夏の外出時にどこを冷やしたら涼しくなる?効果的な部位と冷やし方
監修:医師・薬剤師監修
夏の外出中に暑さを感じたとき、冷たいペットボトルや保冷剤をどこへ当てれば効率よく体を冷やせるのでしょうか。
体を効率よく冷やしたい場合は、首の両側、わきの下、足の付け根など、皮膚の近くを太い血管が通っている部位を冷やす方法が適しています。
厚生労働省も、熱中症が疑われる人への応急処置として、衣服を緩め、特に首の周り、わきの下、足の付け根を冷やすよう案内しています。
ただし、冷却グッズを使えば熱中症を完全に防げるわけではありません。冷房の効いた場所や日陰へ移動し、水分を補給しながら休むことが優先です。
この記事では、外出中に冷やすとよい部位、保冷剤や冷たいペットボトルの使い方、熱中症が疑われる場合の注意点を分かりやすく解説します。
体を冷やすならどこがおすすめ?
外出中の暑さ対策では、次の3か所が代表的です。
- 首の両側
- わきの下
- 足の付け根
これらの部位には、比較的太い血管が皮膚の近くを通っています。保冷剤や氷のうを当てると、皮膚だけでなく、その付近を流れる血液を冷やす助けになります。
環境省の熱中症環境保健マニュアルでも、氷のうなどを前頸部の両脇、腋窩部、鼠径部へ当て、皮膚の直下を流れる血液を冷やす方法が有効とされています。
おすすめ1:首の両側
外出中に最も冷やしやすい場所が首です。
首の前側から左右には太い血管が通っているため、冷たいタオル、ネッククーラー、布で包んだ保冷剤などを当てると、暑さを和らげやすくなります。
冷やし方
- 濡らしたタオルを首へ巻く
- 冷たいペットボトルを首の左右へ当てる
- ネッククーラーを使用する
- 布で包んだ保冷剤を短時間当てる
首の後ろを冷やしても気持ちよさは得られますが、太い血管を意識するなら、首の付け根から左右を冷やすのがポイントです。
冷たさで痛みやしびれを感じた場合は、すぐに外してください。凍った保冷剤を直接皮膚へ当て続けると、低温やけどを起こす可能性があります。
おすすめ2:わきの下
わきの下にも太い血管が通っており、熱中症時の冷却部位として利用されます。
冷たいペットボトルや小さな保冷剤がある場合は、わきへ軽く挟むと冷却できます。ただし、歩きながら無理に挟むと落としたり、腕の動きを妨げたりするため、安全な場所で休みながら行いましょう。
冷やし方
- 日陰や冷房のある場所で座る
- 衣服を緩める
- 布で包んだ保冷剤を片方ずつ当てる
- 冷たいペットボトルを数分間軽く挟む
わきの下を冷やす場合、衣類の上からでも構いません。冷却グッズを直接肌へ押し付ける必要はありません。
汗で皮膚が濡れている場合は、タオルで軽く押さえてから使用すると、擦れやかぶれを防ぎやすくなります。
おすすめ3:足の付け根
太ももの付け根の前側には、鼠径部と呼ばれる部分があります。ここにも太い血管が通っているため、熱中症が疑われる人の体を冷やす部位として利用されます。
ただし、外出中に自分で冷やすには、首やわきの下より使いにくい場所です。めまいや強いだるさがあり、横になって休める状況であれば、足の付け根へ布で包んだ保冷剤を当てます。
衣服を無理に脱ぐ必要はなく、ズボンや衣類の上から冷やしても構いません。
人を介助する場合は、本人のプライバシーへ配慮しながら行ってください。
手のひらや頬を冷やしてもよい?
手のひらや頬、足の裏を冷やすと、暑さによる不快感を軽減できることがあります。
日本赤十字社も、熱中症時の冷却では、首、わきの下、足の付け根に加え、頬、手のひら、足の裏を冷やすことも有効としています。
外出先では、冷たいペットボトルを手で持つ、手首や手のひらへ流水を当てるといった方法が取り入れやすいでしょう。
ただし、手のひらだけを冷やしていれば、暑い場所に居続けても安全というわけではありません。体調が悪い場合は、まず涼しい場所へ移動してください。
おでこだけを冷やしても体温は下がる?
