昼寝をすると仕事の効率が上がる?その理由と正しい取り方を解説
監修:医師・薬剤師監修
昼食後になると強い眠気を感じ、パソコンの画面を見ても内容が頭に入らない、簡単な入力ミスが増えると悩んでいませんか。
そのようなときに短い昼寝を取り入れると、午後の眠気が軽くなり、注意力や作業効率の回復につながる可能性があります。
一方で、昼寝が長すぎたり、夕方以降に眠ったりすると、起きた後も頭がぼんやりする、夜に寝つけないといった逆効果が起こることがあります。
仕事中の昼寝は、長く眠るほど効果が高いわけではありません。一般的には、午後の早い時間に15~20分程度眠る方法が取り入れやすいでしょう。
この記事では、昼寝によって仕事の効率が上がる理由、適切な時間と長さ、昼寝後にだるくなる原因、眠気が毎日強い場合の注意点について分かりやすく解説します。
短い昼寝で仕事の効率は上がる?
短い昼寝には、午後の眠気を減らし、注意力や認知機能を一時的に回復させる効果が期待できます。
健康な成人を対象とした研究をまとめた系統的レビューとメタ解析では、短時間の昼寝後に、注意力を中心とした認知機能が改善する傾向が報告されています。効果の現れ方は、昼寝の長さや取る時間帯、前夜の睡眠状態によって異なります。
また、職場で昼食後に15分間の昼寝を行った小規模な試験では、午後の眠気や注意力の改善につながる可能性が示されています。
ただし、昼寝は夜の睡眠不足を完全に帳消しにする方法ではありません。
昼寝は一時的に眠気や疲労を軽くする補助策であり、毎晩の十分な睡眠に代わるものではない点に注意してください。
昼食後に眠くなるのはなぜ?
昼食後の眠気は、食事をしたことだけが原因ではありません。
人の身体には、夜に眠気が強くなる大きなリズムに加えて、午後の早い時間帯にも眠気が出やすくなるリズムがあります。
そのため、昼食を軽くした日でも、午後1時から3時頃になると集中しにくくなる人がいます。
さらに、前夜の睡眠不足、昼食の食べすぎ、飲酒、単調な作業、暖かすぎる室内などが重なると、眠気が強くなりやすくなります。
昼寝で注意力が回復しやすい理由
睡眠不足や長時間の連続作業が続くと、脳の覚醒度が下がり、反応速度や注意力が低下します。
短時間でも一度眠ると、たまっていた眠気が一時的に軽くなり、作業へ注意を向けやすくなることがあります。
例えば、次のような変化が期待できます。
- パソコン入力のミスを減らしやすくなる
- 会議中の話を追いやすくなる
- 単調な作業中の眠気を軽くする
- 判断までにかかる時間を短くする
- 午後のだるさや疲労感を軽減する
NIOSH(米国立労働安全衛生研究所)は、計画的な短い昼寝が、長時間勤務や夜勤時の眠気を抑え、覚醒度を高める対策になるとしています。
記憶の整理にも役立つ可能性がある
睡眠には、起きている間に得た情報を整理し、記憶として定着させる働きがあります。
昼寝についても、学習した内容や言葉などの記憶に良い影響を与える可能性が研究されています。
健康な成人を対象にした研究をまとめた系統的レビューでは、昼寝が宣言的記憶と呼ばれる、言葉や出来事に関する記憶を助ける可能性が報告されています。
そのため、午前中に研修や勉強を行った後、午後の早い時間に短く休むことで、学習内容の整理を助けられる可能性があります。
ただし、昼寝をすれば必ず記憶力が高まるわけではなく、夜の睡眠時間、昼寝の長さ、本人の体質などによって効果は異なります。
仕事中の昼寝は何分がよい?
一般的な日中勤務で午後の眠気を軽くしたい場合は、15~20分程度を目安にするとよいでしょう。
短い昼寝であれば、深い睡眠へ入りきる前に起きやすく、起床後の強いだるさを抑えやすくなります。
NIOSH(米国立労働安全衛生研究所)では、約20分で目覚めると、深い睡眠から起こされた場合より、起床直後のぼんやり感が軽く済む可能性があるとしています。
| 昼寝の長さ | 特徴 | 仕事中の注意点 |
|---|---|---|
| 5~10分 | 短時間でも休息になる | 眠りに入る前に終わることがある |
| 15~20分 | 眠気や注意力の回復を狙いやすい | 仕事中の昼寝として取り入れやすい |
| 30~60分 | 深い睡眠へ入る可能性がある | 目覚めた後に強いだるさが残ることがある |
| 約90分 | 一つの睡眠周期に近い | 時間を確保しにくく、夜の睡眠に影響する可能性がある |
昼休み中に眠る場合は、実際に眠る時間だけでなく、横になる準備と目覚めた後の回復時間も考えてアラームを設定しましょう。
昼寝は何時までに取る?
