休肝日を作れば毎日飲んでも大丈夫?飲酒量と肝臓への影響
監修:医師・薬剤師監修
「週に1~2日の休肝日を作っているから、ほかの日は好きなだけ飲んでも大丈夫」「毎日少量なら肝臓には問題ない」と考えている方もいるかもしれません。
しかし、休肝日を設ければ多量飲酒の影響を帳消しにできるわけではありません。肝臓や全身への影響を考えるうえでは、休肝日の有無だけではなく、1日・1週間を通してどの程度のアルコールを摂取しているかが重要です。
厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」でも、飲酒量を把握するときは、お酒の種類や本数だけではなく「純アルコール量」に着目することが重要とされています。
そもそも「休肝日」とは?
休肝日とは一般的に、お酒をまったく飲まない日を設けることを指します。
毎日飲酒する習慣がある人にとって、飲酒しない日を意識的に作ることは、飲酒量を減らすきっかけになります。また、「夕食=お酒」という習慣を一度リセットし、自分の飲酒パターンを振り返るという意味でも役立ちます。
一方で、「週2日休肝日にしているから、残り5日は大量に飲んでよい」という考え方は適切ではありません。
例えば、休肝日を2日設けていても、残りの日に毎晩大量のアルコールを摂取していれば、1週間全体としての飲酒量は多くなります。
肝臓への影響は「休んだ日」より総飲酒量が重要
アルコールは主に肝臓で分解されます。アルコールを摂取すると、まずアセトアルデヒドという物質へ変化し、その後さらに分解されていきます。
飲酒量が増えるほど肝臓が処理しなければならないアルコール量も増えます。多量飲酒を長期間続けると脂肪肝、アルコール性肝炎、肝線維症、肝硬変などにつながる可能性があります。
NHS(英国国民保健サービス)でも、アルコール関連肝疾患は、長期間にわたって過剰な飲酒を続けることで起こるとされています。
休肝日は飲酒量を減らすためには有効ですが、肝臓へのリスクを考える場合は「休肝日が何日あるか」だけでなく、「結局どれだけ飲んでいるか」を確認する必要があります。
お酒は「何杯」ではなく純アルコール量で考える
同じ1杯でも、ビール、ワイン、日本酒、焼酎、ウイスキーでは含まれるアルコール量が異なります。
厚生労働省では、純アルコール量を次の計算方法で確認できるとしています。
飲酒量(ml)×アルコール度数÷100×0.8
例えばアルコール度数5%のビール500mlの場合、純アルコール量は約20gです。
一方、度数の高い缶チューハイやハイボールなどでは、同じ500mlでも純アルコール量は多くなります。
「ビールは1本しか飲んでいない」「缶チューハイを2本だけ」という本数ではなく、実際に何gのアルコールを摂取しているかを確認してみましょう。
男性40g・女性20gなら安全という意味ではない
厚生労働省の資料では、「生活習慣病のリスクを高める飲酒量」の目安として、1日当たりの純アルコール摂取量が男性40g以上、女性20g以上という数値が示されています。
しかし、この数字は「ここまでなら安全に飲める量」という意味ではありません。
厚生労働省は、飲酒量が少なくなるほどアルコールによる健康リスクも少なくなるという考え方を示しています。また、体質、年齢、性別、持病などによってアルコールの影響には個人差があります。
そのため、「40g未満だから問題ない」と毎日飲み続けるのではなく、できる範囲で飲酒量そのものを減らしていくことが大切です。
なぜ女性は少ない飲酒量でも影響を受けやすい?
一般的に女性は男性より体内の水分量が少ないことなどから、同じ量のアルコールを飲んでも血中アルコール濃度が高くなりやすい傾向があります。
また、アルコール関連肝疾患についても、女性では男性より少ない飲酒量で発症することがあります。NHS(英国国民保健サービス)でも、女性ではより少ない飲酒量でもアルコール関連肝疾患が進行しやすいとされています。
男女で同じ量を飲んでいるから同じリスク、とは限りません。
週末だけ大量に飲むなら休肝日が多くても安心できない
平日はほとんど飲まないものの、金曜日や土曜日にまとめて大量のお酒を飲む人もいます。
このような飲み方では1週間の総量だけでなく、短時間に多量のアルコールを摂取すること自体も問題になります。
NHS(英国国民保健サービス)では、一度に多量のアルコールを飲むと、事故やけが、判断力の低下などのリスクが高まるとしています。
「5日間飲まなかったから、週末にまとめて飲んでもよい」という考え方は避けましょう。
毎日少量なら大丈夫?
