イソトレチノインを飲むと最初にニキビが悪化することはある?初期変化を解説
医師・薬剤師監修
イソトレチノインを飲み始めたあと、「むしろニキビが増えた気がする」「赤く腫れるニキビが目立ってきた」と不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、イソトレチノインでは、治療開始後の初期に一時的にニキビが悪化することがあります。FDA(アメリカ食品医薬品局)の医薬品情報でも、治療初期に一過性のニキビ悪化がみられることがあるとされています。
ただし、すべての人に起こるわけではありません。また、強い炎症や急激な悪化まで「よくある初期反応だから」と我慢し続けるのは適切ではありません。
イソトレチノインとはどんな薬?
イソトレチノインはビタミンA誘導体に分類される内服薬です。
皮脂腺の働きを抑えて皮脂分泌を大きく減らすほか、毛穴の角化や炎症などにも作用することでニキビを改善します。
アメリカ皮膚科学会では、重症ニキビや一般的な外用薬・内服抗菌薬などで十分な改善が得られないニキビに対して、イソトレチノインが推奨される治療選択肢のひとつとされています。
一方で副作用や妊娠への重大なリスクがあるため、医師の管理下で適切に使用する必要がある薬です。
なぜ飲み始めにニキビが悪化することがある?
イソトレチノインを開始すると、皮脂腺や毛穴の状態が大きく変化していきます。
その過程で、もともと皮膚の内部で形成されていた面皰や炎症性病変が目立つようになり、一時的にニキビが増えたように感じることがあります。
いわゆる「初期悪化」は、薬が効いていないことを意味するとは限りません。
アメリカ皮膚科学会でも、すべての患者に起こるわけではないものの、イソトレチノイン開始後にニキビが一時的に悪化し、1~2か月程度続くことがあるとされています。
初期悪化はどのくらい続く?
個人差がありますが、初期悪化が起こる場合は治療開始後の比較的早い時期にみられます。
アメリカ皮膚科学会では、一時的な悪化がみられる場合、治療開始後1~2か月程度続いたあと改善へ向かうことがあるとしています。
ただし、「必ず2か月待てばよい」という意味ではありません。
症状が急速に悪化している場合や、強い痛み・腫れを伴う場合などは、治療内容の調整が必要になることがあります。
どんな悪化なら様子を見てもいい?
治療開始後にニキビが少し増えた、普段できていた場所に新しいニキビが出た程度で、全身状態に問題がない場合には、医師の指示どおり治療を継続しながら経過を見ることがあります。
ただし、本人だけで初期悪化かどうかを判断するのは難しいため、診察時には変化を伝えましょう。
「悪化しているけれど我慢すれば効く」と自己判断せず、変化が強い場合は処方した医師へ相談することが大切です。
強い悪化はすぐ相談したほうがいい
急に炎症性ニキビが大量に増える、強く腫れる、痛みが非常に強い、出血やただれを伴うなどの場合には、単なる軽い初期変化とは限りません。
重症の炎症性ニキビでは瘢痕が残る可能性もあるため、治療内容の見直しが必要になることがあります。
悪化の程度が大きい場合には、次回診察まで自己判断で待たず医療機関へ連絡しましょう。
自分で用量を減らしたり増やしたりしてもいい?
初期悪化が怖いからと、自分で飲む回数を減らしたり、逆に早く効かせようとして用量を増やしたりするのは避けてください。
イソトレチノインの用量は、体重、症状の重さ、副作用などを考慮して医師が調整します。
「効かないから増量」「悪化したから急に中止」といった自己調整はしないことが重要です。
飲み始めには乾燥も起こりやすい
イソトレチノインの代表的な副作用のひとつが乾燥です。
唇の乾燥、顔のつっぱり、鼻の中の乾燥、目の乾きなどが現れることがあります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)の情報でも、乾燥症状や眼症状などが注意点として挙げられています。
治療開始後は刺激の強いスキンケアを避け、保湿を丁寧に行うことが重要です。
ニキビが悪化したから洗顔回数を増やすのは逆効果?
