水虫は家族にうつる?お風呂・バスマット・スリッパで気をつけたいこと
監修:医師・薬剤師
「家族が水虫になったけれど、同じお風呂に入って大丈夫?」「バスマットやスリッパからうつるの?」と不安になる方は少なくありません。
結論からいうと、水虫は家族間でうつる可能性があります。ただし、水虫の原因となる白癬菌(はくせんきん)が皮膚に付着しただけですぐに発症するわけではありません。菌が皮膚に残り、湿気の多い状態が続くことで感染しやすくなります。
そのため、家族に水虫の人がいる場合は、お風呂そのものを別にするよりも、バスマットやスリッパなど、裸足で共用するものを清潔に保つことが重要です。
水虫は何が原因で起こる?
水虫は、皮膚糸状菌というカビの一種が皮膚の角質層に感染して起こります。足にできるものは「足白癬」と呼ばれ、指の間が白くふやけるタイプ、足裏に小さな水ぶくれができるタイプ、かかとが硬くガサガサするタイプなどがあります。
白癬菌は、人の皮膚から剥がれ落ちた角質の中でも生き続けることがあります。そのため、家族に水虫の人がいると、床、バスマット、スリッパなどに菌を含む角質が落ち、ほかの人の足へ付着する可能性があります。
「直接足を触らなければうつらない」というわけではなく、菌が付着した床や共用品を介して感染することがあります。
同じお風呂に入るとうつる?
家族に水虫の人がいると、「同じ湯船に入ったら感染するのでは」と心配になることがあります。
しかし、一般的には湯船のお湯そのものから水虫がうつる可能性は高くありません。注意したいのは、浴室の床や脱衣所、バスマットなどです。
白癬菌を含む角質が足から落ち、湿った床やバスマットに付着すると、そこを別の家族が裸足で歩くことで菌が足へ付着することがあります。
そのため、「最後にお風呂へ入れば絶対にうつらない」というより、入浴後に足をきちんと洗って乾かし、共用するバスマットを清潔にすることのほうが大切です。
バスマットは水虫がうつりやすい?
バスマットは、水虫の家族内感染を考えるうえで特に注意したい場所のひとつです。
入浴後の足は湿っており、さらにバスマット自体も湿気を含みやすい環境です。そこに白癬菌を含む角質が付着すると、別の家族の足へ菌が移る可能性があります。
家族に水虫の人がいる場合は、バスマットをこまめに洗濯し、しっかり乾燥させることが重要です。
可能であれば、水虫を治療している間だけバスマットを分けるのも対策になります。完全に別々にできない場合でも、毎日交換する、使用後に乾燥させるなどの工夫をするとよいでしょう。
スリッパの共用にも注意
家庭内で意外と見落としやすいのがスリッパです。
裸足で履くスリッパの内側には、足から剥がれた角質がたまりやすくなります。水虫の人と同じスリッパを家族で使い回すと、白癬菌が付着する可能性があります。
水虫の症状がある人は、できるだけ自分専用のスリッパを使用しましょう。
また、洗えるスリッパであれば定期的に洗濯し、十分に乾燥させることが大切です。蒸れやすい素材より、通気性がよく洗いやすいものを選ぶと管理しやすくなります。
床を裸足で歩くだけでもうつる?
白癬菌を含む角質は、フローリングやカーペットなどにも落ちる可能性があります。
そのため、家族に水虫の人がいる場合、床をまったく掃除しない状態が続けば感染機会は増えます。
ただし、白癬菌が足に付着しても、すぐに感染が成立するわけではありません。足を清潔に保ち、菌が皮膚へ定着する前に洗い流すことが大切です。
特別な消毒を繰り返すよりも、掃除機や拭き掃除で落ちた角質をこまめに取り除くことが基本です。
水虫の人と同じ洗濯機を使っても大丈夫?
靴下やタオルを同じ洗濯機で洗うことを心配する方もいますが、通常の家庭用洗濯であれば、必要以上に分けて洗う必要はありません。
洗剤を使って洗濯し、その後しっかり乾燥させることが大切です。
一方、使用済みの靴下を長期間湿ったまま放置したり、タオルを何日も共用したりすることは避けましょう。
「洗濯機を別にする」ことよりも、濡れたものを放置せず、洗って乾かすことのほうが重要です。
足を洗えば水虫は予防できる?
