性欲を高める生活習慣|男性・女性それぞれで意識したいポイント
医師・薬剤師監修
「以前より性欲が落ちた」「パートナーとの性生活に積極的になれない」と感じることは珍しくありません。性欲(リビドー)は常に一定ではなく、年齢、体調、ストレス、睡眠、ホルモン、パートナーとの関係などによって変化します。NHS(英国国民保健サービス)でも、性欲低下の主な原因としてストレスや不安、うつ、関係性の問題、性的なトラブル、ホルモン変化、一部の薬などが挙げられています。
そのため、性欲を高めたい場合は「精力がつく食べ物」だけを探すより、睡眠・運動・ストレス・飲酒など生活全体を見直すことが重要です。また、男性と女性では性欲低下の背景に異なる要因が関係することもあります。
まず知っておきたい「性欲は日によって変わる」
性欲には個人差があり、毎日同じ強さで感じるものではありません。仕事が忙しい時期や睡眠不足の日、体調が悪い日などに一時的に性欲が落ちても、必ずしも異常とは限りません。
一方、以前と比べて明らかに性欲が低下した状態が長く続いている場合には、生活習慣だけでなく病気や薬の影響が隠れていることもあります。特に抗うつ薬や一部の降圧薬などでは、性欲や性的機能への影響がみられる場合があります。NHS(英国国民保健サービス)でも、一部の抗うつ薬で性欲低下などの性的な副作用が起こることが示されています。
男女共通で意識したい性欲を保つ生活習慣
1.十分な睡眠を確保する
疲れているときに性欲が低下するのは不自然なことではありません。慢性的な睡眠不足では、身体的な疲労だけでなく気分や集中力などにも影響が出ます。
男性では、睡眠不足や運動不足、過度な飲酒などが中年期の不調に関係する可能性がNHS(英国国民保健サービス)でも示されています。
毎日極端に睡眠時間が短い人は、性欲を高める方法を探す前に、まず睡眠時間と睡眠の質を見直してみましょう。
2.適度な運動を続ける
定期的な運動は、体力や心血管系の健康、気分、体重管理など幅広い面に役立ちます。こうした変化は、性機能や性的な満足感にも間接的に影響する可能性があります。
女性を対象とした研究レビューでは、継続的な運動によって心血管系の健康や気分、ボディイメージなどが改善し、性的なウェルビーイングにつながる可能性が報告されています。
男性についても、有酸素運動が勃起機能の改善につながる可能性を示した研究があります。
いきなり激しい運動を始める必要はありません。ウォーキング、軽いジョギング、スクワットなど、続けられる運動から始めることが大切です。
3.ストレスをため込みすぎない
性欲は身体だけでなく心理状態にも大きく影響されます。仕事や家事、人間関係などで頭がいっぱいの状態では、性的なことに気持ちが向かなくなることがあります。
NHS(英国国民保健サービス)では、ストレス、不安、うつなどが性欲低下の原因になることがあるとされています。
特に「性欲を出さなければ」「パートナーに応えなければ」と強く意識すると、それ自体がプレッシャーになることがあります。
性欲は努力して無理に作るものではありません。休息や一人でリラックスできる時間を確保することも重要な対策です。
4.お酒を飲みすぎない
少量の飲酒で緊張がほぐれ、性的な気分になりやすいと感じる人もいます。しかし、飲酒量が多くなると逆効果になることがあります。
男性では過度な飲酒が勃起しにくさにつながることがあり、NHS(英国国民保健サービス)でも疲労や飲みすぎが一時的な勃起不良の原因として挙げられています。
また、慢性的な多量飲酒は健康全体にも影響します。性欲や性機能が気になる人は、飲酒量を見直してみることも有効です。
5.無理なダイエットを避ける
短期間で極端に食事量を減らすダイエットは、疲労感や体調不良につながります。性欲を維持するためにも、エネルギーやたんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラルなどをバランスよく摂ることが基本です。
「性欲を上げる食品」として特定の食材が紹介されることがありますが、特定の食品を食べるだけで性欲が大きく高まるとする十分な医学的根拠はありません。まずは偏りの少ない食生活を続けましょう。
男性が特に意識したい生活習慣
男性は「性欲」と「勃起力」を分けて考える
男性の場合、「性欲がない」と「性欲はあるけれど勃起しにくい」が混同されることがあります。
勃起機能には血管や神経、心理状態などが関係します。一方、性欲にはテストステロンなどのホルモン、ストレス、疲労、精神状態などが関係します。
つまり、性欲は十分あるのに勃起しにくい場合は、単純な「精力不足」ではない可能性があります。
運動不足や肥満を見直す
