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寝酒が習慣になると睡眠の質はどう変わる?眠りが浅くなる理由を解説

睡眠

寝酒が習慣になると睡眠の質はどう変わる?眠りが浅くなる理由を解説

監修:医師・薬剤師監修

「お酒を飲まないと寝つけない」

「寝酒をするとすぐ眠れるのに、夜中や早朝に目が覚める」

「毎晩飲んでいるけれど、睡眠薬より身体に優しい?」

アルコールには脳の働きを抑える作用があるため、飲酒後は眠気を感じやすくなります。そのため、寝つきをよくする目的で毎晩お酒を飲む人も少なくありません。

しかし、アルコールによる眠気と、身体を回復させる質の高い睡眠は同じではありません。

結論から言うと、寝酒は一時的に寝つきを早くすることがあっても、夜の後半に眠りを浅くし、中途覚醒や早朝覚醒、翌朝の疲労感を増やす可能性があります。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、質の高い睡眠を「途中で何度も起きず、目覚めた時に回復感のある睡眠」と説明し、就寝前の飲酒を避けるよう案内しています。

NHS(英国国民保健サービス)でも、アルコールは不眠を引き起こす代表的な要因のひとつとして挙げられています。

「お酒を飲むと眠れる」という感覚があっても、睡眠全体では質が低下している可能性があります。

この記事では、寝酒で睡眠の質が変化する仕組み、夜中に目が覚める理由、いびきや睡眠時無呼吸症候群との関係、寝酒を減らす際の注意点について解説します。

寝酒とは?

寝酒とは、寝つきをよくしたり不安を和らげたりする目的で、就寝前にお酒を飲むことです。

ビール、缶酎ハイ、ワイン、日本酒、ウイスキーなど、酒の種類にかかわらず、アルコールを睡眠のために使っていれば寝酒に当たります。

飲酒後は脳の活動が抑えられ、身体の緊張がゆるむため、普段より早く眠れることがあります。

しかし、アルコールは睡眠を自然に整えるのではなく、一時的な鎮静作用によって眠気を起こしています。

寝つきがよくなることと、朝まで深く眠れることは別の問題です。

寝酒をすると睡眠はどう変わる?

睡眠への影響 起こりやすい変化
寝つき 一時的に早くなることがある
夜の前半 鎮静作用によって強い眠気が出る
夜の後半 アルコールの作用が切れ、眠りが浅くなる
中途覚醒 夜中に何度も目が覚めやすくなる
早朝覚醒 予定より早い時間に目が覚めることがある
翌朝 疲労感、頭痛、口の渇き、眠気が残ることがある

アルコールは最初のうちは鎮静作用によって眠気を起こしますが、その作用は夜通し一定に続くわけではありません。

身体がアルコールを分解し、血中濃度が下がってくると、眠りが不安定になりやすくなります。

NHS関連の睡眠情報でも、アルコールは入眠を助けるように感じられるものの、作用が比較的早く切れ、夜の後半に睡眠が途切れやすくなると説明されています。

寝酒で夜中に目が覚める理由

アルコールの鎮静作用が切れる

飲酒直後は眠気が強くなりますが、アルコールが代謝されるにつれて脳の状態が変化します。

夜の後半には眠りが浅くなり、物音や身体の違和感で目が覚めやすくなります。

寝酒で寝つけても、3〜4時間後に目が覚める場合は、アルコールによる睡眠の分断が関係している可能性があります。

尿量が増える

アルコールには尿を増やす作用があるため、夜間にトイレへ行く回数が増えることがあります。

一度目が覚めると、アルコールの鎮静作用がすでに弱まっており、その後に寝つけなくなる場合があります。

喉が渇く

飲酒後は脱水気味になり、口や喉の渇きで目が覚めることがあります。

アルコールと一緒に塩分の多いおつまみを食べると、口渇や翌朝のむくみがさらに目立ちやすくなります。

体温調節が乱れる

アルコールを飲むと皮膚の血管が広がり、身体が温かくなったように感じます。

しかし、熱が外へ逃げやすくなり、睡眠中の体温調節が不安定になることがあります。

寝汗や寒さによって目が覚める人もいます。

深い睡眠やREM睡眠への影響

睡眠は一晩中同じ深さで続くのではなく、ノンレム睡眠とREM睡眠を繰り返しています。

深いノンレム睡眠は身体の休息に、REM睡眠は記憶や感情の整理などに関係します。

寝酒をすると自然な睡眠の構成が乱れ、夜の後半に浅い睡眠や覚醒が増えることがあります。

睡眠財団の医学レビューでは、アルコールは入眠を早めることがある一方、正常な睡眠パターンを乱し、より浅く回復感の乏しい睡眠や頻回の覚醒につながると報告されています。

