男性更年期で汗が増えることはある?ほてり・寝汗の原因を紹介
監修:医師・薬剤師監修
「以前より汗をかきやすくなった」「涼しい部屋でも急に顔が熱くなる」「夜中に寝汗で目が覚める」といった変化は、男性更年期で起こることがあります。
男性更年期は、医学的にはLOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)と呼ばれます。テストステロンの低下に伴い、発汗、ほてり、疲労感、意欲低下、不眠、筋力低下、性欲低下、EDなどが現れる状態です。日本内分泌学会でも、中高年男性に突然のほてりや発汗が続く場合は、男性更年期が関係している可能性があるとされています。
ただし、汗や寝汗の原因は男性更年期だけではありません。甲状腺の病気、感染症、低血糖、睡眠時無呼吸症候群、薬の副作用、飲酒などでも同じような症状が起こります。
男性更年期で汗が増えることはある?
結論からいうと、男性更年期によって汗が増えたり、ほてりや寝汗を感じたりすることはあります。
テストステロンは、筋肉や性機能だけでなく、脳、自律神経、気分、体温調節などにも関係しています。テストステロンが低下すると体温調節が不安定になり、暑くないのに急に身体が熱くなる、顔や首から汗が出るといった変化が現れる場合があります。
男性の低テストステロン状態では、ほてりや発汗が症状として現れることが報告されています。特に、前立腺がん治療などで男性ホルモンを強く抑えている人では、ホットフラッシュや寝汗が目立つことがあります。
男性更年期による発汗は、気温や運動量とは関係なく突然始まることがあるのが特徴です。
男性更年期のほてりはどのような症状?
ほてりは、身体の内側から急に熱がこみ上げるように感じる症状です。
次のような変化が数分程度続くことがあります。
- 顔や首が急に熱くなる
- 上半身が赤くなる
- 額や首、胸から汗が出る
- 動悸を感じる
- 汗が引いた後に寒く感じる
- 仕事や会話へ集中できなくなる
例えば、冷房の効いた会議室にいるのに突然顔が熱くなり、額から汗が流れる場合があります。周囲は暑がっていないため、自分だけ汗をかいていることを恥ずかしく感じる人もいます。
ほてりが一日に何度も起こると、仕事中に集中しにくくなったり、人前へ出ることを避けたりする原因になることがあります。
寝汗も男性更年期の症状?
男性更年期では、睡眠中に急に身体が熱くなり、寝汗をかく場合があります。
医学的な寝汗とは、室温が高くないにもかかわらず、寝間着や寝具が濡れるほど汗をかく状態です。単に夏の暑い夜や、厚い布団を使って汗をかいた状態とは区別します。NHS(英国国民保健サービス)でも、涼しい寝室なのに衣類や寝具が濡れるほど汗をかく状態を寝汗としています。
寝汗が起こると、夜中に次のような状態になります。
- 暑くて目が覚める
- 寝間着を着替える必要がある
- 布団やシーツが湿っている
- 汗が引いた後に身体が冷える
- 何度も目が覚め、朝から疲れている
寝汗によって睡眠が中断されると、日中の疲労感、集中力低下、イライラがさらに強くなることがあります。
男性更年期で発汗やほてりが起こる仕組み
テストステロンの低下
テストステロンが低下すると、脳の視床下部にある体温調節機能が影響を受ける可能性があります。
通常、身体は体温が少し上がると汗を出し、血管を広げて熱を逃がします。しかし、体温調節が不安定になると、実際には体温が大きく上がっていなくても、身体が暑いと判断する場合があります。
その結果、突然皮膚の血管が広がり、顔のほてりや大量の発汗が起こります。
自律神経の乱れ
自律神経は、発汗、心拍、血圧、体温、睡眠などを自動的に調節しています。
男性更年期では、ホルモンの変化に加えて、仕事や家庭のストレス、睡眠不足などが重なることで、自律神経が乱れやすくなります。
発汗と同時に、動悸、息苦しさ、めまい、不安感などが起こる人もいます。
睡眠不足
寝汗で目が覚めると睡眠時間が短くなります。睡眠不足が続くと自律神経のバランスがさらに崩れ、翌日の発汗やほてりが悪化するという悪循環に陥ることがあります。
また、睡眠中に呼吸が止まる睡眠時無呼吸症候群があると、寝汗、日中の眠気、朝の頭痛、疲労感などが現れることがあります。
