エナジードリンク中毒って本当にあるの?正しい飲み方とその効果を解説
監修:医師・薬剤師監修
「仕事中に眠くなると毎日エナジードリンクを飲む」「飲まないと頭が痛くなり、集中できない」といった状態になると、エナジードリンク中毒ではないかと不安になる人もいるでしょう。
結論からいうと、エナジードリンクそのものに依存するというより、主成分の一つであるカフェインに身体が慣れ、やめにくくなることはあります。
毎日カフェインを摂取している人が急にやめると、頭痛、眠気、イライラ、吐き気、集中力低下などの離脱症状が現れる場合があります。NIH(アメリカ国立衛生研究所)が運営するMedlinePlusでも、日常的にカフェインを摂取していた人が突然中止すると、こうした症状が起こるとされています。
ただし、適量を守って使用すれば、眠気を減らし、一時的に集中しやすくする効果が期待できます。大切なのは、1本に含まれるカフェイン量と、コーヒーや薬を含めた1日の合計量を確認することです。
エナジードリンクには何が入っている?
エナジードリンクの商品によって配合成分は異なりますが、一般的には次のような成分が含まれます。
- カフェイン
- 糖類または人工甘味料
- ビタミンB群
- アミノ酸類
- 香料や酸味料
飲んだ後に目が覚めたように感じる主な理由はカフェインです。カフェインは、眠気を感じさせるアデノシンという物質の働きを妨げ、脳の覚醒状態を保ちやすくします。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、カフェインには眠気や疲労感を軽減する効果があり、夜勤時の眠気対策として役立つ場合があるとされています。一方、取り過ぎると健康や睡眠へ悪影響を及ぼす可能性も示されています。
エナジードリンクは疲労の原因を取り除く薬ではありません。眠気や疲労感を一時的に感じにくくするだけで、睡眠不足そのものが解消されるわけではありません。
エナジードリンク中毒とは?
一般に「エナジードリンク中毒」と呼ばれている状態には、大きく分けて次の3つがあります。
カフェインへの依存
毎日カフェインを取っていると、同じ量では効きにくくなり、以前は1本で足りていたのに2本、3本と増えてしまうことがあります。
また、「飲まないと仕事ができない」「朝に飲まないと頭が痛い」という状態では、カフェインへの身体的・心理的な依存が起きている可能性があります。
カフェインの離脱症状
習慣的に飲んでいる人が急に中止すると、次のような症状が現れる場合があります。
- 頭痛
- 強い眠気
- だるさ
- イライラ
- 集中力低下
- 吐き気
これらは通常、数日程度で軽くなることが多いとされています。
毎日複数本飲んでいる人は、急にゼロにするより、数日から数週間かけて少しずつ減らすほうが離脱症状を抑えやすくなります。
カフェインの過剰摂取
短時間に大量のカフェインを取ると、依存とは別に急性中毒が起こることがあります。
主な症状は次のとおりです。
- 動悸
- 心拍数の増加
- 手の震え
- 強い不安や焦り
- 吐き気や嘔吐
- 下痢
- 頭痛
- 不眠
- めまい
厚生労働省でも、カフェインの過剰摂取によって、めまい、心拍数の増加、興奮、不安、震え、不眠、吐き気などが起こる可能性があるとして注意を呼びかけています。
エナジードリンクにはどんな効果がある?
| 期待できる変化 | 主な仕組み | 注意点 |
|---|---|---|
| 眠気が軽くなる | カフェインがアデノシンの働きを妨げる | 睡眠不足そのものは解消されない |
| 集中しやすくなる | 脳の覚醒度が一時的に上がる | 効果には個人差がある |
| 疲労感を感じにくくなる | 眠気やだるさを一時的に隠す | 身体が回復したわけではない |
| 運動時に頑張りやすくなる | カフェインによる覚醒作用 | 心拍数増加や脱水感に注意する |
エナジードリンクを飲んで元気になったように感じても、身体の疲労が回復したとは限りません。
睡眠不足のままカフェインで眠気を隠し続けると、集中力や判断力が落ち、仕事中のミスや運転事故につながる可能性があります。
1日にどれくらいまでなら飲んでいい?