十分な時間ベッドにいたのに疲れが取れない場合は、睡眠時間ではなく睡眠の構成が乱れている可能性があります。

寝酒で早朝覚醒しやすくなる

寝酒をした日は早く眠れたものの、午前3時や4時に目が覚め、その後眠れないことがあります。

これは、夜の後半にアルコールの鎮静作用が弱まり、睡眠が不安定になるためです。

さらに、動悸、口の渇き、尿意、胃の不快感などが重なると、再入眠が難しくなります。

NIAAA(アメリカ国立アルコール乱用・依存症研究所)は、早朝覚醒や疲労などの睡眠問題がある場合、就寝前の飲酒や多量飲酒の有無を確認することが重要としています。

翌朝の疲労感が強くなる理由

寝酒をした翌朝は、睡眠時間が足りていても、身体が重い、頭がぼんやりする、集中できないと感じることがあります。

主な原因には、次のようなものがあります。

  • 睡眠が何度も分断された
  • 睡眠の構成が乱れた
  • 脱水が起きている
  • 二日酔いがある
  • 血糖値や胃腸の状態が変化した
  • いびきや無呼吸が悪化した

NIAAAは、二日酔いで疲労、脱力、口渇、頭痛、吐き気、不安、発汗などが起こると報告しています。

寝酒で眠れた感覚があっても、翌日の集中力や活動量が落ちている場合は、睡眠の質が十分でない可能性があります。

いびきや睡眠時無呼吸症候群が悪化することもある

アルコールには、喉や舌の周辺にある筋肉をゆるめる作用があります。

就寝前に飲酒すると気道が狭くなり、いびきが強くなったり、睡眠中の呼吸停止が増えたりする可能性があります。

NHS(英国国民保健サービス)では、睡眠時無呼吸症候群の対策として飲酒量を減らすことが案内されています。

次の症状がある場合は注意が必要です。

  • 大きないびきを指摘される
  • 睡眠中に呼吸が止まっていると言われる
  • 息苦しくなって目が覚める
  • 起床時に頭痛がある
  • 日中の眠気が強い
  • 十分寝ても疲れが取れない

いびきや無呼吸がある人にとって、寝酒は睡眠を改善する方法ではなく、呼吸状態を悪化させる要因になる可能性があります。

寝酒を続けると飲酒量が増えやすい

同じ量のお酒を毎晩飲み続けると、以前ほど眠気を感じなくなることがあります。

これは、身体がアルコールの作用へ慣れる「耐性」が関係している可能性があります。

眠気を得るために飲酒量を増やすと、睡眠の分断や翌朝の不調が強くなり、健康への負担も増えます。

さらに、「お酒がないと眠れない」という不安が強くなり、寝酒をやめにくくなる場合があります。

NIAAAは、悪影響が出ていても飲酒量を減らしたり、飲酒を制御したりすることが難しい状態をアルコール使用障害と説明しています。

以前より寝酒の量が増えた、休肝日を作れない、朝や昼にも飲みたくなる場合は、睡眠だけでなく飲酒習慣全体の見直しが必要です。

寝酒をやめると最初は眠れなくなる?

寝酒が習慣になっている人がお酒をやめると、最初の数日は寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることがあります。

これは、お酒による鎮静作用がなくなったことに加え、「飲まないと眠れない」という不安が影響している場合があります。

少量の飲酒習慣であれば、時間とともに自然な睡眠リズムへ戻る可能性があります。

一方、毎日多量に飲んでいる人では、急な断酒によってアルコール離脱症状が起こることがあります。

NHS(英国国民保健サービス)では、アルコール依存がある人の離脱症状として、不眠、不安、発汗、吐き気などが数日間続くことがあると説明しています。

飲まないと手が震える、汗が出る、動悸がする、迎え酒で楽になる人は、自己判断で突然断酒せず、事前に医療機関へ相談してください。

寝酒と睡眠薬を一緒に使ってはいけない

寝酒をしても眠れないからと、睡眠薬や抗不安薬を追加するのは危険です。

アルコールと鎮静作用のある薬を併用すると、強い眠気、意識障害、転倒、異常行動、呼吸抑制などが起こる可能性があります。

CDC(アメリカ疾病予防管理センター)は、アルコールをベンゾジアゼピン系薬剤やオピオイドなどと同時または近い時間帯に使用すると、呼吸が困難になり、脳や臓器の損傷、死亡につながる可能性があると注意喚起しています。

NIAAAも、アルコールと鎮静作用のある医薬品の組み合わせは、転倒、交通事故、過量服用、死亡のリスクを高めると報告しています。

睡眠薬を使用している人は、寝酒で作用を補おうとしないことが重要です。

寝酒を減らすための方法

寝る直前の飲酒を避ける

まずは、飲酒終了時刻と就寝時刻の間を空けます。

寝床へ入る直前まで飲み続ける習慣を見直し、就寝前の飲酒量を少しずつ減らしましょう。

お酒以外の入眠習慣を作る

毎晩同じ流れを作ると、身体が眠る準備へ入りやすくなります。

  • 照明を少し暗くする
  • ぬるめの入浴をする
  • カフェインを含まない飲み物を選ぶ
  • 軽いストレッチをする
  • 寝床でスマホを見続けない
  • 毎朝同じ時間に起きる