通常の日中勤務であれば、昼寝は午後1時から3時頃までの間に取るのが一つの目安です。
午後の早い時間は自然に眠気が出やすく、夜の就寝時刻まで十分な時間があります。
夕方以降に眠ると、夜にたまるはずの眠気が弱くなり、寝つきが悪くなる可能性があります。
厚生労働省の睡眠に関する情報でも、長い昼寝や複数回の昼寝は、夜間の睡眠の質を低下させる可能性があるため注意が必要とされています。
午後6時以降に強い眠気が出る場合は、昼寝をするより、その日の就寝時間を早める方がよいことがあります。
長く寝ると起きた後にだるくなる理由
昼寝後に頭が重い、身体が動かない、寝る前より仕事が進まないと感じることがあります。
これは「睡眠慣性」と呼ばれる状態で、起床直後に眠気や判断力低下が一時的に残る現象です。
深い睡眠の途中で起こされると、睡眠慣性が強くなりやすくなります。
特に、前夜の睡眠不足が強い人は、昼寝を始めてから早い段階で深い睡眠へ入ることがあり、20分程度でも起床後にだるさを感じる場合があります。
起床直後に重要な判断、運転、機械操作などを行うのは避け、可能であれば15~30分程度の余裕を持ちましょう。
効率よく昼寝を取る手順
仕事中に昼寝を取り入れる場合は、次の順番で行うとよいでしょう。
- 昼食後から午後3時頃までに時間を確保する
- スマートフォンやパソコンの画面を閉じる
- アラームを20~25分後に設定する
- 椅子の背もたれを使い、楽な姿勢になる
- 光や音をできる範囲で減らす
- 起床後は明るい場所へ移動する
- 水を飲み、軽く身体を動かす
実際に眠れなくても、目を閉じて静かに休むだけで気分転換になることがあります。
「早く眠らなければ」と焦ると緊張して眠れなくなるため、短い休憩として考えましょう。
机で昼寝をするときの姿勢
職場に横になれる場所がない場合は、椅子に座ったまま昼寝をする方法があります。
椅子の背もたれを使い、首が前へ大きく曲がらないようにします。ネックピローや丸めたタオルで首を支えると楽になる場合があります。
机へうつ伏せになる場合は、腕の上へ直接顔を載せ続けると、腕のしびれや首の痛みにつながることがあります。
クッションなどで頭の位置を高くし、呼吸しやすい姿勢を保ちましょう。
昼寝前のコーヒーは効果がある?
昼寝直前にコーヒーなどを飲み、20分程度眠る方法は「カフェインナップ」と呼ばれることがあります。
カフェインは摂取後すぐに最大の効果が出るわけではなく、覚醒作用が強くなるまで一定の時間がかかります。
そのため、昼寝前に少量のカフェインを摂ると、目覚める頃にカフェインの作用が現れ、眠気を軽くできる可能性があります。NIOSH(米国立労働安全衛生研究所)も、カフェインは十分な効果が現れるまで約30分かかるため、短い昼寝と組み合わせる方法を紹介しています。
ただし、カフェインに敏感な人や夜の寝つきが悪い人には向きません。
午後のカフェインが夜まで残る人は、カフェインナップを避け、カフェインなしの昼寝にしましょう。
昼寝前の食べすぎに注意する
昼食を満腹になるまで食べると、食後のだるさや胃の重さが強くなる場合があります。
ラーメンと丼、揚げ物中心の定食、大量の菓子パンなどを食べた後は、短い昼寝をしてもすっきりしないことがあります。
昼食は、主食、肉や魚などの主菜、野菜を組み合わせ、午後の仕事に支障が出ない量へ調整しましょう。
昼寝直前に横になると胸やけが起こる人は、上半身を起こした姿勢で休んでください。
昼寝をしても眠気が取れない場合
15~20分の昼寝をしても午後の強い眠気が続く場合は、昼寝の方法だけでなく、夜の睡眠を確認する必要があります。
次のような原因が考えられます。
- 夜の睡眠時間が不足している
- 寝酒によって眠りが浅くなっている
- 夜中に何度も目が覚めている
- 睡眠時無呼吸症候群がある
- 睡眠薬などの作用が翌日まで残っている
- 貧血、甲状腺疾患などの病気がある
