チャンピックスは禁煙開始の何日前から飲む?スターターパックの流れ
監修:医師・薬剤師監修
禁煙を始めようとしている人の中には、「チャンピックスはいつから飲めばいいのか」「飲み始めた日からすぐタバコをやめるのか」「スターターパックはどう進めるのか」と迷う人が多いでしょう。
チャンピックスの有効成分はバレニクリンです。ニコチンが作用する脳内の受容体に働き、タバコを吸いたい気持ちや、吸ったときの満足感を弱めることで禁煙を助けます。
結論からいうと、チャンピックスは禁煙開始日の1週間前から飲み始めるのが基本です。一般的には、服用開始から8日目を禁煙開始日に設定します。NHS(英国国民保健サービス)でも、バレニクリンは禁煙予定日の1〜2週間前から飲み始めるとされています。
つまり、チャンピックスは「禁煙した日から飲む薬」ではなく、禁煙日までに薬を体に慣らし、タバコへの欲求を弱めてから禁煙へ入る薬です。スターターパックは、この流れに合わせて少量から段階的に増量する設計になっています。
チャンピックスとは?
チャンピックスは、バレニクリンを有効成分とする禁煙補助薬です。
禁煙時に問題になりやすいのは、ニコチン切れによる離脱症状です。イライラ、集中力低下、強い喫煙欲求、落ち着かなさ、眠気、食欲増加などが起こり、禁煙を続けにくくします。
バレニクリンは、脳内のニコチン受容体に部分的に作用します。ニコチンがない状態で起こる離脱症状を軽くしながら、タバコを吸ったときの満足感を弱める働きがあります。
DailyMedに掲載されているFDA(アメリカ食品医薬品局)承認のバレニクリン錠情報でも、禁煙日を設定し、その1週間前からバレニクリンの治療を始めるよう記載されています。また、服用開始後も禁煙日までは喫煙してよいとされています。
チャンピックスはニコチンを補う薬ではなく、ニコチンへの欲求と喫煙による満足感に働きかける薬です。
禁煙開始の何日前から飲む?
基本は、禁煙開始日の7日前から服用を始めます。
例えば、翌週の月曜日を禁煙開始日にするなら、その前の月曜日からチャンピックスを飲み始めるイメージです。
国内のチャンピックスQ&Aでも、禁煙開始日の1週間前から服用を開始し、8日目に禁煙を始める理由として、禁煙開始日までにバレニクリンの血中濃度を定常状態にするためと説明されています。
禁煙開始日は「飲み始めた日」ではなく、「飲み始めて8日目」に設定するのが一般的です。
スターターパックの流れ
チャンピックスのスターターパックは、飲み始めの副作用を抑えるため、少量から段階的に増量する流れになっています。
| 期間 | 服用量の目安 | 喫煙の扱い | ポイント |
|---|---|---|---|
| 1〜3日目 | 0.5mgを1日1回 | まだ吸っていてよい | 薬に体を慣らす時期 |
| 4〜7日目 | 0.5mgを1日2回 | まだ吸っていてよい | 禁煙日に向けて喫煙欲求の変化を見る |
| 8日目以降 | 1mgを1日2回 | 禁煙開始 | ここからタバコを吸わない生活へ入る |
FDA(アメリカ食品医薬品局)承認のバレニクリン錠情報では、Starting Month Boxとして、0.5mg錠11錠と1mg錠42錠を含む53錠の漸増用パックが示されています。
スターターパックは、最初から1mgを飲むのではなく、0.5mgから始めて徐々に増やすためのものです。
なぜ最初から禁煙しないのか
チャンピックスは、飲んだ直後にタバコが完全に嫌になる薬ではありません。
服用を始めてから数日かけて、脳内のニコチン受容体への作用が安定していきます。そのため、禁煙開始日までの1週間は、薬に体を慣らしながら喫煙量や吸いたい感覚の変化を確認する準備期間になります。
この期間に、タバコを吸っても「以前ほどおいしくない」「吸っても満足感が少ない」と感じる人もいます。
禁煙開始前の1週間は、失敗ではなく準備期間です。この間に喫煙本数を少し減らしたり、吸うタイミングを記録したりすると、8日目以降の禁煙に入りやすくなります。
禁煙開始日はどう決める?
