AGA治療薬を飲み忘れたらどうする?翌日に2錠飲んではいけない理由
監修:医師・薬剤師
AGA(男性型脱毛症)の治療でフィナステリドやデュタステリドを毎日服用していると、「昨日飲むのを忘れた」「翌日に2錠まとめて飲んだ方がよいのでは」と迷うことがあります。
結論からいうと、AGA治療薬を飲み忘れても、翌日に2回分をまとめて服用してはいけません。フィナステリドは通常1日1回、デュタステリドもAGA治療では1日1回服用する薬です。国内の添付文書でも、それぞれ1日1回の用法が定められています。
NHS(英国国民保健サービス)も、フィナステリドを飲み忘れた場合、忘れた分を補うために2回分を服用しないよう案内しています。
AGA治療は数か月から年単位で継続する治療です。1回飲み忘れたからといって、それまでの治療効果が突然すべて失われるわけではありません。大切なのは、飲み忘れを取り戻そうとして自己判断で増量するのではなく、その後いつもの服用ペースへ戻すことです。
この記事では、AGA治療薬を飲み忘れたときの対応、翌日に2錠飲んではいけない理由、フィナステリドとデュタステリドの違い、飲み忘れを減らす方法について解説します。
AGA治療薬を飲み忘れたらどうする?
まず基本となる考え方は、飲み忘れに気づいた時間によって対応を変え、翌日になってから2回分をまとめて飲まないことです。
フィナステリドについてNHS(英国国民保健サービス)では、本来の服用時刻から6時間以内であれば気づいた時点で服用し、6時間以上経過している場合はその回を飛ばして、次回から通常どおり服用するよう案内しています。
ただし、実際の服用方法は処方された製品や医師の指示によって異なる場合があります。そのため、処方時に飲み忘れた場合の指示を受けている場合は、その内容を優先してください。
翌日に気づいた場合
前日の分を翌日に思い出した場合は、原則として忘れた分は飛ばし、その日の分だけを通常どおり服用します。
「昨日の1錠+今日の1錠」で2錠まとめて飲む必要はありません。
数日間飲み忘れた場合
数日間服用できなかった場合も、まとめて数日分を服用してはいけません。
気づいた時点から通常の1日1回へ戻します。旅行や入院などで長期間中断していた場合や、何日も連続して飲み忘れることが多い場合は、処方医や薬剤師へ相談しましょう。
なぜ翌日に2錠飲んではいけない?
決められた上限量を超える可能性がある
フィナステリドは男性型脱毛症に対して通常0.2mgを1日1回服用し、必要に応じて増量しても1日1mgが上限です。
例えばフィナステリド1mgを処方されている人が、飲み忘れを取り戻そうとして翌日に2錠服用すると、1日2mgとなり、AGA治療で定められた1日量を超えることになります。
デュタステリドについても、AGA治療薬ザガーロでは通常1日1回の服用です。国内資料では0.1mgを1日1回、必要に応じて0.5mgを1日1回服用する用法が確認されています。
飲み忘れた分を後から追加しても、その分だけ発毛効果が高くなるわけではありません。
副作用のリスクを不要に高める可能性がある
AGA治療薬には副作用があります。
フィナステリドでは、性欲減退、勃起機能不全、射精障害などの性機能に関する副作用のほか、肝機能障害などにも注意が必要です。国内添付文書では、男性型脱毛症に対する用量を守って使用することが定められています。
デュタステリドも男性ホルモンの代謝に作用する薬であり、必要以上の量を自己判断で服用するメリットはありません。国内のAGA治療用製剤でも1日1回という用法が設定されています。
飲み忘れを補うためだけに用量を増やすと、治療効果を高める保証がない一方で、薬への曝露量を不要に増やすことになります。
1日飲み忘れるとAGAが急に進行する?
