肩こりから頭痛が起こるのはなぜ?緊張型頭痛との関係
医師・薬剤師監修
「肩がこると頭まで重くなる」「デスクワークをしていると、後頭部から締めつけられるように痛くなる」という方は少なくありません。
こうした頭痛では、肩や首の筋肉の緊張と関係する「緊張型頭痛」が考えられます。
肩こりに伴う頭痛は、首・肩・頭の周囲にある筋肉が緊張し、その刺激が痛みとして感じられることなどによって起こると考えられています。
ただし、肩こりがある人の頭痛がすべて緊張型頭痛とは限りません。片頭痛や頚椎の病気、まれには脳血管障害などが隠れていることもあるため、頭痛の特徴を見分けることが重要です。
緊張型頭痛とは?
緊張型頭痛は、非常に多くみられる頭痛のひとつです。
頭の両側や後頭部、首の付け根などに、締めつけられるような痛みや圧迫感が現れます。
「ヘルメットをかぶっているような重さ」「頭をバンドで締めつけられる感じ」と表現されることもあります。
ズキズキ脈打つというより、重い・締めつけられるような痛みが続くのが典型的です。
肩こりが頭痛につながる仕組み
長時間同じ姿勢を続けていると、首や肩の筋肉が緊張し続けます。
特に、僧帽筋や後頭部周辺の筋肉などに負担がかかると、筋肉周囲の痛みを感じる神経が刺激されることがあります。
さらに、首や肩からの痛みの情報は頭部の感覚に関係する神経系と密接に関わっているため、肩や首の負担を「頭の痛み」として感じる場合があります。
肩こりと頭痛は別々の症状ではなく、首・肩・頭部の筋肉や神経を通して影響し合うことがあります。
「血流が悪いから頭痛になる」だけではない
肩こりでは「血流が悪くなって頭痛が起こる」と説明されることがあります。
筋肉が緊張すると局所的な循環に影響する可能性はありますが、緊張型頭痛の仕組みはそれだけではありません。
筋肉や筋膜からの刺激、痛みを感じる神経の敏感さ、ストレスなど複数の要因が関係すると考えられています。
単純に「血行を良くすれば必ず治る」というものではありません。
デスクワークで起こりやすい理由
パソコン作業では、頭が前へ出た姿勢になりやすくなります。
人間の頭は重いため、前傾姿勢が続くと、その重さを支える首や肩の筋肉へ負担がかかります。
さらに、キーボード操作で肩をすくめる、画面を見るため同じ姿勢を何時間も続けるといった習慣が重なると、筋肉の緊張が強くなります。
「夕方になると肩こりと頭痛が同時に強くなる」という人では、仕事中の姿勢が関係している可能性があります。
スマホも原因になる?
スマートフォンを長時間見るときは、自然と顔が下を向きます。
この姿勢が長く続くと首の後ろ側へ負担がかかり、肩や後頭部の筋肉が緊張しやすくなります。
さらに、寝る前までスマホを見続けて睡眠不足になると、頭痛の起こりやすさにも影響することがあります。
スマホを見る位置を高くする、長時間続けて使用しないなどの工夫が有効です。
緊張型頭痛はどんな痛み?
緊張型頭痛では、一般的に次のような特徴がみられます。
頭の両側が痛む、締めつけられるように感じる、軽度~中等度の痛みが続く、日常的な動作で大きく悪化しにくいなどです。
肩こりや首のこりを伴う人も少なくありません。
歩いたり階段を上ったりしただけでズキズキ強くなる片頭痛とは、症状の出方が異なることがあります。
片頭痛との違いは?
片頭痛では、ズキズキと脈打つような痛みがみられることが多く、身体を動かすと悪化する傾向があります。
また、吐き気や嘔吐、光や音がつらいといった症状を伴うことがあります。
一方、緊張型頭痛では強い吐き気は通常目立たず、日常動作で痛みが大きく悪化しないことが多いです。
ただし、両方の特徴を持つ頭痛が起こることもあり、自己判断が難しいケースもあります。
肩こりがある片頭痛もある?
あります。
肩こりや首のこりは緊張型頭痛だけの症状ではなく、片頭痛の前後にもみられることがあります。
そのため、「肩がこっているから緊張型頭痛」とは一概にいえません。
頭痛の種類を判断するときは、肩こりの有無だけでなく、痛み方、吐き気、光・音への過敏、動作による悪化なども確認することが重要です。
ストレスでも肩こりと頭痛が強くなる?
精神的なストレスが続くと、無意識に肩へ力が入り、首・肩の筋肉が緊張しやすくなります。
歯を食いしばる、眉間に力を入れるといった癖が増えることもあります。
また、慢性的なストレスは痛みへの感受性にも影響する可能性があります。
仕事が忙しい時期だけ肩こりと頭痛が悪化する場合は、身体だけでなくストレスとの関係も考えてみましょう。
眼精疲労も関係する?
