お酒をやめると眠りは良くなる?飲酒と睡眠の質の関係
医師・薬剤師監修
「寝酒をするとすぐ眠れる」「お酒を飲まないと寝つきが悪い」という方は少なくありません。
しかし、結論からいうと、アルコールは寝つきを一時的によくする一方で、夜中の覚醒を増やしたり、睡眠後半を浅くしたりして、睡眠の質を低下させることがあります。
そのため、飲酒習慣がある人がお酒を減らしたりやめたりすると、最初は寝つきにくく感じても、しばらくすると夜中に目が覚めにくくなったり、朝のだるさが軽くなったりする可能性があります。
「お酒を飲むと眠れる」と「質のよい睡眠が取れている」は同じではありません。
- なぜお酒を飲むと眠くなる?
- 寝つきが良くても睡眠の質は下がる?
- 夜中に目が覚めるのはなぜ?
- お酒を飲むと深い睡眠は増える?
- REM睡眠にも影響する?
- 朝起きたときにだるいのは飲酒のせい?
- いびきがひどくなることもある?
- 睡眠時無呼吸がある人は特に注意?
- お酒をやめるとすぐ眠りが良くなる?
- 禁酒後に眠れなくなるのはなぜ?
- どのくらい禁酒すると睡眠が変わる?
- 休肝日だけでも意味はある?
- 寝酒をやめるなら何に置き換える?
- ノンアルコール飲料なら大丈夫?
- お酒を飲むなら寝る何時間前まで?
- 少量なら睡眠に良い?
- 毎晩飲まないと眠れないのは依存?
- 睡眠薬とお酒を一緒に飲んでもいい?
- デエビゴなどでもお酒は避ける?
- お酒をやめると朝の血圧にも影響する?
- 夜中のトイレも減る?
- 夜中の動悸が減ることもある?
- お酒をやめたら夢を見るようになった?
- 禁酒と睡眠改善を確認する方法
- 禁酒しても眠れない場合は?
- 大量飲酒をしている人は急にやめても大丈夫?
- 睡眠の質を上げるためにできること
- まとめ
なぜお酒を飲むと眠くなる?
アルコールには中枢神経の働きを抑える作用があります。
飲酒するとリラックス感や眠気が出て、入眠までの時間が短くなることがあります。
このため、寝酒をすると「よく眠れた」と感じやすいのですが、問題は眠った後です。
寝つきが良くても睡眠の質は下がる?
下がることがあります。
アルコールは睡眠の前半には鎮静作用を示しますが、時間がたって体内で分解されると、その作用が弱くなります。
その結果、睡眠後半に眠りが浅くなり、途中で目が覚めやすくなることがあります。
「すぐ眠れたけれど、夜中に何度も目が覚めた」というパターンは、飲酒による睡眠の乱れでみられることがあります。
夜中に目が覚めるのはなぜ?
アルコールが代謝される過程で睡眠が不安定になることに加え、飲酒による利尿作用も関係します。
夜中にトイレへ行きたくなり、そのまま目が覚めてしまうことがあります。
寝酒は「寝つき」を助けても、「朝までぐっすり眠る」ことを邪魔する可能性があります。
お酒を飲むと深い睡眠は増える?
飲酒直後は睡眠前半に深い睡眠が増えることがあります。
しかし、睡眠全体で見ると睡眠構造が乱れ、後半に浅い睡眠や覚醒が増えやすくなります。
一部の時間だけ深く眠れても、睡眠全体の質が高いとは限りません。
REM睡眠にも影響する?
影響します。
アルコールはREM睡眠の出現パターンを変化させることがあります。
REM睡眠は記憶や感情の処理などにも関係すると考えられており、睡眠周期の乱れは翌日の疲労感にも影響する可能性があります。
お酒で眠る習慣は、自然な睡眠リズムを崩しやすくします。
朝起きたときにだるいのは飲酒のせい?
可能性があります。
睡眠が途中で細かく分断されていると、本人は長時間寝たつもりでも十分な休息感が得られないことがあります。
さらに、アルコールによる脱水や二日酔いも朝のだるさにつながります。
「8時間寝たのに疲れが取れない」という場合は、睡眠時間だけでなく夜の飲酒習慣も確認してみましょう。
いびきがひどくなることもある?
