低用量ピルを1錠飲み忘れたらどうする?避妊効果への影響を解説
医師・薬剤師監修
「昨日のピルを飲み忘れた」「朝になって1錠残っていることに気づいた」とき、避妊効果がなくなってしまうのではと不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、一般的な配合型低用量ピルで、ホルモンを含む錠剤を1錠だけ飲み忘れ、予定時刻から48時間未満であれば、気づいた時点ですぐ服用し、その後は通常どおり続けるのが基本です。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の2024年の推奨では、1錠の飲み忘れが24~48時間未満の場合、追加の避妊方法は通常必要ないとされています。
ただし、ピルには種類があり、黄体ホルモン単剤のピルなどでは飲み忘れ時のルールが異なります。最終的には使用している製品の添付文書や処方医の指示を優先してください。
「飲み忘れ」と「数時間遅れた」は違う
配合型低用量ピルの場合、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、予定時刻から24時間未満の遅れを「遅れて服用」、24時間以上経過したものを「飲み忘れ」と区別しています。
例えば毎晩22時に飲んでいて、翌朝8時に気づいた場合は10時間の遅れです。この程度であれば、気づいた時点で服用し、その日の分は通常時刻に飲みます。
数時間ずれただけで、すぐに避妊効果が失われるわけではありません。
1錠だけ飲み忘れたらどうする?
一般的な配合型低用量ピルで、1錠のホルモン錠を飲み忘れ、前回飲むべき時刻から48時間未満の場合は、気づいた時点でその1錠を飲みます。
その後は、次の錠剤をいつもの時間に服用します。
そのため、気づいたタイミングによっては1日に2錠飲むことがあります。
「昨日の分を忘れたから今日は昨日分だけ飲み、今日分を翌日にずらす」という方法ではなく、通常の服用スケジュールへ戻すことが基本です。
1日に2錠飲んでも大丈夫?
飲み忘れに気づいた時刻によっては、忘れた1錠と当日分を同じ日に服用することになります。
これは飲み忘れ時の対応として認められている方法です。
ただし、一時的に吐き気などを感じることがあります。
自己判断で3錠、4錠とまとめて服用することは避けてください。
1錠忘れただけなら避妊効果は落ちない?
一般的な配合型低用量ピルでは、1錠のみの飲み忘れであれば排卵抑制がすぐ失われるとは考えにくいとされています。
FSRH(英国性と生殖に関するヘルスケア学会)でも、配合型ピルを1錠だけ忘れた程度では、通常は卵巣の抑制が解除されるには不十分とされています。
そのため、1錠だけ・48時間未満の飲み忘れであれば、通常はコンドームなど追加避妊は必要ありません。
偽薬を飲み忘れた場合は?
28錠タイプのピルには、ホルモンを含まない偽薬(プラセボ錠)が含まれている製品があります。
偽薬は飲み忘れても避妊効果には影響しません。
重要なのは、ホルモンを含む実薬を正しく服用できているかどうかです。
ただし、偽薬期間が終わったあとに新しいシートを開始するのを忘れると、ホルモンを飲まない期間が延びてしまうため注意が必要です。
2錠以上連続で忘れた場合は対応が変わる
2錠以上連続して忘れ、前回服用すべき時刻から48時間以上経過している場合は、1錠だけの飲み忘れとは扱いが異なります。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、最も最近飲み忘れた1錠をすぐ服用し、それ以前の飲み忘れ分は破棄して、その後は通常どおり継続するよう推奨しています。
さらに、ホルモン錠を7日間連続で正しく服用するまでは、性交を避けるかコンドームなどを使用する必要があります。
シートの最初に飲み忘れるとリスクが高い理由
特に注意したいのが、新しいシートを開始した直後の飲み忘れです。
休薬期間や偽薬期間の直後に実薬を忘れると、ホルモンを取らない期間が予定より長くなります。
この期間が長くなるほど、卵胞が成長し、排卵が起こる可能性が高まります。
飲み忘れでは、「何錠忘れたか」だけでなく「休薬期間が長くなっていないか」が非常に重要です。
1週目に2錠以上忘れて性交していたら?
シート第1週に2錠以上のホルモン錠を忘れ、その前5日以内に避妊なしの性交があった場合は、緊急避妊を検討することがあります。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)でも、このケースでは緊急避妊を検討するよう推奨しています。
この状況では自己判断で様子を見ず、できるだけ早く婦人科などへ相談しましょう。
シート後半で2錠以上忘れた場合は?
