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ダイエット薬使用中に栄養不足を防ぐ食事方法とは?

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ダイエット薬使用中に栄養不足を防ぐ食事方法とは?

監修:医師・薬剤師監修

「ダイエット薬を使い始めてから、ほとんど食欲がない」

「少量しか食べられないけれど、栄養不足にならない?」

「体重は減っているものの、筋力や体力まで落ちた気がする」

GLP-1受容体作動薬やGIP・GLP-1受容体作動薬などのダイエット薬は、食欲を抑えたり、胃から食べ物が排出される速度を遅らせたりすることで、食事量を減らしやすくします。

一方、食欲が大きく低下した状態で食事量だけを減らし続けると、たんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミン、食物繊維などが不足する可能性があります。

結論から言うと、ダイエット薬使用中の栄養不足を防ぐには、食事量が少なくても、たんぱく質・野菜・主食を組み合わせ、栄養価の高い食品から優先して食べることが重要です。

体重管理薬は、薬だけで体重を減らすものではありません。NICE(英国国立医療技術評価機構)およびNHS(英国国民保健サービス)では、体重管理薬はカロリーを調整したバランスのよい食事と、継続的な身体活動を組み合わせて使用することが基本とされています。

食べる量を極端に減らすことが、ダイエット薬の効果を高めるわけではありません。

この記事では、ダイエット薬使用中に不足しやすい栄養素、少量でも栄養を取れる食事方法、吐き気や胃もたれがある時の食べ方、サプリメントを使う際の注意点について解説します。

ダイエット薬で栄養不足が起こるのはなぜ?

ダイエット薬には複数の種類がありますが、近年利用者が増えているのが、セマグルチド、リラグルチド、チルゼパチドなどの注射薬・内服薬です。

これらの薬では、次の作用によって食事量が減ることがあります。

  • 空腹感が弱くなる
  • 少量で満腹になる
  • 胃から食べ物が排出される速度が遅くなる
  • 食べ物への関心が低下する
  • 吐き気や胃もたれが起こる

チルゼパチドでは、胃の内容物が排出される速度が遅くなるため、吐き気、嘔吐、胃の不快感などが起こることがあります。セマグルチドでも、吐き気、嘔吐、下痢、食欲低下などが報告されています。

食欲が落ちること自体は薬の作用の一部ですが、食事を抜く日が続くと、摂取カロリーだけでなく、身体に必要な栄養素まで不足します。

体重が順調に減っていても、筋力低下、疲労、めまい、便秘などが出ている場合は、栄養や水分が不足している可能性があります。

栄養不足を防ぐ基本は「食べる順番」

薬の影響で少量しか食べられない場合は、満腹になる前に必要な栄養素を取ることが大切です。

おすすめの順番は、次の通りです。

  1. 肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質
  2. 野菜・海藻・きのこなどの副菜
  3. ご飯・パン・麺・いも類などの主食

スープや飲み物から大量に取ると、胃が満たされて固形物を食べられなくなることがあります。

食事量が少ない時は、先に水分でお腹を満たすのではなく、栄養価の高い食品から食べましょう。

食欲が低い時ほど、菓子やジュースだけで済ませず、最初の数口にたんぱく質を入れることが重要です。

最優先で取りたいたんぱく質

体重が減る時は、脂肪だけでなく筋肉を含む除脂肪組織も減少する可能性があります。

たんぱく質は、筋肉、皮膚、髪、血液、酵素などを作るために必要な栄養素です。

食欲が低下している場合は、毎食少量でもたんぱく質食品を入れましょう。

食品 食欲がない時の取り入れ方
ゆで卵、茶わん蒸し、卵スープにする
焼き魚、刺身、ツナ、魚の缶詰を使う
鶏肉 蒸し鶏、ささみ、鶏団子にする
大豆製品 豆腐、納豆、豆乳を利用する
乳製品 ヨーグルト、牛乳、チーズを少量加える
豆・レンズ豆 スープやサラダへ加える

