衰えた性欲を高めるための生活習慣とは?男性の性欲低下の原因と改善方法
監修:医師・薬剤師監修
「以前ほど性行為をしたいと思わない」「パートナーに誘われても気持ちが乗らない」「朝立ちも減ってきた」と感じる男性は少なくありません。
性欲は年齢とともに変化しますが、加齢だけで決まるものではありません。睡眠不足、仕事のストレス、運動不足、肥満、過度の飲酒、男性ホルモンの低下、服用中の薬など、さまざまな原因が関係します。
衰えた性欲を高めるには、精力がつくとされる食品やサプリメントだけに頼るのではなく、睡眠、運動、体重、ストレス、飲酒などを総合的に見直すことが重要です。
性欲と勃起力は同じではない
性欲とは、性行為をしたい、性的なことへ興味を持つといった気持ちのことです。一方、勃起力は性的刺激を受けたときに、陰茎を十分に硬くして維持する身体の機能を指します。
そのため、次のような違いがあります。
| 状態 | 考えられる問題 |
|---|---|
| 性行為はしたいが勃起できない | ED(勃起不全)が中心 |
| 勃起できるが性行為をしたいと思わない | 性欲低下が中心 |
| 性欲も勃起力も落ちている | 男性更年期、疲労、ストレス、生活習慣病などの可能性 |
NHS(英国国民保健サービス)では、性欲低下の原因として、ストレス、不安、うつ、関係性の問題、加齢によるホルモン低下、服用薬などが挙げられています。
シルデナフィルやタダラフィルなどのED治療薬は勃起を助ける薬であり、性欲そのものを直接高める薬ではありません。
性欲が衰える主な原因
テストステロンの低下
テストステロンは、性欲、朝立ち、筋力、意欲、集中力などに関係する男性ホルモンです。
40代以降では、テストステロンが低下し、性欲低下、ED、疲労感、筋力低下、イライラ、不眠などが現れる場合があります。この状態はLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)、いわゆる男性更年期と呼ばれます。
ただし、年齢だけで男性更年期と診断することはできません。性欲低下などの症状と、午前中に行う血液検査の結果を合わせて判断します。
NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)でも、テストステロン低下によって、性欲低下、疲労感、気分の落ち込み、EDなどが起こる場合があると報告されています。
睡眠不足
毎日4~5時間しか眠っていない、夜中に何度も目が覚めるといった状態では、身体は性行為よりも休息を優先します。
睡眠不足が続くと、疲労感、ストレス、集中力低下が強くなり、性的なことへ気持ちを向けにくくなります。
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が隠れている可能性があります。
仕事や家庭のストレス
仕事の責任、家計、親の介護、夫婦関係などのストレスが続くと、脳が緊張した状態になり、性欲が低下しやすくなります。
また、一度勃起に失敗した経験があると、「次も失敗するかもしれない」と不安になり、性行為そのものを避けるようになる場合があります。
肥満と運動不足
運動不足によって内臓脂肪が増えると、糖尿病、高血圧、脂質異常症になりやすくなります。これらは陰茎の血管を傷つけ、EDの原因になります。
さらに、肥満のある男性ではテストステロンが低くなりやすく、性欲低下、疲労感、筋力低下が現れることがあります。
飲酒と喫煙
少量の飲酒で緊張が和らぐ人もいますが、飲み過ぎると脳から陰茎へ送られる神経の信号が弱くなり、勃起しにくくなります。
寝酒は睡眠の後半を浅くするため、翌日の疲労感や性欲低下にもつながります。
