片頭痛で首や肩まで痛くなることはある?肩こり頭痛との見分け方
医師・薬剤師監修
「頭がズキズキするだけでなく、首や肩まで痛い」「肩こりから頭痛が起きているのか、片頭痛なのか分からない」と感じる方もいるのではないでしょうか。
結論からいうと、片頭痛でも首のこりや肩周辺の痛みを伴うことがあります。そのため、「首や肩がこっている=緊張型頭痛」とは限りません。
日本頭痛学会でも、片頭痛では頭痛が起こる前の「予兆」として、頸部の凝りを経験することがあるとされています。
見分けるポイントは肩こりの有無ではなく、頭痛がズキズキするか、動くと悪化するか、吐き気や光・音への過敏を伴うかなどを合わせて確認することです。
片頭痛で首や肩まで痛くなることはある?
あります。
片頭痛という名前から「頭だけが痛む病気」と思われがちですが、発作の前後や発作中に首のこり、首の痛み、肩周辺の違和感を感じる人もいます。
特に、頭痛が起こる前から首が重く感じたり、「肩こりがひどくなったと思ったら片頭痛が始まった」というケースがあります。
日本頭痛学会では、片頭痛の予兆として気分変化、眠気、疲労感、集中力低下とともに「頸部の凝り」が挙げられています。
つまり、首や肩のこりは片頭痛の原因だけでなく、片頭痛発作の一部として現れている可能性もあります。
片頭痛と緊張型頭痛はどう違う?
片頭痛と、一般に「肩こり頭痛」と呼ばれることが多い緊張型頭痛では、痛み方や随伴症状に違いがあります。
| 特徴 | 片頭痛 | 緊張型頭痛 |
|---|---|---|
| 痛み方 | ズキズキ・脈打つことが多い | 締めつける・圧迫される感じ |
| 痛む場所 | 片側が多いが両側の場合もある | 両側に起こることが多い |
| 痛みの強さ | 中等度〜強いことがある | 軽度〜中等度が多い |
| 動いたとき | 階段や歩行などで悪化しやすい | 通常は悪化しにくい |
| 吐き気 | 伴うことがある | 通常は強くない |
| 光・音 | つらく感じやすい | 強い過敏は少ない |
日本頭痛学会では、緊張型頭痛は圧迫感・締めつけ感のある非拍動性頭痛で、多くは両側性とされています。
一方、片頭痛は4〜72時間程度続き、日常的な動作によって悪化し、吐き気や光・音への過敏を伴うことがあります。
肩こりが強いなら緊張型頭痛?
必ずしもそうではありません。
緊張型頭痛では、首や肩、頭の周囲の筋肉に圧痛がみられることがあります。
ICHD-3(国際頭痛分類第3版)でも、緊張型頭痛では頭蓋周囲の筋肉の圧痛が特徴的な所見のひとつとされています。
ただし、片頭痛でも頸部の凝りを伴うことがあるため、肩こりだけでは判断できません。
「肩がこるから緊張型頭痛」ではなく、頭痛の性質や吐き気、光・音への敏感さなども確認する必要があります。
動くと頭痛が悪化するなら片頭痛?
片頭痛を疑う重要な手がかりのひとつです。
片頭痛では、歩く、階段を上る、家事をするといった日常的な動作で頭痛が強くなることがあります。
そのため、発作中に「できるだけ動かず横になりたい」と感じる人もいます。
一方、NHS(英国国民保健サービス)では、緊張型頭痛は通常、日常生活の動作によって痛みが悪化しにくいとされています。
首や肩がこっていても、階段の上り下りで頭痛がズキズキ強くなる場合は、片頭痛の可能性を考えます。
光や音がつらい場合は片頭痛を疑う
片頭痛では、頭痛だけでなく感覚が過敏になることがあります。
例えば、
- 部屋の照明がまぶしく感じる
- テレビや話し声がうるさく感じる
- においが強く感じる
- 吐き気がする
といった症状です。
日本頭痛学会でも、片頭痛発作中には光・音・においなどを不快に感じることが多いとされています。
肩こりに加えて、光や音を避けて暗く静かな場所で休みたくなる場合は、緊張型頭痛より片頭痛を疑う手がかりになります。
首を動かすと痛む場合は別の頭痛もある?