あります。
アルコールには筋肉をゆるませる作用があるため、喉の周囲の筋肉もゆるみやすくなります。
その結果、気道が狭くなり、いびきが強くなることがあります。
寝る前の飲酒は、いびきや睡眠時無呼吸症候群を悪化させる可能性があります。
睡眠時無呼吸がある人は特に注意?
注意が必要です。
アルコールによって上気道の筋肉がゆるむと、睡眠中の呼吸停止が起こりやすくなることがあります。
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群の可能性があります。
こうした症状がある人は、寝酒を控えることが特に重要です。
お酒をやめるとすぐ眠りが良くなる?
すぐに改善を感じる人もいれば、最初の数日は逆に眠りにくく感じる人もいます。
特に毎晩お酒を飲んで眠る習慣がある場合、身体が「飲酒してから寝る」というパターンに慣れていることがあります。
禁酒初期に寝つきが悪くなっても、それだけで「お酒がないと眠れない」と判断する必要はありません。
禁酒後に眠れなくなるのはなぜ?
アルコールの鎮静作用に頼っていた場合、その作用がなくなることで一時的に寝つきの悪さを感じることがあります。
また、長期間大量に飲酒している人では、飲酒をやめた際に離脱症状として不眠が出ることがあります。
強い不眠に加えて手の震え、発汗、動悸、不安などがある場合は、自己判断で禁酒を続けるのではなく医療機関へ相談しましょう。
どのくらい禁酒すると睡眠が変わる?
変化を感じる時期には個人差があります。
数日から数週間で夜中の覚醒が減ったり、朝の目覚めが楽になったりする人もいます。
睡眠の改善は1晩だけで判断するのではなく、少なくとも数週間単位で見るとよいでしょう。
休肝日だけでも意味はある?
あります。
毎日飲酒している場合は、まず飲まない日を作ることで睡眠との関係に気づきやすくなります。
ただし、休肝日以外に大量飲酒してしまうと、全体としての飲酒量は減りません。
「週に何日飲まないか」だけでなく、1週間全体のアルコール量を減らすことが重要です。
寝酒をやめるなら何に置き換える?
就寝前の習慣を別のものに置き換えると続けやすくなります。
ノンカフェインのお茶、ぬるめの入浴、軽いストレッチ、読書などが選択肢になります。
「お酒を飲むこと」と「寝ること」を切り離す習慣作りが大切です。
ノンアルコール飲料なら大丈夫?
アルコールを含まない製品であれば、アルコールによる睡眠への直接的な影響は避けられます。
ただし、カフェインや糖分が多い飲料では別の影響が出る場合があります。
就寝前は成分表示を確認し、カフェインの少ない飲み物を選ぶとよいでしょう。
お酒を飲むなら寝る何時間前まで?
できるだけ就寝直前の飲酒を避けるほうがよいでしょう。
飲酒量によってアルコールが代謝される時間は異なるため、「○時間前なら必ず大丈夫」とは言えません。
睡眠の質を重視するなら、寝酒として飲む習慣そのものを見直すことが重要です。
少量なら睡眠に良い?
少量でも寝つきがよくなることはありますが、睡眠改善を目的としてアルコールを使うのはおすすめできません。
飲酒量が徐々に増え、「以前と同じ量では眠れない」と感じるようになることもあります。
アルコールは睡眠薬の代わりにはなりません。
毎晩飲まないと眠れないのは依存?
必ずしもアルコール依存症とは限りませんが、注意すべきサインのひとつです。
眠るために飲酒量が増えている、飲まないと強い不安や手の震えが出る、日中から飲酒するなどがある場合は専門的な評価が必要です。
「眠るためのお酒」が徐々に増えている場合は、早めに医療機関へ相談しましょう。
睡眠薬とお酒を一緒に飲んでもいい?
原則として避けるべきです。
アルコールと睡眠薬を併用すると、中枢神経を抑える作用が重なり、強い眠気、ふらつき、転倒、記憶障害などが起こりやすくなります。
薬によっては呼吸抑制につながる可能性もあるため、睡眠薬を服用している日は飲酒を控えてください。
デエビゴなどでもお酒は避ける?