NHS関連の体重管理薬利用者向け資料では、食欲が低い場合は毎食たんぱく質を優先し、肉、魚、卵、乳製品、豆類、豆腐などの食品から取るよう案内されています。

ただし、必要なたんぱく質量は、体格、年齢、腎機能、運動量によって異なります。

腎臓病などでたんぱく質制限を受けている人は、自己判断で高たんぱく食やプロテインを追加しないでください。

プロテインだけに頼らない

食事量が少ない場合、プロテイン飲料はたんぱく質を補う選択肢になります。

しかし、プロテインには、野菜、魚、豆類などに含まれる食物繊維、鉄、ビタミン、必須脂肪酸などが十分に含まれていない製品もあります。

また、甘味の強い製品や大量の飲料を一度に取ると、吐き気や胃もたれが強くなる場合があります。

プロテインは通常の食事をすべて置き換えるものではなく、食事から不足する分を補う目的で利用することが基本です。

主食を完全に抜かない

ダイエット中は、ご飯やパンなどの炭水化物を完全に避ける人もいます。

しかし、主食は身体や脳を動かすためのエネルギー源です。

摂取量を極端に減らすと、疲労感、集中力低下、トレーニング時の力が出ない、筋肉が減りやすくなるなどの問題につながる可能性があります。

量を調整しながら、次のような食品を取り入れましょう。

  • ご飯
  • 玄米や雑穀ご飯
  • 全粒粉パン
  • オートミール
  • そば
  • いも類

炭水化物を完全にゼロにするのではなく、体調と活動量に合わせて適量を残すことが大切です。

野菜は量より種類を意識する

野菜には、ビタミン、ミネラル、食物繊維などが含まれています。

ただし、生野菜を大量に食べると、胃の中でかさが増え、満腹感や胃もたれが強くなる場合があります。

食欲が低い時は、加熱してかさを減らした野菜を取り入れましょう。

  • 温野菜
  • 具だくさんスープ
  • 煮物
  • 蒸し野菜
  • 野菜入りの卵料理

NHSの健康的な減量に関する案内では、主な食事に野菜を取り入れ、たんぱく質食品と組み合わせることが勧められています。

食事量が少ない場合は、一度に大量の野菜を食べるより、色や種類の異なる野菜を少量ずつ取る方法が向いています。

便秘を防ぐ食物繊維の取り方

GLP-1関連薬では、便秘が起こることがあります。

食事量が減ると、便の材料になる食物繊維や水分も不足しやすくなります。

食物繊維を含む食品には、次のようなものがあります。

  • 野菜
  • 果物
  • 海藻
  • きのこ
  • 豆類
  • オートミール
  • 玄米や全粒穀物

ただし、胃もたれや膨満感が強い時に食物繊維を急に増やすと、腹部の張りや不快感が悪化する場合があります。

食物繊維は少しずつ増やし、水分不足にならないようにすることが重要です。

鉄不足に注意したい人

食事量が減ると、肉、魚、大豆製品などの摂取量も少なくなり、鉄が不足する可能性があります。

特に月経のある女性や、以前から貧血を指摘されている人は注意が必要です。

鉄を含む食品には、次のようなものがあります。

  • 赤身肉
  • かつお・まぐろ
  • あさり
  • 納豆
  • 豆類
  • 小松菜

鉄不足では、疲れやすい、息切れ、動悸、めまい、顔色が悪い、爪が割れやすいなどの症状が現れる場合があります。

倦怠感を「食事量が減ったから仕方がない」と考えず、症状が続く場合は貧血の有無を確認しましょう。

カルシウムとビタミンDも忘れない

乳製品や魚をほとんど食べなくなると、カルシウムやビタミンDが不足する可能性があります。

次の食品を少量ずつ取り入れましょう。

  • 牛乳・ヨーグルト
  • チーズ
  • 豆腐
  • 小魚
  • 鮭やさば
  • きのこ類

乳製品で胃もたれする場合は、無糖ヨーグルトや少量のチーズ、カルシウムを強化した豆乳なども選択肢です。

水分不足を防ぐ

食事量が減ると、食事に含まれる水分の摂取量も減ります。

さらに、吐き気、嘔吐、下痢があると、脱水のリスクが高まります。

セマグルチドの医薬品情報では、吐き気、嘔吐、下痢が続く場合や、水分を口から取れない場合に脱水が起こる可能性があると注意されています。

一度に大量に飲むと吐き気が出る人は、次の方法を試しましょう。

  • 少量ずつ頻繁に飲む
  • 常温の水や白湯を選ぶ
  • 食事と食事の間に飲む
  • スープやみそ汁からも補給する
  • 下痢や嘔吐がある時は電解質も意識する

