室内でも熱中症になる?エアコンの使い方と予防方法を解説
監修:医師・薬剤師監修
熱中症というと、炎天下の屋外、運動中、工事現場、部活動などで起こるイメージがあります。しかし実際には、室内にいても熱中症は起こります。
特に、エアコンを使わない部屋、風通しが悪い寝室、湿度が高い室内、夜間の蒸し暑い環境では、汗がうまく蒸発せず、体温が下がりにくくなります。高齢者、乳幼児、持病がある人、寝不足や体調不良の人は、室内でも熱中症のリスクが高くなります。
厚生労働省でも、熱中症予防として、エアコンが効いている室内や風通しのよい日陰など涼しい場所を選び、早めの水分補給を心がけるよう案内されています。特に高齢者は、暑さや水分不足への感覚機能、体温調節機能が低下しているため注意が必要とされています。
また、環境省の熱中症予防情報サイトでも、屋内ではエアコン等を適切に使用し、涼しい環境で過ごしたうえで、こまめな休憩、水分補給、塩分補給を行うことが重要とされています。
室内熱中症とは?
室内熱中症とは、屋外ではなく、自宅、寝室、リビング、浴室、キッチン、職場、施設内などの室内で起こる熱中症を指します。
熱中症は、暑さによって体温調節がうまくいかなくなり、体内に熱がこもることで起こります。屋外の直射日光だけが原因ではありません。室内でも、温度や湿度が高く、身体から熱を逃がせない状態が続けば、熱中症になります。
特に注意したいのは、次のような環境です。
- エアコンを使っていない部屋
- 窓を閉め切った寝室
- 湿度が高い部屋
- 風通しが悪いキッチン
- 入浴後の脱衣所
- 西日が強く入る部屋
- 屋根や壁が熱を持った最上階の部屋
- 停電中の室内
室内にいるから安全、日陰だから大丈夫、夜だから熱中症にならない、という考えは危険です。
なぜ室内でも熱中症になるのか
室温が高い
室内でも、外気温が高い日は壁、窓、屋根、床が熱を持ちます。
日中に温められた部屋は、夜になっても熱がこもりやすく、特に集合住宅の上階や西日が入る部屋では室温が下がりにくいことがあります。
エアコンを使わず扇風機だけで過ごしていると、室温が高いままになり、身体の熱が逃げにくくなります。
湿度が高い
熱中症対策では、気温だけでなく湿度も重要です。
汗は、皮膚の上で蒸発するときに身体の熱を奪います。しかし、湿度が高いと汗が蒸発しにくくなり、体温を下げる力が弱くなります。
そのため、室温が極端に高くなくても、湿度が高い部屋では熱中症のリスクが上がります。
「温度はそれほど高くないのに蒸し暑い」と感じる部屋は、熱が身体にこもりやすい環境です。
高齢者は暑さを感じにくい
高齢者は、若い人に比べて暑さや喉の渇きを感じにくくなります。
本人は「暑くない」「まだ大丈夫」と感じていても、実際には室温が高く、脱水が進んでいることがあります。
厚生労働省では、熱中症患者のおよそ半数が65歳以上の高齢者であり、高齢者は暑さや水分不足への感覚機能、身体の調整機能が低下しているため注意が必要とされています。
エアコンを我慢してしまう
電気代が気になる、冷えすぎが苦手、エアコンの風が嫌い、昔は使わなくても平気だったという理由で、エアコンを我慢する人もいます。
しかし、近年の夏は気温が高く、夜間も室温が下がりにくい日があります。
エアコンは贅沢品ではなく、熱中症を防ぐための予防手段です。特に高齢者、子ども、持病がある人がいる家庭では、我慢せずに使うことが大切です。
室内熱中症が起こりやすい人
| 注意が必要な人 | 理由 |
|---|---|
| 高齢者 | 暑さや喉の渇きを感じにくく、体温調節機能も低下しやすい |
| 乳幼児 | 体温調節機能が未熟で、自分で水分補給や環境調整ができない |
| 持病がある人 | 心臓病、腎臓病、糖尿病、高血圧などで脱水や体温調節に影響しやすい |
| 利尿薬を使用している人 | 尿量が増え、脱水に注意が必要 |
| 寝不足・体調不良の人 | 暑さへの耐性が落ちやすい |
| 飲酒後の人 | 脱水や睡眠中の体温調節低下につながりやすい |
| 一人暮らしの人 | 体調変化に気づかれにくい |
子どもは体温調節能力が十分に発達していないため、厚生労働省でも熱中症に注意が必要な対象として挙げられています。
室内熱中症の初期症状
室内熱中症では、最初から倒れるとは限りません。
初期には、次のような症状が出ることがあります。
- めまい
- 立ちくらみ
- 頭痛
- だるさ
- 吐き気
- 筋肉のこむら返り
- 汗が止まらない
- 顔がほてる
- 集中できない
- いつもより元気がない
Mayo Clinicでは、熱疲労の症状として、大量の発汗、脈が速くなる、めまい、疲労感、吐き気、頭痛などが挙げられています。熱疲労は熱けいれんより重く、熱射病より軽い段階の熱関連疾患とされています。
室内でめまい、頭痛、吐き気、強いだるさが出た場合は、暑さが原因ではないかを必ず疑ってください。
危険な症状
次のような症状がある場合は、重症の熱中症が疑われます。
- 呼びかけへの反応がおかしい
- 意識がぼんやりしている
- 自分で水分を飲めない
- けいれんしている
- まっすぐ歩けない
- 体が異常に熱い
- 汗をかいていないのに体温が高い
- 何度も嘔吐する
意識障害、けいれん、自力で水分を飲めない状態がある場合は、すぐに119番へ通報してください。
エアコンは何度に設定すればよい?
