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メトホルミンとアカルボースの違い

ダイエット薬

メトホルミンとアカルボースの違い|食後血糖を抑える仕組みを比較

医師・薬剤師監修

2型糖尿病の治療薬には多くの種類がありますが、メトホルミンとアカルボースは、どちらも血糖値を下げる目的で使われる一方、作用する場所や服用方法が大きく異なります。

メトホルミンは、主に肝臓で糖が作られるのを抑え、インスリンを効きやすくする薬です。一方、アカルボースは小腸で糖質の消化・吸収を遅らせ、食後の急激な血糖上昇を抑えます。

食後血糖へ直接働きかける薬はアカルボースですが、メトホルミンも空腹時血糖と食後血糖の両方を含め、1日を通した血糖管理に用いられます。

どちらが優れているという関係ではなく、空腹時血糖、食後血糖、体格、腎機能、食生活、副作用の出やすさなどを考慮して使い分けます。必要に応じて、2剤が併用されることもあります。

この記事では、メトホルミンとアカルボースの作用の違い、食後血糖を抑える仕組み、服用タイミング、副作用、向いている人について比較します。

メトホルミンとアカルボースの違いを比較

比較項目 メトホルミン アカルボース
薬の分類 ビグアナイド薬 α-グルコシダーゼ阻害薬
主な作用場所 肝臓、筋肉、消化管 小腸
主な作用 肝臓での糖新生を抑え、インスリン抵抗性を改善する 糖質の分解と吸収を遅らせる
得意な血糖 空腹時血糖を含む1日全体の血糖管理 食後血糖の急上昇
服用時期 食後など、処方された回数に分けて服用 毎食直前
主な副作用 下痢、吐き気、食欲低下、乳酸アシドーシス おなら、腹部膨満、下痢、腹痛、腸閉塞
単独使用時の低血糖 起こりにくい 起こりにくい

アカルボースの効能は、糖尿病における食後過血糖の改善です。通常は1回50~100mgを1日3回、食直前に服用します。

メトホルミンは2型糖尿病に用いられ、製剤や患者の状態に応じて1日量を2~3回に分けて服用します。

食後血糖とは?

食事に含まれるご飯、パン、麺類、菓子などの糖質は、消化酵素によってブドウ糖まで分解され、小腸から血液中へ吸収されます。

食後に血糖値が上がると、膵臓からインスリンが分泌され、ブドウ糖を筋肉や脂肪細胞へ取り込ませます。しかし、インスリンの分泌量が少ない、またはインスリンが効きにくい状態では、食後の血糖値が高いまま残ります。

この状態が食後過血糖です。食後血糖が高い状態を放置すると、HbA1cの上昇だけでなく、血管へ負担がかかり、糖尿病の合併症につながる可能性があります。糖尿病はインスリンが十分に働かないことで慢性的な高血糖が続く病気であり、心血管疾患、網膜症、腎症などの原因になります。

メトホルミンが血糖を下げる仕組み

肝臓で糖が作られるのを抑える

食事をしていない時間でも、体は血糖値を保つために肝臓で糖を作っています。この働きを糖新生と呼びます。

2型糖尿病では、肝臓が必要以上に糖を作り続けることがあり、特に空腹時血糖が高くなる原因になります。

メトホルミンは肝臓での糖新生を抑え、血液中へ放出される糖を減らします。これがメトホルミンの中心的な作用です。

インスリンを効きやすくする

2型糖尿病では、インスリンが分泌されていても、筋肉や肝臓で十分に働かないことがあります。これをインスリン抵抗性と呼びます。

メトホルミンはインスリンの働きを改善し、筋肉などが血液中のブドウ糖を取り込みやすい状態にします。

メトホルミンは食べた糖だけへ作用するのではなく、肝臓から出る糖と、体内でのインスリンの効き方を調整する薬です。

食後血糖にも効果がある

メトホルミンは空腹時血糖に強く働くイメージがありますが、インスリン抵抗性の改善や消化管への作用を通じて、食後血糖の改善にも役立ちます。

ただし、食事直後の糖質吸収を直接遅らせる薬ではないため、食後だけ急激に血糖値が上がる人では、アカルボースなどが追加される場合があります。

アカルボースが食後血糖を抑える仕組み

糖質を細かく分解する酵素を阻害する

ご飯やパンに含まれるでんぷんや二糖類は、そのままでは小腸から吸収できません。小腸のα-グルコシダーゼという酵素によって、吸収できるブドウ糖まで分解されます。

アカルボースはα-グルコシダーゼなどの消化酵素を阻害し、糖質がブドウ糖へ分解される速度を遅くします。その結果、小腸からの糖吸収が緩やかになり、食後血糖の急上昇を抑えます。

アカルボースは糖質を体外へ排出する薬ではなく、糖質の消化と吸収を遅らせる薬です。

食直前に飲む必要がある

アカルボースは、食事中の糖質と消化酵素が接触するタイミングで作用させる必要があります。そのため、通常は毎食直前に服用します。

食後しばらくたってから服用しても、すでに糖質の分解や吸収が始まっているため、十分な効果を得にくくなります。

飲み忘れた場合に食後から追加で飲むかどうかは、自己判断せず、処方時の指示に従ってください。

どちらが食後血糖に強い?

