片頭痛薬は痛くなってから飲む?前兆の段階で飲む?服用タイミングを解説
医師・薬剤師監修
片頭痛では、「痛みが強くなる前に飲んだほうがいい?」「目がチカチカする前兆が出た時点で薬を飲むべき?」と迷う方は少なくありません。
結論からいうと、片頭痛の急性期治療薬は、一般的には頭痛が始まった早い段階で服用することが重要です。ただし、前兆のある片頭痛でトリプタン系薬を使用する場合は、前兆だけが出ている段階ではなく、頭痛が始まってから服用するのが基本とされています。
一方、市販の鎮痛薬やNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)などでは、痛みが軽いうちに服用したほうが効果を得やすいことがあります。
「片頭痛薬」といっても薬の種類によって適切なタイミングが異なるため、自分が使用している薬を確認することが大切です。
片頭痛はどのように始まる?
片頭痛は、突然強い痛みが完成するとは限りません。
人によっては、頭痛が始まる数時間~数日前から、眠気、あくび、首のこり、集中しにくい、食欲の変化などの「予兆」がみられることがあります。
さらに一部の人では、頭痛の前に視界がチカチカする、ギザギザした光が見える、視野の一部が見えにくくなる、手や顔がしびれるといった「前兆」が現れます。
その後、ズキズキする頭痛や吐き気、光・音への過敏などが起こります。
「予兆」「前兆」「頭痛」はそれぞれ異なる段階であり、薬を飲むタイミングを考えるときには区別が重要です。
「前兆」とはどんな症状?
片頭痛の前兆として特に多いのが視覚症状です。
例えば、視野にキラキラした光やギザギザした線が現れ、それが徐々に広がることがあります。
通常は数分かけて症状が変化し、1時間以内に治まることが多いとされています。
その後に頭痛が始まる人もいれば、まれに頭痛を伴わないこともあります。
ただし、突然視野が欠ける、片側の手足が動かしにくい、言葉が出にくいなどの症状では、脳卒中など別の病気との区別が必要です。
トリプタンは前兆の段階で飲む?
スマトリプタン、ゾルミトリプタン、リザトリプタンなどのトリプタン系薬は、片頭痛発作の治療に使用されます。
トリプタンは片頭痛に関係するセロトニン受容体へ作用し、頭痛や吐き気などを改善します。
前兆のある片頭痛の場合、一般的には前兆だけが出ている段階ではなく、片頭痛の痛みが始まった時点で服用します。
前兆だけの段階で服用しても、十分な効果が得られないことがあります。
痛みが強くなるまで待ったほうがいい?
反対に、「薬をなるべく使いたくないから」と頭痛が強くなるまで我慢するのも適切とは限りません。
片頭痛では、痛みが軽い段階で急性期治療薬を使用したほうが、強くなってから使うより効果を得やすいことがあります。
トリプタンでは、片頭痛の頭痛が始まったら、痛みが軽いうちに服用することがひとつの基本です。
「まだ我慢できるから」と数時間待ってしまうと、吐き気が強くなったり、薬を飲みにくくなったりすることもあります。
市販の鎮痛薬はいつ飲む?
イブプロフェンやロキソプロフェンなどのNSAIDs、アセトアミノフェンなどが片頭痛の痛みに使用されることがあります。
これらも、一般的には頭痛が強くなりきる前に服用するほうが効果を得やすい傾向があります。
片頭痛だと分かった時点で、痛みが軽いうちに指示された量を服用することがポイントです。
ただし、胃潰瘍、腎機能低下、喘息、妊娠などがある場合には使える薬が限られることがあります。
「目がチカチカしたらすぐロキソニン」はどう?
前兆の段階で市販鎮痛薬を飲む人もいますが、必ずしもすべての人に同じ対応が適しているわけではありません。
前兆から頭痛までの時間や、どの程度の確率で頭痛へ進むかには個人差があります。
また、前兆だけで終わる場合もあります。
前兆がある人は、自分の発作パターンと使用薬に応じて服用タイミングを医師へ確認しておくと安心です。
吐き気が出る前に飲むことも大切
片頭痛が進行すると、吐き気や嘔吐が強くなることがあります。
さらに、発作中には胃の動きが低下し、飲み薬の吸収が遅れることがあります。
そのため、「頭痛が激しくなって吐き気が出てから薬を飲む」より、症状が軽い段階で服用したほうが使いやすい場合があります。
片頭痛では、痛みだけでなく薬を吸収できるタイミングという意味でも早めの服用が重要です。
朝起きた時点ですでに痛い場合は?
