1日5分の筋トレを毎日続けても効果はある?
監修:医師・薬剤師
「筋トレをしたいけれど、毎日まとまった時間を取るのは難しい」「1日5分程度では意味がないのでは?」と考える方もいるでしょう。
結論からいうと、1日5分の筋トレでも、何もしない場合と比べれば筋力や体力の維持・向上につながる可能性があります。特にこれまでほとんど運動をしていなかった人にとっては、短時間でも定期的に筋肉へ刺激を与えることに意味があります。
ただし、「毎日5分やれば必ず筋肉が大きくなる」というわけではありません。筋トレの効果は、運動時間だけではなく、負荷の強さ、回数、種目、頻度、休養などによって変わります。
筋トレは長時間やらなければ意味がない?
筋力トレーニングでは、「何分運動したか」だけで効果が決まるわけではありません。
例えば5分間でも、スクワットや腕立て伏せなどを適切なフォームで行い、筋肉に十分な負荷をかければ、筋肉への刺激になります。反対に30分間運動していても、負荷が非常に軽くほとんど筋肉へ刺激が入っていなければ、筋力向上という意味では効果が小さくなる可能性があります。
NHS(英国国民保健サービス)では、筋力を高める運動について「もう1回繰り返すことが難しい」と感じる程度まで筋肉を使うことを目安のひとつとして紹介しています。また、8~12回程度を1セットとして、徐々に回数や負荷を増やす方法が示されています。
そのため、「5分しかできないから意味がない」のではなく、その5分をどのように使うかが重要と考えましょう。
1日5分を毎日続けるメリット
運動を習慣化しやすい
短時間筋トレの大きなメリットは、生活の中に取り入れやすいことです。
「毎日1時間トレーニングする」と決めると仕事や家事が忙しい日に続けにくくなりますが、5分であれば起床後、入浴前、テレビを見る前などに組み込みやすくなります。
WHO(世界保健機関)は成人に対して、筋力を高める活動を週2日以上行うことを推奨しています。
また、NHS(英国国民保健サービス)も成人について、できるだけ毎日何らかの身体活動を行い、主要な筋肉を鍛える活動を週2日以上取り入れることを推奨しています。
まず運動する習慣を身につけたい人にとって、「毎日5分」は現実的なスタート方法のひとつです。
運動不足の解消につながる
普段ほとんど運動をしていない人であれば、短時間の筋トレでも、それまでより身体活動量を増やすことができます。
米国の身体活動ガイドラインでも、身体活動による健康上の利益を得るためには「少しでも身体を動かすこと」が重要であり、活動量を徐々に増やしていく考え方が示されています。成人では筋力トレーニングを週2日以上取り入れることが推奨されています。
運動習慣がゼロの状態で「理想的なトレーニング時間」を目指して挫折するよりも、まず5分から始めて継続するほうが取り組みやすいでしょう。
毎日同じ筋肉を鍛えてもいい?
ここは注意したいポイントです。
毎日5分運動することと、毎日まったく同じ筋肉を強い負荷で鍛えることは同じではありません。
筋肉はトレーニングによって刺激を受けたあと、休養や栄養を取りながら回復します。高い負荷をかけた筋肉に十分な休養を与えず、毎日同じ部位を追い込むと、疲労が蓄積してフォームが崩れたり、関節などへ負担がかかったりする可能性があります。
そのため、毎日5分行いたい場合は、例えば「今日は下半身」「翌日は上半身」のように鍛える部位を変える方法があります。
一方、運動初心者が軽めのスクワットや体幹運動などを短時間行う程度であれば、体調を見ながら日常的に取り入れることも可能です。痛みや強い疲労があるときは無理をせず休みましょう。
5分間ならどんな筋トレをすればいい?
短時間で行う場合は、多くの筋肉を同時に使いやすい種目を選ぶと効率的です。
例えば、下半身を中心に鍛えるスクワット、胸や腕を使う腕立て伏せ、腹部や体幹を使うプランクなどがあります。筋力に自信がない場合は、椅子から立ち上がる運動や、壁に手をついて行う腕立て伏せなどから始めてもよいでしょう。
NHS(英国国民保健サービス)でも、筋力トレーニングにはウエイトだけでなく、自分の体重を利用した運動などさまざまな方法があるとされています。
重要なのは種目数を増やすことではなく、短時間でも正しいフォームで、自分に合った負荷をかけることです。
5分の筋トレに慣れたら少しずつ負荷を上げる
筋トレを始めた当初は5分でも十分きつく感じることがありますが、続けると同じ運動が楽に感じるようになります。
その場合は、回数を増やす、動作をゆっくり行う、少し難しい種目へ変更する、ダンベルやトレーニングチューブを使うなど、少しずつ負荷を調整するとよいでしょう。
NHS(英国国民保健サービス)でも、筋力トレーニングは無理のないところから始め、数週間かけて徐々に回数などを増やしていくことが勧められています。
同じ5分間でも、自分の体力に合わせて負荷を調整することで、より効果的なトレーニングにつなげられます。
筋トレだけで運動は十分?
健康維持という観点では、筋トレだけですべての運動をまかなうのではなく、ウォーキングなどの有酸素運動も組み合わせることが推奨されています。
WHO(世界保健機関)では成人に対し、週150~300分程度の中強度の有酸素運動、またはそれに相当する身体活動に加え、主要な筋肉を使う筋力強化運動を週2日以上行うことを推奨しています。
つまり、1日5分の筋トレは健康づくりのよい一歩になりますが、日常生活の中で歩く時間を増やすなど、身体活動全体を増やすことも大切です。
こんなときは無理をしない
筋トレ中に筋肉がきついと感じることと、関節や胸などに痛みを感じることは別です。
運動中に強い胸痛、息苦しさ、めまいなどが現れた場合は運動を中止してください。また、持病がある人、長期間運動をしていなかった人、運動について不安がある人は、運動強度について医師などへ相談すると安心です。NHS(英国国民保健サービス)でも、長期間運動をしていなかった人や病気などの心配がある人は、運動を始める前に医療専門家へ相談するよう案内しています。
まとめ
1日5分の筋トレでも、継続して適切な負荷をかければ、筋力や体力の維持・向上につながる可能性があります。
特に運動習慣がない人にとっては、最初から長時間のトレーニングを目指すよりも、毎日取り組める短時間運動から始めるほうが継続しやすいでしょう。
ただし、毎日同じ筋肉を強く追い込む必要はありません。体調や疲労を確認しながら鍛える部位を変え、慣れてきたら回数や負荷を少しずつ増やしていくことがポイントです。
「5分しかできない」ではなく、「まず5分続ける」と考えることが、運動習慣をつくる第一歩になります。

