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スッポンや鹿の角などの滋養強壮成分はEDに本当に効果がある?

ED治療薬

スッポンや鹿の角などの滋養強壮成分はEDに本当に効果がある?専門家が科学的根拠を解説

監修:医師・薬剤師監修

「スッポンを食べると精力がつく」「鹿の角は男性ホルモンを増やす」「滋養強壮サプリを飲めば勃起力が戻る」といった話を聞いたことがある人は多いでしょう。

結論からいうと、スッポンや鹿茸(ろくじょう:成長途中の鹿の角)を摂取するだけで、EDが確実に改善するという十分な臨床的根拠はありません。

滋養強壮素材によって栄養状態や疲労感が改善し、間接的に性欲や性生活へ良い影響を感じる可能性はあります。しかし、陰茎への血流障害、糖尿病、動脈硬化、神経障害などが原因のEDを、これらの食品だけで治療することは難しいのが実情です。

重要なのは、「元気が出る」「性欲が高まる」「勃起が改善する」は、それぞれ別の変化だと理解することです。

滋養強壮とED改善は同じではない

滋養強壮とは、一般的に栄養を補い、疲労や体力低下を改善する目的で使われる言葉です。

一方、EDは性的刺激を受けても十分な勃起が得られない、または勃起を維持できない状態です。EDには主に次の要因が関係します。

  • 陰茎へ血液を送る血管の障害
  • 糖尿病などによる神経障害
  • 高血圧、脂質異常症、肥満
  • 喫煙や過度の飲酒
  • テストステロンの低下
  • 緊張、不安、ストレス
  • 睡眠不足や睡眠時無呼吸症候群
  • 服用薬の影響

つまり、疲れが取れて性行為への意欲が戻ったとしても、陰茎の血管が十分に広がらなければ、勃起の硬さや維持力は改善しません。

滋養強壮食品が作用するとしても、その多くは体調や疲労感への間接的な影響であり、ED治療薬のように陰茎の血流へ直接作用するとは限りません。

スッポンはEDに効果がある?

スッポンは、たんぱく質、アミノ酸、脂質、ビタミン、ミネラルなどを含む食品です。日本では古くから滋養強壮食として利用されてきました。

しかし、スッポンまたはスッポンエキスをED患者へ投与し、勃起機能の改善を確認した信頼性の高い臨床試験は、現時点でほとんど確認されていません。

スッポンエキスについては、動物実験で運動時の疲労や酸化ストレスへの影響を調べた研究がありますが、これはマウスの運動能力に関する研究であり、人間のED改善を証明したものではありません。

スッポンを食べた翌日に「元気になった」「性欲が増えた」と感じる人がいる理由としては、次の可能性が考えられます。

  • 不足していたエネルギーやたんぱく質を補給できた
  • 特別な料理を食べたという期待感があった
  • 疲労が軽くなり性行為への意欲が戻った
  • 一緒に過ごす相手や食事環境によって気分が高まった

これは、いわゆるプラセボ効果も含む変化です。本人が改善を実感すること自体を否定する必要はありませんが、スッポンにシルデナフィルのような即効性のある勃起改善作用があると考えるのは適切ではありません。

鹿の角・鹿茸はEDに効果がある?

滋養強壮素材として使われる鹿の角は、完全に硬くなった角ではなく、成長途中で血管や軟らかい組織を含む鹿茸を指すことがあります。

鹿茸にはアミノ酸、コラーゲン様成分、脂質、ミネラルなどが含まれ、伝統的には体力や性機能を補う目的で使われてきました。

動物実験では、鹿茸由来の成分によってテストステロン合成に関連する酵素の発現や、性的行動が変化したという報告があります。

ただし、動物実験で変化が見られたことと、人間のEDが改善することは同じではありません。使用量、吸収、代謝、原因となる病気が異なるためです。

健康な男性を対象に鹿茸とプラセボを比較した二重盲検試験では、性行動や性機能、性ホルモン値に明確な差は認められず、正常な男性の性機能を高める利点は確認されませんでした。

この結果からも、鹿茸を「飲めばテストステロンが増えて勃起力が上がる素材」と断定することはできません。

スッポンと鹿茸の科学的根拠を比較

素材 期待されている働き 研究の現状 EDへの評価
スッポン・スッポンエキス 栄養補給、疲労対策、滋養強壮 動物での運動・疲労研究はあるが、人のED試験は不足 直接的なED改善効果は証明されていない
鹿茸 体力、性欲、ホルモンへの影響 動物実験では変化あり。人の試験では明確な性機能向上なし ED治療として推奨できる根拠は不十分
マカ 性欲、疲労感、男性機能 小規模試験で性欲や軽度EDの改善報告あり 可能性はあるがED治療薬の代替とはいえない
L-アルギニン 一酸化窒素の材料となり血管拡張を補助 一部の軽度〜中等度EDで改善報告あり 比較的根拠はあるが効果には個人差がある
亜鉛 テストステロン産生や精子形成を補助 欠乏者では有用な可能性。充足している人への上乗せ効果は不明 亜鉛不足がある場合に限り意味がある可能性

マカはスッポンや鹿茸より期待できる?

