クラビット服用中に筋肉・腱が痛くなったら?腱障害に注意
医師・薬剤師監修
「クラビットを飲み始めてから、ふくらはぎやかかとの周辺が痛い」「運動していないのにアキレス腱が張る」と感じた場合、単なる筋肉痛ではなく薬による腱障害の可能性を考える必要があります。
クラビット(一般名:レボフロキサシン)は、ニューキノロン系抗菌薬のひとつです。まれではありますが、アキレス腱炎や腱断裂などの腱障害が重大な副作用として報告されています。
PMDAのクラビット添付文書でも、アキレス腱炎・腱断裂などが重大な副作用として記載されており、腱の周囲に痛み、腫れ、赤みなどがみられた場合には投与を中止し、適切な処置を行うよう示されています。
クラビット服用中にアキレス腱などの痛みや腫れが出た場合は、運動を続けたり様子見で無理をしたりせず、服用を中止して速やかに処方医へ連絡することが重要です。
クラビットで腱が痛くなることはある?
あります。
クラビットを含むフルオロキノロン系抗菌薬では、腱炎や腱断裂が副作用として知られています。
最もよく知られているのはアキレス腱ですが、肩の腱、上腕二頭筋腱、手指など、ほかの部位でも報告があります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)のレボフロキサシン情報でも、腱炎や腱断裂はアキレス腱に多い一方で、肩、手、上腕二頭筋、親指などにも起こり得るとされています。
したがって、「かかとではないから薬の副作用ではない」とは言い切れません。

筋肉痛と腱の痛みはどう違う?
クラビット服用中に痛みが出ても、それがすべて腱障害とは限りません。
一方で、腱の痛みは筋肉痛とは少し違う出方をすることがあります。
腱障害では、
- かかとの少し上がピンポイントで痛む
- 歩き始めや階段で痛む
- 腱を押すと痛い
- 腱の周囲が腫れる
- 赤みや熱感がある
- 急に「ブチッ」とした感覚がある
といった症状がみられることがあります。
一方、一般的な筋肉痛は、運動後に筋肉全体が重く痛むように感じることが多いです。
ただし、自己判断で完全に見分けるのは難しいため、クラビット服用中に新しく痛みが出た場合は慎重に対応しましょう。
腱障害は飲み始めてすぐ起こる?
起こる可能性があります。
フルオロキノロン系抗菌薬による腱障害は、治療開始後数時間〜数日で現れることがあります。
また、治療が終わってからしばらく経って発症するケースもあります。
英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)では、腱障害は治療開始後48時間以内に起こることがある一方、服用終了から数か月後に症状が出ることもあると注意喚起しています。
「もう飲み終わったから関係ない」とは限らず、服用後しばらくして腱の痛みや腫れが出た場合も、クラビットを使っていたことを医師へ伝えることが大切です。
どんな人は腱障害のリスクが高い?
腱障害は誰にでも起こる可能性がありますが、特に注意が必要な人がいます。
英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)では、60歳を超える人、腎機能が低下している人、臓器移植を受けた人で腱障害のリスクが高くなるとしています。
また、ステロイド薬を併用している人でもリスクが高まる可能性があります。
FDA(アメリカ食品医薬品局)でも、高齢者、ステロイド治療中の人、腎・心・肺移植後の人などで腱炎・腱断裂のリスクが上昇するとされています。
さらに、強い運動、腎不全、過去の腱障害などもリスク要因になる可能性があります。
クラビット服用中に腱が痛くなったらどうする?
腱の痛み、腫れ、赤みなどが出た場合は、無理に運動を続けないことが重要です。
PMDAの添付文書では、腱周辺の痛み、浮腫、発赤などが認められた場合には、投与を中止して適切な処置を行うよう記載されています。
そのため、症状が出た場合は、
- 運動やストレッチを中止する
- 痛む部位へ無理に荷重をかけない
- クラビットの服用を中止する
- 処方した医師や医療機関へ連絡する
といった対応が必要です。
「抗菌薬だから飲み切らないといけない」と考えて、腱の痛みを我慢しながら続けるのは避けてください。
アキレス腱が痛いときに歩いても大丈夫?
