胸やけが毎日続くのは逆流性食道炎?食後に悪化する理由
医師・薬剤師監修
「食事をすると胸のあたりが焼けるように感じる」「毎日のように胸やけがする」「横になると酸っぱいものが上がってくる」といった症状が続く場合、逆流性食道炎などの胃食道逆流症が関係している可能性があります。
胸やけは一時的に起こることもありますが、ほぼ毎日のように繰り返している場合は、単なる食べすぎだけではなく、胃酸の逆流が慢性的に起きていないか確認することが大切です。
特に食後は胃の中に食べ物が入り、胃が膨らむため、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなります。脂っこい食事や食べすぎ、食後すぐに横になる習慣などによって症状が悪化することもあります。
- そもそも「胸やけ」とはどんな症状?
- 逆流性食道炎とは?
- なぜ食後に胸やけが悪化しやすい?
- 食道と胃の境目には逆流を防ぐ仕組みがある
- 脂っこい食事で悪化するのはなぜ?
- 食後すぐ横になると胸やけしやすい
- 前かがみになると悪化することも
- 肥満と逆流性食道炎の関係
- コーヒーやお酒でも悪化する?
- 炭酸飲料にも注意したほうがいい?
- 胃もたれと胸やけは同じ?
- 喉の違和感や咳も逆流が原因になることがある?
- 市販の胃薬を毎日飲み続けてもいい?
- 逆流性食道炎ではどんな薬を使う?
- 食事量を減らすと改善することも
- ベルトや服でお腹を締めすぎない
- 毎日胸やけするなら受診したほうがいい?
- 飲み込みにくさや体重減少がある場合は要注意
- 胸の痛みをすべて胸やけと思わないことも重要
- まとめ
そもそも「胸やけ」とはどんな症状?
胸やけとは、みぞおちから胸の中央、喉にかけて焼けるような不快感を感じる症状です。
心臓の近くが痛むように感じるため「胸やけ」と呼ばれますが、代表的な原因のひとつは胃酸や胃の内容物が食道へ逆流することです。
食道は胃と違って、強い胃酸に長時間さらされることを前提とした構造ではありません。そのため胃酸が繰り返し逆流すると、食道が刺激され、胸やけや痛みを感じるようになります。
酸っぱい液体が喉まで上がってくる「呑酸(どんさん)」を同時に感じる人もいます。
逆流性食道炎とは?
胃酸や胃の内容物が食道へ繰り返し逆流し、食道に炎症を起こしている状態が逆流性食道炎です。
一方、内視鏡で明らかな炎症が確認できなくても、逆流による胸やけや呑酸などに悩まされることがあります。こうした状態も含めて、胃食道逆流症(GERD)として扱われます。
「胸やけがある=必ず食道に傷がある」というわけではありませんが、症状が繰り返す場合には胃食道逆流症を疑うきっかけになります。
なぜ食後に胸やけが悪化しやすい?
食事をすると胃の中には食べ物と胃液がたまります。
胃が膨らむと、胃の内容物が食道側へ押し戻される力も強くなります。特に一度に大量の食事をすると胃内の圧力が高くなり、逆流が起こりやすくなります。
さらに食後は胃酸の分泌も増えるため、逆流した際に食道への刺激を強く感じる場合があります。
「空腹時は平気なのに、食後30分~数時間すると胸やけする」というパターンは珍しくありません。
食道と胃の境目には逆流を防ぐ仕組みがある
通常、食道と胃の境目には下部食道括約筋などによる逆流防止機能があります。
食べ物が胃へ入るときには緩み、それ以外の時間は胃の内容物が食道へ戻らないよう働いています。
しかし、この働きが弱くなったり、不適切なタイミングで緩んだりすると、胃酸が食道へ逆流しやすくなります。
逆流性食道炎は「胃酸が多いこと」だけが原因ではなく、胃と食道の境目で逆流を防ぐ機能も関係しています。
脂っこい食事で悪化するのはなぜ?
揚げ物、脂身の多い肉、クリームを多く使った料理など、高脂肪の食事を食べたあとに胸やけが強くなる人もいます。
脂肪の多い食事では胃から食べ物が排出されるまでに時間がかかりやすく、胃の中に内容物が長く残ることで逆流が起こりやすくなる場合があります。
また、高脂肪食が食道と胃の境目の働きへ影響する可能性もあります。
毎回こってりした夕食のあとに症状が出る場合は、食事内容との関連を確認してみましょう。
食後すぐ横になると胸やけしやすい
立ったり座ったりしている状態では、重力によって胃の内容物は下方向へ移動しやすくなります。
ところが食後すぐ横になると、重力による逆流防止効果が弱くなり、胃酸が食道へ上がりやすくなります。
夜間に胸やけが起こる人は、夕食後すぐに布団へ入る習慣がないか確認してみましょう。
夜間の逆流症状がある場合には、就寝の少なくとも3時間程度前までに食事を済ませることが対策のひとつになります。
前かがみになると悪化することも
食後に床の物を取ったり、腹部を圧迫する姿勢を続けたりすると胸やけが強くなることがあります。
腹部に圧力がかかることで、胃の内容物が食道方向へ押し上げられやすくなるためです。
食後に症状が強い場合は、しばらく上半身を起こした状態で過ごすとよいでしょう。
肥満と逆流性食道炎の関係
体重が増えると腹腔内の圧力が高くなり、胃の内容物が食道へ逆流しやすくなることがあります。
そのため、肥満や過体重がある人では、体重を適正範囲へ近づけることで症状が軽減する場合があります。
胸やけ対策は食べ物だけではなく、体重管理も重要になることがあります。
コーヒーやお酒でも悪化する?