1回の飲み忘れだけで、AGAが翌日から急激に進行するとは考えにくいでしょう。
フィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因に関係するDHT(ジヒドロテストステロン)の生成を抑える薬です。
フィナステリドは5α還元酵素Ⅱ型を阻害し、テストステロンからDHTが作られるのを抑えます。デュタステリドはⅠ型とⅡ型の5α還元酵素を阻害します。
AGA治療では、薬を飲んだその日に髪が増えるわけではありません。NHS(英国国民保健サービス)では、フィナステリドによる薄毛の改善を感じるまで一般に3~6か月程度かかるとしています。
つまり、AGA治療は日単位ではなく、数か月単位で評価する治療です。
1回の飲み忘れに過度に不安になるより、翌日から通常の服用へ戻し、長期間継続することを優先しましょう。
フィナステリドを飲み忘れた場合
フィナステリドは、日本ではプロペシアやそのジェネリック医薬品としてAGA治療に使用されています。通常は1日1回服用します。
NHS(英国国民保健サービス)では、次のように案内しています。
- 本来の服用時刻から6時間以内なら、気づいた時点で服用する
- 6時間以上経過していたら、その回は飛ばす
- 次回は通常の時刻に服用する
- 忘れた分を補うために2回分を服用しない
ただし、日本国内で処方されている薬については、処方医や薬剤師から別の指示がある場合はその指示に従ってください。
デュタステリドを飲み忘れた場合
デュタステリドは、AGA治療薬ザガーロなどに含まれる成分です。フィナステリドが主にⅡ型5α還元酵素を阻害するのに対し、デュタステリドはⅠ型・Ⅱ型の両方を阻害します。
AGA治療では1日1回の服用が基本です。
飲み忘れた場合も、翌日に2回分をまとめて服用するのではなく、通常の1日1回へ戻すことが基本的な考え方です。
デュタステリドは体内に比較的長く残る薬であるため、1回飲み忘れたからといって直ちに作用が完全になくなるわけではありません。ただし、自己判断で服用間隔や用量を変更せず、処方された方法を継続してください。
飲み忘れた日に抜け毛が増えたら薬のせい?
AGAの抜け毛は、毎日の服用状況だけでなく、毛周期の影響を受けます。
髪には、成長期・退行期・休止期というサイクルがあり、今日抜けた髪が昨日の飲み忘れによって急に抜け始めたとは通常考えにくいでしょう。
抜け毛は日によって量が変わるため、1日単位で「今日は多い」「昨日は少ない」と判断すると不安になりやすくなります。
AGA治療では、毎日の抜け毛本数より、3~6か月程度の写真や髪の太さ、生え際・頭頂部の状態を比較する方が治療効果を判断しやすくなります。フィナステリドも効果が現れるまで数か月を要します。
何日くらい飲み忘れると影響する?
「何日忘れたら効果がなくなる」という一律の境界はありません。
1回程度の飲み忘れと、数週間・数か月にわたって服用を中断することは意味が異なります。
AGA治療薬は継続使用によって効果を維持する薬です。フィナステリドについてNHS(英国国民保健サービス)では、薄毛に対する改善は3~6か月程度で現れ、長期間服用する人も多いとされています。
そのため、たまに1回忘れることを必要以上に心配するより、何度も飲み忘れて服用日が不規則になることを防ぐ方が重要です。
AGA治療薬は毎日同じ時間に飲むべき?
フィナステリドやデュタステリドは、食事の直前や性行為の直前など、特定のタイミングだけに服用する薬ではありません。
大切なのは1日1回の服用を継続することです。
毎日完全に同じ分・秒で飲む必要はありませんが、服用時間をある程度固定した方が飲み忘れを防ぎやすくなります。
例えば、次のような習慣とセットにすると続けやすくなります。
- 朝の歯磨き後
- 朝食後
- 夕食後
- 就寝前の歯磨き後
毎日の行動と結びつけることで、「今日は飲んだか分からない」という状態を減らせます。
飲んだか分からなくなった場合は?
