男性更年期にいい食事はどんなもの?テストステロンを意識した食生活を解説
監修:医師・薬剤師監修
「男性更年期には何を食べればよい?」「亜鉛や肉を多く摂れば、テストステロンが増える?」と気になっていませんか。
男性更年期は、医学的にはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)などと呼ばれ、テストステロンの低下に伴って疲労感、意欲低下、筋力低下、性欲低下、EDなどが現れる状態です。
ただし、特定の食べ物を食べるだけで男性更年期が治ったり、テストステロン値が急激に上昇したりするわけではありません。
男性更年期の食事で大切なのは、たんぱく質や亜鉛だけを大量に摂ることではなく、筋肉量を維持しながら肥満と栄養不足を防ぐことです。
この記事では、男性更年期を意識した食事の基本、積極的に摂りたい食品、控えたい食習慣、治療薬との関係について分かりやすく解説します。
食事だけで男性更年期は治る?
男性更年期の症状は、食事だけで改善できるとは限りません。
テストステロンは加齢だけでなく、肥満、睡眠不足、運動不足、慢性的なストレス、糖尿病などの影響を受けます。
そのため、特定の食品やサプリメントだけに頼るより、食事、運動、睡眠、体重管理をまとめて見直すことが重要です。
日本泌尿器科学会と日本メンズヘルス医学会の「LOH症候群診療の手引き」でも、身体活動や肥満を含む生活習慣への対応が重要とされ、適度な運動は筋力や骨の維持にも役立つとされています。
食事は男性更年期を直接治す薬ではなく、テストステロンが低下しにくい身体環境を整えるための土台です。
男性更年期の食事で意識したい5つのポイント
男性更年期を意識した食生活では、次の5点を基本にしましょう。
- 毎食たんぱく質を摂る
- 極端な食事制限を避ける
- 亜鉛やビタミンDを不足させない
- 魚や植物性食品を取り入れる
- 肥満がある場合は食事量を調整する
一つの栄養素だけを増やすのではなく、主食、主菜、副菜をそろえることが基本です。
筋肉を維持するためにたんぱく質を摂る
テストステロンが低下すると、筋肉量や筋力が落ちやすくなることがあります。
筋肉の材料となるたんぱく質を、朝食、昼食、夕食へ分けて摂りましょう。
たんぱく質を含む主な食品は次のとおりです。
- 魚
- 鶏肉、豚肉、牛肉
- 卵
- 豆腐、納豆、豆乳
- 牛乳、ヨーグルト
例えば、朝食に卵や納豆、昼食に魚や肉、夕食に豆腐や鶏肉を組み合わせると、1日を通してたんぱく質を摂れます。
夕食だけに肉を大量に食べるより、毎食適量を摂る方が続けやすいでしょう。
プロテインは食事で不足するたんぱく質を補う食品であり、飲むだけで男性更年期やテストステロン低下が治るわけではありません。
亜鉛を含む食品を取り入れる
亜鉛は、体内の多くの酵素反応やたんぱく質合成などに関わる必須ミネラルです。
亜鉛が不足すると、食欲低下、味覚の異常、傷の治りにくさなどが現れることがあります。男性の生殖機能にも関係する栄養素ですが、亜鉛を多く摂れば摂るほどテストステロンが増えるわけではありません。
亜鉛を多く含む食品には、次のようなものがあります。
- 牡蠣
- 牛肉や豚肉
- レバー
- 卵
- チーズ
- 豆類
- ナッツ類
牡蠣を毎日大量に食べる必要はありません。肉、魚、卵、大豆製品をバランスよく食べることで、亜鉛を含む複数の栄養素を摂取できます。
亜鉛サプリメントの過剰摂取に注意
男性更年期や精力対策を目的として、亜鉛サプリメントを利用する人もいます。
しかし、亜鉛を長期間過剰に摂取すると、吐き気、腹痛、食欲低下のほか、銅の吸収を妨げて貧血や神経症状につながる可能性があります。亜鉛は不足している場合に補うことが基本であり、高用量を継続するほど健康効果が高まるものではありません。
複数の精力系サプリやマルチビタミンを併用すると、知らないうちに亜鉛の摂取量が増えることがあります。
サプリメントを使う場合は、1日分に含まれる量を確認し、複数商品の重複を避けましょう。
ビタミンDを含む魚や卵を食べる
ビタミンDは骨の健康や筋肉機能に関係する栄養素です。