以前は「少量のお酒なら健康に良い」と聞くこともありましたが、現在は飲酒による健康への影響についてより慎重に考えられています。
NHS(英国国民保健サービス)でも、低リスクとされる飲酒量は「安全な飲酒量」という意味ではなく、飲む量が少ないほど健康リスクも低くなるとしています。
したがって、毎日少量の飲酒をしているから絶対に問題がないとは言えません。
肝臓だけでなく、高血圧、脳卒中、一部のがんなど、アルコールと関連する健康リスクも考える必要があります。
休肝日は「肝臓を回復させる日」というより飲酒習慣を見直す日
休肝日について、「肝臓を1日休ませれば完全に回復する」と考える人もいます。
しかし、アルコールによる肝臓への影響は、その日の飲酒だけでリセットされるものではありません。
休肝日を作る本当のメリットは、結果として1週間全体の飲酒量を減らし、毎日飲酒する習慣を断ち切りやすくすることにあります。
例えば、これまで毎晩ビールを飲んでいた人が週2~3日はノンアルコール飲料や炭酸水へ変更すれば、その分だけ純アルコール摂取量を減らすことができます。
肝臓は悪くなっても症状が出にくい
肝臓は「沈黙の臓器」と呼ばれることがあります。
肝機能が低下していても初期には自覚症状がほとんどなく、健康診断の血液検査や腹部超音波検査などで初めて異常を指摘されるケースがあります。
NHS(英国国民保健サービス)でも、多くの肝疾患は初期には症状が現れにくく、症状が出る段階では肝臓の障害が進行していることがあるとされています。
「体調が良いから肝臓も大丈夫」とは限りません。
肝臓を守るために見直したい飲み方
飲酒する場合は、まず自分が1日にどの程度の純アルコールを摂取しているのか把握しましょう。
そのうえで、飲酒しない日を作る、1回に飲む量を減らす、度数の低い飲み物へ変える、飲酒の合間に水を飲む、食事と一緒にゆっくり飲むといった方法があります。
NHS(英国国民保健サービス)でも、飲酒量を減らす方法として飲酒しない日を複数作ることや、ゆっくり飲むこと、水やノンアルコール飲料を間に入れることなどが勧められています。
「休肝日を守ったか」だけではなく、先週より純アルコール量を減らせたか、という視点で考えると管理しやすくなります。
お酒を控えたほうがよい人もいる
肝疾患がある人や医師から禁酒・節酒を指示されている人は、一般的な飲酒量の目安だけで判断してはいけません。
また、妊娠中・妊娠の可能性がある場合、服用している薬との相互作用がある場合、アルコール依存症が疑われる場合なども飲酒を避ける必要があります。
飲酒量を減らそうとしても自分ではコントロールできない、朝から飲みたくなる、飲酒によって仕事や家庭生活に問題が起きているといった場合には、早めに医療機関などへ相談しましょう。
まとめ
休肝日を作ることには意味がありますが、「休肝日さえあれば、ほかの日はどれだけ飲んでも大丈夫」ということではありません。
アルコールによる肝臓や全身への影響を考える場合には、1日・1週間を通した純アルコール量を把握することが重要です。厚生労働省でも、お酒の本数ではなく純アルコール量を意識して飲酒量を管理することが勧められています。
休肝日は「大量に飲んだ分をリセットする日」ではなく、飲酒量そのものを減らし、毎日飲む習慣を見直すための日と考えるとよいでしょう。
健康診断で肝機能異常を指摘されている場合や、自分で飲酒量を減らせない場合には、自己判断で様子を見続けず医療機関へ相談することが大切です。

