頭痛薬を飲みすぎると頭痛が増える?薬剤使用過多による頭痛とは
医師・薬剤師監修
「頭痛があるたびに薬を飲んでいたら、前より頭痛の日が増えた」「薬を飲んでも効きにくくなってきた」と感じる方は少なくありません。
結論からいうと、頭痛薬を頻繁に使い続けることで、かえって頭痛が慢性化することがあります。
この状態は「薬剤使用過多による頭痛(Medication Overuse Headache:MOH)」と呼ばれます。
もともと片頭痛や緊張型頭痛がある人が、鎮痛薬やトリプタンなどを頻回に使用することで起こりやすいと考えられています。
- 薬剤使用過多による頭痛とは?
- なぜ頭痛薬を飲みすぎると頭痛が増える?
- どんな人に起こりやすい?
- 市販の頭痛薬でも起こる?
- ロキソニンでも起こる?
- トリプタンでも起こる?
- どのくらい飲むと「飲みすぎ」になる?
- 毎日1錠なら大丈夫?
- 月に10回なら必ず薬剤使用過多になる?
- 薬剤使用過多による頭痛はどんな痛み?
- 薬が効かなくなったのは耐性?
- 薬を飲まないと頭痛が出るのは依存?
- 予防のために先に飲むのはダメ?
- 頭痛薬をやめればすぐ治る?
- 急に薬をやめてもいい?
- 薬を減らす期間はつらい?
- 片頭痛の予防薬を使うこともある?
- 頭痛日記は役立つ?
- スマホで記録してもいい?
- 頭痛薬を週2回程度なら問題ない?
- カフェイン入りの頭痛薬にも注意?
- 複数の頭痛薬を交互に使えば大丈夫?
- 頭痛薬の飲みすぎは胃にも悪い?
- 腎臓にも影響する?
- 生理のたびに頭痛薬を使う場合は?
- 頭痛が多いのは生活習慣のせい?
- どのタイミングで頭痛外来へ行けばいい?
- いつもと違う頭痛は別の病気にも注意
- 薬剤使用過多による頭痛を防ぐには?
- まとめ
薬剤使用過多による頭痛とは?
薬剤使用過多による頭痛とは、頭痛を治すために使っている薬を頻繁に使用することで、頭痛そのものが増えてしまう状態です。
「薬の副作用で頭痛が出る」というより、頭痛薬の反復使用によって痛みに対する脳の反応が変化し、頭痛が慢性化すると考えられています。
頭痛薬を飲む回数が増えるほど、さらに頭痛が増え、また薬を飲むという悪循環に陥ることがあります。
なぜ頭痛薬を飲みすぎると頭痛が増える?
詳しい仕組みは完全には解明されていませんが、痛みを感じる神経系が過敏になることが関係すると考えられています。
頭痛薬を頻繁に使用すると、痛みに対する脳の調節機能が変化し、通常より少ない刺激でも頭痛を感じやすくなる可能性があります。
そのため、「薬を飲んでいるのに頭痛が減らない」という状態が起こります。
どんな人に起こりやすい?
もともと片頭痛や緊張型頭痛など、繰り返す頭痛がある人に多くみられます。
頭痛が起こるたびに早めに薬を飲む習慣があり、その頻度が徐々に増えていくと注意が必要です。
特に「薬を持っていないと不安」「頭が少し重いだけでも予防的に飲む」という状態になっている場合は、使用回数を確認してみましょう。
市販の頭痛薬でも起こる?
起こる可能性があります。
ロキソプロフェン、イブプロフェン、アセトアミノフェンなどの鎮痛薬を頻繁に使用することで、薬剤使用過多による頭痛につながることがあります。
「市販薬だから毎日飲んでも安全」というわけではありません。
ロキソニンでも起こる?
起こる可能性があります。
ロキソニンの有効成分であるロキソプロフェンはNSAIDs(非ステロイド性抗炎症薬)に分類されます。
頻回に使用すると、薬剤使用過多による頭痛だけでなく、胃腸障害や腎機能への影響にも注意が必要です。
頭痛のたびにロキソニンを飲み、月の半分近く使っている場合は、一度使用頻度を見直したほうがよいでしょう。
トリプタンでも起こる?
はい。
片頭痛の急性期治療に使われるトリプタンでも、使用頻度が高すぎると薬剤使用過多による頭痛につながることがあります。
「片頭痛専用薬だから頻繁に使っても大丈夫」というわけではありません。
どのくらい飲むと「飲みすぎ」になる?
