ピル服用中に茶色いおりものが出るのは不正出血?原因と受診目安
医師・薬剤師監修
「ピルを飲んでいるのに茶色いおりものが出た」「生理ではない時期に茶色い出血が続いて心配」と感じる方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、ピル服用中の茶色いおりものは、少量の血液がおりものに混ざった不正出血であることが多くあります。
血液は時間が経つと酸化して赤色から茶色〜黒っぽい色へ変化するため、出血量が少ないと「茶色いおりもの」のように見えることがあります。
また、低用量ピルなどのホルモン避妊薬では、飲み始めの数か月に不正出血が起こることは珍しくありません。NHS(英国国民保健サービス)でも、配合ピル開始後の最初の数か月は月経の間の出血や出血パターンの変化がよくみられるとされています。
ただし、茶色いおりものが長く続く、量が増える、腹痛・悪臭・発熱を伴う場合は、ピルによる不正出血以外の原因も考える必要があります。
茶色いおりものはなぜ出る?
茶色いおりものの多くは、少量の血液がおりものに混ざったものです。
出血したばかりの血液は赤色ですが、すぐに体外へ出ず時間が経つと酸化し、茶色や黒っぽい色になります。
そのため、
- 下着に薄い茶色の汚れが付く
- トイレットペーパーに茶色いものが付く
- 赤い出血ではなく茶色のおりものが数日出る
といった状態でも、実際には少量の出血が関係していることがあります。
ピルを飲み始めたばかりなら不正出血は起こりやすい?
起こることがあります。
低用量ピルを開始すると、体が新しいホルモン環境へ適応するまでの間に子宮内膜が安定せず、少量の出血が起こることがあります。
FSRH(英国性と生殖に関する医療学会)のガイドラインでは、配合ホルモン避妊法では予定外出血が起こることがあり、特に開始後3〜4か月は改善していくことが多いとされています。
飲み始めから数か月以内で、少量の茶色いおりものだけで体調に問題がなければ、経過をみることもあります。

飲み忘れがあると茶色いおりものが出る?
あります。
ピルを飲み忘れたり、服用時間が大きくずれたりすると、体内のホルモン濃度が一時的に変化し、不正出血が起こることがあります。
特に複数錠の飲み忘れがある場合は、出血だけでなく避妊効果にも影響する可能性があります。
飲み忘れに気づいた場合は、自己判断でまとめて服用せず、その製品の添付文書や医師・薬剤師の指示を確認してください。
茶色いおりものが出たときは、直近に飲み忘れや服用時間の大きなずれがなかったか確認しましょう。
休薬期間前に茶色いおりものが出ても大丈夫?
ピル服用中は、休薬期間や偽薬期間に起こる消退出血とは別に、実薬服用中に少量の出血が起こることがあります。
これを「破綻出血」「ブレイクスルー出血」などと呼ぶことがあります。
特に服用開始直後や、長期間休薬を入れずに連続服用している場合などは、予定外の出血がみられることがあります。
日本産科婦人科学会「産婦人科診療ガイドライン―婦人科外来編2023」でも、経口避妊薬を長期間連続して使用した場合、不正出血が起こることがあるとされています。
ピルが体に合っていない可能性もある?
あります。
ピルにはエストロゲンや黄体ホルモンの種類・量が異なる複数の製剤があります。
同じ低用量ピルでも、ある製剤では出血が安定していても、別の製剤では少量の出血が続く人もいます。
FSRHでも、予定外出血の頻度は製剤や個人差によって異なるとされています。
3〜4か月以上経過しても不正出血が続き、日常生活で負担になっている場合は、処方医へ相談してピルの種類や服用方法を見直すことがあります。
茶色いおりものが出たら妊娠している可能性はある?
可能性はゼロではありません。
ピルを正しく服用していれば妊娠予防効果は高いですが、飲み忘れ、嘔吐・下痢、薬の相互作用などによって効果が低下する場合があります。
妊娠初期にも少量の出血がみられることがあるため、
- 飲み忘れがあった
- 避妊なし性交があった
- 休薬期間に出血がない
- 妊娠を疑う症状がある
場合は、妊娠検査を検討してください。
茶色いおりものが出たことだけで「妊娠している」「妊娠していない」と判断することはできません。
悪臭がある場合は不正出血だけではない?