冷却シートや濡れたタオルをおでこへ当てると、ひんやりして気持ちよく感じます。
しかし、おでこだけを冷やしても、体の内部にたまった熱を十分に下げられるとは限りません。
気分を楽にする目的では利用できますが、体温を効率よく下げたい場合は、首の両側、わきの下、足の付け根なども冷やしましょう。
熱中症が疑われるときは、おでこへ冷却シートを貼るだけで様子を見続けないことが重要です。
保冷剤を直接肌へ当ててはいけない
凍った保冷剤や氷を長時間、直接皮膚へ当てると、低温やけどや凍傷に似た皮膚障害を起こす可能性があります。
必ず薄いタオルやハンカチで包み、同じ場所へ当て続けないようにしてください。
安全に使うポイント
- タオルや衣類の上から当てる
- 数分ごとに皮膚の状態を確認する
- 痛み、しびれ、皮膚の白さが出たら外す
- 寝たまま長時間使用しない
- 感覚が鈍い人は特に注意する
高齢者、乳幼児、糖尿病による神経障害がある人、皮膚感覚が低下している人は、冷えすぎに気づきにくいことがあります。周囲の人が皮膚の状態を確認してください。
冷たいペットボトルでも代用できる
保冷剤を持っていない場合は、自動販売機やコンビニで購入した冷たいペットボトルでも代用できます。
首の両側やわきへ軽く当て、ぬるくなったら飲み物として利用できます。
ただし、意識がぼんやりしている人や、自力で安全に飲み込めない人へ無理に水分を飲ませてはいけません。誤嚥する危険があります。
厚生労働省は、自力で水が飲めない、または意識がない場合は、直ちに救急車を呼ぶよう案内しています。
体全体を効率よく冷やす方法
暑さで体調が悪くなった場合は、特定の部位だけでなく、体全体から熱を逃がすことが大切です。
- 冷房の効いた室内や風通しのよい日陰へ移動する
- 上着を脱ぎ、ベルトや襟元を緩める
- 皮膚へ水をかける、または濡れたタオルを当てる
- うちわや扇風機で風を送る
- 首、わきの下、足の付け根を冷やす
水分が皮膚から蒸発するときに熱が奪われるため、皮膚を濡らして風を当てる方法は、体全体を冷やすのに役立ちます。
日本赤十字社も、胸や腹へ水をかけたり濡れたタオルで覆ったりし、うちわや扇風機で風を送る方法を案内しています。
外出前からできる暑さ対策
外出中に体を冷やすことも大切ですが、体温が上がりすぎないよう予防する方が重要です。
- 日傘や帽子を使用する
- 通気性・吸汗速乾性のある衣類を選ぶ
- 保冷剤や冷たい飲み物を持ち歩く
- 日陰や冷房施設でこまめに休む
- のどが渇く前から水分を取る
- 暑い時間帯の外出をできるだけ避ける
環境省は、熱中症予防の基本として、脱水と体温上昇を抑え、少しでも危険を感じたら日陰や冷房のある場所へ移動することを挙げています。
睡眠不足、二日酔い、発熱、下痢などで体調が悪い日は、普段より熱中症になりやすいため、外出時間を短くすることも検討してください。
水分と塩分の補給も忘れない
体を冷やしても、汗で失った水分が補われなければ、脱水は改善しません。
外出時は、のどが渇く前から水や無糖のお茶などを少量ずつ飲みましょう。長時間の運動や屋外作業で大量に汗をかいた場合は、塩分を含む飲料が必要になることがあります。
経口補水液は脱水時に使用する飲料であり、普段から水代わりに大量に飲むものではありません。心臓病や腎臓病などで水分・塩分制限を受けている人は、医師の指示を優先してください。
熱中症を疑う症状
次の症状がある場合は、涼しい場所へ移動し、衣服を緩めて体を冷やします。
- めまい、立ちくらみ
- 大量の発汗
- 筋肉痛、こむら返り
- 生あくび
- 頭痛、吐き気
- 強いだるさ
- 集中力や判断力の低下
厚生労働省は、めまい、大量の発汗、立ちくらみ、筋肉痛、生あくびなどを熱中症が疑われる症状として挙げています。
すぐに救急車を呼ぶべき症状
次の状態がある場合は、冷却を続けながら119番へ通報してください。
- 呼びかけへの返事がおかしい
- 意識がない、ぼんやりしている
- 自力で水分を飲めない
- けいれんしている
- 体が非常に熱い
- まっすぐ歩けない
- 冷やしても症状が改善しない
救急車を待つ間も冷却を止めないことが重要です。日本赤十字社は、重症者ではどれだけ早く体温を下げられるかが救命に関係するため、救急隊の到着前から冷却を始めるよう案内しています。
よくある質問
首の前と後ろはどちらを冷やしますか?
暑さを和らげるだけならどちらでも構いませんが、太い血管を意識する場合は首の左右が適しています。のどの中央を強く圧迫しないでください。
ネッククーラーだけで熱中症を防げますか?
暑さを軽減する補助にはなりますが、熱中症を完全に防ぐものではありません。日陰や冷房の利用、水分補給、休憩を組み合わせてください。
冷却シートは熱中症対策になりますか?
ひんやりした感覚を得ることはできますが、重い熱中症で体温を十分に下げる方法にはなりません。体調が悪い場合は全身の冷却と救急対応を優先します。
水を頭からかけてもよいですか?
意識があり安全を確保できる場合は、皮膚を濡らして風を当てる方法が役立ちます。ただし、転倒や誤嚥を防ぐため、座るか横になった状態で行いましょう。
まとめ
夏の外出時に効率よく涼しくなりたい場合は、首の両側、わきの下、足の付け根を冷やす方法がおすすめです。
これらの場所には皮膚の近くを太い血管が通っているため、布で包んだ保冷剤や冷たいペットボトルを当てると、体を冷やす助けになります。
手のひら、頬、足の裏を冷やす方法も、暑さによる不快感を和らげるために利用できます。一方、おでこだけを冷やしても、体内にたまった熱を十分に下げられるとは限りません。
保冷剤は直接肌へ長時間当てず、必ず布や衣類の上から使用してください。
めまい、頭痛、吐き気、強いだるさがある場合は、冷却グッズだけで我慢せず、冷房の効いた場所へ移動して休みましょう。自力で水分を飲めない、呼びかけへの反応がおかしい、けいれんしている場合は、直ちに救急車を呼んでください。

