片足だけむくむ場合と両足がむくむ場合の違い|受診すべき症状
監修:医師・薬剤師監修
足のむくみは、長時間立っていた日や、塩分を多く取った日、運動不足の日などに起こりやすい身近な症状です。
しかし、むくみ方によっては注意が必要です。特に、片足だけ急にむくむ場合と、両足が同じようにむくむ場合では、考えられる原因が大きく異なります。
片足だけのむくみでは、深部静脈血栓症、感染、けが、静脈やリンパの流れの障害などを考えます。一方、両足のむくみでは、心臓、腎臓、肝臓、甲状腺、薬の副作用、長時間の座位・立位など、全身の水分バランスが関係することがあります。
NHS(英国国民保健サービス)では、足首・足・脚のむくみはよくある症状ですが、原因が分からない片側の足・足首・脚のむくみは、血栓の可能性もあるため緊急相談の対象とされています。
足のむくみは「よくあること」として放置されやすい一方で、血栓や心不全などのサインとして現れることがあります。この記事では、片足だけむくむ場合と両足がむくむ場合の違い、受診すべき症状、個人輸入で利尿薬などを購入する際の注意点まで解説します。
足のむくみとは?
むくみとは、皮膚の下に余分な水分がたまった状態です。医学的には浮腫と呼ばれます。
足は心臓より低い位置にあるため、重力の影響で水分がたまりやすい部位です。夕方になると靴下の跡が残る、靴がきつくなる、足首が太く見えるといった変化が起こります。
むくみは一時的なものもありますが、原因によっては病気のサインになります。
- 長時間の立ち仕事
- 長時間座りっぱなし
- 塩分の取り過ぎ
- 運動不足
- 妊娠
- 薬の副作用
- 心臓・腎臓・肝臓の病気
- 血栓
- 感染
- リンパ浮腫
むくみを見たときは、まず「片足だけか、両足か」「急に出たか、慢性的か」「痛みや息切れがあるか」を確認することが大切です。
片足だけむくむ場合に考えられる原因
片足だけむくむ場合は、その足だけで血液やリンパの流れが悪くなっている可能性があります。
両足のむくみに比べて、血栓、感染、けがなどの局所的な原因を考える必要があります。
| 原因 | 特徴 | 注意点 |
|---|---|---|
| 深部静脈血栓症 | 片足の腫れ、痛み、熱感、赤み | 肺塞栓につながることがある |
| けが・捻挫 | 痛み、内出血、動かしにくさ | 骨折や靭帯損傷に注意 |
| 蜂窩織炎 | 赤み、熱感、痛み、発熱 | 抗菌薬が必要になることがある |
| 静脈瘤・静脈不全 | 夕方に悪化、重だるさ、血管の浮き | 慢性化しやすい |
| リンパ浮腫 | 片足が太くなる、皮膚が硬くなる | 手術後・がん治療後にも起こる |
片足だけ急にむくんだ場合は、まず深部静脈血栓症を見逃さないことが重要です。
深部静脈血栓症に注意
深部静脈血栓症とは、脚の深い静脈に血の塊ができる病気です。
血栓が脚にあるだけでも痛みや腫れを起こしますが、血栓の一部が肺へ飛ぶと肺塞栓症を起こすことがあります。肺塞栓症では、突然の息切れ、胸痛、血痰、失神などが起こり、命に関わることがあります。
CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、深部静脈血栓症は脚、骨盤、ときに腕の深い静脈に血栓ができる状態で、静脈血栓塞栓症には深部静脈血栓症と肺塞栓症が含まれるとされています。
深部静脈血栓症を疑う症状は次の通りです。
- 片方のふくらはぎや足首だけ腫れる
- 片足だけ痛い、重だるい
- ふくらはぎを押すと痛い
- 皮膚が赤い、紫っぽい
- 腫れた部分が熱を持っている
- 長時間の移動後に出た
- 手術後、入院後、寝たきり後に出た
片足のむくみに、痛み・赤み・熱感がある場合は、自己判断でマッサージせず、早めに医療機関へ相談してください。
両足がむくむ場合に考えられる原因
両足が同じようにむくむ場合は、全身の水分バランスや血液循環の問題を考えます。
もちろん、長時間座る、立ちっぱなし、塩分の取り過ぎでも両足はむくみます。しかし、むくみが続く場合や、息切れ・体重増加・尿量変化がある場合は、内臓の病気が隠れていることがあります。
| 原因 | 特徴 | 確認したい症状 |
|---|---|---|
| 心不全 | 両足のむくみ、息切れ、体重増加 | 横になると苦しい、階段で息切れ |
| 腎臓病 | 足や顔のむくみ、尿の変化 | 尿量減少、泡立つ尿 |
| 肝臓病 | 足のむくみ、腹水、だるさ | 腹部膨満、黄疸 |