食後の急激な血糖上昇へ直接作用するという意味では、アカルボースの方が目的に合っています。

一方、メトホルミンは空腹時血糖、食後血糖、HbA1cを含む1日全体の血糖管理を目的として使用されます。

例えば、次のように使い分けられることがあります。

  • 空腹時血糖とHbA1cが全体的に高い場合はメトホルミン
  • 空腹時血糖はそれほど高くないが、食後だけ大きく上がる場合はアカルボース
  • メトホルミンだけでは食後血糖が十分に下がらない場合は併用

ただし、糖尿病治療薬の選択は血糖値だけでは決まりません。日本糖尿病学会では、病態、年齢、肥満、腎機能、心不全、併存疾患、低血糖リスクなどを考慮して薬を選択することが重視されています。

メトホルミンの副作用

下痢・吐き気・食欲低下

メトホルミンでは、下痢、軟便、吐き気、腹痛、食欲低下などの消化器症状が起こることがあります。

服用開始直後や増量後に現れやすく、少量から開始して徐々に増量することで軽減できる場合があります。

乳酸アシドーシス

頻度は低いものの、最も注意が必要なのが乳酸アシドーシスです。血液中に乳酸がたまり、吐き気、腹痛、筋肉痛、強い倦怠感、呼吸が速くなる、意識がぼんやりするなどの症状が現れます。

腎機能の低下、脱水、重い感染症、過度の飲酒、心肺機能の低下などがあると、リスクが高くなる可能性があります。

激しい下痢や嘔吐で脱水になった場合、発熱や食事が取れない状態が続く場合は、服用について医師へ確認してください。

アカルボースの副作用

おなら・腹部膨満

アカルボースによって小腸で吸収されなかった糖質は、大腸まで届き、腸内細菌によって発酵されます。

この過程でガスが発生するため、おなら、腹部膨満、腹鳴、腹痛、下痢などが起こりやすくなります。

服用開始直後に症状が出やすく、少量から開始することで軽減できる場合があります。

腸閉塞

まれに腸内ガスが増え、腸閉塞のような重い症状が起こることがあります。

強い腹痛、著しい腹部膨満、嘔吐、便やガスが出ないといった症状がある場合は、服用を続けず速やかに受診してください。

肝機能障害

アカルボースでは、まれに肝機能障害が起こることがあります。強い倦怠感、食欲不振、皮膚や白目が黄色くなる、尿が濃くなる場合は医療機関へ相談してください。

低血糖が起きたときの対処法が異なる

メトホルミンとアカルボースは、単独では低血糖を起こしにくい薬です。しかし、インスリン製剤やスルホニルウレア薬などと併用すると、低血糖が起こる可能性があります。

特にアカルボース服用中の低血糖では、砂糖ではなくブドウ糖を摂取する必要があります。

砂糖はアカルボースによって分解が遅れる可能性がありますが、ブドウ糖は分解を必要とせず、そのまま吸収されるためです。

アカルボースを使用している人は、外出時にブドウ糖を携帯しましょう。

体重への影響の違い

メトホルミンは、インスリン分泌を直接増やす薬ではないため、体重増加を起こしにくい薬です。食欲低下などにより、体重が少し減る人もいます。

アカルボースも、インスリン分泌を直接促す薬ではないため、体重増加を起こしにくいとされています。

ただし、どちらも体重を減らすことを主目的とした薬ではありません。糖尿病では食事療法と運動療法が基本であり、薬を飲んでいるから糖質やカロリーを自由に取ってよいわけではありません。

メトホルミンとアカルボースは併用できる?

作用する場所が異なるため、医師の判断で併用されることがあります。

メトホルミンで肝臓からの糖放出やインスリン抵抗性を改善し、アカルボースで食後の糖質吸収を遅らせることで、空腹時血糖と食後血糖の両方を管理します。

ただし、両方とも消化器症状が起こる可能性があるため、併用開始後は下痢、腹痛、おなら、腹部膨満などが強くならないか確認が必要です。

どちらが向いている?

メトホルミンが検討されやすい人

  • 空腹時血糖を含め、1日全体の血糖値が高い
  • 肥満やインスリン抵抗性がある
  • 体重増加を避けたい
  • 長期的な血糖管理が必要

アカルボースが検討されやすい人

  • 食後血糖だけが大きく上昇する
  • 炭水化物を多く取る食事が多い
  • 食後の血糖変動を抑えたい
  • ほかの糖尿病薬へ追加したい

腎機能が低下している人、胃腸の病気がある人、高齢者では、安全性を確認したうえで薬を選ぶ必要があります。

よくある質問

食後血糖にはアカルボースの方がよいですか?

食後の急上昇を直接抑える目的ではアカルボースが適しています。ただし、空腹時血糖やHbA1cも高い場合は、メトホルミンなどを含めて治療全体を考えます。

メトホルミンを飲んでいればアカルボースは不要ですか?

メトホルミンだけで十分な場合もありますが、食後血糖が高く残る場合は、アカルボースが追加されることがあります。

アカルボースを食後に飲んでもよいですか?

通常は食直前に服用します。食後では十分な効果が得られにくいため、飲み忘れた場合の対応は医師や薬剤師へ確認してください。

どちらが低血糖を起こしにくいですか?

どちらも単独では低血糖を起こしにくい薬です。ただし、インスリンやほかの血糖降下薬との併用時は注意が必要です。

まとめ

メトホルミンとアカルボースは、血糖を下げる仕組みが異なります。

メトホルミンは主に肝臓で糖が作られるのを抑え、筋肉や肝臓でインスリンを効きやすくします。空腹時血糖を含め、1日全体の血糖管理に用いられる薬です。

アカルボースは、小腸で糖質を分解する酵素を阻害し、糖の吸収を遅らせます。特に食後血糖の急上昇を抑えることを目的とし、毎食直前に服用します。

メトホルミンでは下痢や吐き気、まれな乳酸アシドーシスに注意が必要です。アカルボースでは、おなら、腹部膨満、下痢、まれな腸閉塞などに注意します。

食後血糖が高いからといって自己判断でアカルボースを追加したり、メトホルミンの量を増やしたりしてはいけません。血糖値、HbA1c、腎機能、食生活、副作用を確認し、医師と相談して適切な薬を選びましょう。

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