高齢者が睡眠薬を飲むときの注意点|転倒やふらつきを防ぐ方法
監修:医師・薬剤師監修
高齢になると、寝つくまでに時間がかかる、夜中に何度も目が覚める、朝早く起きてしまうといった睡眠の悩みが増えやすくなります。睡眠薬は不眠を改善する選択肢の一つですが、若い頃と同じ感覚で服用すると、翌朝の眠気、ふらつき、転倒、記憶障害などが起こる可能性があります。
高齢者が睡眠薬を使う場合に特に注意したいのは、夜間のトイレや起床直後の転倒です。睡眠薬による眠気や筋肉の緩みが残っている状態で暗い室内を歩くと、足元が不安定になり、ベッド、家具、段差などにつまずくことがあります。
ただし、「高齢者は睡眠薬を飲んではいけない」という意味ではありません。不眠によって日中の活動量が低下したり、心身の状態が悪化したりする場合は、医師が症状や生活状況を確認したうえで睡眠薬を処方することがあります。
大切なのは、必要性を定期的に確認し、できるだけ少ない量を適切な時間に服用し、転倒しにくい環境を整えることです。
この記事では、高齢者が睡眠薬でふらつきや転倒を起こしやすい理由、睡眠薬の種類による違い、服用時に確認したいこと、夜間の転倒を防ぐ具体的な方法を解説します。
高齢者は睡眠薬の影響を受けやすい
同じ種類・同じ量の睡眠薬を服用しても、高齢者では若い人より作用が強く出たり、翌日まで長く残ったりすることがあります。
その理由の一つが、加齢による肝臓や腎臓の機能変化です。多くの睡眠薬は肝臓で代謝され、代謝された成分は腎臓などを通して体外へ排出されます。高齢になると薬を処理する速度が低下することがあり、体内に薬が長く残る可能性があります。
また、高齢者は体内の水分量が減少し、脂肪の割合が増える傾向があります。脂肪に溶け込みやすい薬では、作用が長引くことがあります。
厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」では、高齢者の薬物有害事象が、ふらつき、転倒、食欲低下、便秘、認知機能低下などの老年症候群として現れる場合があるとされています。睡眠薬は、ふらつきや転倒を起こす可能性がある薬の一つに挙げられています。
以前から同じ薬を飲んでいる場合でも、年齢、体重、腎機能、肝機能、併用薬の変化によって、薬の効き方が変わる可能性があります。
睡眠薬が転倒やふらつきにつながる理由
眠気が翌朝まで残る
睡眠薬の効果が起床時まで残ると、頭がぼんやりする、反応が遅れる、まっすぐ歩きにくいといった症状が現れることがあります。
特に、夜遅い時間に服用した場合や、十分な睡眠時間を確保できなかった場合は、翌朝まで薬の影響が残りやすくなります。
起床後すぐに立ち上がり、トイレや洗面所へ急いで移動すると、足元がおぼつかず転倒する危険があります。
筋肉が緩みやすくなる
ベンゾジアゼピン系睡眠薬などには、脳を鎮静させる作用に加え、筋肉を緩める作用があります。脚や体幹の筋力が低下している高齢者では、わずかな筋弛緩でも立位や歩行の安定性に影響する可能性があります。
厚生労働省の資料では、ベンゾジアゼピン系薬剤による中枢神経の抑制や筋弛緩作用により、眠気、ふらつき、運動失調、歩行失調、健忘などが起こる可能性が示されています。高齢者では、ふらつきが転倒や骨折の原因になるため、用量や作用時間への注意が必要です。
立ち上がったときに血圧が下がる
睡眠薬そのものの鎮静作用に加え、降圧薬、利尿薬、前立腺肥大症治療薬、抗うつ薬などを併用していると、立ち上がったときに血圧が下がる「起立性低血圧」が起こりやすくなる場合があります。
夜間や早朝に急に立ち上がると、目の前が暗くなる、ふわっとする、冷や汗が出るといった症状が起こり、そのまま転倒することがあります。
判断力や注意力が低下する
睡眠薬の影響で注意力が低下すると、床の段差、スリッパ、電源コードなどに気づきにくくなります。夜間は室内が暗く、眼鏡を外していることも多いため、さらに危険が高まります。
認知機能が低下している人では、服用したことを忘れて追加でもう一度飲んだり、夜中に目的の分からない行動をしたりする可能性もあります。
転倒は骨折や寝たきりにつながることがある
若い人であれば軽い打撲で済む転倒でも、高齢者では大腿骨近位部骨折、手首の骨折、頭部外傷などにつながることがあります。