昼寝は疲労への一時的な対策であり、慢性的な睡眠不足や睡眠障害を治療するものではありません。
長時間の昼寝を毎日する人は注意
休日に2~3時間眠る、仕事がない日は毎日夕方まで寝るといった長い昼寝を続けると、夜に寝つけなくなる可能性があります。
夜に眠れないため翌日また長く昼寝をするという悪循環に入ることもあります。
また、昼寝が長いから病気になると単純には言えませんが、長時間の昼寝が必要になる背景に、睡眠不足や体調不良が隠れていることがあります。
毎日1時間以上眠らないと活動できない場合は、昼寝を我慢するだけでなく、夜の睡眠状態や病気の有無を確認しましょう。
夜勤中の仮眠は通常の昼寝と考え方が異なる
夜勤や長時間勤務では、通常の日中勤務より眠気が強くなり、注意力が大きく低下することがあります。
計画的な仮眠は、夜勤中の覚醒度を保つ対策として利用されます。睡眠医学や労働衛生の指針でも、夜勤前や勤務中の計画的な仮眠が対策の一つとされています。
ただし、起床直後は睡眠慣性によって判断力が落ちる可能性があるため、仮眠後すぐに危険な作業へ戻らない体制が必要です。
眠気対策として睡眠薬を使うのは適切?
午後に眠くなるからといって、夜に自己判断で睡眠薬を使うことはおすすめできません。
日中の眠気が、睡眠時間不足、飲酒、睡眠時無呼吸症候群などによる場合は、原因に合った対策が必要です。
睡眠薬には、翌朝まで眠気やふらつきが残るものがあります。薬の作用時間が生活に合っていないと、朝だけでなく昼間の仕事効率にも影響する可能性があります。
睡眠薬を使用している人で日中の眠気が強い場合は、自己判断で中止や増減をせず、使用する時間や薬の種類について医師や薬剤師へ相談してください。
睡眠薬を個人輸入する場合の注意点
夜の睡眠を改善したい、海外で流通している睡眠薬を比較したいという理由から、個人輸入代行サイトを利用する人もいます。
個人輸入では、国内で入手しにくい商品を自宅から注文できる点がメリットです。
一方で、日中の眠気が強い人が作用時間の長い睡眠薬を使用すると、翌日の集中力低下、ふらつき、運転中の眠気などにつながる可能性があります。
昼寝をしても耐えられないほど眠い場合は、睡眠薬を追加する前に、夜間の睡眠時間、いびき、無呼吸、服用中の薬を確認する必要があります。
個人輸入を利用する場合も、有効成分、作用時間、用法・用量、翌日への持ち越し、併用禁忌を確認し、複数の睡眠薬やアルコールを併用しないでください。
医療機関へ相談した方がよい眠気
昼食後に少し眠くなる程度で、短い昼寝によって回復する場合は、生活の工夫で対応できることがあります。
一方、次のような場合は睡眠外来や内科などへの相談を検討してください。
- 十分に寝ているはずなのに毎日強く眠い
- 仕事中に意識が落ちることがある
- 運転中に眠りそうになる
- 会議中や会話中にも眠ってしまう
- 大きないびきや無呼吸を指摘されている
- 起床時に頭痛や口の渇きがある
- 昼寝を1時間以上しないと動けない
- 睡眠薬を始めてから日中の眠気が増えた
- 突然眠り込むことがある
特に運転中や機械操作中に眠気が出る場合は、昼寝だけで対応せず、原因を確認する必要があります。
まとめ|午後の早い時間に15~20分の昼寝を取り入れよう
短い昼寝は、午後の眠気を減らし、注意力や作業効率を一時的に回復させる可能性があります。
仕事中に取り入れる場合は、午後1時から3時頃までに、15~20分程度を目安にしましょう。
30分以上眠ると深い睡眠へ入り、目覚めた後に頭がぼんやりする睡眠慣性が強くなることがあります。
起床後は明るい場所へ移動し、水分を摂り、軽く身体を動かしてから仕事へ戻るのがおすすめです。
ただし、昼寝は夜の睡眠不足を完全に補うものではありません。
毎日耐えられないほど眠い、昼寝をしても回復しない、大きないびきや無呼吸がある場合は、夜の睡眠や病気の有無を確認しましょう。