薬の種類によって目安は異なります。
一般に、単純鎮痛薬やNSAIDsは月15日以上、トリプタンや複合鎮痛薬などは月10日以上の使用が続くと、薬剤使用過多による頭痛のリスクが高まります。
重要なのは「1回に何錠飲むか」だけでなく、「月に何日使っているか」です。
毎日1錠なら大丈夫?
毎日1錠でも、頭痛薬を連日のように使用している場合は問題になる可能性があります。
少量だから安全とは限りません。
1日の量よりも、使用日数が長く続いていることが重要です。
月に10回なら必ず薬剤使用過多になる?
必ずなるわけではありません。
薬の種類、もともとの頭痛タイプ、使用期間などによって異なります。
ただし、毎月10〜15日以上使用している場合は、薬剤使用過多による頭痛を疑うきっかけになります。
数か月にわたり高頻度で使用している場合は、医療機関へ相談しましょう。
薬剤使用過多による頭痛はどんな痛み?
痛み方は人によって異なります。
もともと片頭痛だった人でも、毎日のような鈍い頭痛へ変化することがあります。
朝から頭が重い、以前より頭痛の日数が増えた、薬が効く時間が短くなったと感じる場合もあります。
頭痛の特徴だけでMOHと断定することはできないため、使用薬と頭痛日数を合わせて評価します。
薬が効かなくなったのは耐性?
単純な「耐性」だけでは説明できないことがあります。
薬剤使用過多によって頭痛そのものが慢性化すると、以前のように薬を飲んでも十分に改善しにくくなることがあります。
「効かないから量を増やす」という対応を続けると、さらに悪循環が強くなる可能性があります。
薬を飲まないと頭痛が出るのは依存?
薬剤使用過多による頭痛では、薬の効果が切れると頭痛が出るように感じることがあります。
そのため、「また痛くなる前に飲もう」と服用回数が増えやすくなります。
必ずしも薬物依存と同じ意味ではありませんが、頭痛と服薬が悪循環になっている可能性があります。
予防のために先に飲むのはダメ?
片頭痛では、頭痛が始まった早い段階で急性期治療薬を使うことがあります。
ただし、「頭痛が起きそうだから」と毎日のように予防的に鎮痛薬を飲むのはおすすめできません。
発作頻度が多い場合は、鎮痛薬を増やすのではなく予防治療を検討することが重要です。
頭痛薬をやめればすぐ治る?
すぐに改善するとは限りません。
原因となっている薬を減らしたり中止したりすると、一時的に頭痛が悪化することがあります。
吐き気、不眠、落ち着かなさなどを伴う人もいます。
その後、数日〜数週間かけて頭痛の頻度が改善していくことがあります。
急に薬をやめてもいい?
使用している薬によって対応が異なります。
一般的な鎮痛薬やトリプタンでは中止・減量を検討することがありますが、薬の種類によっては急に中止すべきではないものもあります。
自己判断で一気に薬をやめるのではなく、医師と治療計画を立てることが安全です。
薬を減らす期間はつらい?
一時的に頭痛が強くなることがあります。
特に長期間、頻繁に頭痛薬を使っていた人では、薬を減らした直後に頭痛が増えることがあります。
この時期を乗り越えるために、医療機関では必要に応じて別の治療を組み合わせます。
片頭痛の予防薬を使うこともある?
あります。
片頭痛の日数が多い場合は、急性期の頭痛薬だけではなく、発作そのものを減らす予防治療が検討されます。
予防薬には複数の種類があり、近年ではCGRP関連薬なども使用されています。
頭痛薬を使う日数が多い人ほど、「痛くなってから飲む薬」だけでなく予防治療を考えることが重要です。
頭痛日記は役立つ?
非常に役立ちます。
頭痛があった日、薬を飲んだ日、薬の種類、痛みの強さなどを記録します。
自分では「週に1〜2回程度」と思っていても、記録すると月15日以上薬を使っていたと気づくことがあります。
スマホで記録してもいい?
もちろん構いません。
カレンダーや頭痛記録アプリなどを利用すると、月ごとの頭痛日数と服薬日数を把握しやすくなります。
診察時に記録を見せると、治療方針を決める重要な情報になります。
頭痛薬を週2回程度なら問題ない?