睡眠薬の種類にかかわらず、アルコールとの併用はおすすめできません。
デエビゴ(レンボレキサント)などでも、眠気や注意力低下が強くなる可能性があります。
「作用の違う睡眠薬だからお酒と一緒でも大丈夫」と考えないようにしましょう。
お酒をやめると朝の血圧にも影響する?
多量飲酒は高血圧のリスク要因です。
飲酒量を減らすことで、血圧管理に良い影響が出る場合があります。
さらに、睡眠の質が改善することも、心血管系の健康を考えるうえで重要です。
禁酒・減酒は睡眠だけでなく、血圧や肝臓などにもメリットが期待できます。
夜中のトイレも減る?
飲酒量を減らすことで、夜間の尿量が減り、トイレで目が覚める回数が少なくなる人もいます。
アルコールには利尿作用があり、飲み物そのものの水分量も増えるためです。
夜間頻尿によって睡眠が分断されている人では、夜の飲酒を見直す価値があります。
夜中の動悸が減ることもある?
飲酒後には心拍数が上がったり、動悸を感じたりする人もいます。
また、アルコールは一部の不整脈を誘発することがあります。
夜間の動悸が飲酒後に起こりやすい場合は、減酒・禁酒との関係を記録してみるとよいでしょう。
お酒をやめたら夢を見るようになった?
飲酒によって乱れていた睡眠構造が変化すると、夢を以前より鮮明に覚えることがあります。
特に禁酒初期にはREM睡眠の変化によって夢が増えたように感じる場合があります。
夢が増えたから睡眠が悪化したとは限りません。
禁酒と睡眠改善を確認する方法
就寝時刻、起床時刻、夜中に目が覚めた回数、飲酒量、翌朝の疲労感などを記録すると分かりやすくなります。
スマートフォンや手帳で簡単に記録するだけでも構いません。
「飲んだ日のほうが眠れている気がする」という感覚だけでなく、夜間覚醒や朝の体調まで比較しましょう。
禁酒しても眠れない場合は?
飲酒以外に不眠の原因がある可能性があります。
ストレス、不安、うつ状態、睡眠時無呼吸症候群、むずむず脚症候群など、睡眠を妨げる原因はさまざまです。
数週間たっても強い不眠が続く場合は、「お酒をやめたから」と決めつけず医療機関へ相談しましょう。
大量飲酒をしている人は急にやめても大丈夫?
長期間にわたって大量飲酒している人では、急な断酒によってアルコール離脱症状が起こることがあります。
不眠、手の震え、発汗、動悸、不安などから、重い場合にはけいれんや意識の混乱が起こることもあります。
毎日大量に飲んでいる、朝から飲酒する、飲まないと手が震えるなどがある場合は、自己判断で急に断酒せず医療機関へ相談してください。
睡眠の質を上げるためにできること
毎日ほぼ同じ時間に起きる、日中に適度に身体を動かす、寝る直前までスマートフォンを見る時間を減らすなど、基本的な睡眠習慣を整えることも重要です。
寝つけないときに毎回お酒へ頼る習慣を減らしていきましょう。
禁酒・減酒と生活リズムの改善を組み合わせることで、自然な眠りを取り戻しやすくなります。
まとめ
お酒は寝つきを一時的によくする一方で、睡眠後半を浅くし、夜中の覚醒やいびき、夜間頻尿などを増やして睡眠の質を低下させることがあります。
飲酒習慣がある人がお酒を減らしたりやめたりすると、最初は寝つきにくく感じる場合がありますが、数日〜数週間で夜中の覚醒や朝のだるさが改善する人もいます。
「寝るために飲む」習慣は、結果的に睡眠を不安定にする可能性があるため、寝酒に頼らないことが大切です。
一方、長期間大量に飲酒している人では、急な断酒によって離脱症状が起こる可能性があります。手の震え、発汗、動悸、強い不安などがある場合は自己判断で対応せず、医療機関へ相談してください。
また、減酒・禁酒を続けても不眠が改善しない場合は、睡眠時無呼吸症候群など別の原因が隠れていないか確認しましょう。

