朝食を抜くデメリットとは?ダイエット中こそ朝ごはんが重要な理由
監修:医師・薬剤師
「ダイエット中だから朝食を抜いている」「朝は食欲がないのでコーヒーだけ」「1食減らせば、その分カロリーが減って痩せるはず」と考えていませんか。
確かに、朝食を抜けばその瞬間の摂取エネルギーは減ります。しかし、朝食を抜けば必ず痩せやすくなるとは限りません。その後の昼食や間食が増えたり、食事のリズムが崩れたりすれば、結果的に1日の摂取量が増える可能性もあります。
厚生労働省の健康情報でも、朝食欠食は栄養素摂取の偏りにつながる要因として取り上げられています。
また、朝食欠食と体重の関係を調べたメタ解析では、朝食を抜く習慣がある人ほど過体重・肥満との関連が強いことが報告されています。
一方で、朝食を食べるだけで体重が減ると証明されているわけではありません。減量中の成人を対象としたランダム化試験では、「朝食を食べる」「朝食を抜く」という指示だけでは、体重減少に明確な差がみられなかった研究もあります。
ダイエットで重要なのは「朝食を食べれば痩せる」という単純な話ではなく、朝食を上手に利用して1日全体の食欲・栄養・食事量を整えることです。
この記事では、朝食を抜くことで起こりやすいデメリットと、特にダイエット中に朝食をどう活用すればよいのかを分かりやすく解説します。
朝食を抜くデメリット1|昼食まで強い空腹が続きやすい
前日の夕食から翌日の昼食まで何も食べなければ、食事間隔はかなり長くなります。
例えば夜20時に夕食を終え、翌日12時に昼食を食べる場合、約16時間食事を取らないことになります。
人によっては問題なく過ごせますが、強い空腹によって、
- 昼食を急いで食べる
- 大盛りを選ぶ
- 揚げ物や丼物を選びたくなる
- 午前中に菓子を食べる
といった行動につながることがあります。
「朝食を抜いて300kcal減らしたのに、昼食を大盛りにして間食までした」のであれば、ダイエット上のメリットは小さくなります。
朝食を食べる最大の意味は、単純に朝のカロリーを追加することではなく、その後の食欲を安定させやすくする点にあります。
デメリット2|栄養が不足しやすくなる
1日3回ある食事機会を2回に減らすと、その分だけ必要な栄養素を取る機会も少なくなります。
厚生労働省では、国民栄養調査の分析などから、朝食欠食が栄養素摂取の偏りのリスクを高める要因であることを示しています。
特に不足しやすいのが、
- たんぱく質
- 食物繊維
- カルシウム
- ビタミン類
- ミネラル
などです。
ダイエットでは摂取エネルギーを減らすことばかり意識しがちですが、減量中ほど、限られたエネルギーの中で必要な栄養素を確保することが重要です。
朝食を抜いたうえで昼食がラーメン、夕食が丼物という生活では、カロリーだけでなく栄養バランスも崩れやすくなります。
デメリット3|昼食の早食いにつながることがある
朝から何も食べず強い空腹状態で昼食を迎えると、自然と食べるスピードが速くなる人もいます。
早食いになると、自分の満腹感を確認する前に食事量が増えやすくなります。
厚生労働省の肥満・メタボリックシンドローム対策でも、食べる速度や間食などの食習慣を確認する重要性が示されています。
ダイエット中は、
「朝を我慢する → 昼に空腹が爆発する → 早食い・大盛りになる」
という流れを避けることが重要です。
デメリット4|間食が増える場合がある
「朝食は食べていないから大丈夫」と思いながら、午前中に甘いカフェラテ、菓子、パンなどを取っている人もいます。
これでは、実際には朝食を食べていないというより、栄養バランスの悪い朝食を間食という形で取っている状態です。
例えば、朝食として、
- 無糖ヨーグルト
- ゆで卵
- 果物
- おにぎり
などを組み合わせれば、たんぱく質や炭水化物などを確保できます。
一方、空腹になってからチョコレートや菓子パンを食べると、エネルギーは取れても必要な栄養素を十分に補えない場合があります。
デメリット5|食事リズムが乱れやすい
朝食を抜くこと自体より問題なのが、生活全体の食事時間が不規則になることです。
厚生労働省の交代制勤務者向け健康情報でも、食生活パターンの乱れは肥満などと関連するため、欠食を避け、1日3食または状況に応じた分割食が勧められています。
朝食を抜いて、昼食が遅くなり、夕食も遅くなり、さらに夜食を食べるという生活になると、1日の食事が後ろへずれていきます。
体重管理では「朝食だけ」を見るのではなく、1日の食事リズム全体を整えることが大切です。
朝食を抜く人は太りやすい?