寝つけない時は寝床で粘り続けない

眠くないのに長時間寝床にいると、「寝床=眠れずに悩む場所」と学習しやすくなります。

しばらく眠れない時は、一度寝床を離れ、暗めの場所で静かに過ごし、眠気が戻ってから寝床へ戻る方法があります。

起床時間を一定にする

眠れなかった翌日に昼まで寝ると、次の夜も寝つきにくくなります。

休日も含めて起床時間を大きく変えず、朝に日光を浴びることで体内時計を整えやすくなります。

CDCは、睡眠の質を整える方法として、毎日同じ時間に寝起きすることや、就寝前の飲酒を避けることを案内しています。

不眠が続く場合はCBT-Iも選択肢

寝酒をやめても不眠が続く場合は、不眠症に対する認知行動療法であるCBT-Iが検討されます。

CBT-Iでは、睡眠時間だけでなく、寝床での行動、眠れないことへの不安、生活リズムなどを整えます。

飲酒で無理に眠気を起こすのではなく、自然に眠れる習慣を作ることが目的です。

慢性的な不眠では、寝酒や薬だけに頼るのではなく、不眠の原因と睡眠習慣を見直すことが重要です。

医療機関へ相談した方がよいケース

  • お酒を飲まないと眠れない
  • 寝酒の量が徐々に増えている
  • 夜中や早朝に何度も目が覚める
  • 日中の眠気や疲労が強い
  • 大きないびきや無呼吸を指摘された
  • 睡眠薬とお酒を併用している
  • 飲まないと震えや発汗が出る
  • 飲酒が仕事や家庭へ影響している
  • 不眠が長期間続いている

幻覚、けいれん、意識の混乱、呼吸が遅い、呼びかけても起きないなどの症状がある場合は、速やかな対応が必要です。

個人輸入の睡眠薬を使っている場合の注意点

不眠対策として、海外製の睡眠薬やジェネリックを個人輸入で準備する人もいます。

個人輸入は、自宅から注文でき、複数の有効成分や製品を比較できる点を利便性と感じる人もいます。

一方、睡眠薬と寝酒を組み合わせると、薬の鎮静作用が予想以上に強まる可能性があります。

個人輸入で睡眠薬を利用する場合も、飲酒後に自己判断で服用したり、効かないからと複数錠を追加したりするのは危険です。

製造元、有効成分、含有量、使用期限を確認するとともに、抗不安薬、鎮痛薬、抗ヒスタミン薬など、眠気を起こす薬との併用にも注意してください。

実際によく聞かれるケース

36歳 男性

「寝酒をするとすぐ眠れるため、睡眠に良いと思っていました。しかし、毎晩午前3時頃に目が覚め、朝も疲れていました。飲酒時間と量を見直すと、途中で起きる回数が減りました。」

45歳 女性

「ワインを飲まないと眠れないと思い、少しずつ量が増えていました。入浴やストレッチなど、お酒以外の就寝習慣を作ることで寝酒を減らしました。」

57歳 男性

「寝酒をするといびきが強くなり、呼吸が止まっていると指摘されました。睡眠時間だけでなく、睡眠時無呼吸症候群と飲酒の関係を確認しました。」

※上記は一般的なケースをもとにしたイメージであり、睡眠への影響や改善度には個人差があります。

まとめ

寝酒はアルコールの鎮静作用によって、一時的に寝つきを早くすることがあります。

しかし、夜の後半にはアルコールの作用が切れて眠りが浅くなり、中途覚醒、早朝覚醒、翌朝の疲労感につながる可能性があります。

さらに、尿意、口の渇き、体温調節の乱れによって目が覚めたり、喉の筋肉がゆるんで、いびきや睡眠時無呼吸症候群が悪化したりする場合があります。

同じ量で眠れなくなり、寝酒の量が増えている場合は、アルコールへの耐性や依存にも注意が必要です。

睡眠薬とアルコールの併用は、意識障害、転倒、異常行動、呼吸抑制などの危険があるため避けてください。

寝酒を減らす際は、起床時間をそろえる、就寝前の飲酒を避ける、入浴やストレッチなど別の入眠習慣を作ることが役立ちます。

ただし、毎日多量に飲んでいる、飲まないと震えや発汗が出る、迎え酒で楽になる場合は、急な断酒で離脱症状が起こる可能性があります。

寝酒がないと眠れない状態が続く場合は、お酒の量だけでなく、不眠症、睡眠時無呼吸症候群、アルコール使用障害などの有無を確認することが重要です。

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