アレルギー検査では何がわかる?種類・費用・受ける目安を解説
監修:医師・薬剤師監修
「鼻水やくしゃみの原因が花粉なのか、ハウスダストなのか知りたい」「食後にじんましんが出たので、原因となる食品を調べたい」というときに行われるのがアレルギー検査です。
アレルギー検査には、血液検査、皮膚プリックテスト、パッチテスト、食物経口負荷試験などがあります。調べられるアレルギーの種類や、検査結果が意味する内容はそれぞれ異なります。
アレルギー検査で分かるのは、主に「特定の物質へ反応しやすい状態か」「実際にその物質で症状が誘発されるか」です。ただし、血液検査が陽性になっただけで、その物質が症状の原因と確定するわけではありません。検査結果は、症状が出た状況や問診と合わせて判断する必要があります。日本アレルギー学会が運営するアレルギーポータルでも、原因を調べる検査として、特異的IgE抗体検査、皮膚プリックテスト、パッチテスト、食物経口負荷試験などが紹介されています。
アレルギー検査で分かること
アレルギー検査では、主に次の内容を確認できます。
- スギ花粉やダニなど、特定のアレルゲンに対するIgE抗体があるか
- 皮膚が特定の物質へ即時的に反応するか
- 金属や化粧品などで遅れて皮膚炎が起こるか
- 疑わしい食品を実際に食べたときに症状が出るか
- アレルギー性鼻炎やぜん息の原因候補
- 避けるべき物質や治療方針を考えるための手掛かり
例えば、毎年2月から4月に鼻水や目のかゆみが出る人が、血液検査でスギに対する特異的IgE抗体陽性となった場合、スギ花粉症を裏付ける材料になります。
一方で、検査が陽性でも、実際にその食品を食べて症状が出ていなければ、食物アレルギーと確定できない場合があります。
検査結果は「身体がその物質を認識している可能性」を示すものであり、必ず症状が出ることを保証するものではありません。
検査だけでは分からないこと
一般的な血液検査だけでは、次の内容を正確に判断できません。
- 将来必ずアレルギーを発症するか
- 次に症状が出る時期
- 症状がどれほど重くなるか
- アナフィラキシーを起こすか
- 検査値が高い食品を完全に除去すべきか
- すべての薬物アレルギーの原因
特異的IgE抗体の数値が高いほど症状が重いとは限りません。低い数値でも強い症状が起こる人がいる一方、高い数値でも問題なく摂取できる人がいます。
食物アレルギーの診断では、症状の既往や食物経口負荷試験の結果が重要であり、IgE抗体検査の陽性だけを理由に食品除去を判断すべきではないとされています。
主なアレルギー検査の種類
| 検査の種類 | 主に調べるアレルギー | 検査方法 | 結果が分かるまで |
|---|---|---|---|
| 特異的IgE抗体検査 | 花粉、ダニ、動物、食品などの即時型アレルギー | 採血 | 数日から1週間程度が一般的 |
| 総IgE検査 | アレルギー体質の参考 | 採血 | 数日程度 |
| 皮膚プリックテスト | 花粉、ダニ、食品などの即時型アレルギー | 皮膚へ少量のアレルゲンを置いて針で刺激 | 約15~20分 |
| パッチテスト | 金属、化粧品、薬品などの遅延型アレルギー | アレルゲンを皮膚へ貼付 | 2日後以降に複数回判定 |
| 食物経口負荷試験 | 食物アレルギー | 医療機関で食品を少量ずつ摂取 | 当日の反応と、その後の経過を確認 |
| 鼻汁好酸球検査 | アレルギー性鼻炎 | 鼻水中の好酸球を確認 | 医療機関により当日または後日 |
特異的IgE抗体検査とは?
