レグテクトを飲めばお酒が嫌いになる?断酒補助薬の役割を解説
医師・薬剤師監修
「レグテクトを飲めば、お酒がおいしくなくなる?」「飲酒すると気持ち悪くなる薬?」と疑問に感じる方は少なくありません。
結論からいうと、レグテクト(一般名:アカンプロサート)は、お酒を嫌いにさせる薬ではありません。
アルコール依存症の人が断酒を続ける際に、「お酒を飲みたい」という欲求を抑え、断酒維持をサポートするために使用される薬です。日本での効能・効果も「アルコール依存症患者における断酒維持の補助」とされています。
飲酒すると強い吐き気などを起こしてお酒を避けさせる「抗酒薬」とは、働き方が異なります。
- レグテクトとはどんな薬?
- 飲めばお酒が嫌いになるの?
- 抗酒薬とは何が違う?
- では、どうやって断酒を助ける?
- レグテクトを飲めば必ず断酒できる?
- 「飲みたい気持ち」が完全になくなる?
- 断酒を始める前から飲む薬?
- 飲酒してしまったら薬は中止する?
- 飲酒中にレグテクトを飲むと気持ち悪くなる?
- どのくらいで効果が出る?
- どのくらいの期間飲む?
- レグテクトの一般的な飲み方は?
- 飲み忘れたら2回分まとめて飲む?
- 主な副作用は?
- 腎臓が悪い人は注意が必要?
- 肝臓が悪い人でも使える?
- 依存性はある?
- レグテクトは離脱症状を治す薬?
- 大量飲酒している人が自宅で急に断酒してもいい?
- お酒を減らしたいだけでも使える?
- 家族のサポートも必要?
- 自助グループやカウンセリングにも意味がある?
- 断酒中に「1杯だけなら」と思ったら?
- レグテクトが効かないと感じたら?
- 断酒による睡眠の変化にも注意
- どこに相談すればいい?
- まとめ
レグテクトとはどんな薬?
レグテクトは、有効成分としてアカンプロサートカルシウムを含む断酒補助薬です。
アルコール依存症では、長期間の飲酒によって脳内の神経伝達のバランスが変化すると考えられています。
レグテクトは、こうした脳内の神経伝達バランスに作用し、断酒後に起こる「飲みたい」という欲求を軽減する方向に働くと考えられています。
作用機序は完全には解明されていませんが、グルタミン酸系やGABA系などの神経伝達に関係する可能性が示されています。
飲めばお酒が嫌いになるの?
基本的には、お酒そのものを嫌いにする薬ではありません。
レグテクトを服用したからといって、ビールや日本酒の味が急にまずく感じたり、お酒のにおいだけで気分が悪くなったりする仕組みではありません。
「飲酒すると嫌な反応を起こす薬」ではなく、「飲酒欲求を抑えて断酒を続けやすくする薬」と考えると分かりやすいでしょう。
抗酒薬とは何が違う?
抗酒薬には、飲酒すると体内でアルコールの代謝が途中で妨げられ、顔のほてり、動悸、吐き気、頭痛などの不快な反応を起こしやすくするものがあります。
これに対してレグテクトは、飲酒によってそのような反応を意図的に起こす薬ではありません。
レグテクトには、飲酒したときにいわゆる「お酒嫌いになる反応」を起こす作用はありません。 海外の公的な医薬品情報でも、アカンプロサートはアルコール嫌悪作用を起こさず、ジスルフィラム様反応を生じないとされています。
では、どうやって断酒を助ける?
アルコール依存症では、断酒を始めても「飲みたい」という強い欲求が続くことがあります。
レグテクトは、この飲酒欲求を軽減することで、再飲酒を防ぎ、断酒を維持しやすくする目的で使われます。
「飲めなくする」のではなく、「飲まない状態を続けやすくする」ことが主な役割です。
レグテクトを飲めば必ず断酒できる?
いいえ。
レグテクトだけを飲めば自動的に断酒できるわけではありません。
PMDA(医薬品医療機器総合機構)の患者向医薬品ガイドでも、レグテクトは断酒の意思がある人が、カウンセリングや集団療法、自助グループなどの心理社会的治療を受けながら使用する薬とされています。
薬・本人の断酒意志・周囲の支援・心理社会的治療を組み合わせることが重要です。
「飲みたい気持ち」が完全になくなる?
