アフターピルを何度も使うと効かなくなる?繰り返し服用の注意点
医師・薬剤師監修
「以前にもアフターピルを飲んだことがあるけれど、何度も使うと効かなくなる?」「同じ月にまた必要になったら飲んでも大丈夫?」と不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、アフターピルを繰り返し服用したことで、体が薬に慣れて効かなくなるという考え方は基本的にありません。WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬の繰り返し使用について、既知の重大な健康リスクはないとしています。
ただし、アフターピルは毎日の避妊を目的とした薬ではありません。繰り返し使うと月経周期が乱れやすくなるほか、その後に再び避妊なしの性行為があれば新たに妊娠する可能性があります。「何回飲んでも大丈夫だから通常の避妊代わりに使う」という方法はおすすめできません。
何度も飲むと「効きにくくなる」わけではない
アフターピルは、主に排卵を遅らせたり抑えたりすることで妊娠を防ぐ薬です。
一般的に使用される成分には、レボノルゲストレルとウリプリスタール酢酸があります。WHO(世界保健機関)では、これらの緊急避妊薬について、性交後できるだけ早く使用することが重要とされています。
繰り返し服用しても、薬に対する「耐性」ができて効かなくなるという仕組みではありません。
前回飲んだから今回は効かない、ということは基本的にありません。
では、なぜ「何度も使うと効かない」と言われるの?
アフターピルの効果は、服用回数よりも服用するタイミング、排卵の時期、その後の性行為などに大きく左右されます。
例えば、性行為から服用まで時間が空くほど、緊急避妊薬の効果は低下しやすくなります。WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬は性交後5日以内に使用できますが、できるだけ早く服用するほど効果が高いとされています。
また、排卵がすでに起こった後では、経口のアフターピルで十分な効果が得られない場合があります。
そのため、「以前より効かなかった=何度も飲んだから」ではなく、今回の服用タイミングや排卵時期が関係している可能性があります。
同じ月に何度も服用してもいい?
避妊に失敗した場合など、同じ月経周期の中で再び緊急避妊が必要になることはあります。
WHO(世界保健機関)では、緊急避妊薬の繰り返し使用そのものについて、既知の健康リスクはないとしています。一方で、繰り返し使用すると月経不順などの副作用が増える可能性があります。
ただし、使用する薬の種類によって、その後に再度緊急避妊が必要になった場合の対応が異なることがあります。
同じ周期で再び避妊に失敗した場合は、自己判断で前回と同じ薬を追加するのではなく、医師や薬剤師へ確認することが安全です。
アフターピルを飲んだ後の性行為には効果がない
特に誤解されやすいポイントです。
アフターピルは、服用前に起きた避妊失敗に対して使用する薬です。一度飲めばその後の性行為まで避妊効果が続くわけではありません。
WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬の効果は、その後の新たな避妊なしの性行為まではカバーしないことが示されています。追加の性行為があると、同じ周期でも新たに妊娠する可能性があります。
アフターピル服用後は、コンドームなど適切な避妊方法を使用しましょう。
繰り返し使うと生理が乱れることがある
アフターピル服用後には、生理が予定より早く来たり遅れたり、不正出血が起きたりすることがあります。
WHO(世界保健機関)では、緊急避妊薬の副作用として、不規則な出血、吐き気、疲労感などを挙げています。また、繰り返し使用した場合には月経不順が増える可能性があります。
何度も使うと不妊になるという根拠はありませんが、月経周期が分かりにくくなることはあります。
そのため、「次の生理予定日がわからない」「妊娠していないか不安」という状況になりやすい点には注意が必要です。
将来妊娠しにくくなることはある?
「アフターピルを何度も飲むと将来妊娠できなくなるのでは」と心配する方もいます。
WHO(世界保健機関)では、緊急避妊薬は将来の妊孕性を損なわず、服用後に妊娠しやすさが戻るまで遅れが生じることもないとしています。
つまり、一般的な緊急避妊薬を適切に使用したことで不妊になるとは考えられていません。
ただし、これは「繰り返し服用を避妊法として推奨する」という意味ではありません。
通常の避妊法より効率的とはいえない
アフターピルは緊急時には重要な選択肢ですが、日常的な避妊方法より確実性が高いわけではありません。
服用するまでの時間や排卵時期によって効果が変化するため、毎回アフターピルへ頼るよりも、低用量ピル、子宮内避妊具、コンドームなど継続的な避妊方法を選ぶほうが妊娠予防を安定させやすくなります。
WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬を繰り返し必要とする場合には、より継続的で効果的な避妊法について相談することを勧めています。
レボノルゲストレル服用後は通常の避妊をいつ始める?
