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喘息の吸入薬は症状がない日も必要?毎日使う意味を解説

喘息(ぜんそく)

喘息の吸入薬は症状がない日も必要?毎日使う意味を解説

医師・薬剤師監修

「今日は咳も出ていないから吸入薬は使わなくていい?」「苦しくないのに毎日薬を吸う必要があるの?」と疑問に感じる方は少なくありません。

結論からいうと、喘息の吸入薬には、症状が出たときに使う薬と、症状がなくても継続して気道の炎症を抑える薬があります。

特に吸入ステロイド薬(ICS)を含む長期管理薬は、現在の咳や息苦しさを取るだけでなく、喘息発作が起こりにくい状態を維持することが重要な目的です。GINA(Global Initiative for Asthma:国際喘息指針)でも、成人・思春期の喘息では重い発作を防ぐため、吸入ステロイドを含む治療が重要とされています。

喘息は「症状がない=治った」ではない

喘息では、気管支に慢性的な炎症が起こり、気道が刺激に敏感な状態になっています。

症状が落ち着いている時期には咳やゼーゼー、息苦しさがなくても、気道の炎症が完全になくなっているとは限りません。

表面上は元気でも、気道では発作を起こしやすい状態が残っていることがあります。

そこで重要になるのが、気道の炎症を継続的に抑える「長期管理」です。

喘息の吸入薬には大きく役割の違う薬がある

喘息治療では、すべての吸入薬を同じように使うわけではありません。

大きく分けると、症状が出たときに気管支を広げる「症状緩和薬」と、気道の炎症を抑えて発作を予防する「長期管理薬」があります。

NHS(英国国民保健サービス)でも、喘息治療には症状時に使用する吸入薬、毎日使用して症状を予防する吸入薬、さらに維持療法と症状緩和の両方に使用する吸入薬があるとされています。

自分の吸入薬が「症状があるときだけ使う薬」なのか、「毎日使う薬」なのかを確認することが非常に重要です。

毎日使う吸入薬の中心が「吸入ステロイド」

喘息の長期管理で中心となるのが、吸入ステロイド薬(ICS)です。

ステロイドと聞くと「強い薬なのでは?」と不安になる人もいますが、吸入薬は薬を直接気道へ届けることで、少量で炎症を抑えることを目的としています。

吸入ステロイドは、喘息の原因となる気道の慢性的な炎症を抑え、発作を起こしにくくする薬です。

NHS(英国国民保健サービス)でも、予防用吸入薬は症状がなくても毎日使用する必要があるとされています。

苦しくない日に使う意味はある?

あります。

喘息では「苦しくなってから治療する」だけではなく、苦しくならない状態を維持することが重要です。

吸入ステロイドを継続すると、気道の炎症が抑えられ、冷たい空気、花粉、ハウスダスト、風邪、運動などの刺激を受けても発作が起こりにくくなることが期待できます。

症状がない日は「薬が必要ない日」ではなく、「毎日の治療によって症状を抑えられている日」である場合があります。

調子が良くなったから自己判断でやめてもいい?

自己判断で中止することはおすすめできません。

吸入ステロイドを続けて症状が安定している場合、薬をやめてもすぐには変化が出ないことがあります。

そのため「もう治った」と感じやすいのですが、時間が経つにつれて気道の炎症が再び強くなり、咳や喘鳴、発作が再発する可能性があります。

症状がなくなったことを理由に突然中止するのではなく、減量や中止は医師と相談して決めることが大切です。

症状がない期間が続けば薬を減らせる?

喘息が十分にコントロールされている状態が続けば、医師の判断で治療を段階的に減らす「ステップダウン」が検討されることがあります。

つまり、毎日使う吸入薬を一生まったく同じ量で続けると決まっているわけではありません。

一方、症状だけでなく、過去の発作歴、呼吸機能、救急受診歴なども含めて判断する必要があります。

「最近苦しくない」という理由だけで自己判断による減量をしないようにしましょう。

発作時だけ使う吸入薬とは?

気管支をすばやく広げ、喘鳴や息苦しさを軽減する吸入薬があります。

例えばサルブタモールなどの短時間作用型β2刺激薬(SABA)は、気道周囲の筋肉を緩めて呼吸を楽にする薬です。

ただし、GINAでは成人・思春期などの喘息治療について、SABAだけに頼る治療は推奨されず、吸入ステロイドを含む治療で重い発作のリスクを下げることが重視されています。

「苦しくなったら気管支拡張薬だけ」という治療では、気道の炎症そのものを十分に抑えられない場合があります。

最近は「症状時だけ使うICS配合吸入薬」もある

ここで注意したいのは、「喘息患者は全員が毎朝・毎晩まったく同じ吸入をする」という意味ではないことです。

治療内容によっては、吸入ステロイドとホルモテロールを組み合わせた吸入薬を症状があるときに使用する方法や、毎日の維持療法と症状時の追加吸入を同じ薬で行うMART療法などがあります。

だからこそ、インターネット上の「吸入薬は毎日必要」「症状時だけでよい」という情報を、自分の薬へそのまま当てはめないことが重要です。

吸入薬を毎日使うと依存する?