禁煙開始日は、できるだけ現実的な日に設定することが大切です。
次のような日は避けた方がよい場合があります。
- 大きな仕事の締切日
- 飲み会や会食がある日
- 旅行や出張の初日
- 強いストレスが予想される日
- 家族や職場で喫煙者と長時間過ごす日
反対に、比較的落ち着いていて、タバコを買いに行きにくい日、喫煙環境から離れやすい日を禁煙開始日にすると続けやすくなります。
NICE(英国国立医療技術評価機構)の禁煙支援ガイドラインでも、バレニクリンでは禁煙日を決め、その1〜2週間前から治療を開始することが示されています。
禁煙開始日は気合いで決めるより、誘惑が少ない日を選ぶ方が成功率を上げやすくなります。
服用中にタバコを吸ってもいい?
チャンピックスを飲み始めてから禁煙開始日までは、基本的に喫煙していても構いません。
ただし、8日目の禁煙開始日以降は、タバコを吸わないことを目標にします。
もし禁煙開始日前に自然と吸いたくなくなった場合は、予定日より早く禁煙に入ることもあります。ただし、焦って無理に早める必要はありません。
大切なのは、服用開始から8日目以降に「吸わない生活」へ切り替える準備をしておくことです。
飲み忘れた場合はどうする?
チャンピックスを飲み忘れた場合は、気づいたタイミングや次の服用時間までの間隔によって対応が変わります。
一般的には、次の服用時間が近い場合は、忘れた分を飛ばして通常通り続けます。2回分をまとめて飲むのは避けてください。
飲み忘れが続くと、禁煙開始日までに薬の効果が安定しにくくなります。
スターターパック期間中は、毎日同じタイミングで飲む習慣を作ることが禁煙準備になります。
チャンピックスの主な副作用
チャンピックスで比較的よく見られる副作用には、次のようなものがあります。
- 吐き気
- 胃の不快感
- 頭痛
- 眠気
- 不眠
- 変な夢・鮮明な夢
- 便秘
- ガスが増える
- 口の渇き
特に吐き気は起こりやすい副作用です。食後に十分な水で服用すると軽くなる場合があります。
NHS(英国国民保健サービス)でも、バレニクリンは禁煙の助けになる一方で、吐き気、睡眠障害、異常な夢などが副作用として起こることがあるとされています。
吐き気があるからといって自己判断で急に中止する前に、食後服用や用量の調整について相談しましょう。
精神症状に注意が必要な人
チャンピックスでは、気分の落ち込み、不安、イライラ、不眠、攻撃性、気分変化などに注意が必要です。
もともと精神疾患がある人、うつ病や不安障害の既往がある人、禁煙によって強いストレスが出やすい人は、服用前に医療機関へ相談した方が安全です。
また、禁煙そのものでも気分変化やイライラは起こります。薬の副作用なのか、ニコチン離脱症状なのか判断が難しいこともあります。
服用中に強い気分の落ち込み、自傷を考えるほどの状態、異常な興奮、攻撃的な行動が出た場合は、すぐに医療機関へ相談してください。
服用期間はどれくらい?
チャンピックスは、一般的に12週間を1コースとして使われることが多い薬です。
スターターパックは最初の数週間の増量期間にあたり、その後は継続用パックで禁煙を維持します。
12週間で禁煙に成功した場合でも、再喫煙リスクが高い人では追加で継続が検討されることがあります。
チャンピックスは「禁煙できた瞬間に終わり」ではなく、禁煙を安定させるために一定期間続ける薬です。
スターターパック中にやるべき準備
吸うタイミングを記録する
禁煙で重要なのは、自分がいつ吸いたくなるかを知ることです。
- 起床後
- 食後
- コーヒーと一緒
- 仕事の休憩中
- 運転中
- 飲酒時
- ストレスを感じたとき
このタイミングを記録しておくと、禁煙開始後に対策を立てやすくなります。
タバコを買い置きしない
禁煙開始日の前日までに、タバコ、ライター、灰皿を片づけましょう。
手元にあると、「1本だけ」が起こりやすくなります。
代わりの行動を決める
タバコを吸いたくなったときの代わりの行動を先に決めておきます。
- 水を飲む
- 歯を磨く
- ガムを噛む
- 外を少し歩く
- 深呼吸する
- 手を動かす作業をする
- 喫煙場所に近づかない
禁煙は「吸わない」と決めるだけでなく、「吸いたくなったとき何をするか」を決めておくことが重要です。
ニコチンパッチやガムと併用できる?