特異的IgE抗体検査は、アレルギー検査として広く行われている血液検査です。
スギ、ヒノキ、ダニ、ハウスダスト、犬、猫、卵白、牛乳、小麦、甲殻類、ナッツ類など、特定のアレルゲンに反応するIgE抗体を測定します。
抗原特異的IgEは、スギ花粉、ハウスダスト、卵白など、特定のアレルゲンへ反応するIgEです。アレルゲンと結びつくと、マスト細胞などからヒスタミンが放出され、即時型アレルギー症状が起こります。
単項目検査
原因として疑わしい物質を個別に選び、特異的IgE抗体を調べます。
例えば、春だけ鼻炎症状が出る場合はスギやヒノキ、猫を飼い始めてから症状が出た場合は猫皮屑など、問診をもとに必要な項目を選びます。
原因に心当たりがある場合は、むやみに多数の項目を調べるより、症状と生活環境に合った項目を選ぶほうが結果を解釈しやすくなります。
複数項目を一度に調べる検査
原因が絞れない場合には、花粉、ダニ、動物、カビ、食品など、複数のアレルゲンをまとめて調べる検査が使われることがあります。
代表的なものに、39種類のアレルゲンをまとめて確認する検査などがあります。
ただし、セット検査で陽性になった物質が、すべて現在の症状の原因とは限りません。
総IgE検査とは?
総IgE検査は、血液中にあるIgE抗体全体の量を測定する検査です。
値が高い場合は、アレルギー疾患や寄生虫感染などが関係している可能性があります。しかし、アレルギーがあっても総IgEが基準範囲内の人はいます。
反対に、総IgEが高くても、どの物質が原因かまでは分かりません。
総IgEはアレルギー体質を考える参考にはなりますが、原因アレルゲンを特定する検査ではありません。
皮膚プリックテストとは?
皮膚プリックテストは、腕や背中へ少量のアレルゲン液を置き、その部分を専用の針で浅く刺激する検査です。
アレルギー反応がある場合は、約15~20分で蚊に刺されたような膨らみや赤みが現れます。
採血より短時間で結果を確認しやすく、花粉、ダニ、動物、食品などの即時型アレルギーを調べる際に利用されます。アレルギーポータルでも、皮膚プリックテストは原因アレルゲンを調べる代表的な検査として紹介されています。
皮膚プリックテストの注意点
抗ヒスタミン薬を服用していると皮膚反応が抑えられ、正しい結果が出にくくなる場合があります。
検査前に薬を中止する必要があるかは、使用している薬によって異なります。自己判断で中止せず、医療機関へ確認してください。
また、重いアレルギー反応が起こる可能性は低いものの、緊急時に対応できる医療機関で行う必要があります。
パッチテストとは?
パッチテストは、金属、化粧品、防腐剤、ゴム、染料、外用薬などが原因となるアレルギー性接触皮膚炎を調べる検査です。
疑わしい物質を含むパッチを背中などへ貼り、通常は48時間程度そのままにします。パッチを外した後も、数日間かけて皮膚の赤みや湿疹を確認します。
即時型アレルギーを調べる血液検査とは異なり、T細胞などが関係する遅延型アレルギーを確認する検査です。
アクセサリーを着けた翌日に皮膚が赤くなる、化粧品を使い続けると湿疹が出るといった場合は、パッチテストが検討されます。
検査中の注意点
検査中に汗を大量にかいたり、入浴でパッチを濡らしたりすると、正確に判定しにくくなります。
夏場や運動予定がある時期を避けて検査日を決めることがあります。
食物経口負荷試験とは?
食物経口負荷試験は、食物アレルギーの診断や、どの程度まで食べられるかを確認するため、疑わしい食品を医療機関で少量ずつ食べる検査です。
実際に食品を摂取して症状が起こるかを確認できるため、食物アレルギーの診断で重要な検査です。
血液検査が陽性でも、経口負荷試験で症状が出なければ、医師の指導のもとで摂取を続けられる場合があります。
反対に、血液検査の数値が低くても、実際に食べて症状が出れば食物アレルギーと診断される可能性があります。
食物経口負荷試験では、じんましん、嘔吐、呼吸困難、アナフィラキシーなどが起こる可能性があります。自宅で原因食品を食べて確認するのではなく、救急対応ができる医療機関で行います。
鼻汁好酸球検査とは?