| 甲状腺機能低下症 | むくみ、寒がり、体重増加 | 疲れやすさ、便秘 |
| 薬の副作用 | 服薬開始後にむくみが出る | 降圧薬、ホルモン薬、痛み止めなど |
| 生活習慣 | 夕方に悪化、休むと軽くなる | 立ち仕事、座りっぱなし、塩分過多 |
Mayo Clinicでは、脚のむくみは静脈の問題だけでなく、心不全、肝疾患、腎臓病、血栓などさまざまな原因で起こるとされています。
両足のむくみでは、足だけを見るのではなく、息切れ、尿、体重、顔のむくみ、だるさなど全身症状を確認する必要があります。
片足と両足のむくみの違い
| 比較項目 | 片足だけのむくみ | 両足のむくみ |
|---|---|---|
| 主な考え方 | その足だけの血流・リンパ・炎症の問題 | 全身の水分バランスや循環の問題 |
| 注意したい病気 | 深部静脈血栓症、蜂窩織炎、けが | 心不全、腎臓病、肝臓病、薬の副作用 |
| 危険サイン | 痛み、赤み、熱感、急な腫れ | 息切れ、体重増加、尿量低下、顔のむくみ |
| よくある軽い原因 | 捻挫、靴擦れ、局所の炎症 | 立ち仕事、座りっぱなし、塩分過多 |
| 対応 | 原因不明なら早めに受診 | 続く場合や全身症状があれば受診 |
片足だけのむくみは局所の異常、両足のむくみは全身の異常を考えるのが基本です。
ただし、片足のむくみでも全身疾患が関係することはあり、両足のむくみでも片側が強く見えることがあります。完全に自己判断で分けるのではなく、症状の出方を受診時に伝えることが大切です。
すぐ受診すべき症状
足のむくみがあるとき、次の症状を伴う場合は早急な対応が必要です。
- 突然片足だけ腫れた
- 片足に強い痛みがある
- ふくらはぎが赤い、熱い
- 息切れがある
- 胸の痛みがある
- 呼吸が苦しい
- 血を吐く、血痰がある
- 意識がぼんやりする
- 急に体重が増えた
- 横になると息苦しい
Mayo Clinicでは、説明のつかない脚の腫れや痛み、呼吸困難、胸痛がある場合は、すぐ医療機関を受診するよう案内されています。
片足のむくみに息切れや胸痛がある場合は、肺塞栓症の可能性もあるため、すぐに救急対応を検討してください。
むくみを押すとへこむ場合
むくんだ部分を指で数秒押したとき、へこみがしばらく戻らないことがあります。これは圧痕性浮腫と呼ばれる状態です。
圧痕性浮腫は、皮膚の下に水分がたまっているときに見られます。
心不全、腎臓病、肝臓病、静脈不全、薬の副作用などで起こることがあります。
一方、リンパ浮腫では進行すると皮膚が硬くなり、押してもへこみにくくなることがあります。
押してへこむむくみが続く場合は、単なる疲れではなく、循環や水分調整の問題がないか確認しましょう。
薬の副作用でむくむこともある
足のむくみは薬の副作用で起こることもあります。
代表的には、次のような薬でむくみが出る場合があります。
- 一部の降圧薬
- NSAIDsなどの痛み止め
- ステロイド薬
- ホルモン薬
- 糖尿病治療薬の一部
- 抗うつ薬の一部
- 漢方薬やサプリメントの一部
新しく薬を飲み始めた後に両足がむくむようになった場合は、薬の副作用も考えます。
むくみが出たからといって自己判断で薬を中止せず、処方医や薬剤師へ相談してください。
女性に多いむくみの原因
女性では、ホルモンの変化によってむくみが出やすくなることがあります。
月経前、妊娠中、更年期、ピル服用中などでは、水分をため込みやすくなる場合があります。
ただし、妊娠中の急なむくみ、頭痛、血圧上昇、目のチカチカ、上腹部痛などがある場合は、妊娠高血圧症候群なども考える必要があります。
妊娠中の急なむくみや、片足だけのむくみは、通常のむくみと決めつけず医療機関へ相談してください。
自宅でできるむくみ対策
危険な症状がなく、長時間の立ち仕事や座りっぱなしが原因と考えられる場合は、生活習慣の見直しで改善することがあります。
- 足を心臓より少し高くして休む
- こまめに足首を動かす
- 長時間同じ姿勢を避ける
- 塩分を控える
- 水分を極端に減らさない
- 軽いウォーキングをする
- ふくらはぎを動かす
- 適切な弾性ストッキングを使う
ただし、片足だけ腫れて痛みがある場合や、血栓が疑われる場合は、強いマッサージは避けてください。
原因不明の片足のむくみに対して、自己判断で強く揉むのは危険です。
利尿薬でむくみを取ればいい?