観察研究では、朝食を抜く人ほど過体重や肥満が多いという報告があります。
2020年に発表されたメタ解析では、朝食欠食は過体重・肥満との関連が認められ、年齢・性別・地域などが異なっても同様の傾向が示されました。
ただし、ここには重要な注意点があります。
朝食を抜いたこと自体が直接太らせたとは限りません。
朝食を抜く人では、
- 睡眠時間が短い
- 夜遅く食べる
- 運動量が少ない
- 食事内容が乱れている
- 喫煙や飲酒などほかの生活習慣がある
といった要因が重なっている可能性もあります。
実際、別の系統的レビューでは、朝食欠食が直接体重増加を引き起こすという因果関係については限定的なエビデンスしかないと評価されています。
つまり、「朝食を抜くと必ず太る」ではなく、朝食欠食を含む生活習慣全体が太りやすさにつながっているケースが多いと考えるのが適切です。
「朝食を食べれば痩せる」も言いすぎ
反対に、「朝食を食べれば痩せる」と断定することもできません。
減量中の成人309人を対象としたランダム化比較試験では、朝食を食べるよう勧められたグループと、朝食を抜くよう勧められたグループで、16週間後の減量効果に明確な差は確認されませんでした。
また、朝食欠食と体重・心血管代謝リスクを調べたレビューでは、朝食を抜くことで短期的にわずかな体重減少がみられる可能性がある一方、LDLコレステロールが上昇する可能性も報告され、さらなる研究が必要とされています。
したがって、ダイエットでは、
「朝食を食べること自体」を目的にするのではなく、「朝食を利用して1日の総摂取量や栄養バランスを整えること」が重要です。
ダイエット中の朝食で重要なのは「何を食べるか」
朝食が重要だからといって、菓子パンと甘いカフェラテを毎朝追加すればよいわけではありません。
ダイエット中は、朝食の内容が重要です。
基本的には、
- たんぱく質
- 適量の炭水化物
- 野菜や果物など
を組み合わせると、栄養バランスを整えやすくなります。
例1|ご飯を食べたい人
- 小さめのおにぎり
- 卵
- 味噌汁
- 納豆
例2|パン派の人
- 全粒粉パン
- ゆで卵
- 無糖ヨーグルト
- 果物少量
例3|朝は食欲が少ない人
- 無糖ヨーグルト
- バナナ
- 牛乳または豆乳
- ゆで卵
重要なのは、豪華な朝食ではなく「昼までの空腹を抑えながら必要な栄養を補える量」にすることです。
朝食はたんぱく質を取るチャンス
ダイエットでは体重だけでなく、筋肉量をできるだけ維持することも重要です。
そのためには、1日のたんぱく質摂取量を確保する必要があります。
朝食を抜いて1日2食になると、残り2回の食事だけで必要なたんぱく質を取る必要があります。
例えば、朝食に、
- 卵
- 納豆
- ヨーグルト
- 牛乳
- 魚
などを取り入れれば、1日のたんぱく質量を分散しやすくなります。
特に食事量を減らしている人ほど、朝食を「栄養を取る3回目のチャンス」と考えるとよいでしょう。
朝食を食べると血糖値が上がるから抜いた方がいい?
食事をすれば食後血糖値は上昇します。
しかし、それだけを理由に朝食を抜いた方が健康的とはいえません。
血糖管理では、1日の食事内容、量、糖質の質、運動、体重などを総合的に考える必要があります。
特に糖尿病の治療薬やインスリンを使用している人では、自己判断で朝食を抜くと低血糖などへ影響する場合があります。
糖尿病の治療中に欠食を取り入れたい場合は、必ず主治医へ相談してください。
「16時間断食」をしているなら朝食を抜いてもいい?