男性の性機能は心血管系の健康とも関連します。定期的な運動を行い、体重や血圧、血糖値などを適切に管理することは、性機能だけでなく生活習慣病予防の面でも重要です。
また、運動によって体力や自信がつくことで、性的な意欲に良い影響を感じる人もいます。
低テストステロンが疑われる場合は医療機関へ
男性ではテストステロンが低下すると、性欲低下や疲労感、筋肉量の減少などが現れることがあります。Mayo Clinicでも、男性の低テストステロンで性欲や性的活動の低下がみられる場合があるとされています。
ただし、「最近性欲がない」というだけでテストステロン不足と決めつけることはできません。
性欲低下とともに強い疲労感、筋力低下、勃起機能の変化などが続く場合は、泌尿器科などで相談することを検討しましょう。
女性が特に意識したい生活習慣
女性の性欲は身体だけでなく心理・関係性にも左右されやすい
女性の性欲低下には、ストレス、疲労、不安、ボディイメージ、パートナーとの関係などさまざまな要因が関係します。Mayo Clinicでも、女性の性欲低下にストレス、不安やうつ、自己評価、過去の性的経験など複数の心理的要因が関係するとされています。
そのため、食事や運動だけを改善しても、パートナーとの関係や心理的な負担が大きい状態では性欲が戻らないことがあります。
女性では「身体を整えること」と「性的なことを考えられる心の余裕を作ること」の両方が重要です。
更年期では性欲低下だけでなく乾燥や痛みにも注目
更年期になると女性ホルモンの変化によって、性欲の変化だけでなく腟の乾燥や性交時の痛みが起こることがあります。NHS(英国国民保健サービス)関連情報でも、更年期には低い性欲、睡眠障害、腟の乾燥、性交痛などがみられる場合があるとされています。
「性欲がない」と思っていても、実際には「痛みがあるからしたくない」というケースもあります。
この場合は生活習慣だけで改善しようとせず、婦人科で相談することも重要です。
出産後や育児中は性欲が落ちても珍しくない
妊娠・出産後はホルモン環境が大きく変化します。さらに睡眠不足や授乳、育児による疲労などが重なるため、一時的に性欲が低下することがあります。NHS(英国国民保健サービス)でも、妊娠や出産後のホルモン変化、育児による疲労やストレスが性欲低下につながることがあるとされています。
この時期に「昔のように性欲がない」と焦る必要はありません。
パートナーとのコミュニケーションも重要
性欲の問題は、必ずしも一人だけの身体的な問題ではありません。
性交の頻度への考え方、スキンシップの量、仕事や家事の負担、不満などが積み重なり、性的な気持ちが起こりにくくなることもあります。
「最近したくない」という気持ちを無理に抑えるより、「疲れている」「もう少しスキンシップから始めたい」など、自分の状態を伝えることも大切です。
性交だけをゴールにせず、ハグや会話など性的でない親密さを増やすことから始めてもよいでしょう。
性欲を高めるサプリや薬に頼る前に確認したいこと
性欲が低下すると、精力剤やサプリメントを試したくなる方もいるでしょう。
しかし、性欲低下の原因が睡眠不足、ストレス、薬の副作用、ホルモン異常、うつ、更年期などであれば、サプリメントだけで解決するとは限りません。
また、男性向けのED治療薬は勃起を補助する薬であり、性欲そのものを直接高める薬ではありません。
性欲低下が長期間続く場合は、原因を確認せずに商品を次々試すよりも、まず医師へ相談するほうが適切な場合があります。
こんな場合は医療機関へ相談を
性欲には個人差があるため、「月に何回性行為をしたいと思わなければ異常」といった明確な基準はありません。
ただし、以前は性欲があったのに急に低下した、数か月以上続いている、本人が強く悩んでいる、勃起障害や性交痛を伴う、強い疲労感や気分の落ち込みがあるといった場合には、一度医療機関へ相談してみましょう。
男性であれば泌尿器科、女性であれば婦人科が相談先のひとつです。服用している薬が影響している可能性もあるため、自己判断で薬を中止せず医師や薬剤師に確認してください。
まとめ
性欲を高めたい場合、特別な食品やサプリメントだけに頼るのではなく、睡眠、運動、ストレス、飲酒、食事など日常生活を整えることが基本です。
男性では運動不足や疲労、飲酒、テストステロン低下などが関係することがあり、女性ではストレスや心理状態、パートナーとの関係、妊娠・出産、更年期なども大きく影響します。
そして最も大切なのは、性欲にはもともと個人差があり、常に高く保つ必要はないということです。
「性欲を無理に上げる」のではなく、まず心身のコンディションを整え、それでも以前との大きな変化が続く場合に原因を確認するという考え方がよいでしょう。

