ヨーグルトを毎日食べて便秘になる?腸内バランスが崩れる場合もある?
監修:医師・薬剤師
便秘対策のためにヨーグルトを毎日食べているのに、「かえって便が出にくくなった」「お腹が張るようになった」と感じる人がいます。
ヨーグルトが必ず便秘を改善するわけではなく、体質や製品の種類、食事全体のバランスによっては、便秘や腹部膨満感が悪化したように感じることがあります。
ただし、ヨーグルトを食べたことで腸内細菌が一方的に悪化し、腸内環境が壊れるとは限りません。多くの場合は、乳糖が体に合っていない、ヨーグルトだけに頼って食物繊維や水分が不足している、同じ菌株が本人に合っていないといった理由が考えられます。
厚生労働省の情報では、プロバイオティクスが便秘に一定の効果を示した研究がある一方、効果は菌株や人によって異なり、すべての人に同じ結果が出るわけではないとされています。
この記事では、ヨーグルトで便秘になる可能性、腸内バランスとの関係、体に合わないサイン、便通を整える食べ方について解説します。
ヨーグルトを食べると便秘は改善する?
ヨーグルトには乳酸菌やビフィズス菌などが含まれ、腸内細菌の構成や腸の働きへ影響する可能性があります。
一部の研究では、特定のビフィズス菌を含むプロバイオティクスによって、排便回数や腸内通過時間、便秘に伴う腹部症状が改善したと報告されています。
しかし、「ヨーグルト」という食品全体に同じ効果があるわけではありません。
製品によって含まれる菌の種類や量は異なり、同じ商品を食べても、便通が改善する人、変化を感じない人、ガスや張りが増える人がいます。
ヨーグルトは便秘薬ではなく、食生活の一部として便通を支える可能性がある食品です。
ヨーグルトを毎日食べて便秘になる理由
食物繊維が不足している
一般的なプレーンヨーグルトには、便の材料となる食物繊維がほとんど含まれていません。
ヨーグルトを食べ始めた代わりに、果物、野菜、豆類、海藻、全粒穀物などを食べる量が減ると、食物繊維が不足して便が硬くなることがあります。
NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)は、便秘対策として十分な食物繊維と水分を取ることを勧めています。成人に必要な食物繊維量の目安は、年齢や性別によって1日22~34gとされています。
ヨーグルトだけを追加するのではなく、食物繊維を含む食品と組み合わせることが重要です。
水分摂取が少ない
食物繊維を増やしても、水分が不足していると便が硬くなり、かえって出にくくなることがあります。
特に、朝食をヨーグルトだけで済ませ、飲み物をほとんど取らない人は注意が必要です。
便秘は、水分不足や脱水、運動不足、食物繊維不足などが重なって起こります。
乳糖が体に合っていない
ヨーグルトには、牛乳より少ないものの乳糖が含まれています。
乳糖を十分に分解できない乳糖不耐症の人が乳製品を食べると、腹痛、腹部膨満、おなら、腹鳴、下痢などが起こります。人によっては便秘として現れることもあります。NHS(英国国民保健サービス)も、乳糖不耐症の症状として下痢だけでなく便秘を挙げています。
ヨーグルトを食べた数時間後に、お腹が張る、ガスが増える、便通が不安定になる場合は、乳糖の影響を考えます。
発酵によって乳糖は一部減少しますが、すべてのヨーグルトが乳糖ゼロになるわけではありません。
一度に食べる量が多い
便秘を早く改善したいからと、1日に数百グラムのヨーグルトを食べると、乳糖や脂質、甘味料の摂取量が増えます。
その結果、お腹が張ったり、ガスが増えたりして、排便しにくい感覚につながることがあります。
健康食品でも、多く食べるほど効果が高まるわけではありません。まずは製品の1食分を目安にし、体調を確認します。
高脂肪・高糖質の商品を選んでいる
生クリーム入りの濃厚なヨーグルト、加糖タイプ、デザートタイプには、脂質や砂糖が多く含まれる場合があります。
ヨーグルト自体より、同時に取っている砂糖、シリアル、菓子、甘いソースなどによって、食事全体のバランスが崩れていることもあります。
便秘対策を目的とする場合は、原材料表示や栄養成分表示を確認し、甘味の少ない商品を選ぶとよいでしょう。
同じ菌が自分に合っていない
人の腸内細菌の構成には大きな個人差があります。
ある菌株を含むヨーグルトで便通が改善する人がいても、別の人には変化がないことがあります。厚生労働省のスマート・ライフ・プロジェクトでも、腸内フローラは人によって異なり、同じ乳酸菌を続けても改善しなければ、別の発酵食品や菌を試す考え方が紹介されています。
2~4週間ほど継続しても便通が改善せず、張りや便秘が悪化する場合は、無理に同じ商品を続ける必要はありません。
ヨーグルトで腸内バランスが崩れることはある?