実薬の最後の週に2錠以上飲み忘れた場合、通常の休薬・偽薬期間を設けると、ホルモンのない期間が長くなってしまいます。
そのため、現在のシートの実薬を飲み終えたら偽薬・休薬期間を飛ばし、翌日から次のシートを開始する方法が推奨される場合があります。
シート後半の連続した飲み忘れでは、次のシートの開始方法にも注意が必要です。
飲み忘れた日に性行為してしまったら?
1錠のみ・48時間未満の飲み忘れであれば、一般的な配合型低用量ピルでは通常、緊急避妊は必要ありません。
ただし、それ以前にも飲み忘れがあった場合や、新しいシートの開始が遅れていた場合は状況が変わります。
直近の服用状況をシート全体で確認することが大切です。
飲み忘れ後に出血しても大丈夫?
ホルモン量が一時的に変化すると、不正出血が起こることがあります。
少量の出血だけであれば、飲み忘れ後にみられることがあります。
出血したからといって、自己判断でピルを中止する必要はありません。
基本的には指示どおり服用を続けますが、大量出血や強い腹痛がある場合は医療機関へ相談してください。
嘔吐した場合も「飲み忘れ」になる?
ピルを飲んだ直後に嘔吐すると、薬が十分吸収されていない可能性があります。
FSRH(英国性と生殖に関するヘルスケア学会)では、配合型ピル服用後3時間以内に嘔吐した場合や、激しい下痢が24時間以上続く場合は、飲み忘れ時の対応を参考にするよう示しています。
胃腸炎などで嘔吐・下痢が続いている場合は、追加避妊が必要になることがあります。
低用量ピルなら全部同じルール?
いいえ。
一般的なエストロゲン+黄体ホルモンを含む「配合型ピル」と、黄体ホルモンだけを含む「プロゲスチン単剤ピル」では、飲み忘れ時の対応が異なります。
例えば一部のプロゲスチン単剤ピルでは、数時間の遅れでも追加避妊が必要になる場合があります。一方、ドロスピレノンを含む単剤ピルでは別の基準が用いられます。
「ピルは1錠忘れても大丈夫」という情報を、自分が使っているすべてのピルへそのまま当てはめないでください。
毎日飲む時間が少しずれるのは?
配合型低用量ピルでは、数時間程度のずれで直ちに避妊効果が失われるわけではありません。
ただし、毎日同じ時間に飲む習慣をつけたほうが飲み忘れを防ぎやすくなります。
スマートフォンのアラームや服薬管理アプリを使い、歯磨きや就寝など毎日の習慣とセットにすると続けやすくなります。
翌日に2錠飲むと副作用が強くなる?
飲み忘れへの対応で同日に2錠服用すると、一時的に吐き気、頭痛などを感じることがあります。
通常は重い問題につながるとは限りませんが、症状が強い場合には医師・薬剤師へ相談してください。
副作用が心配だからと忘れた分を飛ばすのではなく、製品ごとの飲み忘れルールを確認することが大切です。
妊娠が心配なときはいつ検査する?
複数錠を忘れた時期に避妊なしの性交があった場合など、妊娠の可能性が気になることがあります。
妊娠検査薬を使用する時期は製品によって異なるため、説明書に従ってください。
また、消退出血がない、いつもと異なる症状があるなど不安がある場合には婦人科へ相談しましょう。
飲み忘れ後の不安を抱えたまま次のシートを自己判断で中止するより、医療機関へ確認するほうが安全です。
飲み忘れを繰り返す場合は?
ピルの避妊効果は、正しく継続して服用することで維持されます。
飲み忘れが頻繁に起こる場合は、毎日服用する方法が生活スタイルに合っていない可能性があります。
何度も飲み忘れる場合は、別の避妊方法を含めて医師へ相談することも選択肢です。
性感染症はピルでは防げない
低用量ピルは妊娠を防ぐための方法ですが、クラミジア、淋菌、梅毒、HIVなどの性感染症を予防するものではありません。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)でも、性感染症予防にはコンドームの適切な使用が重要とされています。
避妊目的でピルを使用していても、性感染症予防が必要な場合はコンドームを使用しましょう。
まとめ
一般的な配合型低用量ピルで、ホルモンを含む錠剤を1錠だけ飲み忘れ、予定時刻から48時間未満であれば、気づいた時点ですぐに服用し、その後は通常どおり続けるのが基本です。
この場合、通常はコンドームなどの追加避妊や緊急避妊は必要ありません。
一方、2錠以上連続で忘れた場合、新しいシートの開始が遅れた場合などでは、排卵が起こる可能性が高まり、7日間の追加避妊や緊急避妊を検討することがあります。
また、ピルの種類によって飲み忘れ時の基準は異なります。自分が服用している製品名と添付文書を確認し、不明な場合や避妊なしの性交があって妊娠が心配な場合は、医師・薬剤師へ早めに相談してください。