効果には個人差があります。
服用していても、お酒を思い出したり、飲酒したくなったりすることはあります。
特に、仕事終わり、ストレスを感じたとき、飲み会、家にお酒がある環境などでは、心理的な飲酒欲求が起こることがあります。
レグテクトは飲酒欲求をゼロにする薬ではなく、欲求をコントロールしやすくするための補助薬です。
断酒を始める前から飲む薬?
レグテクトは基本的に、断酒を維持する目的で使用されます。
「これからも普通に飲酒を続けながら、お酒の量だけ自然に減らす」という目的の薬とは位置づけが異なります。
飲酒量を減らす薬というより、断酒を目標とする人の再飲酒を防ぐために使われる薬です。
飲酒してしまったら薬は中止する?
断酒治療中に再飲酒してしまうことはあります。
その際に、「もう治療は失敗だから」と自己判断で薬を中止するのはおすすめできません。
再飲酒した状況や量を医師へ伝え、治療をどう継続するか相談しましょう。
飲酒中にレグテクトを飲むと気持ち悪くなる?
レグテクトは、アルコールと反応して強い吐き気や動悸を意図的に起こす薬ではありません。
その点が抗酒薬との大きな違いです。
ただし、「飲んでも何も起きないから飲酒してよい」という意味ではありません。
あくまで断酒維持を目的として処方される薬です。
どのくらいで効果が出る?
レグテクトは、1回飲んだだけで突然お酒を欲しくなくなる薬ではありません。
医師の指示どおり継続しながら、飲酒欲求や再飲酒の状況を経過観察します。
「数日飲んだけれどお酒を飲みたいから効いていない」と自己判断して中止しないようにしましょう。
どのくらいの期間飲む?
治療期間は、断酒状況、飲酒欲求、生活環境、再飲酒リスクなどを考慮して決めます。
短期間だけ使用する人もいれば、一定期間継続する人もいます。
症状がないからと自己判断で終了せず、医師と相談しながら服用期間を決めることが重要です。
レグテクトの一般的な飲み方は?
日本では通常、成人にアカンプロサートカルシウムとして666mgを1日3回、食後に服用します。レグテクト錠333mgであれば、通常は1回2錠に相当します。
ただし、自己判断で回数や錠数を変更せず、処方された用法・用量を守ってください。
飲み忘れたら2回分まとめて飲む?
自己判断で2回分をまとめて飲むのは避けましょう。
飲み忘れに気づいた時間や次の服用時間によって対応が変わります。
飲み忘れが多い場合は、服薬アラームや薬ケースを利用する方法もあります。
主な副作用は?
レグテクトでは、下痢などの消化器症状がみられることがあります。
服用を始めてから下痢が強くなった、日常生活に支障が出るといった場合は医師・薬剤師へ相談しましょう。
副作用が気になるからと自己判断で服用量を減らしたり中止したりしないことが大切です。
腎臓が悪い人は注意が必要?
注意が必要です。
アカンプロサートは主に腎臓から排泄されるため、腎機能によって使用の可否や投与方法を検討する必要があります。
高度の腎障害がある人では使用できないため、腎臓病を指摘されている場合は必ず医師へ伝えましょう。
肝臓が悪い人でも使える?
アルコール依存症では肝機能障害を合併している人も少なくありません。
アカンプロサートは主に腎臓から排泄されるため、肝臓で大きく代謝される薬とは性質が異なります。
ただし、肝疾患の程度や他の薬との関係もあるため、肝機能異常がある場合も必ず医師へ伝えてください。
依存性はある?
レグテクト自体を飲み続けることで、「薬が欲しくてたまらなくなる」といった依存を形成する薬ではないと考えられています。
海外の医薬品情報でも、治療用量で依存や中止後の離脱症状を示す証拠は確認されていないとされています。
「アルコール依存症の薬だから、その薬にも依存する」というものではありません。
レグテクトは離脱症状を治す薬?
