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寝る直前の入浴は逆効果?快眠につながる時間と温度

睡眠

寝る直前の入浴は逆効果?快眠につながる時間と温度

監修:医師・薬剤師監修

「お風呂に入った直後なら身体が温かく、すぐ眠れるのでは?」と考えて、寝る直前に熱い湯船へ入っていませんか。

入浴には身体の緊張をやわらげ、寝つきをよくする効果が期待できます。しかし、入る時間やお湯の温度によっては、身体が熱いままになったり、交感神経が活発になったりして、かえって目が冴えることがあります。

快眠を目指す場合は、就寝の1~2時間前を目安に入浴を終え、40℃前後の熱すぎないお湯へ10~20分程度入る方法が取り入れやすいでしょう。

この記事では、寝る直前の入浴が逆効果になる理由、快眠につながりやすい入浴時間と温度、シャワーだけの場合の工夫、入浴しても眠れないときの対処法について分かりやすく解説します。

入浴で眠りやすくなる仕組み

人の身体は、眠りにつく前になると身体の内部の温度である深部体温を下げ始めます。

深部体温が下がると、脳と身体が休息する準備へ入り、自然な眠気が現れます。

温かい湯船に入ると一時的に体温が上がり、手足の血管が広がります。入浴後は手足から熱が外へ逃げやすくなり、その後の深部体温の低下が促されます。

この体温の上昇と低下を利用することで、寝つきがよくなる可能性があります。

厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、就寝1~2時間前の入浴は、入浴後の熱放散を促し、速やかな入眠につながるとされています。

入浴直後の身体が熱い状態で眠るのではなく、入浴後に体温が下がり始めるタイミングで布団へ入ることがポイントです。

寝る直前の入浴は逆効果になる?

寝る直前の入浴が、すべての人に悪いわけではありません。

ぬるめのお湯へ短時間入る程度であれば、身体が落ち着き、そのまま眠れる人もいます。

一方、42℃以上の熱い湯船へ長く入った直後に布団へ入ると、深部体温が高いままになり、寝つきにくくなる場合があります。

極端に高い湯温では交感神経が活発になり、心拍数が上がったり、身体が興奮状態になったりすることがあります。厚生労働省の睡眠ガイド案でも、湯温が極端に高い場合は交感神経活動が高まり、かえって入眠を妨げる可能性が示されています。

特に、入浴後に汗が止まらない、顔がほてる、動悸がする、布団の中が暑く感じる人は、お湯の温度が高すぎるか、入浴する時間が遅すぎる可能性があります。

快眠につながりやすい入浴時間

快眠を目的にする場合、入浴を終える時間は就寝の1~2時間前が目安です。

例えば、午後11時に眠る予定であれば、午後9時から10時頃までに入浴を終えます。

就寝予定時刻 入浴を終える目安
午後10時 午後8~9時頃
午後11時 午後9~10時頃
午前0時 午後10~11時頃
午前1時 午後11時~午前0時頃

温かいシャワーや入浴について調べた研究のメタ解析では、就寝の1~2時間前に40~42.5℃程度のお湯を利用すると、寝つくまでの時間が短くなり、睡眠効率や主観的な睡眠の質が改善する可能性が報告されています。

ただし、帰宅時間や生活リズムによって、毎日この時間に入れない人もいるでしょう。

その場合も、寝る直前に熱い湯船へ長く入ることを避け、ぬるめのお湯で短く済ませる方法があります。

お湯の温度は何度がよい?

快眠を意識する場合は、38~40℃程度のぬるめのお湯が一つの目安です。

熱いお湯が好きな人には物足りなく感じるかもしれませんが、身体を強く興奮させず、ゆっくり温めやすい温度です。

厚生労働省の働く人向け情報では、36~39℃の微温浴を20~30分行う方法が、身体の緊張をやわらげ、気持ちを落ち着かせる入浴方法として紹介されています。

一方、42℃以上の熱いお湯は、目覚めたい朝や短時間で温まりたい場面には向くことがありますが、就寝前には刺激が強くなる場合があります。

入浴後も長時間汗が止まらない温度ではなく、「気持ちよい」と感じながらゆっくり入れる温度を選びましょう。

湯船には何分入ればよい?