男性更年期で起こりやすいほかの症状
| 症状の種類 | 具体的な変化 |
|---|---|
| 精神症状 | イライラ、不安、意欲低下、集中力低下、気分の落ち込み |
| 身体症状 | 疲労感、発汗、ほてり、筋力低下、関節痛、頭痛 |
| 睡眠症状 | 寝つきが悪い、夜中に目が覚める、寝汗、早朝覚醒 |
| 性機能症状 | 性欲低下、朝立ちの減少、ED、射精の変化 |
| 体型の変化 | 筋肉量の減少、内臓脂肪の増加、体重増加 |
男性更年期は40代以降に起こる可能性がありますが、年齢だけでは診断できません。症状と血液中のテストステロン値を合わせて判断します。
男性更年期以外で汗が増える原因
甲状腺機能亢進症
甲状腺ホルモンが過剰になると、身体の代謝が活発になり過ぎます。
汗が増えるほか、動悸、手の震え、体重減少、下痢、イライラ、暑がりなどが現れることがあります。
食事量が変わらないのに体重が減る、安静時にも心拍数が速い場合は、内科や内分泌内科へ相談してください。
感染症
風邪、インフルエンザ、肺炎などで発熱すると、熱が下がる過程で大量の汗をかくことがあります。
長期間続く寝汗、発熱、せき、体重減少などがある場合は、結核を含む慢性的な感染症が隠れている可能性もあります。寝汗は感染症や内分泌疾患でも起こることが報告されています。
低血糖
糖尿病治療薬やインスリンを使用している人では、血糖値が下がり過ぎると、冷や汗、手の震え、動悸、強い空腹感、集中力低下などが起こることがあります。
糖尿病治療中に急な冷や汗や意識の変化が起きた場合は、男性更年期と決めつけないでください。
睡眠時無呼吸症候群
大きないびき、睡眠中の呼吸停止、朝の頭痛、日中の強い眠気がある場合は、睡眠時無呼吸症候群が疑われます。
呼吸が止まるたびに身体が緊張状態となり、寝汗をかくことがあります。肥満、高血圧、首周りが太い人は特に注意が必要です。
飲酒
寝る前にお酒を飲むと、皮膚の血管が広がって暑く感じたり、睡眠が浅くなったりします。
アルコールが切れる頃には自律神経が刺激され、動悸や発汗で目が覚めることもあります。
薬の副作用
一部の抗うつ薬、解熱鎮痛薬、ホルモン剤、糖尿病治療薬などでは、発汗が増える場合があります。
薬を飲み始めてから汗が増えた場合でも、自己判断で中止してはいけません。処方した医師や薬剤師へ相談してください。
男性更年期の汗・ほてり対策
寝室の温度と寝具を調整する
寝室を涼しく保ち、吸湿性や通気性のよい寝間着を選びます。
厚い掛け布団を一枚使うより、薄い寝具を重ねたほうが、暑さに合わせて調整しやすくなります。
枕元に着替えやタオルを用意しておくと、寝汗で目が覚めたときの負担を減らせます。
飲酒とカフェインを見直す
寝酒は睡眠を浅くし、夜間の発汗や中途覚醒を悪化させる場合があります。
夕方以降のコーヒー、エナジードリンク、濃いお茶も睡眠に影響するため、寝汗や不眠がある人は量と時間を見直しましょう。
運動を続ける
ウォーキングや軽い筋トレは、体重管理、睡眠、ストレス解消に役立ちます。
運動習慣がない人は、1日20分程度のウォーキングを週3回から始めます。就寝直前の激しい運動は身体を興奮させることがあるため、日中や夕方までに行いましょう。
体重を管理する
肥満があると、身体に熱がこもりやすくなり、睡眠時無呼吸症候群のリスクも高くなります。
甘い飲料、夜食、揚げ物、飲酒量を見直し、急激ではなく数か月かけて減量しましょう。
汗を記録する
発汗した時間、食事、飲酒、室温、睡眠時間、体調などを記録すると、悪化しやすい条件が分かる場合があります。
診察を受ける際にも、「週に何回寝汗があるか」「寝間着を替えるほどか」といった具体的な情報が役立ちます。
男性更年期の検査
男性更年期が疑われる場合は、泌尿器科、男性更年期外来、メンズヘルス外来などで問診と血液検査を行います。
主に確認される項目は次のとおりです。
- テストステロン値
- 性欲や朝立ちの変化
- 疲労感や筋力低下
- 発汗、ほてり、寝汗
- イライラや気分の落ち込み
- 睡眠状態
- 服用中の薬
- 糖尿病や甲状腺疾患などの持病