あります。
首の筋肉や関節などが原因となって頭痛が起こる場合もあります。
例えば、首の特定の動きで頭痛が誘発される、首の可動域が明らかに狭い、首を押すといつもの頭痛が再現されるといった場合は、頸部に関連した頭痛を考えることがあります。
ICHD-3でも、首の筋肉の痛みと関連して頭痛が起こる場合が分類されています。
頭痛と首痛が何度もセットで起こる場合は、自己判断せず医療機関で原因を確認するとよいでしょう。
片頭痛と緊張型頭痛が両方あることもある?
あります。
ひとりの人が片頭痛と緊張型頭痛の両方を経験することは珍しくありません。
ICHD-3でも、片頭痛と緊張型頭痛の区別が難しいケースがあり、頻繁に頭痛がある人では両方を持つことがあるとされています。
例えば、普段は締めつけられるような軽い頭痛がある一方、ときどきズキズキする強い頭痛と吐き気が出る場合があります。
この場合、すべてを「肩こり頭痛」とまとめて考えると、適切な治療につながりにくくなることがあります。
肩をもめば片頭痛も治る?
肩や首のこりがあると、ストレッチやマッサージで楽に感じることはあります。
ただし、片頭痛発作そのものをマッサージだけで治療できるとは限りません。
また、片頭痛の発作中は感覚が過敏になっているため、強いマッサージが不快に感じられる人もいます。
片頭痛が疑われる場合は、暗く静かな場所で休む、医師から処方された急性期治療薬を適切なタイミングで使用するなどの対応が行われます。
「肩こりがあるから肩だけを治せばよい」と考えず、頭痛そのもののタイプを確認することが大切です。
頭痛日記をつけると見分けやすい
片頭痛と緊張型頭痛を見分けるには、頭痛が起きたときの状態を記録する方法が役立ちます。
- 頭痛が起きた日時
- 痛んだ場所
- ズキズキか締めつけ感か
- 痛みの強さ
- 首・肩のこり
- 吐き気の有無
- 光・音への過敏
- 動いたときに悪化するか
- 使用した薬と効果
日本頭痛学会でも、頭痛ダイアリーを用いた片頭痛と緊張型頭痛の見分け方について教育情報を提供しています。
数週間記録すると、自分の頭痛のパターンが見えやすくなります。
すぐ受診した方がよい頭痛は?
首や肩の痛みを伴う頭痛の多くは片頭痛や緊張型頭痛などですが、中には別の病気が原因となる頭痛があります。
次のような症状がある場合は注意してください。
- 突然経験したことのない激しい頭痛が起きた
- 手足のしびれや力が入りにくい
- 言葉が出にくい
- 意識がおかしい
- 高熱や強い首のこわばりがある
- 頭を打ったあとから頭痛が強くなった
- 頭痛が徐々に悪化している
特に突然の激しい頭痛や神経症状を伴う場合は、通常の片頭痛や肩こり頭痛と考えず、速やかに医療機関を受診してください。
こんな場合は頭痛外来・脳神経内科へ相談を
次のような場合は、頭痛外来や脳神経内科などへの相談を検討しましょう。
- 頭痛を月に何度も繰り返す
- 頭痛で仕事や学校を休むことがある
- 市販の鎮痛薬を頻繁に使っている
- 肩こり頭痛だと思っているが吐き気もある
- 光や音がつらい
- 今までと頭痛のパターンが変わった
頭痛薬を頻繁に使用すると、薬剤の使用過多による頭痛につながることもあります。
頭痛の回数が増えている場合は、自己判断で鎮痛薬を繰り返すのではなく、頭痛の種類を確認して適切な治療を受けましょう。
まとめ
片頭痛でも、首や肩のこり・痛みを伴うことがあります。
そのため、「肩こりがあるから緊張型頭痛」と判断することはできません。
片頭痛では、ズキズキする痛み、動作による悪化、吐き気、光や音への過敏などが見分ける手がかりになります。
一方、緊張型頭痛では、両側を締めつけられるような痛みが多く、日常的な動作では悪化しにくいのが特徴です。
首・肩の症状だけで判断せず、頭痛の痛み方や随伴症状、動いたときの変化まで含めて確認しましょう。
頭痛を繰り返す場合は頭痛日記をつけ、頭痛外来や脳神経内科などで相談すると診断や治療につながりやすくなります。