痛みがある状態で無理に歩いたり運動したりするのは避けましょう。
腱炎がある状態で負荷をかけ続けると、腱断裂へ進む可能性があります。
特に、
- 歩くと痛む
- 階段の上り下りで痛む
- つま先立ちで痛む
- かかとの後ろが腫れている
といった場合は、運動や長時間歩行を控え、早めに医療機関へ相談してください。

突然「ブチッ」としたら腱断裂の可能性も
アキレス腱断裂では、突然「後ろから蹴られたような感覚」「ブチッという感覚」を感じることがあります。
その後、歩きにくくなったり、つま先立ちができなくなったりすることがあります。
このような症状がある場合は、腱断裂の可能性があるため、早急な診察が必要です。
突然の強い痛み、腱の断裂感、歩行困難がある場合は、その日のうちに整形外科などの医療機関を受診してください。
筋肉の痛みだけなら服用を続けていい?
一概には言えません。
感染症による発熱や体調不良そのものでも、筋肉痛やだるさが起こることがあります。
一方、フルオロキノロン系抗菌薬では、筋肉・関節・腱などの筋骨格系に症状が出ることもあります。
そのため、クラビットを飲み始めてから新しく強い筋肉痛が出た、筋力低下を伴う、痛みが悪化しているといった場合は、処方医へ相談してください。
特に腱の近くに限局した痛みや腫れがある場合は、腱障害を疑って早めに対応する必要があります。
ステロイドを一緒に使っている場合は特に注意
プレドニゾロンなどのステロイド薬を服用している人は、フルオロキノロン系抗菌薬による腱障害のリスクが高まるとされています。
英国医薬品・医療製品規制庁(MHRA)では、フルオロキノロン系抗菌薬とステロイド薬の併用により、腱炎や腱断裂のリスクがさらに高まる可能性があるとして、併用を避けるよう注意喚起しています。
現在使用している薬がステロイドか分からない場合は、薬手帳や処方内容を医師・薬剤師に確認しましょう。
クラビットを自己判断で再開してもいい?
一度腱障害が疑われて中止した場合、自己判断で再開するのは避けてください。
感染症の治療を続ける必要がある場合でも、別の抗菌薬へ変更できることがあります。
腱症状が出たことを医師に伝えたうえで、感染症の種類や重症度、腎機能、アレルギー歴などを踏まえて治療方針を決めてもらいましょう。
こんな場合は早めに医療機関へ
クラビット服用中または服用後に、次のような症状が出た場合は早めに医療機関へ相談してください。
- アキレス腱周辺が痛む
- 腱の周りが腫れる・赤くなる
- 肩や腕の腱が突然痛む
- 歩くだけで痛みが強くなる
- 突然「ブチッ」とした感覚がある
- 歩けない、つま先立ちができない
- 筋肉痛や筋力低下が急に強くなった
腱障害はまれな副作用ですが、断裂に至ると治療期間が長くなることがあります。
まとめ
クラビット(レボフロキサシン)を含むフルオロキノロン系抗菌薬では、まれにアキレス腱炎や腱断裂などの腱障害が起こることがあります。
特にアキレス腱周辺の痛み・腫れ・赤みは、腱障害の初期サインとして注意が必要です。
クラビット服用中に腱の痛みが出た場合は、「筋肉痛だろう」と無理に動かず、服用を中止して処方医へ連絡してください。
60歳を超える人、腎機能が低下している人、臓器移植後の人、ステロイドを使用している人では特に注意が必要です。
突然強い痛みが出た、歩けない、腱が切れたような感覚がある場合は、腱断裂の可能性もあるため速やかに医療機関を受診しましょう。