熱中症対策では、エアコンの設定温度そのものより、実際の室温と湿度を確認することが重要です。
同じ28℃設定でも、部屋の広さ、日当たり、エアコンの性能、フィルターの汚れ、人数、湿度によって、実際の室温は変わります。
目安としては、室温が高くなりすぎないよう、温湿度計を置き、暑さを感じる前にエアコンを使います。
エアコンのリモコン表示だけで判断せず、部屋の温湿度計で実際の環境を確認しましょう。
エアコンの正しい使い方
我慢せず早めにつける
室温が上がり切ってからエアコンをつけると、部屋が冷えるまで時間がかかります。
朝から暑くなる日は、早めにエアコンを使い、室温が上がりすぎないようにしましょう。
冷房と除湿を使い分ける
湿度が高く蒸し暑い日は、除湿機能を使うことで体感温度が下がりやすくなります。
ただし、除湿の方式によっては室温が下がりにくい、または冷えすぎる場合があります。部屋の状態を見ながら冷房と除湿を使い分けましょう。
扇風機やサーキュレーターを併用する
エアコンの冷気は部屋の一部に偏ることがあります。
扇風機やサーキュレーターで空気を循環させると、部屋全体の温度ムラを減らしやすくなります。
ただし、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)では、屋内温度が90°F(約32℃)未満の場合にのみ扇風機を使うこと、暑い環境ではエアコンの使用や涼しい場所への移動が重要と案内されています。
室温が高い部屋で扇風機だけを使っても、熱中症対策として不十分な場合があります。
風が直接体に当たり続けないようにする
エアコンの風が直接体に当たり続けると、冷えやだるさを感じることがあります。
風向きを調整し、部屋全体を冷やすようにしましょう。寝るときは、体に直接冷風が当たらない位置にすることが大切です。
フィルターを掃除する
フィルターが汚れていると、冷房効率が落ち、設定温度を下げても部屋が冷えにくくなります。
電気代が増えるだけでなく、室温が十分に下がらない原因にもなります。
夏前と使用期間中は、定期的にフィルターを掃除しましょう。
夜間の室内熱中症にも注意
夜は日差しがないため油断しがちですが、日中に温まった壁や屋根から熱が放出され、寝室が暑いままになることがあります。
寝ている間は水分を取れず、汗で体内の水分が失われます。さらに、睡眠中は体調の変化に気づきにくいため、夜間熱中症が起こることがあります。
夜間の対策としては、次の方法があります。
- 寝る前に寝室を冷やしておく
- タイマーを短くしすぎない
- 寝具を通気性のよいものにする
- 枕元に水分を置く
- 寝る前の飲酒を避ける
- 高齢者の寝室には温湿度計を置く
夜中に暑くて目が覚める、寝汗が多い、朝からだるい場合は、寝室の温度と湿度を見直してください。
水分補給のポイント
室内にいても、汗や呼吸で水分は失われます。
喉が渇いてから一気に飲むのではなく、こまめに少量ずつ飲みましょう。
基本は水や麦茶で問題ありません。大量に汗をかいたとき、食事が取れていないとき、屋外作業後、発熱や下痢があるときなどは、塩分や電解質の補給も考えます。
環境省でも、熱中症予防では涼しい環境で過ごしたうえで、水分補給と塩分補給を行うことが重要とされています。
水分制限を受けている人、心臓病や腎臓病がある人は、自己判断で大量の水分や塩分を取らず、医師の指示に従ってください。
室内での熱中症予防チェック
| 確認項目 | 対策 |
|---|---|
| 室温が高い | エアコンを早めに使う |
| 湿度が高い | 除湿、換気、サーキュレーターを使う |
| エアコンが効きにくい | フィルター掃除、カーテン、遮熱対策を行う |
| 夜暑くて起きる | 寝室を冷やし、タイマーを見直す |
| 水分をあまり取らない | 時間を決めて少量ずつ飲む |
| 高齢者がいる | 本人の感覚ではなく温湿度計で確認する |
| 西日が強い | 遮光カーテン、すだれ、窓の断熱対策を行う |