骨折によって入院や手術が必要になると、長期間ベッドで過ごすことで筋力が低下し、それまで自立していた人でも歩行や日常生活に介助が必要になる場合があります。
また、一度転倒すると「また転ぶのではないか」という恐怖から外出や運動を避けるようになり、さらに筋力が低下する悪循環に陥ることがあります。
日本老年医学会の介護施設内における転倒に関する資料でも、睡眠薬、抗不安薬、抗精神病薬、抗うつ薬、降圧薬、血糖降下薬などが転倒に関連する薬として挙げられています。
高齢者の睡眠薬使用では、「眠れるかどうか」だけでなく、「夜間や翌朝に安全に移動できるか」を確認することが重要です。
ベンゾジアゼピン系睡眠薬の注意点
ベンゾジアゼピン系睡眠薬は、脳内のGABAという神経伝達物質の働きを強め、脳の活動を抑えることで眠りを促します。
寝つきをよくする作用や不安を和らげる作用がある一方で、眠気、筋弛緩、ふらつき、記憶障害などが起こることがあります。
特に高齢者では、次のような症状に注意が必要です。
- 服用後のふらつき
- 歩行時のよろめき
- 翌朝の眠気
- 服用後の出来事を覚えていない
- 夜間の混乱
- 注意力や判断力の低下
- 転倒や骨折
日本老年医学会の資料では、ベンゾジアゼピン系薬剤は高齢者で、過鎮静、運動失調、転倒、認知機能低下、依存などの副作用が起こりやすいことが示されています。
また、長期間服用している場合は、急に中止すると不眠の悪化、不安、焦り、震え、発汗などの離脱症状が起こる可能性があります。
転倒が心配でも、自己判断で急に服用を中止してはいけません。減量や中止が必要な場合は、医師の指示に従って少しずつ調整します。
非ベンゾジアゼピン系睡眠薬なら転倒しない?
ゾルピデム、ゾピクロン、エスゾピクロンなどは、一般に非ベンゾジアゼピン系睡眠薬と呼ばれます。
薬の構造はベンゾジアゼピン系と異なりますが、GABA受容体を介して脳の働きを抑える点は共通しています。筋弛緩作用が比較的弱いとされる薬もありますが、高齢者が服用しても転倒リスクがないわけではありません。
眠気、ふらつき、注意力低下、健忘などが起こることがあり、服用後にもうろうとした状態で歩く、食事をする、外出するなどの異常行動も報告されています。
厚生労働省の向精神薬使用に関する資料でも、非ベンゾジアゼピン系睡眠薬は鎮静作用や筋弛緩作用によりふらつきやすくなり、夜間のトイレ時などに転倒・骨折へ注意する必要があるとされています。
「新しい薬だから安全」「短時間作用型だから翌朝に影響しない」とは限らないため、実際の眠気や歩行状態を確認する必要があります。
オレキシン受容体拮抗薬の特徴
スボレキサントやレンボレキサントは、覚醒を維持するオレキシンの働きを抑えて睡眠を促す薬です。
従来のGABA系睡眠薬とは作用の仕組みが異なり、筋弛緩作用が比較的少ないとされています。そのため、高齢者の不眠治療で選択肢になることがあります。
ただし、オレキシン受容体拮抗薬でも、翌朝の眠気、傾眠、注意力低下、ふらつきが起こる可能性があります。服用した翌朝に運転や危険な作業を行う場合は特に注意が必要です。
レンボレキサントの審査資料では、高齢者を含む臨床試験で転倒の発現状況が評価されていますが、これは個々の患者で転倒が起こらないことを保証するものではありません。
また、クラリスロマイシンや一部の抗真菌薬など、睡眠薬の血中濃度へ影響する薬との併用に注意が必要な場合があります。
メラトニン受容体作動薬の特徴
ラメルテオンは、睡眠と覚醒のリズムに関係するメラトニン受容体へ作用する薬です。強く脳を鎮静させるというより、体内時計へ働きかけて自然な眠りを促します。
筋弛緩作用や依存性が比較的少ないとされていますが、服用すれば誰でもすぐ眠れる薬ではありません。特に、夜中に何度も目が覚める中途覚醒が中心の場合は、十分な効果を感じにくいことがあります。
また、ラメルテオンでも眠気、めまい、倦怠感などが現れる可能性があります。高齢者では薬の種類だけで安全性を判断せず、服用後の状態を確認することが重要です。
高齢者が睡眠薬を飲む前に確認したいこと
本当に薬が必要な不眠か
高齢者では、若い頃より睡眠時間が短くなったり、早寝早起きになったりする傾向があります。夜中に一度目を覚ますことがあっても、日中の生活に支障がなければ、治療が必要な不眠症とは限りません。