湯船に入る時間は、10~20分程度が取り入れやすい目安です。

身体が十分に温まったと感じたら、無理に長く入り続ける必要はありません。

長時間の入浴では、汗を多くかき、脱水やのぼせが起こることがあります。特に高温の湯船へ30分以上入ると、心臓や血管への負担も大きくなります。

入浴前後はコップ1杯程度の水を飲み、喉が渇いていなくても水分を補いましょう。

ただし、就寝直前に大量の水分を飲むと、夜間のトイレで目が覚めることがあります。少量ずつ補給してください。

寝る直前しか入浴できない場合はどうする?

仕事や家事の都合で、寝る直前にしか入浴できない人もいるでしょう。

その場合は、次のように調整します。

  • お湯を38~39℃程度にする
  • 湯船に入る時間を5~10分程度にする
  • 熱いシャワーを長時間浴びない
  • 入浴後に汗が引くまで少し休む
  • 寝室を暑くしすぎない

入浴後すぐ布団へ入っても暑く感じる場合は、室内で10~30分ほど静かに過ごし、汗やほてりが落ち着いてから眠りましょう。

明るい照明やスマートフォンを見ながら待つと、脳が覚醒しやすくなります。照明を少し落とし、ストレッチや深呼吸などを行うのがおすすめです。

シャワーだけでも快眠につながる?

湯船に入らず、シャワーだけで済ませる場合でも、温かいお湯で身体を温めることで睡眠を助ける可能性があります。

就寝の1~2時間前に温かいシャワーを浴びる方法は、入浴と同じように手足の血流と熱放散を促すと考えられています。

シャワーでは、首、肩、背中、足などへ38~40℃程度のお湯を当てましょう。

寒い時期や手足が冷えて眠れない場合は、シャワーだけでは身体が温まりにくいことがあります。その場合は、短時間の湯船や足湯を組み合わせる方法があります。

足湯だけでも眠りやすくなる?

湯船に入れない場合は、足湯を利用する方法もあります。

温かいお湯で足を温めると、足の血管が広がり、熱を外へ逃がしやすくなる可能性があります。

40℃のお湯で20分間足湯を行った研究では、足の皮膚温度や熱放散に関係する指標が上昇しました。ただし、その研究では睡眠そのものへの明確な改善は確認されていません。