チャンピックスはニコチンを補う薬ではありません。
ニコチンパッチやニコチンガムと併用するかどうかは、医師や薬剤師の判断が必要です。
自己判断で併用すると、副作用や気分不快、吐き気、頭痛などが強くなる可能性があります。
チャンピックスに加えてニコチン製剤を使いたい場合は、必ず医療者に相談してください。
チャンピックスが向いている人
チャンピックスは、次のような人で検討されやすい薬です。
- 禁煙したいが喫煙欲求が強い
- 過去に自力禁煙で失敗した
- ニコチンパッチやガムだけでは難しかった
- タバコを吸う本数が多い
- 朝起きてすぐ吸う
- 禁煙開始日を決めて計画的に進めたい
一方で、吐き気が出やすい人、腎機能に問題がある人、精神症状の既往がある人、妊娠中・授乳中の人では慎重な判断が必要です。
個人輸入でチャンピックスやバレニクリンを購入する場合
個人輸入代行では、チャンピックス、バレニクリン製品、海外製ジェネリックなどを比較できる場合があります。
通院の時間を減らしたい人、禁煙補助薬をコスト面で比較したい人、スターターパックや継続用の流れを確認したい人にとって、個人輸入代行は選択肢になります。
ただし、バレニクリンは医薬品です。個人輸入で購入する場合でも、禁煙開始日、スターターパックの増量、服用期間、副作用、持病を確認してから使う必要があります。
購入前には、次の点を確認してください。
- 有効成分がバレニクリンか
- 0.5mg錠と1mg錠の区別
- スターターパックか継続用か
- 服用開始日と禁煙開始日
- 1日1回から1日2回への切り替え日
- 吐き気、不眠、異常な夢などの副作用
- 精神症状の既往
- 腎機能への注意
- 妊娠中・授乳中の使用可否
- 製造元と使用期限
海外製品では、商品名が違っても同じバレニクリンを含む場合があります。反対に、似た名前でも成分や含有量が異なることもあります。
スターターパックを使わずに、最初から1mg錠を自己判断で飲み始めるのは避けましょう。吐き気などの副作用が強く出る可能性があります。
受診・相談した方がよいケース
次のような場合は、禁煙外来、内科、薬剤師へ相談してください。
- 初めて禁煙補助薬を使う
- 1日20本以上吸う
- 朝起きてすぐ吸う
- 過去に禁煙で強い離脱症状が出た
- うつ病や不安障害などの既往がある
- 腎機能が低下している
- 妊娠中・授乳中である
- ほかの禁煙補助薬と併用したい
- 服用中に強い吐き気や気分変化がある
- 個人輸入品の飲み方が分からない
禁煙は意志だけで乗り切るものではありません。喫煙本数が多い人、過去に何度も失敗している人ほど、薬と禁煙支援を組み合わせた方が続けやすくなります。
まとめ
チャンピックスは、禁煙開始日の1週間前から飲み始めるのが基本です。一般的には、1〜3日目は0.5mgを1日1回、4〜7日目は0.5mgを1日2回、8日目以降は1mgを1日2回に増やし、8日目から禁煙を開始します。
チャンピックスは、禁煙当日から急に飲む薬ではなく、禁煙日までに体を薬へ慣らし、喫煙欲求やタバコの満足感を弱めていく薬です。
スターターパック中は、吸うタイミングを記録し、禁煙開始日に向けてタバコや灰皿を片づけ、吸いたくなったときの代わりの行動を決めておきましょう。
個人輸入代行ではチャンピックスやバレニクリン製品を比較できますが、0.5mgと1mgの違い、スターターパックと継続用の違い、禁煙開始日、副作用を確認することが重要です。最初から高用量で始めたり、効かないからと自己判断で増量したりしないようにしましょう。