喫煙は血管を収縮させ、動脈硬化を進めます。性欲があっても勃起できない状態が続くと、性行為への自信を失い、結果的に性欲まで低下することがあります。
薬の副作用
一部の抗うつ薬、降圧薬、前立腺治療薬、抗男性ホルモン薬などでは、性欲低下やEDが起こる場合があります。
薬を飲み始めてから性欲が低下した場合でも、自己判断で中止してはいけません。処方した医師へ相談し、薬の種類や量を見直せるか確認しましょう。
性欲を高めるために見直したい生活習慣
毎日同じ時刻に起きる
睡眠を改善するには、寝る時刻よりも起きる時刻をそろえることが大切です。
休日も平日より2時間以上遅くまで眠らず、起床後はカーテンを開けて朝の光を浴びましょう。夜は就寝直前までスマートフォンを見ることを避け、夕方以降のカフェインを減らします。
まずは7時間前後の睡眠時間を確保できる生活を目指してください。
週2~3回の筋トレを行う
スクワット、腕立て伏せ、かかと上げなどの筋トレは、筋肉量と体重の管理に役立ちます。
運動習慣がない人は、スクワットを10回程度から始め、週2~3回行いましょう。翌日まで強い痛みが残るほど追い込む必要はありません。
筋トレだけでなく、1日20~30分のウォーキングを組み合わせると、血流、血圧、血糖の改善にもつながります。NIDDK(アメリカ国立糖尿病・消化器・腎疾病研究所)では、身体活動、健康的な体重、禁煙などの生活習慣改善が、EDの改善や予防に役立つとされています。
体重を3~5%減らす
肥満がある場合は、急激な減量ではなく、まず現在の体重の3~5%を減らすことを目標にします。
体重80kgの人なら、約2.4~4kgの減量が目安です。
夜食、甘い飲料、菓子、揚げ物、飲酒量を見直し、魚、肉、卵、大豆製品、野菜などを組み合わせましょう。
極端な断食や厳しい糖質制限は、疲労や栄養不足を招き、かえって性欲が低下する可能性があります。
たんぱく質と脂質を極端に減らさない
筋肉やホルモンの材料を確保するためには、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などからたんぱく質を取る必要があります。
脂質を完全に避ける必要もありません。青魚、ナッツ、オリーブ油などを適量取り入れましょう。
ただし、特定の食品を食べればテストステロンや性欲が急に高まるわけではありません。ニンニク、うなぎ、牡蠣などだけに頼らず、食事全体を整えることが重要です。
飲酒量を減らす
毎晩飲んでいる人は、まず週に2日程度、飲酒しない日を作りましょう。
性行為の前に大量に飲酒すると、性欲があっても勃起を維持しにくくなります。NHS(英国国民保健サービス)でも、疲労、ストレス、飲み過ぎは一時的なEDの原因になるとされています。
禁煙する
たばこのニコチンは血管を収縮させ、陰茎への血流を妨げます。
自力で禁煙するのが難しい場合は、禁煙外来や禁煙補助薬を利用する方法があります。
パートナーとの会話を増やす
性欲は、ホルモンや血流だけで決まるものではありません。
性行為の回数を義務のように考えると、プレッシャーが強くなります。疲れていること、性欲が落ちていること、性交時の不安などをパートナーへ伝えましょう。
性行為だけを目的にせず、手をつなぐ、抱き合う、二人で外出するなど、緊張の少ない接触から始める方法もあります。
生活習慣による改善が期待できる場合
| 現在の状態 | 見直したい生活習慣 |
|---|---|
| 疲労感が強い | 睡眠時間、勤務時間、飲酒量 |
| 肥満や運動不足がある | ウォーキング、筋トレ、食事量 |
| ストレスが強い | 休養、相談、仕事や家庭の負担 |
| 飲酒後に勃起しにくい | 性行為前の飲酒量 |
| 朝立ちや性欲が減った | 睡眠、体重、男性更年期の検査 |
精力サプリメントで性欲は回復する?
