デエビゴで悪夢や金縛りが起こることはある?副作用の特徴を解説
医師・薬剤師監修
不眠症治療薬のデエビゴを飲み始めてから、「夢の内容が妙にリアルになった」「怖い夢で目が覚める」「意識はあるのに体が動かない」と感じる人がいます。
デエビゴでは、悪夢や異常な夢、睡眠時麻痺、いわゆる金縛りが副作用として起こることがあります。頻度は高くありませんが、電子添文にも記載されている症状であり、薬の作用と睡眠の仕組みが関係していると考えられます。
国際共同臨床試験では、デエビゴを投与された884人のうち、悪夢が12人(1.4%)、異常な夢が16人(1.8%)に報告されています。また、睡眠時麻痺も1~3%未満の副作用として示されています。
ただし、悪夢や金縛りが起きたからといって、必ず危険な状態というわけではありません。多くは一時的ですが、睡眠不足になるほど繰り返す場合や、幻覚、異常行動、翌日の強い眠気を伴う場合には、用量や薬の種類を見直す必要があります。
この記事では、デエビゴで悪夢や金縛りが起こる理由、症状の特徴、起きたときの対処法、受診すべき症状について解説します。
デエビゴとはどのような睡眠薬?
デエビゴは、有効成分としてレンボレキサントを含む不眠症治療薬です。覚醒を維持する脳内物質であるオレキシンの働きを抑える「オレキシン受容体拮抗薬」に分類されます。
通常、成人にはレンボレキサントとして1日1回5mgを就寝直前に服用し、症状に応じて2.5mgへ減量または10mgまで増量されます。
従来のベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳全体の活動を抑える方向へ作用します。一方、デエビゴは覚醒を保つ仕組みを弱め、眠りへ移行しやすくする薬です。
寝つきが悪い入眠困難だけでなく、夜中に何度も目覚める中途覚醒の改善にも使用されます。
デエビゴで悪夢が起こる理由
夢を見やすいレム睡眠へ影響するため
睡眠は、脳と体が休むノンレム睡眠と、夢を見やすいレム睡眠を繰り返しています。
レム睡眠中は脳の一部が活発に働き、感情や記憶に関係する映像を夢として体験します。デエビゴで覚醒を抑えると、睡眠の構造やレム睡眠への移行に影響し、夢を鮮明に感じたり、起床後まで内容を覚えていたりすることがあります。
夢を見る回数そのものが増えたとは限らず、夢の途中で目覚めたことで記憶に残りやすくなっている可能性もあります。
不安やストレスが夢の内容に影響する
悪夢は薬だけでなく、強いストレス、不安、睡眠不足、発熱、飲酒などでも起こります。
もともと不眠が続いている人は、睡眠への不安が強くなっていることがあります。そこへデエビゴによる夢の鮮明化が重なると、怖い内容や不快な夢として感じやすくなる場合があります。
用量が増えたあとに目立つことがある
デエビゴは用量が多いほど、翌日の傾眠などが現れやすくなる傾向があります。悪夢についても、臨床試験では10mg群で服用中止に至った例が報告されています。
5mgから10mgへ増量したあとに悪夢が増えた場合は、薬との関連を処方医へ伝えることが重要です。
デエビゴで金縛りが起こる理由
一般に金縛りと呼ばれる状態は、医学的には「睡眠時麻痺」または「睡眠麻痺」と呼ばれます。
レム睡眠中は、夢の動きに合わせて実際に体を動かさないよう、脳から筋肉への運動指令が一時的に抑えられています。
通常は意識が目覚めると同時に筋肉も動かせるようになります。しかし、意識だけが先に戻り、レム睡眠中の筋肉の抑制が数秒から数分残ると、目は覚めているのに体を動かせない状態になります。
デエビゴはオレキシン受容体を抑えることで睡眠と覚醒の切り替えに影響するため、まれにレム睡眠と覚醒の境目が不安定になり、睡眠時麻痺が起こると考えられます。
睡眠時麻痺では、次のような症状がみられます。
- 意識はあるのに手足を動かせない
- 声を出そうとしても出せない
- 胸を押さえつけられるように感じる
- 人影や物音を感じる
- 数秒から数分で自然に動けるようになる
人影や声を感じる現象は、夢の映像や音が覚醒後も一時的に残る入眠時・覚醒時幻覚の可能性があります。
悪夢や金縛りは危険な副作用?