白癬菌が足へ付着した場合でも、比較的早い段階で洗い流すことで感染リスクを下げることができます。
帰宅後や入浴時には、足の裏だけでなく指の間までやさしく洗いましょう。
ただし、強い力でゴシゴシ洗う必要はありません。皮膚を傷つけると、かえって菌が侵入しやすくなる可能性があります。
洗った後は、指の間までしっかり水分を拭き取り、乾燥させることがポイントです。
足の蒸れを減らすことも大切
白癬菌は高温多湿の環境を好みます。そのため、長時間靴を履き続けて足が蒸れる生活では、水虫が発症・悪化しやすくなります。
仕事などで長時間靴を履く場合は、通気性のよい靴や靴下を選び、可能であれば靴を履き替えることも対策になります。
同じ靴を毎日履き続けず、内部を十分に乾燥させる時間を作ることも重要です。
水虫対策は「菌を完全になくす」だけではなく、菌が増えにくい乾燥した環境を作ることが大切です。
家族全員で症状を確認する
水虫は強いかゆみが出るイメージがありますが、実際にはほとんどかゆくないタイプもあります。
特に、かかとが白く硬くなり、ガサガサする「角質増殖型」の水虫では、単なる乾燥肌と思って放置されることがあります。
また、爪が白く濁る、厚くなる、ボロボロする場合には爪白癬が隠れている可能性もあります。
家族内で水虫を繰り返している場合、治療していない別の家族が感染源になっていることもあります。怪しい症状がある場合は皮膚科で確認してもらうとよいでしょう。
水虫は市販薬だけで治せる?
足の水虫には、抗真菌成分を含む市販の外用薬が使用されることがあります。
ただし、「水虫だと思ったら実は湿疹だった」というケースも珍しくありません。湿疹と水虫では治療方法が異なり、自己判断でステロイド外用薬などを使うと症状が分かりにくくなることもあります。
また、爪白癬では外用薬だけでは治療が難しく、医療機関で内服薬や爪専用の外用薬が検討される場合があります。
初めて症状が出た場合、なかなか治らない場合、爪まで変化している場合には皮膚科への相談がおすすめです。
症状が消えてもすぐ薬をやめない
水虫治療では、かゆみや皮むけが改善すると「治った」と思って薬をやめてしまうことがあります。
しかし、見た目が改善しても皮膚の角質層に白癬菌が残っている場合があります。途中で治療を中止すると再発につながることがあります。
抗真菌薬は、製品や症状によって使用期間が異なります。説明書や医師・薬剤師から指示された期間を守りましょう。
症状が軽くなったからと自己判断ですぐ中止しないことが、水虫を繰り返さないためのポイントです。
家族への感染を防ぐために大切なこと
家族に水虫の人がいる場合でも、家中を毎日消毒する必要はありません。
大切なのは、床をこまめに掃除する、バスマットを清潔にして乾かす、スリッパを共用しない、足を毎日洗ってしっかり乾燥させるといった基本的な対策です。
そして最も重要なのは、水虫になっている本人が適切な治療を続けることです。
感染源となる白癬菌が減れば、家族へうつす可能性も低くなります。
まとめ
水虫は白癬菌による感染症で、家族間でうつる可能性があります。ただし、同じ湯船に入ること自体よりも、バスマット、スリッパ、床などに落ちた角質を介して菌が足へ付着することに注意が必要です。
家族への感染を防ぐためには、バスマットをこまめに洗って乾燥させる、スリッパを共用しない、床を清潔にする、毎日足を洗って指の間まで乾かすことが基本です。
さらに、水虫の本人がきちんと治療を続けることが、家庭内感染を防ぐ最も重要な対策のひとつです。
症状が繰り返す場合や爪にも変化がある場合、「本当に水虫なのかわからない」という場合には、皮膚科で診断を受けましょう。