一方、眠れないことで日中の眠気、意欲低下、集中力低下、転倒などが起きている場合は、治療が必要になることがあります。
別の病気が隠れていないか
高齢者の不眠には、次のような病気や症状が関係することがあります。
- 夜間頻尿
- 前立腺肥大症
- 心不全による息苦しさ
- 慢性的な痛み
- 皮膚のかゆみ
- うつ病や不安症
- 認知症
- むずむず脚症候群
- 睡眠時無呼吸症候群
- 薬の副作用
原因となる病気を治療せずに睡眠薬だけを増やすと、十分な効果を得られないだけでなく、副作用が強まる可能性があります。
ほかの薬と作用が重ならないか
高齢者は複数の病気を治療していることが多く、複数の医療機関から薬を処方されている場合があります。
睡眠薬に加え、抗不安薬、抗うつ薬、抗ヒスタミン薬、抗精神病薬、てんかん治療薬、オピオイド鎮痛薬などを服用すると、眠気やふらつきが重なる可能性があります。
降圧薬、利尿薬、前立腺肥大症治療薬などによる血圧低下や夜間頻尿も、転倒リスクを高める要因になります。
医師や薬剤師へ相談するときは、処方薬だけでなく、市販の睡眠改善薬、風邪薬、アレルギー薬、漢方薬、サプリメントも伝えてください。
夜間の転倒を防ぐ具体的な方法
服用後は用事を済ませてからベッドに入る
睡眠薬を飲んだあとに、入浴、洗濯、片づけなどを行うと、薬が効き始めた状態で室内を歩くことになります。
トイレ、歯磨き、着替え、戸締まりなどを先に済ませ、服用後はすぐに就寝できる状態を整えましょう。
夜間照明を設置する
寝室からトイレまでの通路には、足元灯や人感センサーライトを設置すると安全性が高まります。
夜中に目が覚めたとき、暗いまま歩かず、必ず照明をつけてください。まぶしさが気になる場合は、床面を照らす暖色系の弱い照明が利用しやすいでしょう。
床の障害物をなくす
寝室や廊下の床に、電源コード、雑誌、衣服、座布団などを置かないようにします。小さな段差や、めくれたマットも転倒原因になります。
滑りやすい小さなラグやカーペットは固定するか撤去し、動線を広く確保しましょう。
滑りにくい履物を選ぶ
脱げやすいスリッパや、底がすり減った室内履きは避けます。かかとを支えられ、足に合った滑りにくい履物を選びましょう。
靴下だけでフローリングを歩くことも滑る原因になります。
ベッドからゆっくり起き上がる
目が覚めても、すぐに立ち上がらないでください。まずベッド上で上半身を起こし、数十秒座った状態でめまいやふらつきがないか確認します。
その後、足を床につけてから、ベッドや手すりにつかまりながらゆっくり立ち上がります。
立ち上がった瞬間に目の前が暗くなった場合は、無理に歩かず、すぐに座るか横になってください。
手すりや歩行補助具を活用する
寝室、廊下、トイレなどに手すりを設置すると、夜間の移動が安定します。普段から杖や歩行器を使用している人は、夜間も手が届く場所に置いてください。
家具につかまりながら歩く方法は、家具が動いたり倒れたりする可能性があるため安全とは限りません。
夜間頻尿の原因を見直す
夜中に何度もトイレへ行くほど、睡眠薬が効いている時間帯に歩く回数が増え、転倒リスクが高くなります。
就寝直前の過度な水分摂取や飲酒を避け、前立腺肥大症、過活動膀胱、心不全、糖尿病などがないか確認しましょう。
ただし、脱水を防ぐため、日中の水分を極端に減らしてはいけません。水分摂取について医師から指示がある場合は、その内容を優先してください。
家族や介護者が確認したいこと
高齢者本人は、睡眠薬によるふらつきや記憶障害に気づいていないことがあります。家族や介護者は、次の変化がないか確認しましょう。
- 夜中にふらふら歩いている
- 壁や家具につかまりながら移動している
- 朝、服用後の出来事を覚えていない
- 日中も眠そうにしている
- 以前より反応が遅い
- 小さな傷やあざが増えた
- 薬の数が合わない
- 夜間に転倒した形跡がある
こうした変化があれば、薬の名前、服用量、服用時刻、症状が起きた時間を記録し、医師や薬剤師へ伝えてください。
睡眠薬を飲む時間にも注意
睡眠薬は、基本的に就寝直前に服用します。服用後に十分な睡眠時間を確保できない場合は、翌朝まで作用が残りやすくなります。