ニキビが増えると、「皮脂や汚れをもっと落とさなければ」と洗顔回数を増やしたくなるかもしれません。
しかし、イソトレチノイン使用中は皮脂分泌が減り、皮膚が乾燥して刺激を受けやすくなります。
その状態で何度も洗顔したり、スクラブを使用したりすると、肌のバリア機能が乱れて赤みやヒリヒリ感が強くなる可能性があります。
初期悪化があっても、「洗い足りない」と考えて強く洗わないことが大切です。
ピーリングやスクラブを併用してもいい?
イソトレチノイン使用中は皮膚が敏感になりやすいため、刺激の強いピーリング剤やスクラブ、脱毛処置などには注意が必要です。
FDA(アメリカ食品医薬品局)の医薬品情報では、瘢痕形成の可能性があるため、治療中や治療後一定期間はワックス脱毛や皮膚を削る美容処置などを避けるよう注意されています。
美容施術を受ける予定がある場合は、イソトレチノインを服用していることを必ず医師や施術者へ伝えましょう。
紫外線対策も必要?
イソトレチノイン服用中は、肌が紫外線の刺激を受けやすくなる場合があります。
アメリカ皮膚科学会でも、日陰を利用することや、SPF30以上の広範囲紫外線を防ぐ日焼け止めなどによる紫外線対策が推奨されています。
初期悪化で皮膚が敏感になっている時期ほど、保湿と紫外線対策を意識しましょう。
効果はいつ頃から実感する?
イソトレチノインは、数日飲んだだけでニキビが完全になくなる薬ではありません。
初期に一時的な悪化がみられたあと、皮脂の減少や新しいニキビができにくくなる変化を徐々に感じる人もいます。
治療期間や改善までの速度は、症状の重さや用量などによって異なります。
短期間だけで「効いていない」と判断せず、医師の診察を受けながら経過を評価することが大切です。
妊娠中・妊娠の可能性がある場合は使用できない
イソトレチノインで特に重要なのが、胎児への重大な影響です。
FDA(アメリカ食品医薬品局)では、イソトレチノインには非常に強い催奇形性があり、妊娠中の使用によって重い先天異常を引き起こす危険があるため、厳格なリスク管理下で使用されています。
妊娠中、妊娠している可能性がある場合、妊娠を希望している場合には自己判断で使用してはいけません。
妊娠可能性のある人は、避妊や妊娠検査を含め、処方医から説明されたルールを厳守してください。
個人輸入した薬でも同じ?
海外から個人輸入したイソトレチノインを自己判断で使用することにはリスクがあります。
厚生労働省では、日本で承認されていない医薬品については、日本の法令に基づく品質・有効性・安全性の確認が行われていないと注意喚起しています。
また、イソトレチノインは血液検査などを含む医学的な管理が必要になることがあります。
特に副作用や妊娠への影響が大きい薬であるため、自己判断だけで服用を続けることは避けましょう。
気分の変化などにも注意
イソトレチノイン使用中には、皮膚症状だけでなく全身の変化にも注意が必要です。
強い気分の落ち込みや普段と明らかに違う精神状態などが現れた場合には、そのまま服用を続けるのではなく処方医へ相談してください。
また、激しい頭痛、視覚の異常、強い腹痛など、普段と異なる症状が現れた場合にも医療機関へ相談することが重要です。
初期悪化を記録しておくと判断しやすい
ニキビは毎日鏡を見ていると、実際に増えているのか減っているのか分かりにくいことがあります。
治療開始前から同じ照明、同じ角度で写真を撮り、数週間ごとに比較すると変化を把握しやすくなります。
「一時的な悪化なのか」「長期間悪化し続けているのか」を判断するためにも、写真で記録しておくと診察時に役立ちます。
まとめ
イソトレチノインでは、治療開始後に一時的にニキビが悪化することがあります。FDA(アメリカ食品医薬品局)でも治療初期の一過性の悪化が報告されており、アメリカ皮膚科学会では一部の人で1~2か月程度悪化してから改善へ向かうことがあるとしています。
ただし、すべての人に起こるわけではなく、急激に大量の炎症性ニキビが増える、強い痛みや腫れがある場合などは、単なる初期反応と自己判断しないことが重要です。
悪化したからといって自分で増量・減量したり、刺激の強いスキンケアを追加したりせず、処方した医師へ相談しましょう。
また、イソトレチノインには強い催奇形性があるため、妊娠に関する注意は特に重要です。治療中は副作用を含めた適切な医学的管理を受けながら使用してください。

