年齢とともに体重が増えやすくなる原因とその対策
監修:医師・薬剤師監修
「食べる量は若い頃と変わらないのに太った」「お腹まわりだけ脂肪がつきやすくなった」「食事を減らしても体重が落ちない」と感じていませんか。
年齢を重ねると、筋肉量や活動量が減り、1日に消費するエネルギーも少なくなる傾向があります。そのため、若い頃と同じ食事を続けているだけでも、摂取したエネルギーが余りやすくなります。
年齢とともに太りやすくなる主な原因は、加齢だけではありません。筋肉量の減少、運動不足、食習慣、睡眠不足、ホルモン変化などが重なって体重が増えていきます。
この記事では、年齢とともに体重が増えやすくなる理由と、無理なく続けられる食事・運動・生活習慣の対策について分かりやすく解説します。
年齢とともに基礎代謝量が低下する
基礎代謝量とは、呼吸、体温維持、心臓の拍動など、安静にしていても消費されるエネルギー量です。
基礎代謝量は筋肉量の影響を受けるため、加齢によって筋肉が減ると、1日に消費するエネルギーも少なくなります。
厚生労働省のe-ヘルスネットでは、加齢によって基礎代謝量が低下する主な理由として、筋肉などの除脂肪量の減少が挙げられています。活動量の低下も重なることで、1日全体のエネルギー消費量が減少します。
例えば、若い頃は体重を維持できていた食事量でも、消費量が少なくなれば、少しずつ脂肪として蓄積されます。
「食べる量が増えたから太った」とは限らず、消費する量が減ったことで体重が増える場合もあります。
筋肉が減り、脂肪が増えやすくなる
年齢を重ねると、体重がほとんど変わっていなくても、身体の中では筋肉が減り、脂肪が増えていることがあります。
筋肉が減ると基礎代謝量が低下するだけでなく、階段を避ける、歩く距離が減る、休日に動かなくなるなど、日常の活動量も減りやすくなります。
加齢では脂肪量の増加と筋肉量の減少が起こりやすく、運動不足によって変化がさらに進む可能性があります。
体重だけで判断せず、腹囲、見た目、筋力の変化も確認しましょう。
日常生活で動く時間が減っている
若い頃より運動していなくても、通勤、買い物、家事、階段の上り下りなどで意外に多くのエネルギーを消費しています。
車移動が増えた、在宅勤務になった、デスクワークが中心になったといった変化により、1日の歩数が数千歩減ることもあります。
運動をしていないことだけでなく、座っている時間が長くなったことも体重増加の原因です。
週末にまとめて運動するだけでなく、毎日の歩行や立ち上がる回数を増やすことが重要です。
食事量が同じでも太りやすくなる
年齢とともに消費エネルギーが減っているのに、若い頃と同じ量の食事、間食、飲酒を続けると、エネルギーが余ります。
特に注意したいのは、次のような食習慣です。
- 夕食の量が多い
- 寝る直前に食べる
- 菓子や菓子パンを習慣的に食べる
- 甘い飲み物を毎日飲む
- 揚げ物や脂身の多い肉が多い
- お酒と一緒につまみを食べ続ける
- 休日だけ食べすぎる
世界保健機関では、体重増加や肥満の基本的な背景として、食事から摂るエネルギーと身体活動で使うエネルギーの不均衡を挙げています。
お酒で摂取カロリーが増える
アルコール自体にエネルギーがあり、ビール、日本酒、ワイン、甘い缶チューハイなどを飲めば、その分だけ摂取量が増えます。
さらに、飲酒中は揚げ物、締めのラーメン、菓子などを食べやすくなります。
お酒を飲むと眠くなるものの、睡眠の後半が浅くなり、翌日に疲労感が残る場合があります。疲れて身体を動かさなくなることも、間接的に体重増加へつながります。
毎日飲んでいる人は、量を半分にする、休肝日をつくる、糖分の多い酒を避けることから始めましょう。
睡眠不足も体重増加に関係する
睡眠不足が続くと、日中の眠気や疲労によって活動量が減ります。
夜遅くまで起きていることで、夜食や間食の機会も増えます。
また、眠気を紛らわせるために、甘い飲み物や高カロリーの食品を選びやすくなることもあります。
大きないびき、睡眠中の無呼吸、朝の頭痛、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群も確認する必要があります。
更年期のホルモン変化
女性では更年期にエストロゲンが大きく変動し、脂肪が腹部につきやすくなることがあります。
中年女性の体重増加には、加齢による消費エネルギーと活動量の低下が大きく関係し、更年期のホルモン変化は脂肪がつく場所、とくに内臓脂肪の増加へ影響すると報告されています。
男性でも、テストステロンの低下により筋肉量が減り、体脂肪が増えやすくなることがあります。
疲労感、発汗、月経の変化、性欲低下などを伴う場合は、更年期症状も含めて医療機関へ相談しましょう。
病気や薬の影響で体重が増えることもある
急な体重増加や強いむくみがある場合は、単なる加齢と判断してはいけません。
体重増加に関係する可能性があるものには、次のような病気や薬があります。
- 甲状腺機能低下症
- 糖尿病やインスリン抵抗性
- 心臓・腎臓・肝臓の病気によるむくみ
- 睡眠時無呼吸症候群
- 一部のステロイド薬