エアコンが苦手な人の工夫
冷房が苦手な人は、設定温度を極端に下げるのではなく、次のように調整します。
- 風向きを上向きにする
- 直接風が当たらない場所で過ごす
- 薄い上着や膝掛けを使う
- 除湿を活用する
- 扇風機で空気を循環させる
- 寝室を先に冷やしてから寝る
冷えすぎが苦手でも、エアコンを完全に使わないのではなく、風向きや湿度を調整して安全に使うことが大切です。
キッチンや浴室まわりにも注意
室内熱中症は、リビングや寝室だけでなく、キッチンや浴室周辺でも起こります。
キッチンでは、火を使うことで室温が上がり、換気扇を回していても暑さがこもることがあります。長時間の調理では、こまめに水分を取り、エアコンや扇風機を併用しましょう。
浴室や脱衣所では、入浴後に汗をかき、脱水が進みやすくなります。熱いお湯に長時間入る、入浴前後に水分を取らない、脱衣所が暑いといった状況は注意が必要です。
熱中症かなと思ったときの応急処置
室内で熱中症が疑われる場合は、すぐに涼しい場所へ移動し、身体を冷やします。
- エアコンの効いた部屋へ移動する
- 衣服をゆるめる
- 首、脇の下、足の付け根を冷やす
- 水分と塩分を補給する
- 無理に歩かせず休ませる
- 意識や反応を確認する
自分で水分を飲めない、意識がぼんやりしている、けいれんがある、呼びかけへの反応がおかしい場合は、救急車を呼びます。
重症の熱中症では、家庭で様子を見る時間が危険になることがあります。
個人輸入で熱中症対策商品を準備する場合
個人輸入代行では、経口補水液、電解質補給タブレット、ミネラルサプリメント、体調管理に役立つ関連商品などを比較できる場合があります。
国内では見つけにくい容量や形状の商品を選べること、まとめ買いしやすいことはメリットです。
ただし、熱中症対策では、商品だけに頼るのではなく、室温管理、水分補給、休息、エアコンの使用が基本です。
購入前には、次の項目を確認してください。
- ナトリウムやカリウムなどの電解質量
- 糖分量
- 1回あたりの使用量
- 心臓病、腎臓病、高血圧で制限がないか
- 子どもや高齢者に使えるか
- 薬との飲み合わせ
- 製造元と使用期限
高血圧、腎臓病、心不全などで塩分や水分制限を受けている人は、電解質飲料や塩分タブレットを自己判断で多用しないでください。
また、熱中症の症状が出ているときに、サプリメントだけで対応するのは危険です。症状が強い場合は冷却と医療対応を優先してください。
医療機関へ相談する目安
次のような場合は、医療機関へ相談してください。
- 室内でめまいや頭痛を繰り返す
- 水分を取ってもだるさが続く
- 吐き気や嘔吐がある
- 発熱が続く
- 高齢者がいつもよりぼんやりしている
- こむら返りを繰り返す
- 持病があり水分補給の判断に迷う
- 利尿薬を飲んでいる
- 個人輸入の電解質商品を使ってよいか分からない
意識障害、けいれん、自力で水分を飲めない、まっすぐ歩けない、呼びかけへの反応がおかしい場合は、すぐに119番へ通報してください。
まとめ
熱中症は屋外だけでなく、室内でも起こります。
エアコンを使わない部屋、湿度が高い寝室、風通しの悪いキッチン、夜間に熱がこもる部屋では、体温が下がりにくくなり、室内熱中症のリスクが高まります。
室内熱中症を防ぐ基本は、エアコンを適切に使い、室温と湿度を確認し、こまめに水分補給をすることです。
高齢者や子どもは、暑さを自分で訴えにくいことがあります。本人の感覚だけに頼らず、温湿度計を使い、周囲が声かけを行いましょう。
エアコンが苦手な人でも、風向き、除湿、扇風機、寝具、遮光カーテンを工夫すれば、冷えすぎを避けながら安全に室温管理できます。
個人輸入代行では電解質補給商品などを比較できますが、熱中症対策の中心はあくまで涼しい環境づくりです。めまい、頭痛、吐き気、意識の変化がある場合は、商品で様子を見るのではなく、早めに医療対応を検討しましょう。