断酒直後に起こるアルコール離脱症状そのものを治療する目的の薬ではありません。
大量飲酒を長期間続けていた人が急に断酒すると、手の震え、発汗、不眠、動悸、不安などの離脱症状が出ることがあります。
重い場合には、けいれんや意識障害などが起こる可能性もあるため、医療機関での管理が必要です。
大量飲酒している人が自宅で急に断酒してもいい?
毎日大量に飲酒している人では注意が必要です。
アルコール離脱症状のリスクがあるため、「レグテクトを手に入れたから今日から一人で断酒しよう」と自己判断するのは危険な場合があります。
朝から飲酒する、飲まないと手が震える、過去に断酒時のけいれんがあった場合などは、医療機関へ相談してから断酒を始めましょう。
お酒を減らしたいだけでも使える?
レグテクトの日本での位置づけは「断酒維持の補助」です。
そのため、単純に毎日の飲酒量を少し減らしたいという目的とは異なります。
「完全にやめるのは難しいが減酒したい」という場合は、飲酒状況に応じた別の治療方法について医師へ相談しましょう。
家族のサポートも必要?
断酒では、薬だけでなく生活環境も重要です。
自宅にお酒を置かない、家族の前で飲酒を控えてもらう、飲酒につながる場面を避けるなどの工夫があります。
本人の「我慢」だけに頼らず、飲みにくい環境を作ることも断酒を続けるポイントです。
自助グループやカウンセリングにも意味がある?
あります。
アルコール依存症は、単に「お酒を飲みたい気持ち」だけの問題ではなく、ストレスへの対処方法や生活習慣、人間関係などが飲酒と結びついていることがあります。
そのため、カウンセリング、集団精神療法、自助グループなどを薬物治療と組み合わせます。
レグテクトも、こうした心理社会的治療と組み合わせて使うことが基本です。
断酒中に「1杯だけなら」と思ったら?
アルコール依存症では、「1杯だけ」のつもりが再び飲酒習慣へ戻るきっかけになることがあります。
飲酒したくなった場面、ストレス、時間帯などを記録すると、自分の再飲酒パターンを把握しやすくなります。
飲みたい気持ちが強くなってきた場合は、実際に飲んでしまう前に主治医や支援者へ相談することが大切です。
レグテクトが効かないと感じたら?
薬を飲んでいても飲酒欲求が強い場合があります。
その場合、服薬状況だけでなく、ストレス、睡眠、飲酒環境、心理社会的治療なども含めて治療全体を見直します。
自己判断で錠数を増やしても効果が高まるとは限らず、副作用のリスクにつながります。
断酒による睡眠の変化にも注意
お酒を睡眠のために使っていた人では、断酒直後に一時的に寝つきが悪くなることがあります。
それを「やっぱりお酒が必要」と考えて再飲酒するケースもあります。
断酒後の不眠が続く場合は、飲酒で対処するのではなく医療機関へ相談しましょう。
どこに相談すればいい?
アルコール依存症を扱う精神科、心療内科、依存症専門医療機関などで相談できます。
本人が受診をためらっている場合は、家族が先に相談できる施設もあります。
「自力でやめられない=意志が弱い」という問題ではなく、治療や支援を利用できる病気として対応することが重要です。
まとめ
レグテクト(アカンプロサート)は、お酒を嫌いにしたり、飲酒すると吐き気を起こしたりする薬ではありません。
アルコール依存症の人が断酒したあと、飲酒欲求を抑えて断酒を維持しやすくするための「断酒補助薬」です。日本でも効能・効果は「アルコール依存症患者における断酒維持の補助」とされています。
レグテクトを飲めば自動的にお酒をやめられるわけではなく、本人の断酒意志、心理社会的治療、生活環境の調整などと組み合わせて使用することが基本です。
また、飲酒時に不快症状を起こす抗酒薬とは作用が異なります。服用中に飲酒してしまった場合も、自己判断で薬や治療そのものをやめず主治医へ相談しましょう。
特に長期間の大量飲酒があり、飲まないと手が震える、発汗・動悸が出るなどの症状がある人は、急な断酒で離脱症状が起こる可能性があります。安全に断酒を始めるためにも、医療機関のサポートを受けることが重要です。