尿量が減る、尿の色が濃い、立ちくらみがある、口が強く乾く場合は、脱水が進んでいる可能性があります。

吐き気がある時の食事方法

ダイエット薬の開始後や増量後には、吐き気や胃の不快感が現れることがあります。

その場合は、一度に通常量を食べようとせず、少量を複数回に分けます。

NHS関連のチルゼパチド使用者向け資料では、吐き気がある時の対策として、脂肪の少ない淡泊な食品を選ぶ、ゆっくり食べる、満腹になったらやめる、食後すぐ横にならないことなどが案内されています。

試しやすい食品 避けたい食品・食べ方
おかゆ、うどん、クラッカー、トースト 揚げ物や脂肪の多い肉
豆腐、卵、白身魚 一度に大量に食べる
スープ、煮物 早食い
バナナ、ヨーグルト 食後すぐ横になる
常温の水や白湯 大量の飲酒

吐き気がある時も、食事を完全に抜き続けるのではなく、食べられる食品を少量ずつ取ることが大切です。

1日3食にこだわらなくてもよい

少量で満腹になる場合は、一般的な1日3食を食べ切ることが難しい場合があります。

その場合は、1回の食事量を減らし、4〜5回に分ける方法があります。

間食には、菓子や甘い飲料ではなく、次のような食品を選びましょう。

  • ゆで卵
  • 無糖ヨーグルト
  • チーズ
  • 豆乳
  • 果物
  • 少量のナッツ
  • ツナや蒸し鶏

食事回数を増やす目的は摂取カロリーを増やすことではなく、少量ずつ必要な栄養素を確保することです。

極端な低カロリー食を重ねない

ダイエット薬によって食欲が落ちている状態で、さらに断食や極端な糖質制限を重ねると、必要な栄養とエネルギーを確保できなくなる可能性があります。

次のような食事が続く場合は注意が必要です。

  • 1日1食だけ
  • 野菜ジュースだけ
  • プロテインだけ
  • サラダだけ
  • 主食を一切取らない
  • 数日間ほとんど食べない

NICEでは、体重管理薬は食事や身体活動を含む支援と組み合わせて使用することが推奨されています。薬を使用している場合も、栄養バランスを無視した食事制限を行うものではありません。

体重が急速に減るほどよいとは限らず、筋力や体調を維持できる範囲で減量することが重要です。

筋肉を守るために運動も組み合わせる

筋肉量を維持するには、たんぱく質を取るだけでなく、筋肉へ適度な刺激を与える必要があります。

体調に問題がなければ、ウォーキングなどの有酸素運動に加えて、スクワット、椅子からの立ち座り、軽い筋力トレーニングなどを取り入れます。

ただし、強い食欲低下や脱水がある状態で激しい運動を行うと、めまいや体調不良につながる可能性があります。

運動量は摂取できている食事量と体調に合わせ、極端な運動と食事制限を同時に行わないようにしましょう。

サプリメントを飲めば食事は少なくてよい?

マルチビタミンや鉄、カルシウムなどのサプリメントは、不足している栄養素を補う目的で利用されることがあります。

しかし、サプリメントだけでは、たんぱく質、エネルギー、食物繊維などを十分に確保できません。

また、必要のない成分を過剰に取ると、肝臓や腎臓へ負担をかけたり、薬と相互作用したりする可能性があります。

特に鉄、脂溶性ビタミン、カリウムなどは、自己判断で大量に使用しないことが重要です。

サプリメントは食事の代わりではなく、食事だけで不足することが確認された場合の補助として考えましょう。

栄養不足を疑うサイン

次の症状がある場合は、摂取カロリーや栄養素が不足している可能性があります。

  • 強い疲労感が続く
  • 立ちくらみやめまいがある
  • 筋力が落ちた
  • 髪が抜けやすくなった
  • 爪が割れやすい
  • 口内炎が繰り返す
  • 便秘が強くなった
  • 身体が冷えやすい
  • 月経周期が乱れた
  • 集中力が落ちた