茶色いおりものに強い悪臭がある場合は、感染症など別の原因を考えることがあります。
特に、
- 魚のような強いにおい
- 黄色や緑色のおりもの
- 外陰部のかゆみ
- 性交時の痛み
- 下腹部痛
- 発熱
を伴う場合は、細菌性膣症、性感染症、子宮頸管炎などが関係している可能性があります。
単なるピルの副作用と決めつけず、婦人科へ相談しましょう。
性交後に茶色いおりものが出る場合は?
性交による刺激で膣や子宮頸部から少量出血することがあります。
ただし、性交後出血を何度も繰り返す場合は、子宮頸部の炎症、ポリープなどが関係していることもあります。
また、子宮頸がんなどでも不正出血が起こることがあるため、性交後の出血を繰り返す場合は一度婦人科で確認してもらうことが大切です。
茶色いおりものは何日までなら様子を見ていい?
一律に「○日なら大丈夫」と決めることはできません。
少量で数日以内に治まり、ピル開始後の数か月以内で、痛み・発熱・悪臭などがなければ経過をみる場合があります。
一方、
- 1〜2週間以上続く
- いったん治まっても何度も繰り返す
- 3〜4か月以上ピルを服用しているのに続く
- 徐々に出血量が増えている
場合は、処方医へ相談するとよいでしょう。

鮮血や出血量が多い場合は?
茶色いおりものから鮮血に変わり、出血量が多くなる場合は注意が必要です。
特に、
- 短時間でナプキンがいっぱいになるほど出血する
- 大きな血の塊が何度も出る
- 強い下腹部痛がある
- めまい・ふらつき・動悸がある
場合は、早めに医療機関へ相談してください。
大量出血や強い腹痛がある場合は、「ピルの不正出血」と自己判断して様子を見続けないことが重要です。
ピルを中止すれば茶色いおりものは止まる?
自己判断で中止するのは避けましょう。
ピルを急に中止すると、ホルモン変化によってさらに出血が起こる場合があります。
また、避妊目的で使用している場合は避妊効果が失われます。
不正出血が気になる場合は、服用を中断する前に処方医へ相談してください。
記録しておくと受診時に役立つ
出血が続く場合は、次の内容を記録しておくと診察時に役立ちます。
- 茶色いおりものが始まった日
- 出血量
- 赤色・茶色などの色
- 腹痛の有無
- においの変化
- 飲み忘れの有無
- 性交との関係
- ピルを開始してからの期間
スマートフォンのカレンダーなどへ記録しておくと、出血パターンを把握しやすくなります。
こんな場合は婦人科へ相談を
次のような場合は、婦人科やピルを処方した医療機関へ相談してください。
- 不正出血が長期間続いている
- 出血量が徐々に増えている
- 強い下腹部痛がある
- 発熱がある
- おりものに強い悪臭がある
- 性交後出血を繰り返す
- 飲み忘れがあり妊娠の可能性がある
- 妊娠検査薬が陽性になった
特に妊娠反応が陽性で、片側の強い下腹部痛や不正出血、めまいなどがある場合は、異所性妊娠など緊急性のある状態を除外するため、速やかに医療機関を受診してください。
まとめ
ピル服用中の茶色いおりものは、少量の血液がおりものに混ざった不正出血であることが多くあります。
特にピルを飲み始めた最初の数か月は予定外出血が起こりやすく、徐々に落ち着くことがあります。
飲み忘れやホルモン変化によっても出血する可能性があるため、服用状況も確認しましょう。
少量で短期間なら経過をみることもありますが、長く続く、量が増える、悪臭・発熱・強い腹痛を伴う場合は、ピルによる不正出血と決めつけず婦人科へ相談してください。
また、妊娠の可能性がある場合は、出血の有無だけで判断せず妊娠検査を行うことが大切です。