夜中に目が覚めたからといって、自己判断で追加服用するのは危険です。朝までの時間が短い状態で飲むと、起床後に強い眠気やふらつきが残る可能性があります。
また、服用する時刻が日によって大きく変わると、生活リズムが乱れやすくなります。毎日ほぼ同じ時刻に就寝・起床することを意識しましょう。
睡眠薬とアルコールを一緒に飲まない
アルコールには脳の働きを抑える作用があり、睡眠薬と併用すると眠気、ふらつき、記憶障害、呼吸抑制などが強まる可能性があります。
また、飲酒によって夜間頻尿が増え、トイレへ行く回数が多くなることもあります。足元が不安定な状態で移動する回数が増えるため、転倒リスクがさらに高まります。
アルコールは寝つきをよくするように感じても、睡眠の後半を浅くし、中途覚醒を増やすことがあります。
睡眠薬を服用する日は、飲酒を避けるのが基本です。
市販の睡眠改善薬にも注意
市販の睡眠改善薬の多くには、抗ヒスタミン成分が含まれています。風邪薬やアレルギー薬で眠くなる作用を利用した薬です。
高齢者では、翌朝の眠気やふらつきだけでなく、口の渇き、便秘、排尿困難、かすみ目、せん妄などが起こる可能性があります。
前立腺肥大症や緑内障がある人では使用できない場合もあります。処方薬ではないから安全とは限らないため、購入前に医師または薬剤師へ相談してください。
睡眠薬を自己判断で増やさない
睡眠薬をしばらく使用すると、「以前より効かなくなった」と感じることがあります。しかし、自己判断で錠数を増やしたり、別の睡眠薬を追加したりすると、過鎮静、ふらつき、転倒、呼吸抑制などの危険が高まります。
眠れない原因が、痛み、夜間頻尿、うつ状態、認知症、睡眠時無呼吸症候群などに変化している可能性もあります。
効果が不十分な場合は、増量する前に、不眠の原因と現在の薬の必要性を見直すことが大切です。
睡眠薬は定期的に見直す
一度処方された睡眠薬を、何年も同じ量で続けている高齢者もいます。しかし、体の状態や生活環境は時間とともに変化します。
厚生労働省の指針では、高齢者に薬剤との関係が疑われるふらつきや転倒などが現れた場合、処方内容を確認し、中止や減量、より安全な薬への変更を検討することが示されています。
定期的な診察では、次の点を確認しましょう。
- 睡眠薬が現在も必要か
- 服用量が多すぎないか
- 翌朝の眠気がないか
- 夜間や早朝にふらつかないか
- 転倒や骨折をしていないか
- 記憶力や認知機能に変化がないか
- 新しい薬が追加されていないか
- 飲酒習慣に変化がないか
服薬内容を見直すときは、一度に複数の薬を大きく変更するのではなく、医師の管理下で段階的に調整することが基本です。睡眠薬を長期間使用している場合は、急な中止による不眠や離脱症状にも注意します。
薬に頼りすぎない睡眠対策
高齢者の不眠では、生活習慣や睡眠環境を整えることも重要です。厚生労働省の高齢者の医薬品適正使用に関する指針でも、薬物療法以外の生活習慣改善や環境調整を行うことの重要性が示されています。
次のような習慣を意識しましょう。
- 毎朝ほぼ同じ時刻に起きる
- 起床後に日光を浴びる
- 日中に無理のない範囲で体を動かす
- 長時間の昼寝を避ける
- 夕方以降のカフェインを控える
- 寝酒をしない
- 眠くなってから布団へ入る
- 夜中に時計を何度も確認しない
- 寝室を暗く静かに保つ
昼寝をする場合は、午後の早い時間に短時間とし、夕方以降まで眠らないようにします。日中の活動量が極端に少ない場合は、医師や理学療法士などへ相談し、安全に行える運動を取り入れましょう。
すぐに医療機関へ相談したい症状
睡眠薬を服用したあとに次のような症状がみられた場合は、医療機関へ相談してください。
- 呼びかけても起きにくい
- 呼吸が浅い、遅い
- 意識がもうろうとしている
- 立つことができないほどふらつく
- 服用後の行動を覚えていない
- 転倒して頭を打った
- 強い腰痛や股関節痛がある
- 手足を動かしにくい
- 翌日になっても強い眠気が続く
転倒後にすぐ痛みがなくても、時間が経ってから頭痛、吐き気、意識の変化が現れる場合があります。特に血液を固まりにくくする薬を服用している人が頭を打った場合は、早めの受診が必要です。
よくある質問
高齢者は睡眠薬を飲まないほうがよいですか?