レボノルゲストレルを使用した場合は、WHO(世界保健機関)では通常のホルモン避妊法をすぐに開始・再開できるとしています。
ただし、避妊効果が安定するまでの期間は、使用する方法によって異なります。
その間はコンドームなど追加の避妊方法が必要になることがあります。
「アフターピルを飲んだから次の生理まで避妊できる」と考えないようにしましょう。
ウリプリスタール服用後は注意が必要
ウリプリスタール酢酸を使用した場合は、レボノルゲストレルとは少し対応が異なります。
WHO(世界保健機関)では、ウリプリスタール服用後にプロゲスチンを含むホルモン避妊法を開始する場合、服用から6日目に開始することを推奨しています。すぐにホルモン避妊薬を開始すると、ウリプリスタールの作用へ影響する可能性があるためです。
使用したアフターピルの種類によって、その後の避妊法の始め方が違うことを覚えておきましょう。
体重によって効果が変わることもある?
緊急避妊薬では、体重やBMIが効果へ影響する可能性が指摘されています。
WHO(世界保健機関)では、肥満のある女性では経口緊急避妊薬の効果が低下する可能性があるとしていますが、安全性上の理由で使用できないわけではありません。
体重やBMIが気になる場合には、どの緊急避妊法が適しているか医師へ相談しましょう。
銅付加IUD(子宮内避妊具)は、緊急避妊方法の中でも非常に高い効果を持つ方法としてWHO(世界保健機関)でも位置づけられています。
一緒に飲んでいる薬にも注意
一部の薬は、アフターピルの有効成分の血中濃度を下げ、効果を弱める可能性があります。
WHO(世界保健機関)の資料では、リファンピシン、カルバマゼピン、フェニトインなど一部の薬やセントジョーンズワートなどが緊急避妊薬の効果へ影響する可能性が示されています。
持病の薬やサプリメントを使用している場合は、アフターピルを処方してもらう際に必ず伝えましょう。
吐いてしまった場合はどうする?
アフターピルの副作用として吐き気が出ることがあります。
WHO(世界保健機関)では、服用後2時間以内に嘔吐した場合は、再度服用が必要になる場合があるとしています。
ただし、薬の種類によって対応が異なる可能性があるため、服用後すぐ吐いてしまった場合は処方した医療機関や薬剤師へ確認してください。
いつ妊娠検査薬を使えばいい?
アフターピルを飲んでも妊娠を100%防げるわけではありません。
服用後は生理が早まったり遅れたりするため、予定日だけでは判断しにくいことがあります。
生理が大幅に遅れている場合や、服用から3週間程度経過しても生理が確認できない場合は、妊娠検査薬の使用や婦人科受診を検討しましょう。
強い下腹部痛や大量出血などがある場合には、自己判断で様子を見続けず医療機関へ相談してください。
性感染症は予防できない
アフターピルは妊娠を防ぐための薬であり、性感染症を予防する薬ではありません。
WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬にはHIVを含む性感染症を防ぐ効果はないとしています。性感染症予防にはコンドームの適切な使用が重要です。
避妊に失敗した状況によって性感染症の可能性がある場合には、必要に応じて検査も検討しましょう。
まとめ
アフターピルを何度も服用したからといって、薬に慣れて効かなくなるわけではありません。WHO(世界保健機関)でも、緊急避妊薬の繰り返し使用に既知の重大な健康リスクはないとしています。
一方で、繰り返し使用すると月経周期が乱れやすくなり、服用後の新たな性行為には避妊効果が続かないため、再び妊娠する可能性があります。
また、服用までの時間、排卵時期、体重、併用薬などによっても効果は変わります。
アフターピルは「通常の避妊の代わり」ではなく、避妊に失敗したときの緊急手段です。繰り返し必要になる場合には、低用量ピルやIUD、コンドームなど、継続的に使用できる避妊方法について婦人科で相談するとよいでしょう。