一度だけ短時間の金縛りが起きた、夢が鮮明になったという程度で、日中の生活に支障がなければ、直ちに重大な副作用とは限りません。
ただし、次のような場合は処方医へ相談してください。
- 悪夢で毎晩目が覚める
- 金縛りを繰り返す
- 眠ること自体が怖くなった
- 睡眠時間が短くなった
- 日中に強い眠気が残る
- 転倒やふらつきがある
- 服用後の行動を覚えていない
悪夢や金縛りの頻度だけでなく、翌日の生活や安全に影響しているかが重要です。
悪夢や金縛りが起きたときの対処法
服用時刻と症状を記録する
薬を飲んだ時刻、用量、眠った時刻、悪夢や金縛りが起きた時間を記録しましょう。
増量後から始まったのか、飲酒した日に起きやすいのか、睡眠時間が短い日に多いのかを確認すると、医師が薬との関連を判断しやすくなります。
自己判断で増量・追加服用しない
悪夢で目覚めたあと、「まだ眠れないから」と追加でデエビゴを飲んではいけません。
薬が体内に残っている状態で追加すると、翌朝の眠気、注意力低下、ふらつきなどが強くなる可能性があります。
十分な睡眠時間を確保する
デエビゴは、服用後に十分な睡眠時間を取れるときに使用します。深夜に服用して数時間後に起床すると、薬の作用が翌朝まで残りやすくなります。
就寝途中で起きて仕事、運転、介護などを行う予定がある場合は服用を避ける必要があります。
飲酒を避ける
アルコールは睡眠を浅くし、中途覚醒や悪夢を増やす可能性があります。また、デエビゴとの併用で眠気や注意力低下が強まるおそれがあります。
デエビゴを服用する日は飲酒を避けるのが基本です。
カフェインと長い昼寝を見直す
夕方以降のコーヒー、エナジードリンク、濃いお茶は寝つきを悪くします。長時間の昼寝も夜の睡眠を浅くし、夢を覚えやすくすることがあります。
毎朝ほぼ同じ時刻に起き、昼寝は必要な場合でも短時間に抑えましょう。
薬を減らしたり中止したりしてもよい?
悪夢や金縛りがつらい場合、医師が5mgから2.5mgへ減量したり、別の睡眠薬へ変更したりすることがあります。
ただし、本人が10mg錠を勝手に割る、服用日を不規則にする、別の睡眠薬と併用するといった方法は避けてください。
デエビゴによる悪夢に特別な治療法が決められているわけではなく、症状の程度に応じて経過観察、減量、中止、薬の変更などが検討されます。
症状が続く場合は我慢して飲み続けるのではなく、処方医へ具体的な頻度と生活への影響を伝えましょう。
ほかの薬との飲み合わせにも注意
デエビゴは主に肝臓のCYP3Aという酵素で代謝されます。一部の抗菌薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬などと併用すると、デエビゴの血中濃度が高くなる可能性があります。
また、ほかの睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、鎮静作用のある抗ヒスタミン薬などを併用すると、眠気やふらつきが強くなる場合があります。
処方薬だけでなく、市販の睡眠改善薬、風邪薬、アレルギー薬、サプリメントも医師や薬剤師へ伝えてください。
ナルコレプシーの人は使用できない
ナルコレプシーは、日中に耐え難い眠気が起こり、睡眠と覚醒の切り替えに異常がみられる病気です。
オレキシンの働きが低下していることが関係するため、オレキシン受容体を遮断するデエビゴは使用できません。
金縛りを繰り返すだけでナルコレプシーとは限りませんが、日中に突然眠り込む、笑ったときに力が抜ける、入眠時に幻覚を見るといった症状がある場合は、睡眠専門医へ相談してください。
すぐに医療機関へ相談したい症状
次の症状がある場合は、悪夢や通常の金縛りだけではない可能性があるため、早めに医療機関へ相談してください。
- 呼びかけても起きにくい
- 翌日まで強い眠気や意識のぼんやりが続く
- 転倒した
- 睡眠中に歩く、食べる、外出する
- 幻覚や混乱が覚醒後も続く
- 呼吸が浅い、息苦しい
- 服用量を間違えて多く飲んだ
自動車の運転や機械操作は、翌朝に眠気や注意力低下が残っている場合は避けてください。
よくある質問
デエビゴで悪夢を見る人は多いですか?
臨床試験では悪夢が1.4%、異常な夢が1.8%に報告されています。多くの人に起こる副作用ではありませんが、一定数にみられます。
金縛りが一度起きたら服用をやめるべきですか?
一度だけ短時間で治まり、日中に支障がなければ、すぐ中止しない場合もあります。繰り返す場合や恐怖が強い場合は、処方医へ相談してください。
悪夢は薬が効きすぎているサインですか?
用量が影響する可能性はありますが、悪夢だけで効きすぎとは判断できません。翌日の眠気やふらつき、増量との関係も確認します。
服用時間を早めれば悪夢は減りますか?
自己判断で変更せず、医師へ相談してください。食事の直後は薬の効果が遅れる可能性があり、服用時刻だけで悪夢が改善するとは限りません。
ベルソムラでも金縛りは起こりますか?
ベルソムラもオレキシン受容体拮抗薬であり、悪夢や睡眠時麻痺が起こる可能性があります。どちらが合うかは効果と副作用を確認して判断します。
デエビゴを飲むと毎晩夢を見るのは異常ですか?
夢を見ること自体は正常な睡眠現象です。ただし、悪夢で睡眠が妨げられる、日中に支障が出る場合は相談が必要です。
まとめ
デエビゴでは、悪夢、異常な夢、睡眠時麻痺による金縛りが副作用として起こることがあります。
デエビゴは覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えるため、睡眠と覚醒の境目やレム睡眠へ影響し、夢が鮮明になったり、意識だけが先に目覚めて体が動かない状態になったりする可能性があります。
一度だけの短い金縛りや、日中に影響しない鮮明な夢であれば経過を見る場合もあります。しかし、毎晩悪夢で目覚める、金縛りを繰り返す、眠るのが怖い、翌日に強い眠気やふらつきが残る場合は、処方医へ相談してください。
悪夢や金縛りが起きても、自己判断で追加服用、増量、ほかの睡眠薬との併用をしないことが重要です。服用量や症状が出た時間を記録し、必要に応じて減量や薬の変更を検討してもらいましょう。