通常量のヨーグルトを食べたことで、腸内環境が長期的に大きく壊れるとは考えにくいでしょう。
ただし、腸内細菌は食事全体の影響を受けます。ヨーグルトだけに偏り、野菜や豆類、穀類などが不足すれば、腸内細菌のエサとなる食物繊維も不足します。
また、本人に合わない乳糖や糖アルコールを含む製品を毎日食べ続けると、ガス、腹痛、下痢、便秘などの症状が続くことがあります。
この状態は、必ずしも「悪玉菌が増えた」という単純な現象ではありません。乳糖の消化不良、腸内発酵の増加、便の水分量の変化などが関係している可能性があります。
腸内バランスは特定の食品一つで決まるものではなく、食物繊維、水分、運動、睡眠、ストレスを含めた生活全体で考える必要があります。
便秘対策に向くヨーグルトの食べ方
まずは1日1食分から始める
一度に大量に食べず、商品に表示された1食分程度から始めます。
食べた量、便の硬さ、排便回数、腹部の張りを1~2週間記録すると、自分に合っているか判断しやすくなります。
食物繊維を組み合わせる
ヨーグルトには、次のような食品を少量組み合わせると、食物繊維を補えます。
- キウイやりんごなどの果物
- オートミール
- きな粉
- すりごま
- 無糖のドライフルーツ
ただし、食物繊維を急に増やすと、ガスや腹部膨満が強くなる場合があります。少しずつ増やしましょう。IBS(過敏性腸症候群)に便秘を伴う人についても、NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)は、食物繊維を段階的に増やすよう案内しています。
水分も一緒に取る
ヨーグルトを食べるときは、水や無糖のお茶も取りましょう。
心臓病や腎臓病などで水分制限を受けている人は、自己判断で飲水量を増やさず、医師の指示に従ってください。
乳糖が気になる場合は種類を変える
ヨーグルトで毎回お腹が張る場合は、乳糖を減らした製品や乳糖不使用の商品、植物性の発酵食品を検討します。
ただし、牛乳アレルギーと乳糖不耐症は異なります。じんましん、唇や顔の腫れ、咳、呼吸困難などがある場合は、乳糖不耐症ではなくアレルギーの可能性があるため、摂取を中止して医療機関へ相談してください。
数週間試して合わなければ変更する
プロバイオティクスの効果は菌株によって異なります。
同じ商品を毎日食べても便通が改善しない場合は、量を増やすのではなく、一度中止して症状が変わるか確認します。そのうえで、別の菌株や別の食品を試す方法があります。
ヨーグルトを中止した方がよいサイン
- 食べるたびに腹痛や強い張りが出る
- 便秘が明らかに悪化した
- 下痢と便秘を繰り返す
- 吐き気や嘔吐がある
- じんましんや顔の腫れが出る
- 血便がある
軽い張りであれば量を減らして様子を見る場合もありますが、強い症状が続く場合は無理に食べ続けないでください。
便秘で医療機関を受診した方がよい場合
次の症状がある場合は、ヨーグルトの種類を変えるだけで済ませず、医療機関へ相談してください。
- 強い腹痛や嘔吐がある
- 便やガスが全く出ない
- 血便や黒い便が出る
- 理由なく体重が減った
- 便が急に細くなった
- 生活改善をしても便秘が長く続く
- 発熱を伴う
便秘には、薬の副作用、甲状腺機能低下症、糖尿病、腸の病気などが関係することもあります。NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)も、便秘の原因として食生活だけでなく、代謝性疾患や腸の病気などを挙げています。
よくある質問
ヨーグルトを毎日食べると腸が慣れて効かなくなりますか?
薬のような耐性が必ず生じるわけではありません。ただし、もともと本人に合わない菌株であれば、長く続けても便通が改善しないことがあります。
朝と夜ではどちらが便秘に効果的ですか?
時間帯よりも、無理なく継続できることと、食事全体のバランスが重要です。食べた時間と便通を記録し、自分に合う時間を選びましょう。
ヨーグルトでお腹が張るのは効いている証拠ですか?
必ずしも効果の証拠ではありません。乳糖の消化不良や腸内発酵によってガスが増えている可能性があります。
便秘のときは脂肪ゼロヨーグルトがよいですか?
脂肪ゼロであることだけで便秘改善効果が決まるわけではありません。菌株、糖分、乳糖への耐性、食事全体を考えて選びます。
ヨーグルトをやめたら便秘が改善しました
乳糖や製品に含まれる成分が体に合っていなかった可能性があります。無理に再開せず、別の食品から発酵食品や食物繊維を取る方法を検討してください。
まとめ
ヨーグルトは便秘改善に役立つことがありますが、毎日食べれば必ず便が出るわけではありません。
食物繊維や水分が不足している、乳糖が体に合わない、一度に食べる量が多い、同じ菌株が本人に合っていない場合は、便秘や腹部膨満が悪化したように感じることがあります。
ヨーグルトを食べたことで腸内バランスが単純に崩れたと考えるより、食事全体の偏りや乳糖の消化、腸内発酵の影響を確認することが重要です。
便秘対策では、ヨーグルトだけに頼らず、野菜、果物、豆類、穀類などの食物繊維、水分、適度な運動を組み合わせましょう。
2~4週間試しても改善しない場合や、食べるたびに張りや便秘が悪化する場合は、量を増やさず、いったん中止して医師や薬剤師へ相談してください。