鼻汁好酸球検査は、鼻水の中に好酸球というアレルギー反応に関係する細胞が増えているかを確認する検査です。
透明な鼻水、連続するくしゃみ、鼻づまりがある場合に、アレルギー性鼻炎の診断を補助します。
日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会では、鼻粘膜の観察や鼻水中の好酸球、血液中の抗体、皮膚反応などを組み合わせてアレルギー性鼻炎を診断するとしています。
ただし、原因がスギなのかダニなのかまでは、鼻汁好酸球検査だけでは分かりません。原因特定には特異的IgE抗体検査や皮膚テストなどを組み合わせます。
アレルギー検査の費用
検査費用は、検査の種類、調べる項目数、保険適用の有無、初診料・再診料などによって変わります。
| 検査 | 3割負担の場合の費用の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 特異的IgE抗体検査 | 数千円程度 | 調べる項目数で変わる |
| 複数項目の血液検査 | 4,000~6,000円前後になることがある | 診察料や採血料が別途必要 |
| 皮膚プリックテスト | 数千円程度 | 項目数や医療機関で異なる |
| パッチテスト | 数千円程度 | 判定のため複数回の受診が必要 |
| 食物経口負荷試験 | 数千円から1万円前後になることがある | 入院や観察時間、検査内容で異なる |
上記はあくまで目安です。保険診療では、検査料に加えて初診料または再診料、採血料、処方料などが加わります。
症状があり、医師が診断や治療に必要と判断した検査は、健康保険が適用されることがあります。一方、症状がなく「一度にできるだけ多く調べたい」という希望だけで受ける場合は、自費診療になる可能性があります。
保険適用になるケース
一般的に、次のような場合は保険診療として検査が検討されます。
- くしゃみ、鼻水、鼻づまりが続いている
- 食後にじんましんや呼吸症状が出た
- 繰り返す湿疹の原因を調べる必要がある
- ぜん息の原因アレルゲンを確認したい
- アレルゲン免疫療法を検討している
- 医師が診断や治療方針の決定に必要と判断した
検査項目は、問診で疑われるアレルゲンを医師が選択します。健康保険を使って無制限にすべての物質を調べられるわけではありません。
自費検査を受ける際の注意点
医療機関や検査サービスの中には、多数の食品に対するIgG抗体を測定し、「遅延型食物アレルギー」を調べるとする検査があります。
しかし、食品に対するIgG抗体は、その食品を過去に食べたことや、身体が食品へ正常に反応していることを反映する場合があります。
IgG検査の陽性だけを理由に、多数の食品を除去すると栄養不足を起こす可能性があります。慢性的な疲労、頭痛、腹部症状などを、IgG検査だけで食物アレルギーと判断しないことが重要です。
原因不明の症状がある場合は、自己判断で検査結果に従うのではなく、アレルギー科や症状に合った診療科へ相談してください。
アレルギー検査を受ける目安
次のような場合は、アレルギー検査を検討する目安になります。
- 特定の季節に毎年くしゃみや鼻水が出る
- 寝室や掃除中に症状が悪化する
- 犬や猫と接すると鼻・目・皮膚症状が出る
- 特定の食品を食べるたびに症状が出る
- 薬を使用した後に発疹やじんましんが出た
- アクセサリーや化粧品で皮膚炎を繰り返す
- 夜間や早朝にせきや喘鳴が出る
- アレルゲン免疫療法を検討している
- 原因を避けても症状が改善しない
検査は症状が出た直後でなければ受けられないわけではありません。ただし、食べた食品、使用した薬、症状が始まるまでの時間を記録しておくと、調べる項目を選びやすくなります。
症状別に相談する診療科
| 主な症状 | 相談先の例 |
|---|---|
| 鼻水、くしゃみ、鼻づまり | 耳鼻咽喉科、アレルギー科 |
| 目のかゆみ、充血 | 眼科、アレルギー科 |
| じんましん、湿疹、金属アレルギー | 皮膚科、アレルギー科 |
| せき、喘鳴、息苦しさ | 呼吸器内科、アレルギー科 |
| 食品を食べた後の症状 | アレルギー科、小児科、内科 |
| 薬を使用した後の発疹 | 処方した診療科、皮膚科、アレルギー科 |
検査前に準備しておくこと
診察では、検査結果以上に症状の記録が重要になることがあります。
次の内容を整理しておきましょう。
- どのような症状が出たか
- 症状が始まった日時
- 直前に食べた食品
- 使用した薬やサプリメント
- 症状が出た場所
- 運動や飲酒の有無
- 症状が続いた時間
- 過去にも同じ症状があったか
- 家族にアレルギー疾患があるか
皮膚症状は受診時には消えていることがあるため、可能であれば写真を撮っておくと診断の参考になります。
抗ヒスタミン薬を飲んでいても検査できる?