マカは、南米原産の植物で、性欲や疲労感への効果を期待して使用されます。

軽度EDの男性50人を対象とした二重盲検試験では、マカ乾燥エキス2,400mgを12週間使用したグループで、勃起機能や心理的な満足感が改善したと報告されています。

一方、マカに関するシステマティックレビューでは、性機能改善を示す研究があるものの、試験数が少なく、対象者や使用量にもばらつきがあるため、確実な結論を出すには根拠が不足しているとされています。

また、マカによる性欲の変化は、血液中のテストステロン値が上昇しなくても起こる可能性があります。健康な男性を対象とした研究では、8週以降に性欲の自己評価が改善しましたが、テストステロン値には明確な変化が認められませんでした。

マカは「男性ホルモンを直接増やす薬」というより、性欲や主観的な活力へ影響する可能性がある素材と考えるほうが実態に近いでしょう。

L-アルギニンはEDにどう関係する?

L-アルギニンは、体内で一酸化窒素を作る材料になるアミノ酸です。

一酸化窒素は陰茎の血管を広げ、勃起を起こすために重要な物質です。そのため、L-アルギニンは滋養強壮素材の中では、EDの仕組みとの関連を説明しやすい成分です。

軽度から中等度の血管性ED患者を対象とした研究では、高用量のL-アルギニンを3か月使用することで、勃起機能スコアや陰茎血流が改善したと報告されています。

ただし、L-アルギニンを飲めばED治療薬と同じように性行為前から数時間で効くわけではありません。研究で使われる量は一般的な栄養ドリンクより多い場合があり、効果が現れるまで数週間から数か月かかることがあります。

また、胃の不快感、腹痛、下痢、血圧低下などが起こる場合があります。降圧薬や硝酸薬を使用している人は、自己判断で高用量を使用しないでください。

亜鉛を取ればテストステロンと勃起力が上がる?

亜鉛は、テストステロンの産生や精子形成に必要なミネラルです。

亜鉛不足の男性では、テストステロン値が低下する可能性があり、亜鉛を補うことで改善が期待できます。過去の研究でも、亜鉛不足と男性のテストステロン低下との関連が報告されています。

しかし、すでに亜鉛が足りている人が大量に取っても、テストステロンや勃起力が比例して上がるわけではありません。

亜鉛を過剰摂取すると、吐き気、腹痛、銅不足、貧血、免疫機能の低下などにつながる可能性があります。

偏食、過度な飲酒、消化器疾患などがあり、亜鉛不足が疑われる場合に補うという考え方が基本です。

滋養強壮素材が向いている人・向かない人

状態 滋養強壮素材への考え方
疲労や食欲低下があり、栄養が偏っている 栄養補助として役立つ可能性がある
睡眠不足や過労で性欲が落ちている 休養や栄養改善と合わせれば変化を感じる可能性がある
性欲はあるが勃起が硬くならない 血管性EDの可能性があり、滋養強壮食品だけでは不十分
中折れを繰り返す ED治療薬や基礎疾患の評価を検討する
糖尿病、高血圧、肥満、喫煙習慣がある 生活習慣病と血管の評価が優先
朝立ちと性欲の両方が減っている テストステロン低下や男性更年期の検査を検討する

「効いた滋養強壮サプリ」に注意すべき理由

サプリメントを飲んで30分から1時間ほどで急に勃起力が高まり、ED治療薬と同じような効果を感じた場合は、配合されている天然素材だけの作用とは限りません。

強壮用健康食品から、表示されていないシルデナフィル、タダラフィル、または類似成分が検出された事例が国内外で報告されています。

厚生労働省の過去の買上調査では、強壮用健康食品147製品のうち31製品から、シルデナフィルなどの医薬品成分が検出されています。

厚生労働省は、滋養強壮や精力増強を標榜する個人輸入品から、シルデナフィルに似た未承認成分が検出された事例も公表しています。

FDA(アメリカ食品医薬品局)も現在まで継続して、性機能向上をうたう製品から、表示されていないED治療薬成分が見つかったとして警告を行っています。

「天然成分100%なのにED治療薬と同じ速さで強く効く」という製品ほど、慎重に確認する必要があります。

表示されていないシルデナフィルやタダラフィルが含まれていると、狭心症治療に使う硝酸薬との併用によって、血圧が危険なほど低下する可能性があります。

EDを改善したい場合に優先すべきこと

血圧・血糖・脂質を確認する

EDは陰茎だけの問題ではなく、全身の血管状態を反映する場合があります。

陰茎の血管は比較的細いため、動脈硬化の影響が心臓や脳の血管より先に現れることがあります。高血圧、糖尿病、脂質異常症、肥満がある人は、勃起力だけでなく基礎疾患を管理することが重要です。