体重が減っていても、日常生活へ支障が出るほど体力が落ちている場合は、順調な減量とはいえません。

すぐに相談した方がよい症状

次に当てはまる場合は、食事方法だけで対応せず、医療機関へ相談してください。

  • 水分を飲んでも吐いてしまう
  • 嘔吐や下痢が何日も続く
  • 尿が極端に少ない
  • 強い立ちくらみや失神がある
  • 短期間で急激に体重が減った
  • 強い腹痛が続く
  • 背中へ広がる上腹部痛がある
  • 皮膚や白目が黄色い
  • 食事をほとんど取れない
  • 意識がぼんやりする

セマグルチドやリラグルチドなどでは、持続する強い腹痛、嘔吐、胆のうに関係する症状などへ注意が必要です。

食べられない状態が続く場合は、薬がよく効いていると考えて我慢せず、用量や治療計画を見直すことが重要です。

個人輸入でダイエット薬を利用する場合の注意点

セマグルチド、リラグルチド、チルゼパチドなどの海外製品を、個人輸入で準備する人もいます。

個人輸入は、自宅から注文でき、海外製品や複数の容量を比較できる点を利便性と感じる人もいます。

一方、食欲が低下しすぎたからと自己判断で投与量を変えたり、早く痩せるために規定以上の量を使用したりすると、強い吐き気、嘔吐、脱水などにつながる可能性があります。

FDA(アメリカ食品医薬品局)は、調剤されたセマグルチド製品で投与量の誤りが起こり、強い吐き気、嘔吐、低血糖などが報告されたとして注意喚起しています。

個人輸入で利用する場合も、製品名、有効成分、1回量、使用頻度、保存方法を確認し、食べられないほどの副作用を我慢しないことが大切です。

ダイエット薬は、食事を取らなくてもよくなる薬ではありません。使用中も体重だけでなく、筋力、水分摂取、便通、月経、体調などを確認しましょう。

食事の具体例

食事 食事量が少ない時の例
朝食 卵入りスープ、無糖ヨーグルト、果物少量
昼食 小さめのおにぎり、蒸し鶏、温野菜
間食 チーズ、豆乳、ゆで卵のいずれか
夕食 魚または豆腐、ご飯少量、野菜の煮物

食欲がある日に大量に食べて不足分を埋めるのではなく、毎日少量ずつでも必要な食品群をそろえることが大切です。

一食を完璧にする必要はありませんが、1日から1週間の中で食品の偏りを減らしましょう。

実際によく聞かれるケース

29歳 女性

「食欲がほとんどなく、昼食を抜く日が続いていました。少量の卵やヨーグルトを間食に入れ、食べられる時にたんぱく質を優先するようにしました。」

41歳 男性

「体重は減りましたが、筋力まで落ちたように感じました。主食を完全に抜く方法をやめ、たんぱく質と軽い筋力トレーニングを取り入れました。」

52歳 女性

「吐き気があるのに通常量を食べようとして、さらに気分が悪くなっていました。脂肪の少ない食品を少量ずつ分けて食べることで、栄養を取りやすくなりました。」

※上記は個人の感想です。

まとめ

ダイエット薬を使用すると、食欲が低下し、少量の食事で満腹になることがあります。

しかし、食事量だけを極端に減らすと、たんぱく質、鉄、カルシウム、ビタミン、食物繊維などが不足する可能性があります。

栄養不足を防ぐには、食事量が少ない時ほど、肉・魚・卵・大豆製品などのたんぱく質を優先し、野菜と適量の主食を組み合わせることが重要です。

一度に食べられない場合は、食事を4〜5回に分け、卵、ヨーグルト、豆乳、チーズなどを間食として利用しましょう。

吐き気や胃もたれがある時は、脂肪の多い食品や大量の食事を避け、淡泊な食品をゆっくり少量ずつ食べます。

水分も一度に大量に飲まず、食事と食事の間に少しずつ補給してください。

強い疲労、筋力低下、めまい、脱毛、月経の乱れなどがある場合は、体重が減っていても栄養不足を疑う必要があります。

水分を取れないほどの嘔吐、尿量低下、強い腹痛、急激な体重減少がある場合は、薬が効いている証拠と考えず、用量や治療内容について医師や薬剤師へ相談しましょう。

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