一律に禁止されるわけではありません。不眠によって日常生活に支障がある場合は、医師が必要性を判断して処方することがあります。ただし、若い人より副作用が現れやすいため、少ない量から慎重に使用し、定期的な見直しが必要です。
夜中にトイレへ行く人は睡眠薬を飲めますか?
服用できる場合はありますが、夜間の移動時に転倒する危険があります。足元灯、手すり、滑りにくい履物を準備し、起き上がるときはゆっくり動きましょう。夜間頻尿の原因となる病気の治療も重要です。
短時間作用型なら翌朝はふらつきませんか?
短時間作用型でも、用量、服用時刻、体質、肝機能、腎機能、併用薬によっては翌朝まで作用が残ります。薬の分類だけで判断せず、実際の眠気や歩行状態を確認してください。
デエビゴやベルソムラなら転倒しませんか?
オレキシン受容体拮抗薬は筋弛緩作用が比較的少ないとされていますが、眠気やふらつきが起こる可能性はあります。高齢者でも転倒リスクがゼロになるわけではありません。
睡眠薬を半分にしてもよいですか?
錠剤によっては分割に適さない場合があります。また、自己判断による減量で不眠が悪化したり、離脱症状が起きたりする可能性があります。減量は医師や薬剤師へ相談してください。
長年飲んでいる薬を急にやめても大丈夫ですか?
長期間使用したベンゾジアゼピン系などを急に中止すると、反跳性不眠、不安、震え、発汗などが起こる可能性があります。医師の管理下で少しずつ減らすことが基本です。
転倒したら睡眠薬を中止するべきですか?
睡眠薬が転倒に関係している可能性はありますが、降圧薬、筋力低下、視力低下、床の段差など、ほかの原因も考えられます。自己判断で中止せず、転倒した時間、服用した薬、症状を医師へ伝え、処方全体を見直してもらいましょう。
まとめ
高齢者は睡眠薬の代謝や排泄が遅くなりやすく、眠気、筋弛緩、ふらつき、注意力低下などが翌朝まで残る可能性があります。
特に注意が必要なのは、薬が効いている時間帯に行う夜間のトイレや、起床直後の移動です。暗い室内、床の障害物、滑りやすい履物、急な立ち上がりなどが重なると、転倒や骨折の危険が高まります。
転倒を防ぐためには、服用前に用事を済ませる、寝室からトイレまで照明を設置する、床の障害物をなくす、手すりを利用する、ベッドからゆっくり起き上がるといった対策が重要です。
また、ベンゾジアゼピン系だけでなく、非ベンゾジアゼピン系やオレキシン受容体拮抗薬でも、眠気やふらつきが起こる可能性があります。
睡眠薬を長期間服用している人や、転倒、翌朝の強い眠気、記憶の抜け、歩行の不安定さがある人は、自己判断で増量・減量・中止せず、医師または薬剤師へ相談してください。
高齢者の不眠治療では、眠れる時間を増やすだけでなく、日中の活動、夜間の安全性、認知機能、生活の質を含めて治療を見直すことが大切です。