時間制限食や断続的断食では、朝食を抜く方法が使われることがあります。
この場合、「朝食を抜いている=必ず悪い」というわけではありません。
大切なのは、
- 1日の総摂取エネルギー
- 必要な栄養素を取れているか
- 暴食につながっていないか
- 長期間継続できるか
です。
朝食を抜いても、その後の食事を適切に管理できる人では減量につながる場合があります。
一方、昼食や夕食で食べすぎてしまう人なら、朝食を取った方がダイエットしやすい可能性があります。
朝食を食べるかどうかではなく、自分が1日を通して食事をコントロールしやすい方法を選ぶことが重要です。
こんな人は朝食を取り入れるメリットが大きい
特に次のような人は、朝食を抜くより少量でも食べた方が食事管理しやすい可能性があります。
- 昼食前に強い空腹を感じる
- 午前中にお菓子を食べてしまう
- 昼食を大盛りにすることが多い
- 夕方まで空腹が続き、夜に食べすぎる
- ダイエット中にたんぱく質が不足しやすい
- 食事内容がパンや麺に偏りやすい
朝食を追加することで1日の摂取量が単純に増えてしまう人は、朝食そのものより、ほかの食事との配分を調整しましょう。
「朝食を食べる時間がない」人の簡単な対策
朝食は必ず定食のように準備する必要はありません。
時間がなければ、
- バナナ+ヨーグルト
- おにぎり+ゆで卵
- 牛乳+果物
- 全粒粉パン+チーズ
などでも構いません。
前日の夜に準備したり、コンビニを利用したりしても問題ありません。
「完璧な朝食を食べられないなら何も食べない」という考え方をやめるだけでも、朝食を続けやすくなります。
よくある質問
朝食を抜くと太りますか?
朝食を抜けば必ず太るわけではありません。ただし、観察研究では朝食欠食と過体重・肥満との関連が報告されています。 昼食や間食の増加など、1日の食習慣全体が関係している可能性があります。
ダイエット中でも朝食を食べた方がいいですか?
昼食まで強く空腹になる人や間食が増える人には、朝食を取り入れるメリットがあります。ただし、朝食を食べるだけで体重が減るわけではありません。1日の総摂取エネルギーを調整することが基本です。
朝食は何を食べるのがおすすめですか?
卵、納豆、ヨーグルトなどのたんぱく質源に、おにぎりやパンなど適量の主食、果物や野菜を組み合わせると栄養を整えやすくなります。
朝は食欲がありません
無理に大量に食べる必要はありません。ヨーグルト、バナナ、牛乳、ゆで卵など、少量から始めてもよいでしょう。
朝食を抜いて16時間断食をすれば痩せますか?
食事時間を制限することで摂取エネルギーが減れば体重が減る可能性はあります。ただし、その後に食べすぎれば効果は期待できません。自分が継続しやすく、栄養不足にならない方法を選ぶことが重要です。
まとめ
朝食を抜く最大の問題は、「朝食を食べないことそのもの」より、その結果として食事量・間食・栄養バランス・食事リズムが乱れることです。
厚生労働省では、朝食欠食が栄養素摂取の偏りにつながる要因として示されています。 また、観察研究をまとめたメタ解析では、朝食を抜く人ほど過体重・肥満との関連が強いことが報告されています。
一方で、朝食を食べるだけで痩せるわけではありません。ランダム化比較試験では、朝食を食べるよう勧めても、抜くよう勧めても、減量効果に明確な差がみられなかった研究があります。
そのためダイエットでは、「朝食を食べれば痩せる」ではなく、「朝食を利用して1日全体の食事をコントロールする」と考えることがポイントです。
特に、朝食を抜くと昼食を大盛りにしてしまう、午前中にお菓子を食べる、夕方以降に空腹が強くなるという人は、少量でも朝食を取り入れてみる価値があります。
ダイエット成功のために重要なのは、1食を無理に抜くことではなく、必要な栄養を取りながら、1日を通して無理なく摂取量を抑えられる食生活を作ることです。