週2回程度でも、薬の種類や長期間の使用状況によって判断は変わります。
ただし、頭痛薬が必要な日が増えてきたこと自体が、頭痛のコントロールが十分ではないサインになることがあります。
薬を飲む日数が徐々に増えてきた場合は早めに相談するとよいでしょう。
カフェイン入りの頭痛薬にも注意?
注意が必要です。
市販の複合鎮痛薬には、鎮痛成分に加えてカフェインなどが含まれているものがあります。
こうした複合鎮痛薬も頻回使用によって薬剤使用過多による頭痛につながる可能性があります。
商品名だけでなく、含まれている成分も確認しましょう。
複数の頭痛薬を交互に使えば大丈夫?
安全とは限りません。
ロキソプロフェンの日、イブプロフェンの日、トリプタンの日と薬を変えても、頭痛薬を使用する日数そのものが多ければ問題になる可能性があります。
「同じ薬を続けなければ大丈夫」というわけではありません。
頭痛薬の飲みすぎは胃にも悪い?
NSAIDsでは、胃粘膜障害や胃潰瘍、消化管出血などのリスクがあります。
長期間頻繁に使用するほど注意が必要です。
頭痛だけでなく、胃痛、黒い便、吐血などがあれば速やかに医療機関へ相談しましょう。
腎臓にも影響する?
NSAIDsの頻回使用は、腎臓への血流を低下させ、腎機能に影響する可能性があります。
脱水時や高齢者、もともと腎機能が低下している人では特に注意が必要です。
「頭痛薬だから軽い薬」と考えて長期間連用しないようにしましょう。
生理のたびに頭痛薬を使う場合は?
月経関連片頭痛では、生理前後に頭痛が集中することがあります。
毎月同じ時期に何日も薬を使う場合は、服薬日数を確認することが大切です。
発作頻度や生活への影響が大きい場合は、月経関連片頭痛に合わせた治療方法を医師へ相談しましょう。
頭痛が多いのは生活習慣のせい?
睡眠不足、食事を抜くこと、過度なストレス、飲酒などが片頭痛の引き金になる人もいます。
生活習慣を整えることで発作回数が減れば、頭痛薬を使用する日数も減らせます。
ただし、生活習慣だけで改善しない慢性頭痛もあるため、我慢し続ける必要はありません。
どのタイミングで頭痛外来へ行けばいい?
月に何度も頭痛薬を飲んでいる、以前より薬の使用回数が増えた、薬が効きにくくなった場合は、一度頭痛外来や脳神経内科などへ相談するとよいでしょう。
目安として、月の半分近く頭痛がある、または月10〜15日以上頭痛薬を使用している場合は、薬剤使用過多による頭痛の可能性を確認する価値があります。
いつもと違う頭痛は別の病気にも注意
慢性的に頭痛薬を使っている人でも、突然起こった激しい頭痛をすべて「いつもの頭痛」と考えるのは危険です。
突然これまで経験したことのない強い痛みが出た、手足の麻痺、ろれつが回らない、意識障害、発熱などを伴う場合は注意が必要です。
こうした症状がある場合は、薬剤使用過多による頭痛ではなく、脳血管障害など緊急疾患の可能性もあるため速やかな医療対応が必要です。
薬剤使用過多による頭痛を防ぐには?
頭痛薬を使った日を記録し、服用回数が増えていないか定期的に確認しましょう。
頭痛の回数が多い場合は、薬を我慢するだけではなく、頭痛そのものを減らす予防治療を検討します。
「頭痛が増えたから薬を増やす」のではなく、「なぜ頭痛が増えたのか」を見直すことが重要です。
まとめ
頭痛薬を頻繁に使用していると、かえって頭痛が増える「薬剤使用過多による頭痛」が起こることがあります。
特に、もともと片頭痛や緊張型頭痛があり、鎮痛薬やトリプタンなどを月に何度も使用している人は注意が必要です。
一般的には、単純鎮痛薬・NSAIDsを月15日以上、トリプタンや複合鎮痛薬などを月10日以上使用する状態が続くことが、薬剤使用過多を考える目安になります。
薬が効きにくくなったからと服用量や回数を増やすのではなく、頭痛日数と薬を使用した日数を記録してみましょう。
頭痛薬を使用する日が増えてきた場合は、自己判断で薬を増減せず、頭痛外来や脳神経内科などで相談し、必要に応じて予防治療も含めて見直すことが大切です。