亜鉛、マカ、トンカットアリ、アルギニンなどを含むサプリメントが販売されています。
栄養不足がある人では、不足した栄養を補う意味があります。しかし、栄養状態が正常な人が多量に摂取しても、必ず性欲が高まるわけではありません。
また、海外の性機能改善サプリメントには、表示されていないシルデナフィルやタダラフィルなどが混入している可能性があります。
「天然成分だから安全」「飲めばすぐ性欲が戻る」といった宣伝だけで商品を選ばないでください。
性欲低下に使われる治療方法
テストステロン補充療法
性欲低下、朝立ちの減少、疲労感、筋力低下などがあり、血液検査でテストステロン低下が確認された場合は、テストステロン補充療法が検討されます。
治療によって、性欲、活力、筋力、EDなどが改善する場合があります。
ただし、テストステロン値が正常な人が、精力を高める目的だけで使用する治療ではありません。内分泌学会では、症状と明確な低テストステロン値がそろった男性に限って性腺機能低下症と診断することを推奨しています。
主な副作用や注意点は次のとおりです。
- 多血症
- ニキビや皮脂の増加
- むくみ
- 睡眠時無呼吸症候群の悪化
- 精子産生の低下
- 精巣の縮小
- 不妊への影響
将来子どもを希望している人は、テストステロン補充療法を始める前に必ず医師へ伝えてください。
ED治療薬
性欲はあるものの、勃起の硬さや持続力が不足している場合は、シルデナフィル、タダラフィル、バルデナフィルなどのED治療薬が使われます。
これらの薬は陰茎への血流を助けますが、性的刺激が必要です。催淫剤ではないため、性欲を直接高める作用はありません。
主な副作用は、顔のほてり、頭痛、鼻づまり、動悸、胃の不快感などです。
ニトログリセリンなどの硝酸薬とは併用できません。血圧が急激に下がり、命に関わる可能性があります。
心療内科やカウンセリングによる治療
強いストレス、不安、うつ状態、夫婦関係などが性欲低下の中心である場合は、心療内科やカウンセリングが役立つことがあります。
趣味を楽しめない、気分の落ち込みが続く、自分を強く責める、眠れないといった症状がある場合は、男性更年期だけでなく、うつ病も確認する必要があります。
個人輸入を利用する場合の注意点
個人輸入では、国内では入手しにくいED治療薬、テストステロン製剤、サプリメントなどを自宅から注文できる場合があります。成分、含有量、剤形、価格を比較できる点はメリットです。
一方で、性欲低下の原因を確認せずに商品を選ぶと、期待した効果を得られないだけでなく、副作用が起こる可能性があります。
購入前には、次の項目を確認してください。
- 有効成分
- 1錠または1回当たりの含有量
- 性欲と勃起力のどちらを対象にした製品か
- 服用する時間と作用時間
- 持病や併用薬との相互作用
- 副作用と禁忌
- 製造元と成分表示
テストステロン製剤を自己判断で増量したり、複数のED治療薬を同じ日に重ねたりしないでください。
テストステロン製剤を検討する場合は、使用前と使用中に血液検査を受け、多血症、肝機能、ホルモン値などを確認することが重要です。
医療機関へ相談する目安
次のような場合は、泌尿器科、男性更年期外来、メンズヘルス外来、心療内科などへ相談してください。
- 性欲低下が3か月以上続いている
- 朝立ちが急に減った
- 疲労感、筋力低下、意欲低下を伴う
- EDも同時に起きている
- 生活習慣を変えても改善しない
- 薬を始めてから性欲が落ちた
- 気分の落ち込みや不眠が続いている
- テストステロン補充療法を検討している
- 将来子どもを希望している
男性更年期が疑われる場合は、午前中のテストステロン値に加え、血糖、甲状腺機能、肝機能、服用薬などを確認することがあります。
まとめ
衰えた性欲を高めるためには、睡眠、運動、体重、食事、飲酒、喫煙、ストレスなどの生活習慣を総合的に見直す必要があります。
特に、慢性的な睡眠不足、肥満、運動不足、過度の飲酒、強いストレスは、性欲と勃起力の両方へ影響します。
精力食品やサプリメントを一つ追加するだけではなく、7時間前後の睡眠、週2~3回の筋トレ、適度な有酸素運動、体重管理を継続することが基本です。
性欲低下に加えて、朝立ちの減少、疲労感、筋力低下、EDなどがある場合は、男性更年期やテストステロン低下が関係している可能性があります。
生活習慣を見直しても改善しない場合は、年齢のせいだと諦めず、泌尿器科や男性更年期外来へ相談しましょう。