男性更年期では筋力や骨密度の低下が問題になることがあるため、ビタミンDを不足させない食生活も大切です。
ビタミンDを含む主な食品には、次のようなものがあります。
- 鮭
- サバ
- イワシ
- サンマ
- 卵黄
- きのこ類
魚を週に数回取り入れ、肉料理に偏りすぎないようにしましょう。
ただし、ビタミンDサプリメントを大量に摂っても、男性更年期が直接改善するとは限りません。血液検査で不足が確認された場合は、医師や薬剤師へ相談してください。
青魚の脂質を取り入れる
サバ、イワシ、サンマ、鮭などの魚には、EPAやDHAなどの脂質が含まれています。
男性更年期では、年齢や肥満、運動不足に伴って、高血圧、脂質異常症、糖尿病などを併発することがあります。
肉の脂身や揚げ物だけに偏らず、魚やナッツ、オリーブオイルなどを適量取り入れると、食事全体の脂質バランスを整えやすくなります。
脂質を完全に抜く必要はありません。極端な低脂質食は食事の満足感を下げ、長く続けにくくなることがあります。
野菜・海藻・きのこを組み合わせる
肉やプロテイン中心の食事では、食物繊維、ビタミン、ミネラルが不足しやすくなります。
毎食、野菜、海藻、きのこなどを一品加えましょう。
例えば、焼き魚とご飯だけで終わらせず、みそ汁、冷ややっこ、野菜のおひたしなどを組み合わせます。
食物繊維を含む食品は、便通だけでなく、食後の満足感や体重管理にも役立ちます。
おすすめの食事例
男性更年期を意識した食事でも、特別な健康食品を用意する必要はありません。
朝食の例
- ご飯、納豆、卵、みそ汁
- 全粒粉パン、ヨーグルト、ゆで卵、果物
- おにぎり、焼き鮭、野菜スープ
昼食の例
- 焼き魚定食
- 鶏肉と野菜の定食
- そば、卵、豆腐、野菜の小鉢
夕食の例
- ご飯、サバの塩焼き、冷ややっこ、野菜のみそ汁
- 豚肉と野菜の炒め物、納豆、ご飯
- 鶏肉ときのこの蒸し料理、サラダ、ご飯
主食を完全に抜く、肉だけを食べる、夕食だけ大量に食べるといった極端な方法は避けましょう。
肥満がある場合は体重管理も重要
肥満、とくに内臓脂肪の増加は、テストステロン低下と関連することがあります。
そのため、腹囲や体重が増えている人では、食事量を調整し、適正体重へ近づけることが男性更年期対策の一つになります。
一方で、短期間で急激に体重を減らすと、筋肉まで落ちて疲労感や体力低下が強くなる可能性があります。
甘い飲み物、菓子、夜食、揚げ物、アルコールなどから見直し、筋力トレーニングやウォーキングを組み合わせましょう。
テストステロン値だけを上げようとするより、肥満、糖尿病、睡眠不足などの背景を改善することが重要です。性腺機能低下症の診断やテストステロン治療についても、症状と繰り返し確認された低値を基準に判断することが推奨されています。
男性更年期で控えたい食習慣
毎日の大量飲酒
お酒を飲むと一時的に気分が楽になることがありますが、毎日の大量飲酒は睡眠の質を下げます。
眠りが浅くなると、翌日の疲労感、集中力低下、性欲低下が強くなる場合があります。
また、アルコールにはカロリーがあり、つまみと合わせて体重増加につながることもあります。
夜遅い時間の大量の食事
寝る直前に揚げ物、ラーメン、大盛りの丼などを食べると、胃もたれや胸やけによって睡眠が妨げられることがあります。
帰宅が遅い日は、夕方に軽食を取り、帰宅後は消化に負担の少ない食事を少量にしましょう。
甘い飲料や菓子中心の食生活
エナジードリンク、清涼飲料水、菓子パンなどで空腹を満たすと、摂取カロリーが増える一方、たんぱく質やビタミン、ミネラルが不足しやすくなります。
忙しい日は、おにぎり、ゆで卵、ヨーグルト、豆乳など、準備しやすい食品を組み合わせましょう。
極端な糖質制限や脂質制限
糖質や脂質を完全に避ける食事は、必要なエネルギーを確保しにくくなります。
筋トレをしている人がエネルギー不足になると、筋肉量の維持が難しくなり、疲労感が強くなる場合があります。
主食、たんぱく質、脂質を適量組み合わせ、長く続けられる内容にしましょう。
精力がつく食べ物だけでEDは改善する?