パソコンやスマホの画面を長時間見ていると、目の疲れに加えて、画面を見続けるための姿勢が首や肩へ負担をかけます。
視力が合っていない眼鏡やコンタクトレンズを使っている場合には、目を細めたり前のめりになったりしやすくなることもあります。
眼精疲労と肩こり、頭痛が同時に起こる場合は、画面との距離や視力矯正も確認するとよいでしょう。
温めると楽になることがある?
筋肉の緊張が強い場合、首や肩を温めることで楽になる人がいます。
入浴や蒸しタオルなどによって筋肉が緩み、リラックスしやすくなるためです。
ただし、頭痛の種類によっては温めることで悪化することもあります。
特にズキズキした片頭痛では、入浴や温熱刺激によって痛みが強くなる人もいるため注意しましょう。
肩をもめば頭痛は治る?
軽いストレッチやマッサージで筋肉の緊張が和らぎ、頭痛が軽減することがあります。
ただし、強く揉めば揉むほどよいわけではありません。
首には神経や血管が通っているため、痛みを我慢しながら強く押したり、不自然に首をひねったりするのは避けましょう。
マッサージは「気持ちいい」と感じる程度の強さにとどめることが大切です。
ストレッチはどうすればいい?
長時間同じ姿勢を続けないことが基本です。
30分~1時間ごとを目安に立ち上がり、肩を回したり、首をゆっくり動かしたりするとよいでしょう。
胸を開いて肩甲骨を動かすストレッチも、デスクワークで前かがみになりやすい人には取り入れやすい方法です。
痛みを感じるほど強く伸ばす必要はありません。
運動不足も関係する?
身体を動かす機会が少ないと、肩や背中の筋肉を使う機会も減ります。
ウォーキングなどの軽い有酸素運動は、ストレス解消や睡眠改善にも役立ちます。
緊張型頭痛を繰り返す人では、日常的に身体を動かす習慣を作ることも対策のひとつです。
頭痛薬を飲んでもいい?
緊張型頭痛の痛みに対しては、アセトアミノフェンやNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などが使用されることがあります。
ただし、頭痛のたびに鎮痛薬を頻繁に使用すると、「薬剤の使用過多による頭痛」につながる可能性があります。
頭痛薬を週に何度も使う状態が続いている場合は、薬を増やすのではなく医療機関へ相談しましょう。
湿布だけで改善する?
肩こりに対して湿布を使用すると、一時的に痛みや不快感が軽くなることがあります。
しかし、長時間同じ姿勢を続ける生活が変わらなければ、症状を繰り返す可能性があります。
湿布だけに頼るのではなく、姿勢、作業環境、運動習慣などを見直すことが重要です。
枕が合わないと頭痛になる?
枕が極端に高い・低い場合、睡眠中に首へ負担がかかり、朝起きたときに首のこりや頭痛を感じることがあります。
ただし、「この高さなら誰にでも合う」という枕はありません。
首が不自然に曲がらず、寝返りが打ちやすいものを選ぶことがポイントです。
朝だけ肩こりと頭痛が強い場合は、寝具や睡眠姿勢を見直してみましょう。
毎日のように頭痛がある場合は?
緊張型頭痛には、時々起こるタイプだけでなく、長期間頻繁に続く慢性タイプもあります。
月の半分以上で頭痛があるような状態では、生活への影響も大きくなります。
頭痛が慢性化している場合は、鎮痛薬だけで対処し続けず、頭痛外来や脳神経内科などで原因を確認しましょう。
「肩こり頭痛」だと思ってはいけない症状
突然発症した今まで経験したことのない激しい頭痛、短時間で急激にピークへ達する頭痛には注意が必要です。
また、手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害、けいれん、高熱、強い首のこわばりなどを伴う場合も緊急評価が必要です。
このような場合は、「肩がこっていたから」と自己判断せず速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
肩こりから頭痛が起こる背景には、首・肩・頭部周辺の筋肉の緊張や、痛みに関係する神経への刺激などが関係しています。
緊張型頭痛では、頭を締めつけられるような重い痛みが起こり、肩こりや首こりを伴うことが少なくありません。
対策としては、長時間同じ姿勢を避ける、適度に身体を動かす、軽いストレッチをする、作業環境や睡眠を見直すことなどが基本です。
ただし、肩こりがあっても片頭痛など別の頭痛である可能性があります。頭痛が頻繁に続く場合や、急激な激痛、麻痺、発熱などを伴う場合は自己判断せず医療機関へ相談しましょう。