胸やけを悪化させる食べ物・飲み物には個人差があります。
一般的には、アルコール、コーヒーなどのカフェイン飲料、チョコレート、香辛料の多い食事、酸味の強い食品、高脂肪食などで症状が出やすい人がいます。
ただし、すべての食品を一律に禁止する必要はありません。
「これを食べると毎回胸やけする」という食品がある場合に、まず量を減らして症状が変わるか確認するとよいでしょう。
炭酸飲料にも注意したほうがいい?
炭酸飲料を飲むと胃が膨らみ、げっぷが増えることがあります。
げっぷと一緒に胃の内容物が食道へ逆流し、胸やけを感じる人もいます。
炭酸飲料を飲むたびに症状が出る場合には、飲む量を減らしてみるのも方法のひとつです。
胃もたれと胸やけは同じ?
胃もたれと胸やけは混同されることがありますが、同じ症状ではありません。
胃もたれでは、みぞおち付近が重い、少し食べただけですぐ満腹になる、お腹が張るなどの症状が中心です。
一方、胸やけでは胸の中央が焼けるように感じたり、胃酸が喉へ上がってきたりします。
胸やけと胃もたれが同時に起こることはありますが、症状の原因や治療方法が異なる場合があります。
喉の違和感や咳も逆流が原因になることがある?
胃食道逆流症では、胸やけだけではなく、慢性的な咳、声のかすれ、喉の違和感などがみられることがあります。
特に横になる夜間に咳が出る、朝起きると喉がイガイガするなどの場合、胃酸の逆流が関係している可能性があります。
ただし、咳や喉の症状には呼吸器疾患やアレルギーなど別の原因もあるため、症状だけで逆流性食道炎と断定することはできません。
市販の胃薬を毎日飲み続けてもいい?
胸やけに対しては、胃酸を中和する制酸薬や胃酸の分泌を抑える薬などが使用されます。
一時的な軽い胸やけであれば市販薬で改善することもありますが、毎日のように薬が必要な場合には注意が必要です。
市販薬で症状を抑え続けるだけではなく、胸やけが繰り返す原因を確認することが大切です。
NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)でも、症状が市販薬や生活改善でよくならない場合には医療機関への相談が勧められています。
逆流性食道炎ではどんな薬を使う?
医療機関では症状に応じて、胃酸の分泌を抑えるPPI(プロトンポンプ阻害薬)やH2受容体拮抗薬などが使用されることがあります。
PPIは胃酸分泌を強く抑える薬で、逆流性食道炎の治療に広く使用されています。
ただし、胸痛の原因が本当に胃食道逆流症なのか、どの程度治療が必要なのかによって選択は異なります。
知人からもらった胃薬などを自己判断で使うのではなく、症状が続く場合は診断を受けましょう。
食事量を減らすと改善することも
1回に大量に食べるほど胃は大きく膨らみ、逆流が起こりやすくなる可能性があります。
特に夜遅くに一日の食事量の大部分をまとめて食べる生活では、食後から就寝まで症状が続きやすくなります。
一度に満腹まで食べすぎないことは、食後の胸やけを減らすための基本的な工夫のひとつです。
ベルトや服でお腹を締めすぎない
ウエストを強く締めるベルトや補正下着などによって腹部が圧迫されると、胃内の圧力が高まり、胸やけを感じやすくなることがあります。
食後に症状が出やすい人は、腹部を強く締めつけない服装も意識してみましょう。
毎日胸やけするなら受診したほうがいい?
一時的な胸やけは珍しくありません。
しかし、NHS(英国国民保健サービス)では、ほぼ毎日のように胸やけがある場合や、生活改善・市販薬で改善しない場合には医療機関への相談が勧められています。
毎日症状が続いている場合は、「いつもの胃もたれ」と放置せず、消化器内科などで相談しましょう。
飲み込みにくさや体重減少がある場合は要注意
胸やけに加えて、食べ物がつかえる、飲み込むと痛い、何度も吐く、理由なく体重が減るといった症状がある場合は、早めの評価が必要です。
また、吐血や黒い便が出る場合には消化管出血の可能性があります。NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)でも、嚥下障害、持続する嘔吐、消化管出血の兆候、原因不明の体重減少などが受診すべき症状として挙げられています。
このような症状がある場合は、市販の胃薬だけで長期間様子を見るのは避けましょう。
胸の痛みをすべて胸やけと思わないことも重要
特に注意したいのが胸痛です。
心筋梗塞や狭心症などでも胸部に圧迫感や痛みが起こり、「胸やけのような感じ」と表現されることがあります。
突然の強い胸痛、締めつけられるような痛み、息苦しさ、冷や汗、腕や顎などへ広がる痛みがある場合は、逆流性食道炎と自己判断せず速やかな医療対応が必要です。
まとめ
毎日のように胸やけが続く場合には、胃酸や胃の内容物が食道へ繰り返し逆流する胃食道逆流症や逆流性食道炎が原因のひとつとして考えられます。
特に食後は胃が食べ物で膨らみ、胃酸の分泌も増えるため、逆流症状が起こりやすくなります。また、食べすぎ、高脂肪食、食後すぐ横になる習慣、飲酒などによって症状が悪化することがあります。
対策では、満腹まで食べない、食後すぐ横にならない、自分の症状を悪化させる食品を確認することが基本です。
一方、毎日の胸やけや、市販薬を使っても改善しない症状、飲み込みにくさ、体重減少、嘔吐、出血などがある場合には医療機関へ相談してください。
胸やけはよくある症状ですが、毎日続く場合には「食べすぎだから」と放置せず、原因を確認することが大切です。