牡蠣、うなぎ、ニンニクなどは、精力に良い食品として紹介されることがあります。
これらは亜鉛、たんぱく質、ビタミンなどを含みますが、一度食べただけでテストステロン値が上昇したり、EDが治ったりするわけではありません。
EDには、テストステロン低下だけでなく、高血圧、糖尿病、動脈硬化、喫煙、ストレスなども関係します。
性欲が低下している場合と、性欲はあるものの勃起できない場合では、必要な治療が異なります。
食事を改善しても症状が続く場合
食事、運動、睡眠を見直しても、疲労感、意欲低下、性欲低下、EDなどが続く場合は、男性更年期以外の原因も含めて検査する必要があります。
男性更年期は、一般的に40歳以降にテストステロンの低下とともに現れることがありますが、病態は複雑であり、症状だけでは判断できません。
泌尿器科や男性更年期外来では、問診と血液検査によってテストステロン値を確認します。
疲労感や性欲低下は、うつ病、甲状腺疾患、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群などでも起こります。
「亜鉛が足りないだけ」と自己判断し、サプリメントだけで長期間様子を見るのは避けましょう。
テストステロン補充療法と食事の関係
症状があり、検査でテストステロンの低下が確認された場合は、テストステロン補充療法が検討されることがあります。
注射薬や外用薬などで不足するテストステロンを補い、性欲低下、筋力低下、疲労感などの改善を目指します。
ただし、治療を始めても食生活が乱れ、肥満や睡眠不足が続いていれば、症状が十分に改善しない可能性があります。
治療中も、たんぱく質、野菜、魚などを含むバランスのよい食事と、運動、体重管理を続けましょう。
男性更年期の薬やサプリを個人輸入する場合
海外のテストステロン製剤や男性向けサプリメントを購入するため、個人輸入代行サイトを利用する人もいます。
個人輸入では、国内では入手しにくい商品や剤形を比較し、自宅から注文できる点がメリットです。
一方、テストステロン製剤は、食事で補う栄養素とは異なる医薬品です。使用前にホルモン値、前立腺、血液の濃さ、持病などを確認する必要があります。
高用量を自己判断で使用すると、多血症、ニキビ、むくみ、精子産生の低下などにつながる可能性があります。
個人輸入を利用する場合も、有効成分、含有量、使用方法、禁忌を確認し、定期的な血液検査を受けることが重要です。
また、亜鉛や複数の精力系サプリメントを同時に使用する場合は、成分の重複にも注意してください。
医療機関へ相談した方がよい症状
次のような症状が数週間から数か月続く場合は、泌尿器科、男性更年期外来、内分泌内科などへの相談を検討してください。
- 休んでも疲労感が取れない
- 筋力が明らかに低下した
- 仕事への意欲や集中力が落ちた
- 気分の落ち込みやイライラが続く
- 性欲が低下した
- 朝立ちが減った
- EDが続いている
- 急に体重が増えた、または減った
- 大きないびきや日中の強い眠気がある
- 食事や運動を見直しても改善しない
まとめ|男性更年期にはバランスのよい食事と体重管理が大切
男性更年期に特定の食品だけが効くわけではありません。
毎食、肉、魚、卵、大豆製品などからたんぱく質を摂り、亜鉛を含む牡蠣や肉類、ビタミンDを含む魚や卵などをバランスよく取り入れましょう。
野菜、海藻、きのこ、主食も組み合わせ、極端な糖質制限やサプリメントの大量摂取を避けることが大切です。
肥満がある人は、甘い飲み物、夜食、飲酒などを見直し、筋肉を落とさない範囲で少しずつ体重を調整しましょう。
男性更年期の食事では、「テストステロンを増やす食品」を探すより、筋肉、骨、血管、体重をまとめて管理できる食生活を続けることが重要です。