血液による特異的IgE抗体検査は、一般的に抗ヒスタミン薬を服用していても実施できます。
一方、皮膚プリックテストでは、抗ヒスタミン薬によって皮膚反応が抑えられる可能性があります。
検査前に一定期間の休薬を求められることがありますが、薬によって必要な期間は異なります。
検査のために薬を自己判断で中止しないでください。ぜん息や重いアレルギー症状がある人では、中断によって症状が悪化する可能性があります。
検査結果をどう治療へ生かす?
アレルギー検査は、原因を見つけるだけでなく、対策や治療を選ぶために利用します。
例えば、ダニが原因と考えられる場合は、寝具の洗濯、防ダニカバー、床の拭き掃除などを重点的に行います。
スギ花粉が原因の場合は、飛散時期の前から抗ヒスタミン薬や鼻噴霧用ステロイド薬を開始し、マスクや眼鏡で曝露を減らします。
スギやダニに対するアレルギーが確認された場合は、舌下免疫療法が選択肢になることもあります。
検査結果で陽性になった物質を、生活からすべて排除する必要はありません。実際の症状との関係が強いものを中心に対策します。
個人輸入でアレルギー薬を選ぶ前に検査するメリット
個人輸入代行では、フェキソフェナジン、ロラタジン、セチリジン、鼻噴霧用ステロイド薬など、さまざまなアレルギー治療薬を比較できます。
原因が花粉やダニによるアレルギー性鼻炎と分かっていれば、症状に合った成分を選びやすくなります。
一方で、鼻水やせきの原因が感染症、非アレルギー性鼻炎、ぜん息などの場合は、抗ヒスタミン薬だけでは十分に改善しないことがあります。
購入前には次の項目を確認してください。
- 検査結果と実際の症状が一致しているか
- 使用する薬の有効成分
- 1錠または1噴霧当たりの含有量
- 眠気や運転への影響
- 鼻水、鼻づまり、皮膚症状など、どの症状へ使う薬か
- ほかの薬との成分重複
- 持病や妊娠・授乳中の使用可否
- 製造元と使用期限
検査が陽性という理由だけで薬を飲み続けるのではなく、現在の症状に必要な薬かを確認してください。
また、呼吸困難や意識障害を伴うアナフィラキシーは、個人輸入した抗ヒスタミン薬だけでは治療できません。
すぐに救急対応が必要な症状
検査を予約して様子を見るのではなく、次の症状がある場合は救急対応が必要です。
- 喉が締め付けられる
- 声がかすれる
- 息が苦しい
- 顔、唇、舌が腫れている
- 全身にじんましんが急速に広がる
- 何度も嘔吐する
- ぐったりする
- 意識がぼんやりする
呼吸困難、意識障害、顔や舌の腫れがある場合は、アナフィラキシーの可能性があるため、すぐに119番へ通報してください。
まとめ
アレルギー検査には、血液による特異的IgE抗体検査、皮膚プリックテスト、パッチテスト、食物経口負荷試験などがあります。
花粉、ダニ、動物、食品などの即時型アレルギーには、血液検査や皮膚プリックテストが使われます。金属や化粧品などによる遅延型の接触皮膚炎にはパッチテスト、食物アレルギーの確定や摂取可能量の確認には食物経口負荷試験が検討されます。
血液検査が陽性でも、実際に症状が出なければ、その物質が原因とは限りません。検査結果は、症状が出た状況や食事・生活の記録と合わせて判断します。
検査費用は種類や項目数によって異なりますが、保険適用で3割負担の場合は、診察料を含めて数千円程度になることが一般的です。多項目検査や負荷試験では、さらに費用がかかる場合があります。
特定の季節や食品、薬、化粧品などで症状を繰り返す場合は、自己判断で避け続けたり薬を重ねたりせず、症状に合った診療科へ相談しましょう。