吸入ステロイドは、使い続けることで「ないと我慢できなくなる」という依存を起こす薬ではありません。

中止後に症状が戻ることがあるのは薬への依存ではなく、喘息の気道炎症が再び悪化するためです。

症状が抑えられているから薬が不要になったのではなく、薬によって喘息がコントロールされている可能性があります。

吸入ステロイドの副作用は?

吸入ステロイドでは、声がかすれる、口の中にカンジダ症が起こるなどの局所的な副作用がみられることがあります。

対策として重要なのが、吸入後のうがいです。

また、吸入器を正しく使用できていないと、薬が気道へ十分届かず、口の中へ多く残ってしまう場合があります。

吸入後は指示どおりうがいを行い、吸入方法も定期的に医師・薬剤師へ確認しましょう。

吸入方法が間違っていると効きにくい?

はい。吸入薬は正しい方法で使わなければ、本来の効果を得にくくなります。

吸入器によって、息を吸い込む速さや操作方法が異なります。

薬を吸ったつもりでも、吸入が弱かったり操作を間違えていたりすると、薬が十分に肺へ届かないことがあります。

喘息が良くならない場合は、薬を増やす前に「正しく吸えているか」を確認することも非常に重要です。

毎日使っているのに症状が出る場合は?

毎日吸入していても、咳や喘鳴、息苦しさが頻繁に出る場合には、喘息が十分にコントロールされていない可能性があります。

吸入方法、飲み忘れ・吸い忘れ、アレルギー、喫煙、感染症などを確認したうえで、治療内容を調整することがあります。

NHS(英国国民保健サービス)でも、症状緩和用の吸入薬を頻繁に必要とする場合は、喘息が十分にコントロールされていない可能性があるとしています。

症状時の吸入回数が以前より増えてきた場合は、薬を使い続けて様子を見るだけでなく受診を検討しましょう。

夜や明け方に咳が出るのもコントロール不良?

喘息では、夜間から明け方にかけて咳や喘鳴が出やすいことがあります。

睡眠中に何度も咳で目が覚める、朝方に胸が苦しくなるといった症状が繰り返される場合は、喘息が十分に安定していない可能性があります。

昼間に症状が少なくても、夜間症状がある場合は医師へ伝えることが大切です。

風邪をひいたときだけ悪化する人も毎日必要?

喘息は、風邪などの呼吸器感染症をきっかけに悪化することがあります。

普段は症状がほとんどなくても、毎回風邪をひくと強い喘鳴や呼吸困難が出る場合があります。

このような場合も、年齢や発作頻度、治療内容によって吸入薬の使い方が異なります。

普段症状がないという理由だけで、処方されている長期管理薬を中止しないようにしましょう。

運動前だけ吸入すればいい?

運動によって咳や喘鳴が起こる「運動誘発性気管支収縮」がみられる人もいます。

運動前の治療が指示されることがありますが、運動するたびに症状が出る場合は、普段の喘息コントロールそのものが不十分な可能性もあります。

運動時だけの問題と決めつけず、日常の治療が適切か確認してもらうことが重要です。

症状がなくても定期受診は必要?

症状が安定していても、定期的に喘息の状態を確認することが大切です。

診察では、症状の頻度、発作歴、吸入回数、吸入手技などを確認し、必要に応じて呼吸機能検査を行います。

NHS(英国国民保健サービス)でも、喘息では少なくとも定期的なチェックを受け、吸入器を正しく使用できているかや喘息行動計画を確認することが勧められています。

吸入薬を忘れないための工夫

毎日の長期管理薬は、症状がないとつい忘れやすくなります。

歯磨き、朝食、就寝など毎日の習慣と吸入をセットにすると続けやすくなります。

スマートフォンのアラームや服薬管理アプリを使うのも方法のひとつです。

「苦しくなったら思い出して吸う」のではなく、処方された治療スケジュールを習慣化することがポイントです。

急な発作が起きたらどうする?

急に強い息苦しさや喘鳴が出た場合は、自分の喘息行動計画に従って症状緩和薬を使用します。

吸入しても改善しない、会話するのが難しいほど息苦しい、唇が青紫色になる、意識がぼんやりするなどの場合は緊急性があります。

強い喘息発作では、毎日の予防薬を追加して様子を見るのではなく、速やかな医療対応が必要です。

まとめ

喘息の吸入薬には、症状があるときに使う薬と、症状がなくても気道の炎症を抑えるために継続する薬があります。

特に吸入ステロイドを含む長期管理治療は、現在の症状を取るだけではなく、将来の喘息発作を予防することが大きな目的です。

症状がなくなったからといって、自己判断で吸入薬を中止すると、気道の炎症が再び悪化する可能性があります。

一方で、喘息治療には毎日吸入する方法だけでなく、薬の種類や喘息の状態によって症状時に使用する方法もあります。自分の吸入薬の役割と使用方法を確認し、減量や中止を希望する場合は医師へ相談しましょう。

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