片頭痛で目が覚めた場合など、気づいた時点ですでに頭痛が強くなっていることがあります。
その場合でも、処方されている急性期治療薬を用法・用量どおりに使用します。
「軽いうちに飲めなかったからもう意味がない」というわけではありません。
ただし、毎回起床時にはすでに強い頭痛になっている場合は、薬の種類や治療方法について医師と相談する価値があります。
1回飲んで効かなかったらすぐ追加していい?
片頭痛薬には、それぞれ追加服用できる間隔や1日の最大量が決められています。
例えば、トリプタン系薬では、一定時間経過後に追加できる製品がありますが、種類によってルールは異なります。
効かないからといって短時間に自己判断で追加したり、別のトリプタンを重ねて服用したりすることは避けてください。
必ず処方時の指示や添付文書を確認しましょう。
トリプタンが効かないのは飲むタイミングのせい?
トリプタンで十分な効果が得られない場合、服用タイミングが遅いことが原因のひとつになることがあります。
また、その人に薬の種類が合っていない、用量が適切でない、そもそも片頭痛以外の頭痛であるといった可能性も考えられます。
1回効かなかっただけで「トリプタンは自分には効かない」と判断しないことも大切です。
発作ごとの服用タイミングや効果を記録し、医師へ相談すると治療を調整しやすくなります。
薬を早く飲みすぎてもいけない?
「頭痛が来そう」という感覚だけで、発作のたびに鎮痛薬を飲む習慣になるのは注意が必要です。
片頭痛の急性期治療薬を頻繁に使いすぎると、「薬剤の使用過多による頭痛」が起こることがあります。
これは、本来頭痛を治すための薬を頻繁に使用することで、かえって頭痛が慢性化する状態です。
「少しでも怪しいから毎回飲む」のではなく、自分の片頭痛のパターンを把握することが重要です。
月に何回も薬を飲んでいる場合は?
片頭痛発作が頻繁に起こり、急性期治療薬を何度も使っている場合は、予防治療を検討することがあります。
予防治療では、毎日服用する薬やCGRP関連薬などを使い、片頭痛発作そのものの回数や重症度を減らすことを目指します。
月に何度も片頭痛で生活に支障が出る場合は、「毎回痛み止めで乗り切る」だけでなく予防治療について相談することも大切です。
頭痛日記をつけると服用タイミングが分かりやすい
自分の片頭痛がどのように始まるのか把握するために、頭痛日記をつける方法があります。
前兆が何時に始まったか、頭痛が何分後に始まったか、何時に薬を飲んだか、その後どの程度改善したかなどを記録します。
何度か記録すると、「自分は前兆から30分ほどで頭痛が始まる」「頭痛開始直後に飲むと効きやすい」といったパターンが分かることがあります。
服用タイミングを感覚だけで判断するより、記録を使うことで医師とも相談しやすくなります。
片頭痛だと思ってはいけない危険な頭痛
頭痛があるからといって、すべてが片頭痛とは限りません。
特に、突然「今まで経験したことがないほど激しい頭痛」が起きた場合や、頭痛と同時に片側の手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害、けいれんなどがある場合は注意が必要です。
また、発熱や首の強いこわばりを伴う頭痛なども緊急評価が必要になることがあります。
いつもの片頭痛と明らかに違う症状がある場合は、片頭痛薬を飲んで様子を見るのではなく、速やかに医療機関へ相談してください。
まとめ
片頭痛薬の服用タイミングは、薬の種類によって異なります。
トリプタン系薬は、前兆だけの段階ではなく頭痛が始まったあと、まだ痛みが軽いうちに服用するのが基本です。
NSAIDsやアセトアミノフェンなどについても、頭痛が強くなりきる前に適切な量を使用したほうが効果を得やすい場合があります。
一方で、発作の予感だけで頻繁に薬を使うと、薬剤の使用過多による頭痛につながる可能性があります。
自分の「前兆→頭痛」のパターンと使用している薬を把握し、いつ飲むべきかを医師・薬剤師と確認しておくことが重要です。いつもの片頭痛とは異なる激しい頭痛や神経症状がある場合は、自己判断で様子を見ず医療機関へ相談しましょう。

