではありません。
また、日本ではニキビ改善を目的とした低用量ピルの使用が、製品によって承認された効能・効果に含まれていない場合があります。その場合は適応外使用となるため、避妊、月経困難症、PMSなど、ほかの目的も含めて医師へ相談することが重要です。
低用量ピルと一般的なニキビ治療薬の違い
| 治療方法 | 主な働き | 向いているケース |
|---|---|---|
| 低用量ピル | ホルモンの変動やアンドロゲンの影響を抑える | 生理前に繰り返すニキビ、PMSや月経痛もある場合 |
| アダパレン | 毛穴の詰まりを改善し、新しいニキビを予防する | 白ニキビ、黒ニキビ、繰り返すニキビ |
| 過酸化ベンゾイル | 毛穴詰まりを改善し、アクネ菌を減らす | 白ニキビから赤ニキビまで |
| 外用抗菌薬 | 炎症に関係する菌を抑える | 赤く腫れた炎症性ニキビ |
| 内服抗菌薬 | 強い炎症を身体の内側から抑える | 中等症以上の炎症性ニキビ |
低用量ピルは、今ある毛穴詰まりを直接取り除く薬ではありません。そのため、アダパレンや過酸化ベンゾイルなどの外用薬と組み合わせて治療することがあります。
日本皮膚科学会のガイドラインでは、ニキビ治療の基本として、面皰や炎症の状態に合わせた外用薬、必要に応じた抗菌薬などが推奨されています。
生理前に悪化するニキビでも、低用量ピルだけに頼らず、毛穴詰まりへの治療を組み合わせることが大切です。
低用量ピルの副作用
低用量ピルを飲み始めた時期には、吐き気、頭痛、乳房の張り、不正出血、気分の変化などがみられることがあります。
これらは服用開始後しばらくすると軽くなる場合がありますが、症状が強い場合や長く続く場合は、薬が合っているか確認する必要があります。
また、エストロゲンを含む低用量ピルでは、頻度は高くないものの、血栓症に注意が必要です。
片脚だけの急な痛みや腫れ、突然の息苦しさ、胸の痛み、激しい頭痛、見え方の異常、ろれつが回らないなどの症状が出た場合は、服用を中止して速やかに医療機関を受診してください。
血栓症が疑われる症状は、軽く見ずに早急な対応が必要です。
低用量ピルを使用できないことがある人
低用量ピルは、すべての女性が使用できるわけではありません。
血栓症を起こしたことがある人、前兆を伴う片頭痛がある人、重い高血圧や肝臓病がある人、乳がんなどの病歴がある人は使用できない場合があります。
年齢、喫煙本数、肥満、長期間の安静、家族の血栓症歴なども確認が必要です。特に35歳以上で喫煙している人は、血栓症や心血管系のリスクを考慮しなければなりません。
個人輸入を検討する場合でも、使用できない条件に当てはまらないか、服用中の薬と相互作用がないかを確認してください。
低用量ピルを個人輸入するメリットと注意点
通院する時間が取れない、必要な低用量ピルを自宅から注文したい、海外で流通している商品を検討したいという理由から、個人輸入代行サイトを利用する人もいます。
個人輸入では、海外の低用量ピルを比較しながら選べることや、継続分を準備しやすいことがメリットです。
一方で、同じ「低用量ピル」という名称でも、エストロゲンの量、プロゲスチンの種類、服用日数が異なります。商品名や価格だけで選ぶと、自分の目的に合わない可能性があります。
ニキビ改善を目的に選ぶ場合は、配合成分、ホルモン量、服用方法、禁忌、血栓症リスクを確認することが重要です。
服用後に激しい頭痛、胸痛、呼吸困難、脚の腫れなどが出た場合は、個人輸入で購入した薬であっても直ちに服用を中止し、医療機関を受診してください。
多嚢胞性卵巣症候群が隠れている場合もある
生理前ニキビに加えて、生理が数か月来ない、月経周期が不規則、体毛が濃くなった、急に体重が増えたといった症状がある場合は、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)が関係している可能性があります。
PCOSでは、アンドロゲンの影響によってニキビや多毛が起こり、排卵しにくくなることがあります。
配合型の低用量ピルは、妊娠を希望していないPCOSの女性で、月経周期を整え、ニキビや多毛を減らす目的に使われることがあります。
ただし、妊娠を希望している場合は治療方法が異なります。月経不順が強い場合は、ニキビだけを自己判断で治療せず、婦人科へ相談しましょう。
皮膚科や婦人科へ相談した方がよい症状
次のような状態がある場合は、皮膚科や婦人科への相談を検討してください。
- 生理前になると毎回ニキビが大量に増える
- 痛みのあるしこりニキビが繰り返しできる
- ニキビ跡や色素沈着が増えている
- 市販薬やスキンケアで改善しない
- 生理不順や無月経がある
- 体毛の増加や急な体重増加がある
- 月経痛やPMSも強い
- 低用量ピルを使っても数か月改善しない
炎症の強いニキビを放置すると、へこみや盛り上がりを伴うニキビ跡が残ることがあります。繰り返す場合は、早めに治療を始めることが大切です。
まとめ|生理前ニキビはホルモンと毛穴の両方から対策しよう
生理前にニキビが増える主な理由は、月経周期に伴うホルモンの変化によって皮脂が増え、毛穴が詰まりやすくなるためです。
洗顔を増やしたり、ニキビを強くこすったりしても、ホルモンの変化は止められません。低刺激の洗顔と保湿を続け、アダパレンや過酸化ベンゾイルなど、毛穴詰まりへ働く治療薬を適切に使用しましょう。
生理前に毎回悪化するニキビでは、配合型の低用量ピルによってホルモンの影響や皮脂分泌を抑えられる場合があります。ただし、効果が出るまでには時間がかかり、血栓症などの注意点もあります。
生理前ニキビを繰り返す場合は、肌表面のケアだけでなく、月経周期、PMS、生理不順なども含めて対策を考えることが重要です。