FDA(アメリカ食品医薬品局)では、健康な成人のカフェイン摂取量について、1日400mgまでは一般的に健康への悪影響と関連しにくい量としています。ただし、体重、持病、服用薬、カフェインへの敏感さによって、安全に取れる量は異なります。
EFSA(欧州食品安全機関)では、健康な成人について、1回200mgまで、1日合計400mgまでのカフェイン摂取は、安全上の問題が起こりにくい目安とされています。
ただし、これはエナジードリンクだけではなく、次の食品や医薬品に含まれるカフェインをすべて合計した量です。
- コーヒー
- 紅茶
- 緑茶
- コーラ
- チョコレート
- 眠気防止薬
- 一部の頭痛薬
- カフェイン入りサプリメント
例えば、エナジードリンク1本に100mg、コーヒー2杯で200mg、眠気防止薬で100mgを取れば、合計400mgになります。
「エナジードリンクは1本だけだから大丈夫」と考えず、1日のカフェイン合計量を確認してください。
商品によってカフェイン量が違う
エナジードリンクは、商品や容量によってカフェイン量が大きく異なります。
小さな缶でもカフェイン濃度が高い商品がある一方、大容量でも比較的少ない商品があります。飲む前に、パッケージの「1本当たり」または「100ml当たり」の表示を確認しましょう。
厚生労働省では、一定量以上のカフェインを添加した清涼飲料水について、1本当たりのカフェイン量や、小児・妊婦などが飲用を控える旨の表示を行う取り組みを紹介しています。
正しい飲み方
一気に複数本飲まない
眠気が強いからといって、短時間に2本、3本と続けて飲むと、血液中のカフェイン濃度が急に高くなります。
まずは1本当たりのカフェイン量を確認し、コーヒーや薬を含めた合計が多くならないようにしましょう。
午後遅くから夜は避ける
カフェインの影響は数時間続くため、夕方や夜に飲むと寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めたりすることがあります。
夜に眠れないため翌朝さらにエナジードリンクを飲む、という悪循環にも注意が必要です。
睡眠へ影響しやすい人は、就寝の6時間以上前からカフェインを避けることを目安にしましょう。
水や食事の代わりにしない
エナジードリンクだけで朝食を済ませたり、水分補給の代わりに何本も飲んだりするのは避けましょう。
糖分を多く含む商品を習慣的に飲むと、摂取エネルギーが増え、体重増加や血糖値への影響につながる可能性があります。
のどが渇いたときは水やお茶、運動で大量に汗をかいたときは必要に応じて電解質を含む飲料を選びます。
眠気が強いときは休む
強い眠気があるときは、エナジードリンクで無理に覚醒させるより、20分程度の短い仮眠を取るほうが有効な場合があります。
厚生労働省の睡眠ガイドでも、夜勤中の短時間の仮眠や、仮眠前の適切なカフェイン摂取が、覚醒や仕事効率を助ける場合があるとされています。
アルコールと一緒に飲んではいけない理由
エナジードリンクをアルコールと混ぜる飲み方は避けてください。
カフェインによって眠気が弱くなると、酔いが軽くなったように感じることがあります。しかし、カフェインはアルコールの分解を早めたり、血中アルコール濃度を下げたりするものではありません。
厚生労働省とCDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、カフェインがアルコールによる機能低下を隠し、飲酒量の増加や健康被害につながる可能性があるとしています。
「眠くないから酔っていない」という判断は危険です。運転、入浴、転倒、急性アルコール中毒などのリスクは残っています。
妊娠中・授乳中・子どもは注意
妊娠中や授乳中は、カフェインが胎児や乳児へ影響する可能性があるため、飲用前に医師や薬剤師へ相談してください。