朝立ちと性欲を分けて考える

朝立ちはあるのに性行為のときだけ勃起しにくい場合は、緊張や不安が関係する心因性EDが疑われます。

朝立ちも性欲も減っている場合は、テストステロン低下、睡眠不足、男性更年期などが関係している可能性があります。

ED治療薬を適切に使う

ED治療薬には、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルなどがあります。

これらはPDE5という酵素を抑え、性的刺激があった際の陰茎への血流を維持しやすくします。ED治療に関する国際的なガイドラインでも、PDE5阻害薬は主要な治療選択肢として位置づけられています。

滋養強壮食品とは異なり、作用する仕組み、用量、作用時間、副作用、禁忌が明確です。

ただし、性的刺激は必要であり、性欲を直接高める薬ではありません。ニトログリセリンなどの硝酸薬との併用は禁止されています。

滋養強壮サプリとED治療薬を併用してもよい?

成分が明確で、ED治療薬と相互作用しない一般的な食品であれば、必ずしも併用できないわけではありません。

しかし、次のような製品は注意が必要です。

  • 全成分と含有量が明記されていない
  • 「即効」「飲んですぐ硬くなる」と強調している
  • 販売元や製造国が確認できない
  • 医薬品成分不使用の根拠が示されていない
  • 複数の強壮成分が高用量で配合されている
  • 海外の個人販売サイトだけで流通している

滋養強壮サプリに未表示のED治療薬成分が含まれていた場合、処方薬や個人輸入したED治療薬と重複し、過量になる危険があります。

強い頭痛、ほてり、動悸、胸痛、視覚の異常、4時間以上続く勃起などが現れた場合は、使用を中止して医療機関へ相談してください。

個人輸入を利用する場合の考え方

個人輸入代行では、マカ、L-アルギニン、亜鉛、鹿茸、スッポンエキスなど、国内では見つけにくい成分や容量の商品を比較できる点がメリットです。

また、シルデナフィル、タダラフィルなどのED治療薬やジェネリック医薬品を、自宅から注文できる場合もあります。

利用する際は、滋養強壮食品とED治療薬を同じものとして扱わず、次の項目を確認してください。

  • 有効成分または原材料名
  • 1粒当たりの含有量
  • 1日の使用量
  • 作用を期待する目的
  • 製造元と製造国
  • 第三者検査の有無
  • 現在使用している薬との相互作用
  • 高血圧、心疾患、腎臓病などの持病
  • シルデナフィル類似成分が含まれていないか

効果が弱いからと、複数の滋養強壮サプリやED治療薬を同時に重ねないでください。

滋養強壮食品を試す場合も、勃起力、朝立ち、性欲、血圧、体調などを記録し、改善しない場合は原因を調べることが重要です。

医療機関へ相談する目安

次のような場合は、泌尿器科、ED外来、男性更年期外来などへ相談してください。

  • 勃起の硬さ不足が3か月以上続いている
  • 中折れを繰り返している
  • 朝立ちが明らかに減った
  • 性欲低下や強い疲労感もある
  • 高血圧、糖尿病、脂質異常症がある
  • 滋養強壮サプリを飲んでも改善しない
  • サプリを飲んだ後に強い頭痛や動悸が出る
  • サプリの成分や含有量が分からない
  • 硝酸薬や心臓病の薬を使用している

胸の痛み、失神、強い息苦しさ、4時間以上続く勃起がある場合は、速やかに救急医療へ相談してください。

まとめ

スッポンや鹿茸は、古くから滋養強壮素材として利用されていますが、EDを直接改善する十分な臨床的根拠はありません。

スッポンは栄養補給や疲労対策として役立つ可能性がありますが、人のEDを改善したことを示す信頼性の高い臨床試験は不足しています。

鹿茸についても、動物実験ではホルモンや性的行動への変化が報告されていますが、人を対象とした試験では明確な性機能向上が確認されていません。

滋養強壮素材で疲労感や性欲が改善することはあっても、血流障害によるEDが治ったとは限りません。

滋養強壮素材の中では、マカやL-アルギニンに一定の研究がありますが、試験規模が小さく、ED治療薬の代わりになるほど確立された効果ではありません。

また、即効性をうたう強壮用健康食品には、表示されていないED治療薬成分が含まれている事例があります。成分や製造元が不明な商品には注意してください。

EDが続く場合は、滋養強壮サプリだけで様子を見るのではなく、血圧、血糖、脂質、テストステロンなどを確認し、原因に応じて生活習慣の改善やED治療薬を検討することが重要です。

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