むくみがあると、「利尿薬で水分を出せばよい」と考える人もいます。
しかし、むくみの原因によっては、利尿薬を使うべきではない場合があります。
例えば、深部静脈血栓症、感染、けが、リンパ浮腫では、利尿薬だけで根本的に解決しません。脱水や電解質異常を起こすリスクもあります。
心不全や腎臓病で利尿薬が必要になることはありますが、その場合も血液検査、腎機能、電解質、血圧を確認しながら使う薬です。
むくみの原因を確認しないまま利尿薬を使うと、脱水、低カリウム血症、腎機能悪化、血圧低下につながることがあります。
個人輸入で利尿薬やむくみ対策商品を購入する場合
個人輸入代行では、利尿薬、むくみ対策サプリ、カリウム関連商品、海外製ジェネリックなどを比較できる場合があります。
通院の時間を減らしたい人、同じ成分をコストを抑えて継続したい人、海外製品を確認したい人にとって、個人輸入代行は選択肢になります。
ただし、足のむくみは原因によって必要な対応がまったく違うため、自己判断で利尿薬を使うのは危険です。
購入前には、次の点を確認してください。
- 有効成分
- 1錠あたりの含有量
- 利尿薬の種類
- 腎機能への影響
- 電解質異常のリスク
- 血圧への影響
- 心臓病・腎臓病・肝臓病の有無
- 妊娠中・授乳中の使用可否
- 降圧薬や糖尿病薬との併用
- 製造元と使用期限
特に、片足だけのむくみ、痛みを伴うむくみ、息切れを伴うむくみでは、利尿薬で様子を見るのではなく受診が必要です。
むくみを早く取りたいからといって、原因不明のまま個人輸入の利尿薬を使うのは避けましょう。
医療機関で確認されること
足のむくみで受診すると、次のような点を確認されます。
- 片足か両足か
- いつからむくんでいるか
- 急に出たか、徐々に出たか
- 痛み、赤み、熱感があるか
- 息切れ、胸痛があるか
- 体重増加があるか
- 尿量や尿の泡立ちに変化があるか
- 服用中の薬
- 手術、入院、長距離移動の有無
- 妊娠の可能性
必要に応じて、血液検査、尿検査、心電図、胸部画像、心エコー、下肢静脈エコーなどが行われます。
むくみの診断では、足だけではなく、心臓・腎臓・肝臓・血管・薬の影響を総合的に確認します。
受診の目安
次のような場合は、内科、循環器内科、腎臓内科、血管外科、皮膚科などへ相談してください。
- 片足だけ急にむくんだ
- 片足に痛み、赤み、熱感がある
- 両足のむくみが何日も続く
- 朝になってもむくみが引かない
- 息切れや胸痛がある
- 急に体重が増えた
- 尿量が少ない
- 顔やまぶたもむくむ
- 薬を始めてからむくみが出た
- 妊娠中に急にむくんだ
- 利尿薬を使うか迷っている
片足だけのむくみ、息切れを伴うむくみ、胸痛を伴うむくみは、早めに医療機関へ相談してください。
まとめ
足のむくみはよくある症状ですが、片足だけか両足かで考えるべき原因が変わります。
片足だけむくむ場合は、深部静脈血栓症、蜂窩織炎、けが、静脈やリンパの流れの障害などを考えます。特に、急な片足のむくみ、痛み、赤み、熱感がある場合は、血栓を見逃さないことが重要です。
両足がむくむ場合は、長時間の立ち仕事や座位、塩分過多のほか、心不全、腎臓病、肝臓病、甲状腺機能低下症、薬の副作用などを考えます。息切れ、胸痛、急な体重増加、尿量低下がある場合は受診が必要です。
むくみは利尿薬で水分を出せばよい、という単純な症状ではありません。原因不明の片足のむくみや、息切れを伴う両足のむくみでは、個人輸入薬や市販品で様子を見るのではなく、医療機関で原因を確認しましょう。