- 一部の抗うつ薬や抗精神病薬
- 一部の糖尿病治療薬
薬を飲み始めてから急に太った場合も、自己判断で中止せず、処方した医師や薬剤師へ相談してください。
年齢による体重増加を防ぐ食事の基本
体重を減らすために、食事を極端に抜く必要はありません。
食べる量を急に減らすと、脂肪だけでなく筋肉も落ち、基礎代謝量がさらに低下する可能性があります。
まずは、次の順番で食生活を見直しましょう。
- 甘い飲み物とお酒を減らす
- 菓子や夜食の回数を減らす
- 揚げ物を毎日食べない
- 毎食たんぱく質を摂る
- 野菜、海藻、きのこを増やす
- 主食を完全に抜かず、量を調整する
野菜、果物、全粒穀物、魚、鶏肉、豆類、ナッツなどを取り入れ、砂糖を多く含む飲料や飽和脂肪の多い食品を控える食事が、体重管理の基本になります。
毎食たんぱく質を摂る
筋肉を維持するためには、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品などからたんぱく質を摂ることが大切です。
夕食だけに肉を大量に食べるのではなく、朝食に卵や納豆、昼食に魚や鶏肉を取り入れ、1日を通して分けて摂りましょう。
朝食を菓子パンとコーヒーだけで済ませている場合は、ゆで卵、無糖ヨーグルト、豆乳などを加える方法があります。
体重を減らすときこそ、筋肉を落とさない食事を意識してください。
筋力トレーニングを取り入れる
年齢とともに減りやすい筋肉を維持するためには、筋力トレーニングが重要です。
スクワット、腕立て伏せ、マシントレーニングなどを、週2~3回程度から始めましょう。
長期間運動していない人は、椅子から立ち上がる動作を10回行うだけでも構いません。
筋肉痛が強い日は休み、同じ部位を毎日追い込む必要はありません。
ウォーキングと日常の活動量を増やす
体重管理では、特別な運動だけでなく、毎日の活動量も大切です。
次のような行動から始めましょう。
- 1駅分歩く
- エレベーターではなく階段を使う
- 昼休みに10~20分歩く
- 1時間ごとに立ち上がる
- 買い物へ徒歩で行く
- 掃除や庭仕事を積極的に行う
WHO(世界保健機関)では、成人に対して週150分以上の中強度の身体活動、または週75分以上の高強度の身体活動を推奨しています。
最初から目標量を達成できなくても、現在より1日10分多く歩くことから始めると続けやすくなります。
体重だけでなく腹囲も記録する
毎日の体重は、水分量、便通、塩分摂取などによって変動します。
1日ごとの増減に一喜一憂せず、1~4週間の平均的な変化を確認しましょう。
体重に加えて、腹囲、食事、歩数、運動内容を記録すると、太りやすい習慣を見つけやすくなります。
具体的な行動目標を決め、食事や活動量を記録する方法は、体重管理に役立つとされています。
ダイエット薬を検討する場合
食事や運動を見直しても体重が減らず、肥満に伴う高血圧、糖尿病、脂質異常症などがある場合は、医療機関でダイエット薬が検討されることがあります。
GLP-1受容体作動薬、GIP・GLP-1受容体作動薬、脂肪吸収を抑える薬などがあり、作用や使用方法は異なります。
ただし、薬を使えば生活習慣を変えなくてよいわけではありません。治療の基本は、摂取エネルギーの調整、身体活動の増加、長く続けられる生活習慣です。
ダイエット薬を個人輸入する場合の注意点
海外で流通しているダイエット薬を比較したい、クリニックへ通う時間を取りにくいという理由から、個人輸入代行サイトを利用する人もいます。
個人輸入では、国内では入手しにくい商品を自宅から注文できる点がメリットです。
一方、年齢による体重増加だと思っていても、甲状腺疾患、糖尿病、むくみ、薬の副作用などが隠れている場合があります。
また、ダイエット薬によって、吐き気、嘔吐、下痢、便秘、脱水、低血糖などの副作用が起こることがあります。
個人輸入を利用する場合も、有効成分、用法・用量、禁忌、併用薬を確認し、自己判断で増量や複数薬の併用をしないでください。
医療機関へ相談した方がよい体重増加
次のような変化がある場合は、単なる加齢と考えず、内科や内分泌内科などへ相談してください。
- 短期間で体重が急に増えた
- 顔や脚に強いむくみがある
- 息切れや動悸がある
- 寒がり、便秘、強い眠気がある
- 喉が異常に渇き、尿量が増えた
- 大きないびきや睡眠中の無呼吸がある
- 薬を飲み始めてから体重が増えた
- 食事や運動を見直しても体重が増え続ける
まとめ|年齢ではなく生活全体の変化を見直そう
年齢とともに体重が増えやすくなる背景には、筋肉量と基礎代謝量の低下、活動量の減少、食習慣、飲酒、睡眠不足、ホルモン変化などがあります。
若い頃と同じ食事量でも、消費エネルギーが減れば脂肪として蓄積されやすくなります。
対策では、食事を極端に減らすのではなく、甘い飲み物、夜食、飲酒、揚げ物などから見直しましょう。
毎食たんぱく質を摂り、週2~3回の筋力トレーニングと、歩行などの日常活動を組み合わせることが大切です。
年齢を理由に諦めず、筋肉を維持しながら摂取量と活動量のバランスを整えることが、無理なく体重を管理する基本です。