テストステロン値は時間帯によって変動し、一般的に朝に高くなります。そのため、午前中に採血することがあります。
テストステロン値が低いだけでなく、本人が困っている症状があるかを合わせて判断することが重要です。
男性更年期の治療方法
生活習慣の改善
軽い症状では、睡眠、運動、体重、飲酒、ストレスなどを見直します。
睡眠不足や過度の飲酒が発汗を悪化させている場合は、ホルモン治療を行わなくても症状が改善する可能性があります。
テストステロン補充療法
症状があり、検査でテストステロン低下が確認された場合は、テストステロン補充療法が検討されます。
日本では、テストステロン製剤を一定間隔で筋肉注射する方法などがあります。治療によって、ほてり、性欲低下、疲労感、筋力、EDなどが改善する場合があります。日本内分泌学会でも、適切に診断された患者に対してテストステロン補充療法が行われるとされています。
主な副作用や注意点は次のとおりです。
- 多血症
- ニキビや皮脂の増加
- むくみ
- 睡眠時無呼吸症候群の悪化
- 精子産生の低下
- 精巣の縮小
- 不妊への影響
将来子どもを希望している人は、治療前に必ず医師へ伝えてください。外からテストステロンを補うと、精子を作る働きが低下する可能性があります。
治療中は、血算、肝機能、テストステロン値、前立腺に関する検査などを定期的に行います。
漢方薬や症状に応じた薬
体質や症状に合わせて、漢方薬が使われる場合があります。
不眠や気分の落ち込みが強い場合は、睡眠薬や抗うつ薬などが検討されることもあります。ただし、一部の抗うつ薬では発汗が増える場合があるため、薬を開始してから症状が変化した場合は医師へ伝えましょう。
個人輸入でテストステロン製剤を購入する場合
個人輸入代行では、自宅から注文でき、国内では取り扱いの少ないジェル、注射剤、含有量などを比較できる点がメリットです。
ただし、汗やほてりの原因が必ずテストステロン低下とは限りません。甲状腺疾患、感染症、低血糖などが原因の場合、テストステロン製剤を使用しても改善しないだけでなく、診断が遅れる可能性があります。
購入前には、次の項目を確認してください。
- 有効成分
- 含有量や濃度
- 注射、ジェル、内服薬などの剤形
- 使用する部位と回数
- 多血症、むくみ、ニキビなどの副作用
- 睡眠時無呼吸症候群の有無
- 前立腺や心血管疾患に関する注意点
- 精子産生や不妊への影響
- 製造元と成分表示
血液検査をせず、汗や疲労だけを理由にテストステロン製剤を使用しないでください。
自己判断で増量したり、複数のホルモン製剤を重ねたりするのも危険です。使用を検討する場合は、事前と使用中に血液検査を受け、多血症、肝機能、ホルモン値などを確認しましょう。
医療機関へ相談する目安
次のような場合は、泌尿器科、男性更年期外来、内科などへ相談してください。
- ほてりや寝汗が1か月以上続いている
- 寝間着や寝具が濡れるほど汗をかく
- 性欲低下や朝立ちの減少がある
- 強い疲労感や筋力低下を伴う
- 動悸や手の震えがある
- 理由なく体重が減っている
- 発熱や長引くせきがある
- 大きないびきや睡眠中の呼吸停止がある
- 薬を飲み始めてから汗が増えた
- テストステロン補充療法を検討している
胸の痛み、強い息苦しさ、意識の異常、冷や汗を伴う場合は、更年期と考えず早急に救急医療へ相談してください。
まとめ
男性更年期では、テストステロンの低下や自律神経の乱れによって、発汗、ほてり、寝汗が増えることがあります。
暑くないのに顔や首が急に熱くなる、冷房の効いた室内でも汗が出る、寝間着を替えるほど寝汗をかく場合は、男性更年期の可能性があります。
ただし、寝汗や発汗は甲状腺疾患、感染症、低血糖、睡眠時無呼吸症候群、薬の副作用でも起こります。
性欲低下、朝立ちの減少、疲労感、筋力低下、イライラなどを伴う場合は、泌尿器科や男性更年期外来でテストステロン値を確認しましょう。
治療では、睡眠、運動、体重、飲酒などの生活習慣を整え、必要に応じてテストステロン補充療法などを行います。個人輸入を利用する場合も、血液検査と定期的な健康管理を行い、自己判断でホルモン製剤を増量しないことが重要です。