また、子どもや10代は成人よりカフェインの影響を受けやすく、動悸、不安、不眠、血圧上昇などが起こる可能性があります。FDA(アメリカ食品医薬品局)では、子どもや10代にエナジードリンクを勧めない専門家の見解を紹介しています。
厚生労働省でも、小児、妊婦、授乳中の人、カフェインに敏感な人は飲用を控え、他のカフェイン含有食品と重ねないよう注意を促しています。
カフェインに注意が必要な人
次に当てはまる人は、少量でも動悸や不眠が起こる場合があります。
- 不眠症がある
- 不安が強い
- 不整脈がある
- 高血圧がある
- 片頭痛がある
- 胃食道逆流症がある
- 妊娠中または授乳中
- 刺激作用のある薬を服用している
MedlinePlusでは、不眠、片頭痛、不安、不整脈、高血圧がある人や、一部の抗菌薬、喘息薬、心臓病治療薬などを使用している人は、カフェインについて医療従事者へ相談するよう案内しています。
エナジードリンクを減らす方法
毎日何本も飲んでいる人は、急にすべてやめると頭痛や眠気が強くなることがあります。
次のように段階的に減らしましょう。
- 1日3本なら、数日間は2本にする
- 大容量から小容量の商品へ替える
- 1本をカフェインレス飲料や水へ替える
- 午後以降の1本から先にやめる
- コーヒーや眠気防止薬も含めて記録する
頭痛や眠気が強い場合は、無理に一気に減らさず、カフェイン量を少しずつ減らします。
減らそうとしても量をコントロールできない、生活や仕事に支障が出ている場合は、内科や依存症を扱う医療機関へ相談してください。
個人輸入でカフェイン製品を購入する場合
個人輸入では、国内では見かけない高濃度のエナジーショット、カフェイン錠、カフェインパウダーなどを購入できる場合があります。
しかし、飲料よりも高濃度の製品は、少量でも大量のカフェインを摂取しやすいため注意が必要です。
購入前には、次の項目を確認してください。
- 1本、1錠、1回分当たりのカフェイン量
- 1日の使用上限
- 他の刺激成分の有無
- 妊娠、授乳、持病がある場合の使用可否
- 薬との相互作用
- 製造元と成分表示
FDA(アメリカ食品医薬品局)は、純粋または高濃度の粉末・液体カフェインについて、少量の計量ミスでも重い中毒や死亡につながる可能性があるとして、消費者へ使用を避けるよう警告しています。
高濃度カフェイン製品を目分量で使用したり、エナジードリンク、コーヒー、眠気防止薬と重ねたりしないでください。
医療機関へ相談する目安
次のような場合は、エナジードリンクの使用を中止し、内科や救急医療へ相談してください。
- 胸の痛みがある
- 激しい動悸が続く
- 脈が不規則に感じる
- 手の震えや強い不安が止まらない
- 何度も嘔吐する
- 意識がぼんやりする
- けいれんがある
- 短時間に大量摂取した
意識障害、けいれん、強い胸痛、呼吸困難がある場合は、すぐに救急車を呼んでください。
また、エナジードリンクがないと仕事や学校へ行けない、夜眠れず日中に飲む量が増え続けている場合も、一度医療機関へ相談することが大切です。
まとめ
エナジードリンクを習慣的に飲むことで、主成分であるカフェインへの依存や離脱症状が起こることはあります。
飲まないと頭痛、眠気、イライラ、集中力低下が起こる場合は、カフェインに身体が慣れている可能性があります。
健康な成人では、カフェインは1日合計400mg以内、1回200mg以内を一つの目安とし、商品表示を確認することが重要です。ただし、妊娠中、授乳中、子ども、不眠、不整脈、高血圧などがある人は、さらに慎重な判断が必要です。
エナジードリンクは一時的な眠気や疲労感を軽くすることはありますが、睡眠不足や疲労そのものを治す飲み物ではありません。
短時間に複数本を飲む、アルコールと混ぜる、高濃度カフェイン製品を重ねるといった使い方を避け、睡眠、食事、休養を優先しましょう。