足湯は快眠の補助として使えますが、不眠症を治療する方法ではありません。

洗面器などへ38~40℃程度のお湯を入れ、足首まで10~20分ほど温めましょう。低温やけどを避けるため、熱すぎるお湯は使用しないでください。

熱い風呂で目が冴える理由

熱いお湯に入ると、身体は強い温度刺激を受けます。

心拍数が上がり、発汗量も増えるため、身体が休息ではなく活動に近い状態になることがあります。

また、入浴後も体温が高い状態が続くと、眠りに必要な深部体温の低下が遅れます。

次のような状態になる人は、就寝前の湯温を下げましょう。

  • お風呂から出た後に動悸がする
  • 汗が30分以上止まらない
  • 布団の中が暑く感じる
  • 喉が強く渇く
  • 入浴後に頭がさえて眠れない

夏と冬で入浴方法を変える

快適に感じる湯温は、季節によっても異なります。

夏は外気温や室温が高いため、38℃程度のぬるめのお湯へ短時間入るだけでも身体が十分に温まります。

熱い湯船へ入ると、入浴後も汗が止まらず、寝室で身体を冷やせない場合があります。

冬は身体が冷えているため、39~40℃程度のお湯へ10~20分ほど入り、手足を温める方法があります。

ただし、寒い脱衣所から急に熱い湯船へ入ると、血圧が大きく変動する可能性があります。脱衣所や浴室を事前に暖めましょう。

飲酒後の入浴に注意する

お酒を飲んだ後に入浴すると、血管が広がり、血圧が下がってふらつくことがあります。

熱い湯船では発汗によって水分も失われるため、脱水や意識障害、浴槽内での事故につながる危険があります。

また、寝酒は一時的に寝つきをよくしても、睡眠の後半を浅くし、中途覚醒を増やす可能性があります。

飲酒後は湯船への入浴を避け、必要であれば短いシャワーで済ませてください。

入浴後のスマートフォンは快眠を妨げる

適切な時間に入浴しても、その後に明るい部屋でスマートフォンやパソコンを長時間使うと、眠気が弱くなることがあります。

画面の光だけでなく、SNS、動画、仕事のメールなどの情報によって脳が興奮するためです。

入浴後は照明を少し暗くし、仕事や激しい運動を避けて、ゆっくり過ごしましょう。

入浴から就寝までの時間を、身体と脳を休息状態へ切り替える時間として使うことが大切です。

入浴しても眠れない原因

入浴の時間や温度を整えても眠れない場合は、別の原因が関係している可能性があります。

  • 夕方以降にカフェインを取っている
  • 寝酒をしている
  • 昼寝が長すぎる
  • 寝る時間や起きる時間が毎日違う
  • 仕事や人間関係への不安が強い
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 大きないびきや無呼吸がある
  • むずむず脚症候群がある

入浴は睡眠を改善する方法の一つですが、すべての不眠を解決できるわけではありません。

不眠が続く場合の睡眠薬

入浴や生活習慣を見直しても、寝つけない、夜中に目が覚める、朝早く目覚める状態が続く場合は、睡眠薬が選択肢になります。

睡眠薬には、脳の覚醒を抑えるオレキシン受容体拮抗薬、体内時計へ働きかけるメラトニン受容体作動薬、脳の興奮を抑えるベンゾジアゼピン系・類似薬などがあります。

寝つきが悪いのか、夜中に目覚めるのかによって、適した作用時間は異なります。

睡眠薬は強さだけで選ばず、不眠の種類、起床時刻、翌朝の運転や仕事への影響を考えて選ぶ必要があります。

睡眠薬を個人輸入する場合の注意点

海外で流通している睡眠薬を検討したい、通院する時間を取りにくいという理由で、個人輸入代行サイトを利用する人もいます。

個人輸入では、国内で入手しにくい商品を自宅から注文できる点がメリットです。

一方で、入浴時間やカフェイン、寝酒などの習慣を変えないまま睡眠薬だけを使用しても、不眠の原因が残ることがあります。

睡眠薬によって作用時間、翌朝への残り方、依存性、併用禁忌が異なります。アルコール、抗不安薬、ほかの睡眠薬を重ねると、強い眠気や呼吸抑制、転倒などの危険が高まります。

個人輸入を利用する場合も、有効成分、含有量、作用時間、用法・用量、併用禁忌を確認し、自己判断で増量しないでください。

医療機関へ相談した方がよい目安

入浴方法を変えることで寝つきが改善し、日中に支障がなければ、生活習慣の調整を続けましょう。

一方、次のような状態がある場合は、睡眠外来や内科などへの相談を検討してください。

  • 入浴や生活習慣を見直しても不眠が続く
  • 週に何度も眠れない日がある
  • 夜中に何度も目が覚める
  • 朝起きても強い疲労感がある
  • 日中の眠気で仕事に支障が出る
  • 運転中に眠くなる
  • 大きないびきや無呼吸を指摘されている
  • 気分の落ち込みや強い不安がある
  • 睡眠薬やお酒がないと眠れない

高血圧、心臓病、糖尿病などがある人は、熱い湯船や長時間の入浴についても医師へ相談してください。

まとめ|快眠には就寝1~2時間前のぬるめの入浴がおすすめ

寝る直前の入浴が必ず悪いわけではありませんが、熱いお湯へ長く入ると、深部体温が高いままになり、交感神経が活発になって寝つきを妨げることがあります。

快眠を目指す場合は、就寝の1~2時間前に、38~40℃程度のお湯へ10~20分入る方法が取り入れやすいでしょう。

寝る直前しか時間がない場合は、湯温を下げ、短時間の入浴やシャワーで済ませ、汗とほてりが落ち着いてから布団へ入ります。

入浴後は明るい照明やスマートフォンを避け、静かに過ごすことも大切です。

快眠につながるのは、身体を熱いままにする入浴ではなく、入浴後に体温が自然に下がる流れをつくることです。

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