AGA治療を続けていると、「今日飲んだ気がするけれど自信がない」ということがあります。
この場合も、確実に服用していないと判断できない状態で追加の1錠を飲むのは避けた方が安全です。
その日の服用を飛ばす可能性があったとしても、誤って2回分を服用するリスクを避け、次回から通常の服用へ戻す方法が考えられます。
頻繁に起こる場合は、ピルケースや服薬記録アプリなどを利用しましょう。
飲み忘れを減らす方法
スマートフォンで毎日アラームを設定する
NHS(英国国民保健サービス)でも、フィナステリドを忘れやすい場合はアラームを利用する方法を案内しています。
服用時間を固定し、毎日同じ時間に通知されるよう設定すると忘れにくくなります。
1週間分のピルケースを利用する
曜日ごとに分かれたピルケースを使うと、その日に服用したかを目で確認できます。
ただし、薬によっては保管条件が決められているため、湿気や直射日光を避け、製品の保管方法に従ってください。
歯磨きなど毎日の習慣とセットにする
薬だけを覚えようとすると忘れやすいため、毎日必ず行う習慣の直後に服用する方法があります。
特に朝または夜の歯磨き後は、生活リズムと結びつけやすいでしょう。
旅行時は事前に必要量を確認する
旅行や出張では、薬を自宅へ置き忘れるケースがあります。
数日前から必要な日数を確認し、手荷物へ入れておくと安心です。海外旅行の場合は、処方薬を携帯する際の渡航先の規則も確認しましょう。
AGA治療薬を自己判断で増減しない
飲み忘れだけでなく、「最近抜け毛が増えた」「早く生やしたい」という理由で自己判断による増量を行うのも避けてください。
フィナステリドではAGAに対する1日量の上限が1mgとされています。
デュタステリドも国内のAGA治療用製剤では決められた用量を1日1回服用します。
AGA治療薬は「多く飲めば早く髪が生える薬」ではありません。
数か月服用しても改善が分からない場合は、自己増量ではなく、AGA以外の脱毛症がないか、治療方法が適切かを医師へ確認してもらいましょう。
副作用があって服用を中断した場合
性欲低下、勃起機能の変化、気分の変化など、服用中に気になる症状が現れて薬を中断した場合は、単なる飲み忘れとは異なります。
副作用が疑われる状態で、「数日休んだから今日は2錠飲もう」と自己判断するのは避けてください。
処方医へ症状を伝え、継続・中止・薬の変更について相談しましょう。
よくある質問
昨日フィナステリドを飲み忘れました。今日は2錠ですか?
いいえ。忘れた分を補う目的で2回分を服用してはいけません。翌日に気づいた場合は、通常その日の1回分だけを服用します。NHS(英国国民保健サービス)も、忘れた分を補うために2回分を服用しないよう案内しています。
1日飲み忘れると髪が一気に抜けますか?
1回の飲み忘れによって翌日から急激にAGAが進行するとは考えにくいでしょう。フィナステリドの治療効果も通常3~6か月単位で評価されます。
デュタステリドも2錠まとめて飲んではいけませんか?
はい。AGA治療では1日1回が基本です。忘れた分を翌日にまとめて服用するのではなく、通常の服用スケジュールへ戻してください。
毎日服用時間が少し違っても大丈夫ですか?
毎日完全に同じ時刻である必要はありませんが、1日1回を継続するため、ある程度時間を固定する方が飲み忘れを防ぎやすくなります。
飲んだか分からない場合はもう1錠飲んでもよいですか?
二重服用になる可能性があるため、自己判断で追加するのは避けましょう。次回から通常どおり服用し、頻繁に起こる場合はピルケースや服薬記録を利用してください。
まとめ
AGA治療薬を飲み忘れても、翌日に2錠まとめて飲んではいけません。
フィナステリドもデュタステリドも、AGA治療では基本的に1日1回服用する薬です。
フィナステリドについてNHS(英国国民保健サービス)では、本来の時刻から6時間以内なら気づいた時点で服用し、それ以上経過している場合はその回を飛ばし、次回から通常どおり服用するよう案内しています。忘れた分を補うための2回分服用は禁止されています。
1回飲み忘れたからといって、それまでのAGA治療が突然リセットされるわけではありません。AGA治療は数か月から年単位で継続して効果を評価する治療です。フィナステリドも薄毛への効果を感じるまで3~6か月程度かかることがあります。
飲み忘れを取り戻そうとするより、次回から決められた量と回数へ戻し、長期間安定して服用を続けることが大切です。
飲み忘れが多い場合は、スマートフォンのアラーム、ピルケース、服薬記録アプリなどを利用しましょう。何日も中断した場合や、副作用が理由で服用できなかった場合は、自己判断で増量せず医師や薬剤師へ相談してください。

